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第2章 居場所
12 *幼き少女は天真爛漫なようで
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*****
あいつ遅いな。
とハニーブロンドの12つばかりのシリウス少年は歴史書を読みながら思う。
王宮の外を囲むようにある森の中の1本の大木を中心に半径10mは木が生えず野花だけが咲き乱れている、いつものこの場所。
初代王が狩猟を楽しむ為に作ったものであり、遊歩道をかなり外れたところまで歩かないと見つからない秘密の場所だ。
唯一皇后からの罵倒、暴力から逃れられるので同じ皇后の宮にいる者同士ここに待ち合わせている。
もうそろそろだと。先にある生い茂った木を見つめているとガサガサと揺れた。
そこからピョコッと獲物を見つけたウサギのように顔を覗かせたのは赤髪の幼い少年。
『シリウス、ごめん!おばさんに見つかっちゃって!』
と傷だらけの服と顔で無言の自分にへにゃりと笑う。
そして、俺を見ると目を丸くし「シリウスもまたやられたね~」と服から覗かせる生傷をさす。
『ラナス、お前もな』
すると、ラナスが来た方向の木がガサガサと揺れた。
『お前、あとをつけられた訳じゃないよな?』
『……分かん…ない…急いできたから……』
と弱々しくモゾモゾと涙目になりながら言う。
ここがバレたら今度こそ逃げ場がなくなってしまう。
それだけではなく、皇后の「躾」がまっている。
シリウスは自分より年下で気弱なラナスを自分の後ろに隠すようにして身構える。
ガサガサっ。ガサ。ガサ。
ピョコッ!とラナスと同じように顔を出したのは銀髪に金色の目の同じ年頃ぐらいの少女だった。
“女…?……いやあの見た目は第3王妃の娘か”
後ろで「ヒッ」と小さく叫び声をあげたラナス。
警戒している2人をよそに、秘密基地を発見したように野花を見るなり興奮気味の様子。
『うわぁ!!こんな場所があったなんてっ!!』
銀髪をフワフワさせ目をキラキラと輝かし、どれから花を摘もうか迷っている様子。
完全にシリウスとラナスのことを置き去り状態。それどころか気づいてないのだろうか?
『おい。』
『わっ!ビックリしたー!もしかして、あなた達の場所?』
『そうだ。』
先約がいたら潔く去るのが普通であろう。
しかし、この女だけは別。
『そっかー。なら、時々ここに来ていい?こんな、お花が綺麗な所ないもの!』
『断る』
『ありがとう!私はセレーナよろしくっ!』
断る。という声をフル無視して満面の笑みで自己紹介を始めた少女にシリウスはウザいというより呆れていた。
セレーナは無愛想な少年の後ろにいたラナスに気付き『よろしくねっ!』と挨拶した。
その時もラナスは『わっ』と驚き、貝が殻の中に閉じ籠るようにシリウスの後ろに隠れてしまった。
自分と比べて住んでいる世界が違うセレーナはあまりにも不快で金輪際関わりたくなかったが、あいにく自分達はここの場所しか居場所がなかった。
だから、この銀髪のお転婆少女を無視し続けることでいつかはここから離れるだろうとシリウスは思っていた。
でも、セレーナはこの秘密の場所に訪れては冷たくあしらうシリウスに根性強く話しかけた。
ある時は気持ちのいい夏空の朝。
『ヤッホー!ねえ!お花綺麗でしょ!』
ある時は朝からどんよりと沈んだ雨の中。
『雨なのにやっぱりいるのね!』
ある時は睡眠中。
『ねぇ、私達義理の兄妹だったのね!にいさまと呼んでいい?』
ある時はひんやりと冷え込む秋空。
『見てみて!!ラナスと一緒に作ったの!』
ホラホラと見せたのはコスモス、ヒメジョオン、ヤクシソウ、カタバミなどの花冠。それと同様の物がラナスの頭の上にものっている。
『エヘヘ。シリウス、セレーナって作るの上手なんだよー』
とへにゃりと笑うラナスを見てため息しか出ない。
俺の苦労はなんだったんだ。
この1ヶ月でラナスは随分とセレーナに懐き、輪の中に馴染んできていた。
*****
コンコン。誰かが扉をノックした。
マナー的には返事をしてから開けるのが普通だが、それを無視して扉が開かれる。
「皇女様!例の件持ってきました~」
ヒョコと顔を出したのは、かの灰色髪の騎士ルカムだ。
「ありがとう」
「お疲れ様。休憩しておいで」と労いの言葉をかけるとパアッとおやつを見せた犬のように目を輝かした。
その素直な様子と何故か葉っぱまみれのルカムを見てクスリと笑いカペラはルカムに頼んでおいた資料を受け取った。
あの一件から1ヶ月、皇女誘拐ということで世間の間では大きな波紋が広がった。
皇居の警備の薄さ。実行犯の自害。黒幕の国。皇女の扱い方。などなど色々問題が浮き彫りになりカペラには護衛がつけられた。
それが皇女を助けた功績として昇格したルカムとあともう1人。
「ルカム、ここにいましたか」
「あ、団長!」
部屋に入ってきたのは今世で一番嫌いな茶髪男(茶髪野郎)レグルスだ。
人の気も知らないで兄はこの男に護衛という名の監視をつけたのだ。
