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第0章 婚姻前の死
惨劇②
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謀反だと聞いたが母を助けることが先だ。
今は息をするのもやっとの状態。
「急いで血を止めないとっ!!誰か!誰か来てっ!!」
荒く呼吸をする母を仰向けにしドレスの裾を破り母の手をどかし腹部を押さえる。
それでも血は止まらない。
「なんで?!どうして?!」
早く!早くしないと!
母様が!
なんで?!さっきまで元気だったのに。
「どうして?!なぜ、誰も来ないの?!」
こんなに助けを呼んでいるのに侍女達がこない。
「セレーナ…私の可愛い娘……」
パニックで泣きじゃくる私の顔にそっと触れる。
「母様……どうして…」
「セレーナ…逃げて…」
「嫌だ!絶対嫌!」
フワッと笑う母は優しいこう呟いた。
「じきにあなたを狙いにくるかもしれない。あなたは私の大切な宝物よ。……だから、逃げて…生き延びて…その方が私は嬉しいわ」
「っ!」
その微笑みに嘘はないように見えた。
母は人を第一に考える人だ。だからこそ私は逃げるべきだ。
「だけど…!」
「いいから行って…」
「っ!…分かった……分かったけど……待ってて!必ず助けを呼んでくるから!」
グっと涙をぬぐい立ち上がりセレーナは走り出した。
(母様、待ってて!助けを呼んでくるから!それまで!)
セレーナを走り去る後ろ姿を見て安心したように母シャルティアは目を閉じた。
セレーナはもと来た道と反対方向に向かって走っていた。
反対側には医師が逃げているだろうと思ったからだ。
(なぜ?謀反なんか。一体誰が?)
母が刺されてても、逃げ出してきても追われなかったということは、狙いは王族全員なのだろうか。
下克上目的の貴族の仕業?いや、それならジルベールとの婚姻の前日にしないはず。
それなら、力を恐れた他国からの刺客?いや、それは警備が厳重な王宮をわざわざ攻撃しないはず。
どちらにしろ分からずじまいだ。
とりあえず逃げることだけを考え、王宮の構造を知りすぎているセレーナは右へ左へと曲がったりする。
(次の角を曲がってまっすぐいったら離宮の廊下だ。恐らくそこに避難しているはず。)
右に曲がり、先にあるT字路が見えたが……
その先に人影が。
しかも、離宮のちょうど入り口のところに剣を手に持った人物が立っていた。
(ちっ。謀反者?)
一瞬身構えたが、あの赤髪の人物には心当たりがあった。
「ラナス?」
良かった。と安堵の息をつきスピードを緩めた。
「ラナス!母様が、ひどい怪我をして…」
「セ…レーナ…?どうしてここに?」
名前を呼ばれたラナスは私に気づき明らかにおかしい動揺を見せた。
「ラナス…?それって血?!どこか怪我してるの?!」
服についている赤い染みをみて心配になり近づこうとした。
「来るなっっ!」
普段弱々しく泣き虫で優しいラナスが剣幕を見せ私は驚きのあまりビクと肩を震わせた。
「違う…そうじゃないんだ。」
と恐がられてしまったことに対し罪悪感を感じたのか無理やり笑って見せていた。
それが余計に困惑して不思議で怖くて、何が何だか分からなかった。
私は気づいてしまった。
ラナスが持っている剣から血が滴り落ちていて、足元には人が倒れていた。
しかも、王宮騎士の制服を着た人が。
「まさか……嘘だよね?謀反って…」
声が震えた。
答えを聞くのが怖かった。
けど、違うという言葉を待っていたがラナスは黙って俯いたままだ。
「ラナス……答えて?どうして、母様を殺したの?」
「それは……」
「ラナス、そっちは済んだか?」
