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第1章 転生後
4 お前の父は
しおりを挟む「…と言いますと」
「そのままの意味だ。噂でもある通りその容姿。俺たちの子にしては似なさすぎる、まして息子のトームソンでさえも似ていると言うのに。」
「……単刀直入に申し上げます。私は侯爵夫妻の実子ではないと言うことですね?」
こんなことぐらい気づいてない訳ない。
髪色もそうだし、目の色だって1つも似ているところがない。
この問いに満足そうに侯爵は頷いた。
「その通りだ。お前を養子として迎えた。」
「なら、私は孤児院の子ということですね」
幼い子供を引き取る事は孤児院からしか出来ないので、産まれた時からここにいる私は孤児院出身なのだと思っていた。
典型的な平民嫌いな侯爵夫婦の血を引いてないことに嬉しみながらも、捨てられた両親に会いたかったなという気持ちもあった。
てっきり孤児院出身だと思っていた私に意外な返答が返ってきた。
「何を言っていてる?いくら養子といえど下民など迎えるわけないだろ。」
なぜそんな下賤な者を養子にしないといけないのかというように顔をしかめた侯爵。
「え?しかし、貴族の子を養子に迎えるにはある程度の年齢と正式な申請が……」
「お前は望まれてない子だったのだ!だから母親はここに逃げて保護したのだ!」
望まれてない子……そう、言われると私は後ろめたさで心が痛んだ。
兄様も“望まれてない子”と何年も言われ続けていたのだ。
「お前の母は異国人アナベル・シャペロン。彼女はお前を身籠ったが為追われ、逃げてきたのがここだった。」
シャペロン、その名前には聞き覚えがあった。
どこで聞いたのかと過去を振り返る。
シャペロン…シャペロン…あっ。死んだ後生まれ変わる前に見た夢?
もしかしてあれは夢ではなく現実に起こったことだったのか?だとしたら侯爵は無理やり私を取り上げたということなのか。
「そして、お前の父はシリウス・アルエ・ミルチェ・クラメル。現皇帝だよ」
「………え?」
シリ…ウス…?なぜここで義兄の名前が出てくるのか。
聞き間違いだろう。そう信じたい。
でもここで冗談をいうほど侯爵は馬鹿じゃない。
絞められた喉が燃えるように痛くなった。
やめてくれ。というように頭がガンガンする。
「お前も分からなかったわけないだろ。なにしろその瞳の色は王族の象徴だ。」
言われてみればそうだ。
私だってずっと疑問に思っていた。いや、心の中では知っていたのかもしれない。
でも、信じたくなくて目を背けたのは私だ。
「明日、王の謁見の許可が降りた。その時にお前の父、シリウスを殺せ。」
「え?」
突然のあり得ないセリフに耳を疑った。
現時点で他の皇帝の跡継ぎは自分以外にいないらしいから、皇帝が即位すれば次の皇帝は恐らく私だろう。
そして、次に実権を握るのは今までカペラを育てたへークライム家だ。
だから、この男は追われているアナベル・シャペロンを保護しカペラを引き取ったのはそれが目的だったから。
「カペラ。聞いているのか?」
「・・・・」
「これは命令だ!!お前が皇帝になることでようやく恩が返せるのだぞ!!この恩知らずが!」
それでも、無反応の私に計画が狂うと焦ったのか、錆び付いた歯車を一生懸命動かすように、煽りの言葉を投げつけた。
「みなしご」や「恩知らず」「平民の血が入っている汚れた王族」などなど。だけど、このくらい何のことない。兄様の方がずっとつらい思いをしていたのは知っているから。
煽りの言葉でも同時ない私に、怒りの手前という感じで怒鳴った。
「いいなっ?!これは揺るぎない事だ!たかが、下民の成り上がり皇帝になんの戸惑いがある!?」
戸惑い?あるに決まっている。いくら、殺された相手といえども元は尊敬していた人だ。
黙っている私に焦りを感じた侯爵はこう言った。
「もし、しないならそうだなー。お前の侍女を解雇しようか?それとも処罰がいいか?」
は?
「代わりはいくらでもいる。」
目の前にいるこの生き物は何だ?
本当に同じ人間?
「それか、家族も一緒に…」
「侯爵っ!!いい加減にしてくださいっ!!」
「なら、するんだな?」
「…分か……りました」
「よし。」
「だから、マギーには手を出さないで」
「ふむ。もういい下がれ。」
そう言われ、何も言わず礼儀作法なんかせずそのまま部屋を出た。
何もかも放棄してしまいたかった。
※ー※ー※ー※ー※ー※ー※
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