こんな性悪茶髪なんかと同じ空気を吸いたくないほどカペラはレグルスを嫌っていた。
あいつ遅いな。
とハニーブロンドの12つばかりのシリウス少年は歴史書を読みながら思う。
王宮の外を囲むようにある森の中の1本の大木を中心に半径10mは木が生えず野花だけが咲き乱れている、いつものこの場所。
初代王が狩猟を楽しむ為に作ったものであり、遊歩道をかなり外れたところまで歩かないと見つからない秘密の場所だ。
唯一皇后からの罵倒、暴力から逃れられるので同じ皇后の宮にいる者同士ここに待ち合わせている。
もうそろそろだと。先にある生い茂った木を見つめているとガサガサと揺れた。
そこからピョコッと獲物を見つけたウサギのように顔を覗かせたのは赤髪の幼い少年。
『シリウス、ごめん!おばさんに見つかっちゃって!』
と傷だらけの服と顔で無言の自分にへにゃりと笑う。
そして、俺を見ると目を丸くし「シリウスもまたやられたね~」と服から覗かせる生傷をさす。
『ラナス、お前もな』
すると、ラナスが来た方向の木がガサガサと揺れた。
『お前、あとをつけられた訳じゃないよな?』
『……分かん…ない…急いできたから……』
と弱々しくモゾモゾと涙目になりながら言う。
ここがバレたら今度こそ逃げ場がなくなってしまう。
それだけではなく、皇后の「躾」がまっている。
シリウスは自分より年下で気弱なラナスを自分の後ろに隠すようにして身構える。
ガサガサっ。ガサ。ガサ。
ピョコッ!とラナスと同じように顔を出したのは銀髪に金色の目の同じ年頃ぐらいの少女だった。
“女…?……いやあの見た目は第3王妃の娘か”
後ろで「ヒッ」と小さく叫び声をあげたラナス。
警戒している2人をよそに、秘密基地を発見したように野花を見るなり興奮気味の様子。
『うわぁ!!こんな場所があったなんてっ!!』
銀髪をフワフワさせ目をキラキラと輝かし、どれから花を摘もうか迷っている様子。
完全にシリウスとラナスのことを置き去り状態。それどころか気づいてないのだろうか?
『おい。』
『わっ!ビックリしたー!もしかして、あなた達の場所?』
『そうだ。』
先約がいたら潔く去るのが普通であろう。
しかし、この女だけは別。
『そっかー。なら、時々ここに来ていい?こんな、お花が綺麗な所ないもの!』
『断る』
『ありがとう!私はセレーナよろしくっ!』
断る。という声をフル無視して満面の笑みで自己紹介を始めた少女にシリウスはウザいというより呆れていた。
セレーナは無愛想な少年の後ろにいたラナスに気付き『よろしくねっ!』と挨拶した。
その時もラナスは『わっ』と驚き、貝が殻の中に閉じ籠るようにシリウスの後ろに隠れてしまった。
自分と比べて住んでいる世界が違うセレーナはあまりにも不快で金輪際関わりたくなかったが、あいにく自分達はここの場所しか居場所がなかった。
だから、この銀髪のお転婆少女を無視し続けることでいつかはここから離れるだろうとシリウスは思っていた。
でも、セレーナはこの秘密の場所に訪れては冷たくあしらうシリウスに根性強く話しかけた。
ある時は気持ちのいい夏空の朝。
『ヤッホー!ねえ!お花綺麗でしょ!』
ある時は朝からどんよりと沈んだ雨の中。
『雨なのにやっぱりいるのね!』
ある時は睡眠中。
『ねぇ、私達義理の兄妹だったのね!にいさまと呼んでいい?』
ある時はひんやりと冷え込む秋空。
『見てみて!!ラナスと一緒に作ったの!』
ホラホラと見せたのはコスモス、ヒメジョオン、ヤクシソウ、カタバミなどの花冠。それと同様の物がラナスの頭の上にものっている。
『エヘヘ。シリウス、セレーナって作るの上手なんだよー』
とへにゃりと笑うラナスを見てため息しか出ない。
俺の苦労はなんだったんだ。
この1ヶ月でラナスは随分とセレーナに懐き、輪の中に馴染んできていた。
*****
コンコン。誰かが扉をノックした。
マナー的には返事をしてから開けるのが普通だが、それを無視して扉が開かれる。
「皇女様!例の件持ってきました~」
ヒョコと顔を出したのは、かの灰色髪の騎士ルカムだ。
「ありがとう」
「お疲れ様。休憩しておいで」と労いの言葉をかけるとパアッとおやつを見せた犬のように目を輝かした。
その素直な様子と何故か葉っぱまみれのルカムを見てクスリと笑いカペラはルカムに頼んでおいた資料を受け取った。
あの一件から1ヶ月、皇女誘拐ということで世間の間では大きな波紋が広がった。
皇居の警備の薄さ。実行犯の自害。黒幕の国。皇女の扱い方。などなど色々問題が浮き彫りになりカペラには護衛がつけられた。
それが皇女を助けた功績として昇格したルカムとあともう1人。
「ルカム、ここにいましたか」
「あ、団長!」
部屋に入ってきたのは今世で一番嫌いな茶髪男(茶髪野郎)レグルスだ。
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こんな性悪茶髪なんかと同じ空気を吸いたくないほどカペラはレグルスを嫌っていた。
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