マジック サーヴァント マイスター

すあま

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第76話 ビリから始める真っ当冒険者への㊙︎特訓術⑤

読みに来てくださりありがとうございます。私事で長らくお待たせしています事、深くお詫び申し上げます。この物語だけは完結させたいので応援のほど、よろしくお願いします。
それでは、お楽しみください。


 ◆

デコグリフ教国 クランデリア自治領最西端
シャンリン村

より5kmほど離れた丘隆にて、少し早い夕食を終えた一行は、そこに馬車を止めた。

「『よし、モンシア、この石を投げろ。丁度、あそこに生えてる木にウロがある。ここから、あの空に投げ込め』」
『また、無茶な』
「良いじゃん、やって見せろよ」
「『魔法でもなかなか難しそうな距離ですね』」

 モンシアはなんだかんだと石を拾い木の空へ石を難なく投げ込んだ。

『いいね。じゃぁ、次はスリングを使ってやってみてくれ』

 言われた通りモンシアはスリングを使って木の空目掛けて投げる。なんだかんだ言って自分の得意分野を披露するのは好きなのだ。しかし、石は空よりも外側へはみ出た。

カッコッココン……

その途端少し離れた木へ次々と当たりながら奥へと消えた。

『外したけど、なんか、めっちゃ早く投げられるな』
『スリングは直に投げるより速度を乗せやすいし、午前中の筋トレも効いてるのだろう。遠心力のせいでブレる分練習が必要になる縦回転でアンダースローで狙った方が重力も利用できて当て易いぞ』
『いやいやいや、そんな早く筋肉つくのありえないでしょう』
『生活魔法と白魔法に分類される回復を少し代謝に傾けて使ったろう?』
『え? 本当に?』

 テンドールとアンディも馬車を降りて石を投げてみる。
テンドールの石は水平に速度もなかなかで遠くまで飛んで行き、アンディの投げた石は1/4で地面に転がった。

『すごい矢の速さまでもう少しで届くかもしれない、テンドールはもう矢の速さと変わらない』
『俺様でも遠距離支援が可能になるのか』

 三人を見ていたジェシーはキャシーとほくそ笑んでから三人に声をかけた。

『そろそろ良いか? テンドール先ずはそこらの土も石も握って80度ほどの斜角で10m前方へ投げてみろ。それでどれほどの時間で落ちてくるか見てみたい。少し力の抜き加減も考慮するんだ。この後、朝まで戦闘する可能性もあるからな』
『お、応、承知だ、姐御』

 テンドールが石を出来るだけ多く拾い土と共に右手で投げ上げる。かなりの上まで上がり広がりながら石と土が落ちた。

『6秒か、まぁ、十分か。作戦を言い渡す。ゴブリンは2~3人の小隊を組んで見回りを行っている。かなり頭のいい奴が群れを仕切っている証拠だ。最終ターゲットはこのボスになる。一匹たりとも逃すな。これは、戦争で奴らは自分達の生活環境拡大の為、村から娘を拐かし子を孕ませ、畑を荒らし食糧を奪う。人手が足りずこのところ間引いて被害を抑えていたが親玉を潰さない限り、人間対ゴブリンの争いは終わらない。我々が手を引けば呆気なく村は滅び次の村をゴブリンは襲うだろう』
『俺達は、皆、承知だ。姐御』
『応』『応ともさ』

