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第2章 居場所
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思い切り、大嫌いという雰囲気を全面に出し眉を寄せるカペラをよそに、反対に尊敬に混じった好意を向けるルカム。
レグルスは前のように“余計なこと”を起こさないかカペラを警戒するように見た。
手に書類が握られているのは、気になったが余計な関与はしたくないし、たかが書類ごときで騒ぐほどでもない。
カペラから目を離しルカムに向きなおしたのち、用件を話す。
「これから陛下が外出なさるので後は頼みましたよ」
「了解ですっっ!団長のご命令とあれば、このルカム一生ついて参りますっ!たとえ、火の中、海の中、土の中!戦火の中でもついていきますっ」
「だから、ついてくるなっと言ってるのだが」
一途な尊敬な目を向けるルカムに呆れたようにため息をつく。
これはルカムを残していく意味が伝わってないと思い、レグルスはルカムの肩に手を乗せグッと自分の方に近づけると皇女に聞こえないように耳打ちした。
「くれぐれも目を離すな。いくら幼子といえど侯爵に育てられた女だ。油断するな。いいな?」
そう、言いたいことを伝え終え耳元から顔を離した。この時、「了解です!」と元気いっぱいに返事をするルカムを予想していたが、現実はそう上手く行かない。
「ふぇ?」
と、何がなんだが分からずルカムはまるで恋した乙女のように顔を真っ赤にし呆気にとられていた。
憧れの人の息が残った耳を触り、酸素不足の金魚みたいに口をパクパクとあけしめするルカム。
かと思えば彼氏にするような、拗ねるようにプウッと頬を膨らます様子。
「それ、反則……」
「え?」
訳の分からない行動に呆気にとられているレグルスを他所に、照れを見せるルカム。
それが落ち着いたかと思うと前からガバッとレグルスに思いきり抱きついた。
「あなたから目を離しません!一生ついていきますっ!」
「ちょっ!そういう意味じゃ…!離れてっ!ていうか、あなたは奥さんがいるでしょう?!」
「それとこれとは別です!アミリ(妻)も大好きですが、団長も大好きなんです!」
セリフが浮気男そのものの言葉にしか聞こえない。
ルカムの性格上女性を裏切ることは、まずあり得ないが尊敬している存在とあれば心が舞い上がるのも無理な話ではない。
首に手を巻き付け完全にハグ状態。名一杯の力で引き離そうとするが、なかなか取れない。
見た目は一般的な男性の体格だが、さすがは騎手といえよう。
埒が明かないと思い少々手荒れな計画に変更した。
「悪く思うな」
レグルスは少し体を下に下げ、自身の肩とルカムの腕との隙間ができると同時に……
ガッ!!!とルカムの顎めがけて肘を打ち込む。
「痛っっ!」
と相手の手の力が弱まると右足でルカムの左足を外側から内に引っ掻ける。
「へ?」
気づいた時には引っ掛けられた左足は地面から離れ、視線が弧を描くようにして、正面から斜め上になり、やがて天井に。
ガンっ!床に背中と頭を強打してまた鈍い音がした。
「イッタァ!!!!」
その音が聞こえる頃にはもう、レグルスの姿はなく扉の開閉音が虚しく響くだけだった。
“早すぎてよく見えなかった……”
ただの兄のお気に入りにしては、無駄な動きぐ一切なく、たとえ部下でも一切躊躇しない。
それまでカペラはただの見物人と化していたが、ハッ我に返り、頭を抱えゴロゴロと転げ回っているルカムに駆け寄った。
「大丈夫?!」
「イッタァー!酷くないっすか?!あくまで可愛い部下ですよ?!」
「う、うん……」
「そして、もういないしっ!」
「う、うん……」
荒い扱いをされても、打たれ強く元気にガバッと起き上がりキラキラとした目でカペラを見つめ直す。
「それに比べて皇女様はなんて優しんでしょう!うちの息子のところにお嫁に来てください」
「……遠慮しとく」
「え~。そんなこと言わずに~。僕に似てイケメンなんですよー何が問題なんですか~?」
問題すぎる。一介の騎手の家系が王族に婚姻話を持ちかければ侮辱罪と処理されかねん。
逆に問題ないと思ったのかな?と苦笑いするしかない。
