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プロローグ
しおりを挟む俺は何かが欠如してる。
そう感じたのは、戦争で人を殺してだいぶたった14の時だ。
すでに感覚が麻痺していた。
12の初陣では、まだ生温い返り血がついては身も毛がよだち。
息絶えた姿をみては全身の血が冷え吐き気がした。
仲間を失っては、なぜ助けてくれなかったのかと夢に出てきて恨まれ、後悔と恐怖に泣いた。
それでも戦争にしか居場所がなく歯を食いしばっては敵を人とは感じないように錯覚させた。
だから、腕一つで戦争が終わるなんて安いものだと思った。
なのに、戦争を命じた皇族はのうのうと暮らして、敵国から奪った金は全部皇族に使われる。
馬鹿馬鹿しい。
皇族の為に俺たちは多くの仲間を失ったというのか。
軍資金を減らしてまで。
そこまで、王というものは偉いのか。
そう思うと、腹が立ってしょうがなかった。
だから、今俺は不思議姫とかいう女に剣先を向けている。
そいつは、人通りが少ない木の下で呑気に読書をしていた。
「ルイゼ・グレイ・クラシエル。」
名前を呼ぶと腰まで伸ばし自然とウェーブしている白百合のような髪を揺らしながら、本から目を離した。
戦場にはない、艶と華奢な体。
女にしては座ってわかるぐらい、身長がそこそこあるみたいだ。
皇女は剣に気づき、戸惑いと困惑の色を浮かべた。
当然だった。
「お前を殺す。」
普通の温室育ちの女はここで、悲鳴をあげるか助けを乞うのどちらかだと思ったが、そいつは静かにこう言った。
「なら、しょうがないね。でも、痛くはしないでくれ。」
と笑った。
それは非常におっとりしていた声で女にしては少し低めで男にしては高めだった。
これが今振り回されているやつと出会った最初に起きた出来事だ。
初対面は最悪だったのだ。
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