『先程から投げてもらった石は、これから皆で拾うが敵の数を減らす先制攻撃、または牽制攻撃の為の一手である。長期による白兵戦でかなり有効な手段になるので馬鹿の一つ覚えで全く構わないので基本動作を共有した上で習得してもらいたい』
『まぁ、そうでしょうね』
『戦闘において敵から目を離すなど愚の骨頂である。だからこそ、隙を作る為に頭上から降り注ぐ石と言う状況を作る。この戦法を見たゴブリンは必ず狩れ。覚えられると奴らが使い出す』
『それとすぐに応用出来る様に隠蔽魔法も覚えて貰います。魔力から戦闘で使用出来るのは日に1、2回とお考え下さい』
『出来れば、朝までに片を付けたいが、見回りに恐らく二分隊振り分けているだろうから、4~6体先の戦法で減らして、ちょっかいをかける。村まで引き、交代で防衛。村を襲って来るなら約100~120、襲って来ないなら約50体以下だろう。襲って来ない場合、休んだ後夜明けと共に残党共を蹴散らすのが良いだろう』
『休憩を取る時に強制で眠らせます。その際にスキル経験記憶を並列化します』
『今のところ、投擲関係しかないみたいだが、他に何を伸ばしたら良い?』
『いい質問だ。それぞれの職能はもちろんだが、今は底上げが狙いだ。筋肉トレーニング系のスキルはもう直ぐ取れるだろう。次に来るのが肉体の熟練操作になる。つまりはいかに効率よく身体を動かせるかだ。その為には先ず精密動作、次に重心移動、体捌き、軽業へ繋がっていく。激しい運動をしながら敵の急所に投げナイフや石を当てられれば言う事はない。それから魔法については、キャシーの方が一日の長だ』
『説明を引継ぎましょう。魔法はマナの動きを既に体験済みなのでマナ・コントロールを間もなく習得出来ます。マナ・コントロールで筋肉の精密動作を制御する動作強化系を無詠唱で自然に出来るまでやります。そうすれば息をする様に激しい運動をしながら投擲しても大概は狙ったところへ当てられます。次に休憩を取る時に強制で睡眠出来る様にスリープと交代時の強制覚醒のアウェイクを習得。新陳代謝コントロール、スキル記憶整理、"コレをしたい"に対して何が必要かを考え、三人で相談して決める事を習慣づけて下さい。でないとこの先何のスキルを覚えるか私たちの手を離れて、もっと上手くやっていけるヒントになります』
『え、これからも一緒にやっていかねぇのかよ!』
『最初に言いませんでしたっけ? 一時的なパーティーと。理由は、勇者候補から勇者、勇者から英雄候補へ上り詰めるには幾つかの試験があって、サポートをお願いする事はあっても一緒のパーティーで居るには難しいからです』
『既についてる実力差は物理的に詰められる事はない。同じ努力をしている限りな』
『姐御を超えられる事をすりゃ連れて行って貰えるんですかい?』
『それこそ、英雄候補や英雄になれるだろ。私らに頼らなくてもお前達について来る奴等が勝手に寄って来るものさ。自転車操業出来る位には育ててやるって言ったろ』
『自転車?』
『おっと、まだこっちには自転車はないか』
『自転車とは、一体!?』
『休憩終了です。馬車へ乗って下さい。すぐに使うと思いますので、投げ易い石を拾ってそちらの箱に入れた小銭袋に入れておいて下さい』
『投げ石を小銭袋とは、考えましたね』
『一回分単位で入れて置けるので意外と使い易いのです。余談ですが、この他にも時間停止アイテムバッグはこれから小銭稼ぎに何かと使えるので手に入れられるなら買って置いて半年毎に使う用で貯蔵して置くと良いです。ただの石が夏は冬の温度、冬は夏の温度を届けるだけでお金になります。"カイロ石"と呼んでます。最もアイテムバッグの最小でも高価なのでやる人は少ないですが』
『それは、儲かるのですか?』
『チリも積もれば山となります。やらなければ山にもならないだけです』
『他にも同じ様な何かしてるのか』
『お前達も不便だなと感じたちょっとしたことがあるだろう。ソレを少しだけ肩代わりする道具を提供すれば良い、まぁ、交渉時にプレゼンの仕方や運用に工夫が必要だけどね』
『また、工夫なのか』
『いつもとやる事は変わりませんよ。例えば敵に攻撃を与えようとする時、剣でも弓でも槍でも斧でも武器を使って相手にダメージを少しでも多く与えようとします。ところが武器がなければその手を握り締め拳を作って殴る事になるでしょう。簡単に言えばその武器を提供してあげるだけのことです』

 三人の反応は微妙だった。何を当たり前のことを、何が言いたいのか分からないと言う感じの反応だ。しかし話は続く。

『ただ、それだけでは儲けはあまり見込めません。例えば、支援職が共にいて支援をアタッカーに与えます。攻撃力、敏捷性、防御力などの上昇支援バフと敵への攻撃力、敏捷性、防御力の妨害支援デバフ、例えば、戦略魔術支援による高い位置からの遠距離射撃や霧、毒ガスなど地形効果や環境支援、
例えば自身の攻撃に上昇効果のあるアイテムの支援。見る角度を変えれば同じ目標に向かう事象は幾つもあります。それをまとめて販売交渉プレゼンすれば人はちゃんと需要として認識しそれにお金を払います』
『おお、なるほど』
『要は、人が面倒と感じる事を肩代わりしてやる事で利益を出すって事か!』
『おお、テンドールが鋭い、頭使った、珍しい』『バカにすんな!』
『はいはい、手を動かして、1人30個位、このポーチに入れて、テンドールに渡して』
『姐さん、いったい、どんだけアイテムポーチ持ってるんです』
『下位の収納の少ない時間経過なしも微妙な奴なら安いからな。後は、村に着いてからのお楽しみだ』

 一行は、石を拾い終わり、戦いの下準備を終えるとシャンリン村へ向けて再度馬車を走らせた。



 
____
いつもお読みいただきありがとうございます。
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