「それより、どうしてあの人のことそこまで尊敬してるの?」
「女にも子供にも容赦がない彼はあなたが最も嫌うべき特徴の1つでしょ?」
「いやいや!とんでもない!団長は、俺が最も憧れる人に近い方なんです!」
レグルスは前のように“余計なこと”を起こさないかカペラを警戒するように見た。
手に書類が握られているのは、気になったが余計な関与はしたくないし、たかが書類ごときで騒ぐほどでもない。
カペラから目を離しルカムに向きなおしたのち、用件を話す。
「これから陛下が外出なさるので後は頼みましたよ」
「了解ですっっ!団長のご命令とあれば、このルカム一生ついて参りますっ!たとえ、火の中、海の中、土の中!戦火の中でもついていきますっ」
「だから、ついてくるなっと言ってるのだが」
一途な尊敬な目を向けるルカムに呆れたようにため息をつく。
これはルカムを残していく意味が伝わってないと思い、レグルスはルカムの肩に手を乗せグッと自分の方に近づけると皇女に聞こえないように耳打ちした。
「くれぐれも目を離すな。いくら幼子といえど侯爵に育てられた女だ。油断するな。いいな?」
そう、言いたいことを伝え終え耳元から顔を離した。この時、「了解です!」と元気いっぱいに返事をするルカムを予想していたが、現実はそう上手く行かない。
「ふぇ?」
と、何がなんだが分からずルカムはまるで恋した乙女のように顔を真っ赤にし呆気にとられていた。
憧れの人の息が残った耳を触り、酸素不足の金魚みたいに口をパクパクとあけしめするルカム。
かと思えば彼氏にするような、拗ねるようにプウッと頬を膨らます様子。
「それ、反則……」
「え?」
訳の分からない行動に呆気にとられているレグルスを他所に、照れを見せるルカム。
それが落ち着いたかと思うと前からガバッとレグルスに思いきり抱きついた。
「あなたから目を離しません!一生ついていきますっ!」
「ちょっ!そういう意味じゃ…!離れてっ!ていうか、あなたは奥さんがいるでしょう?!」
「それとこれとは別です!アミリ(妻)も大好きですが、団長も大好きなんです!」
セリフが浮気男そのものの言葉にしか聞こえない。
ルカムの性格上女性を裏切ることは、まずあり得ないが尊敬している存在とあれば心が舞い上がるのも無理な話ではない。
首に手を巻き付け完全にハグ状態。名一杯の力で引き離そうとするが、なかなか取れない。
見た目は一般的な男性の体格だが、さすがは騎手といえよう。
埒が明かないと思い少々手荒れな計画に変更した。
「悪く思うな」
レグルスは少し体を下に下げ、自身の肩とルカムの腕との隙間ができると同時に……
ガッ!!!とルカムの顎めがけて肘を打ち込む。
「痛っっ!」
と相手の手の力が弱まると右足でルカムの左足を外側から内に引っ掻ける。
「へ?」
気づいた時には引っ掛けられた左足は地面から離れ、視線が弧を描くようにして、正面から斜め上になり、やがて天井に。
ガンっ!床に背中と頭を強打してまた鈍い音がした。
「イッタァ!!!!」
その音が聞こえる頃にはもう、レグルスの姿はなく扉の開閉音が虚しく響くだけだった。
“早すぎてよく見えなかった……”
ただの兄のお気に入りにしては、無駄な動きぐ一切なく、たとえ部下でも一切躊躇しない。
それまでカペラはただの見物人と化していたが、ハッ我に返り、頭を抱えゴロゴロと転げ回っているルカムに駆け寄った。
「大丈夫?!」
「イッタァー!酷くないっすか?!あくまで可愛い部下ですよ?!」
「う、うん……」
「そして、もういないしっ!」
「う、うん……」
荒い扱いをされても、打たれ強く元気にガバッと起き上がりキラキラとした目でカペラを見つめ直す。
「それに比べて皇女様はなんて優しんでしょう!うちの息子のところにお嫁に来てください」
「……遠慮しとく」
「え~。そんなこと言わずに~。僕に似てイケメンなんですよー何が問題なんですか~?」
問題すぎる。一介の騎手の家系が王族に婚姻話を持ちかければ侮辱罪と処理されかねん。
逆に問題ないと思ったのかな?と苦笑いするしかない。
「それより、どうしてあの人のことそこまで尊敬してるの?」
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