私からは見えなかったがT字路の先に声の主がいるのだろう、ラナスはギクッとしたように右を向いた。
この声には心当たりがあった。いやありすぎる。
こんなのは夢だ。夢であって欲しい。
カツカツと足音が聞こえ角から見えたのはハニーブロンドの義兄だった。
「…兄…様?」
「………まだ残っていたか…」
とまるで初対面で敵に向けるような視線は凍るような冷たく、冷酷だった。
その視線は間違いなく自分に向けられている。
ゆっくり獲物を追い詰める獣のようにこちらに向かってきた。
「待って、シリウス!計画とは違うじゃないか!セレーナは関係なかったはず!」
「事情が変わった」
「だけど…!」
「ハァ-…許せ」
少しため息をつき変わらず無表情でラナスが反応できない速度で剣の峰で思い切り首の後ろをドッと殴り付けた。
「ガッ!」
「お前を殺す気はない」
ラナスは首からの衝撃により体に力がなくなりバタっと倒れてしまった。
「くっ……!…セレ…ーナ…には、手を出……さ…ないで…下さい」
薄れ行く意識の中そう言いシリウスを睨みそのまま気を失ってしまった。
「それは出来ないことだな」
ラナスから視線を壁にもたれかかり怯えて動けなくなっているセレーナに移しゆっくりと近づく。
そして、怯えている義理の妹の首をまるで物を拾うかのように掴んで持ち上げた。
足が完全に浮いて、息がしにくい。
少しでも酸素を確保するために掴まれている手を両手で掴み、必死に足をバタつかせ抵抗するが、到底敵わなかった。
そして、声を絞り出すように目の前のこの男に問う。
「兄様、どうしてこんなことを...?私は...シリウス兄様、貴方を慕っていたのに...」
自然と涙が溢れる。
「許せ、事情が変わった。安心しろ、せめてもの情けで苦しめないでおく。」
情け?事情?そんなことしったこっちゃない。
事情が変わったから死ねと?ふざけんな。
そう、怒鳴りたかったが足りない空気は息吸うので精一杯。
冷酷な眼差しのままシリウスは両手で妹の首を絞めた。
「うっ…く………」
さらに息が苦しい。
命の危機を感じた体が勝手に無理やり酸素を確保しようと手足をバタつかせる。
意識が遠のきそう……
このまま慕っていた兄様に殺されるなんて、なんて悲しい人生だったんだろう……
もしも、来世で会うことがあったら私はこう兄に聞きたい。
ーなぜ、私を殺したのですか? と……
今は息をするのもやっとの状態。
「急いで血を止めないとっ!!誰か!誰か来てっ!!」
荒く呼吸をする母を仰向けにしドレスの裾を破り母の手をどかし腹部を押さえる。
それでも血は止まらない。
「なんで?!どうして?!」
早く!早くしないと!
母様が!
なんで?!さっきまで元気だったのに。
「どうして?!なぜ、誰も来ないの?!」
こんなに助けを呼んでいるのに侍女達がこない。
「セレーナ…私の可愛い娘……」
パニックで泣きじゃくる私の顔にそっと触れる。
「母様……どうして…」
「セレーナ…逃げて…」
「嫌だ!絶対嫌!」
フワッと笑う母は優しいこう呟いた。
「じきにあなたを狙いにくるかもしれない。あなたは私の大切な宝物よ。……だから、逃げて…生き延びて…その方が私は嬉しいわ」
「っ!」
その微笑みに嘘はないように見えた。
母は人を第一に考える人だ。だからこそ私は逃げるべきだ。
「だけど…!」
「いいから行って…」
「っ!…分かった……分かったけど……待ってて!必ず助けを呼んでくるから!」
グっと涙をぬぐい立ち上がりセレーナは走り出した。
(母様、待ってて!助けを呼んでくるから!それまで!)
セレーナを走り去る後ろ姿を見て安心したように母シャルティアは目を閉じた。
セレーナはもと来た道と反対方向に向かって走っていた。
反対側には医師が逃げているだろうと思ったからだ。
(なぜ?謀反なんか。一体誰が?)
