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「ど、どうして私に笑顔を見せてくださらないの!?!」
「笑顔は無理矢理作るものではないだろう」
「リリー・ブラッド様だけなのです!アラン様の笑顔を引き出しているのは!」
「そう…か?」
そう見えるのか…なら良かった。
「わ、私は?!!未来の愛しの花嫁である私には!?」
「まだそうと決まったわけではない」
「そんな!想像もできませんか??」
…………………
「今しましたよね!?!」
「してない!!!」
俺は少し顔が熱くなった気がした。
「私にも微笑んでください!!お願いします…!」
土下座でもするのではないか?という気迫でお願いされては…
「…」
「笑えてない!!!」
「そ、そんなはずは!!きちんと微笑んだ」
「お願いしますー!!私にもアラン様の素敵な笑顔見せてくださいなーー!!」
そう言い土下座をとうとうしてきた彼女を俺は見つめた。

その時ローゼ以外の教室にいた者達はアランが微笑んだ顔をきちんと見ていた。

「あれ!?!なんで教室にいらっしゃった御令嬢方が全員倒れているのですか!?!!」
「…本当だな」
令息達でさえ立っているのがやっとだったと言う…。
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