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12 偽婚約スタート
しおりを挟む「では!お嬢様!行ってらっしゃいませ!!」
全員に見守られながら、門の所で待っていた、荷物をパンパンに詰め込んだ馬車に乗り込む。
「行ってきます。」
大きく息をして、馬車に乗り込む。
今日からローズバルト侯爵邸に住む。正しくは偽婚約のスタート。
不安で心が押し潰されそうになりながら、馬車がゆっくり動き出す。
「はぁぁー。。。ドキドキしますぅ!」
「付いてきてくれてありがとうリジー。」
長年私のお世話をしてきたリジーに微笑む。
昨日の夜、恐る恐る付いてきてくれるかお願いしたところ、快く引き受けてくれたのだ。
「当たり前じゃないですか!知らない人よりわたくしの方が、お嬢様は安心するのは分かってるんですから!」
「本当にその通り。リジーが付いてきてくれなかったらどうしよう。って思ってたんだから!」
「もぉーー。。。冗談で言ったのに。。。照れるじゃないですか!」
お互い顔を見合わせて笑う。
やっぱりリジーといると安心する。
不安が軽くなったような気がして少しホッとした。
しかし、ホッとしたのもつかの間、普段遠いはずの道のりはあっという間で、侯爵邸についてしまった。
門の所で警備をしていた見張りが「フロントリア嬢ですね。」と言い、門を開ける。
そして、門をくぐり抜け、元々大きいと思っていた侯爵邸は近づくにつれどんどん大きくなる。
エディトリスは二回来たことあるが慌てて帰ったため、あまり見ていなかった。
普段おしゃべりなリジーもあまりにもの立派さ、大きさに言葉を失い、馬車の中には沈黙がはしる。
幅広い道の端に綺麗に整えられた木々がエディトリス達を迎え入れた。
少し馬車が走ったところで、立派な噴水があるロータリーを回り、侯爵邸の入り口の真ん前に止める。
メイド達、使用人達が大集合しているなか降りられる勇気はない。
それを察した一歩前に出ていた、いかにも長年執事しています感、満載のおじ様が馬車の扉を開けてくれた。
「お待ちしておりました。フロントリア様。」
深々とお辞儀をするおじ様に続き後ろに待っていた使用人達もビシッ!とお辞儀をする。
ヤバい。ここ何?!
困惑するエディトリスとどうしたらいいのか分からないガチガチに固まったリジーはうろたえる。
「えっとー。。。そちらのかたは。。。。?」
「は、はい。お嬢様のお世話を長年任されているリジーと申します。」
「あっ。お付きの方でしたか。これはどうも。」
ガチガチに固まったリジーを暖かく微笑み緊張を溶かした。
「わたくしは長年ローズバルト侯爵様に仕えております、ロバートと申します。リジーさんにつきましてはこちらで説明をしますので。。。」
後ろを向き、ビシッと髪をまとめあげた、つり目のメイド長と呼ばれる人を紹介してくれた。
そのメイド長に連れられリジーは若干不安そうな顔をしながらも奥に行ってしまった。
そして、取り残された私はロバートさんに連れられ、部屋に案内される。
「こちらの部屋をお使いください。」
案内された部屋はとてつもなく豪華で1人じゃスペースをもてあましすぎの大きな部屋で、エディトリスの言葉を失わせた。
大きく目を見開いて、こんなところに住んでいいのかというように、辺りを見渡す。
上品でなおかつ豪華な部屋。
普段生活できそうなぐらい大きいベット。
詰めたら、7人ぐらいは寝れそう。
そして、ドレッサーに、大きいテラスに、大理石で出来たテーブル。そして、本棚。
ん?これはなんだろう?大きな扉?2つ入り口があるのかな。
疑問を解決するために扉を開けると、お家一個分ぐらいの大きなクローゼット!
しかも、ドレスも帽子、靴、メイク。
全てが揃ってる。
侯爵様、一体どういうつもり?!
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