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15 侯爵様の考え事
しおりを挟むコンコンっとノックがかかった。
目を通していた書類から顔をあげ、ドアを見る。
「失礼します。」
「ウィンか、報告はあとでもいい。とりあえず休め。」
「いえ、とんでもございません。」
「結果は?」
「ガラトリエ家はよっぽど警戒しているのか、荷馬車の中身は信用ある部下しか近づくことも出来ないという感じでした。」
「ふむ。そうか。」
ウィンの話をきいた侯爵は机をじっと見つめ考えた。
〝そこまで警戒しているのか。。〝
「あと、ルネーネとルカーナの国境付近で落盤事故があったそうで、ルネーネはその影響で食料不足。」
「!」
「ルネーネの国民には、そのことは伏せているそうで、このことが他国に伝わらなかったのもその影響でしょう。」
「いつの話だ」
「1ヶ月前です。」
〝1ヶ月前つまり、あの時より前ということ。
落盤事故がきっかけで戦争を起こそうとしているのか。。。。
しかし、軍事国ルカーナなんかに勝てるハズがない。〝
「ウィン。王都へ行け。」
「王都ですか?」
「あぁ。そこで国民に紛れて情報をあつめろ。」
「はっ。」
ウィンが行った後、侯爵はひたすら考えた。
だが、一方にいい考えが思い付かない。
早くしないと戦争がおきてしまう。
でもなぜ、ガラトリエ家が関わっている?無関係のハズなのに。
ガラトリエ家の鉱山に行き来している馬車を調べたいが、偵察のプロ、ウィンがダメだったんだ俺が調べることはまず出来ない。
「はぁー。。。どうすればいい。」
椅子にもたれ掛かり呟く。
平和ボケしてしまったのか。
今もそうだ、女には少しも興味がなかったのに、なぜ今エディトリス・フロントリアをここに置いてる?
本当に怪我してただけか?
取引の為か?
治ったら追い出したらいいはず。
よく分からない。
さりげなく窓を眺めていると、ふと目に入ったのは、建物の影に数人の侍女とリジー。
〝揉め事か?〝
突然、ドンと数人の侍女に押されよろめくリジー。
何か叫んでいるが、ここは3階で結構離れているのできこえない。
そして、リジーも叫び返す。
それに何も言えない、数人の侍女。
次の瞬間、侯爵は大きく目を開けて見つめた。
エディトリスがリジーと数人の侍女の間に割り込んできたからだ。
また、あの時のように茶色い髪がなびく。
そして、何かいい放ち侍女達は慌てる。
エディトリスは暗い表情でうつむいた。
キッ!と顔をあげた。
その顔にドクンと心臓が波打つ。
〝そうだ思い出した。〝
顔、声何もかも違うがその姿が母に見えた。
だが、その姿も一瞬で消える。
エディトリスがバチーン!と侍女の顔をビンタした。
聞こえるはずない音が侯爵の耳には聞こえたような気がした。
〝何やってるんだ。〝
自分でもよく分からないか、気がついたときには走って廊下に出ていた。
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