母が刺されてても、逃げ出してきても追われなかったということは、狙いは王族全員なのだろうか。
下克上目的の貴族の仕業?いや、それならジルベールとの婚姻の前日にしないはず。
それなら、力を恐れた他国からの刺客?いや、それは警備が厳重な王宮をわざわざ攻撃しないはず。
どちらにしろ分からずじまいだ。
とりあえず逃げることだけを考え、王宮の構造を知りすぎているセレーナは右へ左へと曲がったりする。
(次の角を曲がってまっすぐいったら離宮の廊下だ。恐らくそこに避難しているはず。)
右に曲がり、先にあるT字路が見えたが……
その先に人影が。
しかも、離宮のちょうど入り口のところに剣を手に持った人物が立っていた。
(ちっ。謀反者?)
一瞬身構えたが、あの赤髪の人物には心当たりがあった。
「ラナス?」
良かった。と安堵の息をつきスピードを緩めた。
「ラナス!母様が、ひどい怪我をして…」
「セ…レーナ…?どうしてここに?」
名前を呼ばれたラナスは私に気づき明らかにおかしい動揺を見せた。
「ラナス…?それって血?!どこか怪我してるの?!」
服についている赤い染みをみて心配になり近づこうとした。
「来るなっっ!」
普段弱々しく泣き虫で優しいラナスが剣幕を見せ私は驚きのあまりビクと肩を震わせた。
「違う…そうじゃないんだ。」
と恐がられてしまったことに対し罪悪感を感じたのか無理やり笑って見せていた。
それが余計に困惑して不思議で怖くて、何が何だか分からなかった。
私は気づいてしまった。
ラナスが持っている剣から血が滴り落ちていて、足元には人が倒れていた。
しかも、王宮騎士の制服を着た人が。
「まさか……嘘だよね?謀反って…」
声が震えた。
答えを聞くのが怖かった。
けど、違うという言葉を待っていたがラナスは黙って俯いたままだ。
「ラナス……答えて?どうして、母様を殺したの?」
「それは……」
「ラナス、そっちは済んだか?」
私からは見えなかったがT字路の先に声の主がいるのだろう、ラナスはギクッとしたように右を向いた。
この声には心当たりがあった。いやありすぎる。
こんなのは夢だ。夢であって欲しい。
カツカツと足音が聞こえ角から見えたのはハニーブロンドの義兄だった。
「…兄…様?」
「………まだ残っていたか…」
とまるで初対面で敵に向けるような視線は凍るような冷たく、冷酷だった。
その視線は間違いなく自分に向けられている。
ゆっくり獲物を追い詰める獣のようにこちらに向かってきた。
「待って、シリウス!計画とは違うじゃないか!セレーナは関係なかったはず!」
「事情が変わった」
「だけど…!」
「ハァ-…許せ」
少しため息をつき変わらず無表情でラナスが反応できない速度で剣の峰で思い切り首の後ろをドッと殴り付けた。
「ガッ!」
「お前を殺す気はない」
ラナスは首からの衝撃により体に力がなくなりバタっと倒れてしまった。
「くっ……!…セレ…ーナ…には、手を出……さ…ないで…下さい」
薄れ行く意識の中そう言いシリウスを睨みそのまま気を失ってしまった。
「それは出来ないことだな」
ラナスから視線を壁にもたれかかり怯えて動けなくなっているセレーナに移しゆっくりと近づく。
そして、怯えている義理の妹の首をまるで物を拾うかのように掴んで持ち上げた。
足が完全に浮いて、息がしにくい。
少しでも酸素を確保するために掴まれている手を両手で掴み、必死に足をバタつかせ抵抗するが、到底敵わなかった。
そして、声を絞り出すように目の前のこの男に問う。
「兄様、どうしてこんなことを...?私は...シリウス兄様、貴方を慕っていたのに...」
自然と涙が溢れる。
「許せ、事情が変わった。安心しろ、せめてもの情けで苦しめないでおく。」
情け?事情?そんなことしったこっちゃない。
事情が変わったから死ねと?ふざけんな。
そう、怒鳴りたかったが足りない空気は息吸うので精一杯。
冷酷な眼差しのままシリウスは両手で妹の首を絞めた。
「うっ…く………」
さらに息が苦しい。
命の危機を感じた体が勝手に無理やり酸素を確保しようと手足をバタつかせる。
意識が遠のきそう……
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ーなぜ、私を殺したのですか? と……
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