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「久しぶり!アラン!」
「ランス…」
待て…昨日の今日だ。
嫌な予感しかしない。
「昨日さーもしかして令嬢と言い争ってたー?婚約するとかしないとか…抱き締めるとか抱きしめないとかー」
「な、、、なんでそれを!!」
「見ちゃったんだよねー!リリーと一緒にー!」
最悪だ……



「おい!リリー…」
俺は焦ったように一学年上の教室へと向かった。
「あらあらあらあら~!うふふ!やっぱり来たわね~」
「うん!アランが来たねー」
そう言うと悪魔の双子が揃った。
俺は幼い頃どれだけこの2人にいじめられて来たか……。
「ふふ…僕に内緒するなんて悪い子だねー」
「べ、別に内緒になんかしていない」
「なら秘密って言っていたことも言っていいのね?」
「いや、それは…」
俺はもう冷や汗がすごい。
「なにそれー!僕に秘密とか!!リリー早く教えて?」
「それがね…アランったら…」
「リリー!!」
「あら…なぁに?」
「もー邪魔しないでよ」
「……俺と貴女との2人の秘密だよな?」
「…………………んー」
「えー?リリー!教えてよー」
「んーーー」
「頼む!秘密だろう!」
「……そうね」
「えーー」
俺は内心本当にほっとした。
焦った。すごく焦った…。

もしもランスにジュリー・ローゼのことがバレたら…
絶対に興味を持ってしまう!!
「なんでなんでー!僕にも教えてよー!仲間はずれなんて…!!酷いよっ!!!」
必死そうな声を出しながら機嫌の良さそうな顔をしないでほしい。訳がわからなくなる。
「嫌だ」
「えー」
「教えちゃえば?なんか可哀想だわ…」
必死なのは声だけだけどな…。

待て…なんだかすごく嫌な感じが「アラン様…!!!」
いつもより少し小さめの声で俺を呼ぶ彼女は……
「じゅ…ジュリー・ローゼ!!!」
「あれ?この子昨日のー」
「なんのことだ?」
俺がランスの前に立ちはだかるとランスは鬱陶しそうな顔をする。
「どいてってば」
そう言うと簡単に自分の体の2倍程はあろう俺を突き飛ばした。
「ああああああアラン様!!!」
彼女が俺に駆け寄ってくる。
「じゅ…ジュリー・ローゼ…。早く教室に…」
「アラン様はここにいるんですから私もいます。なんてったって…」
「や、、、やめろ…!」
言ってはだめだ!いや!俺が否定すればなんとか「未来の花嫁なんですから♡」
「へー!!!」
終わった!!!ダメだ!これは珍しく本気で好かれている俺を見て驚いている!!
興味を示してしまう!
「それは彼女の冗談だ。本当の事じゃない」
「ふーーーーん」
「え!?!そうなのですか!?!アラン様!」
「君は少し黙っていてくれ…」
「ふーーーーーーーん」

「…本当だ」
「ふーーーーーーーん」
「本当だって」
「けどジュリー様はアランの事好きですわよね?」
「そうなのー?」
「えぇ!!もちろんですわ…!」
「ふーーん…」
なんだか少し顔が暗くなるランスに俺は首を傾けた。
「どうした?」
「いやいや!ただ親友に婚約者ができるなんて…ってさ!!」
なんだかいつもと違う様子に俺は少し驚いた。
「ランス…本当にだいじょ…」
その時授業が始まる鐘が鳴り響いた。
「行きましょう?アラン様」
「あ…あぁ」
「それでは」
そういいジュリー・ローゼがお辞儀をした。
俺は彼女につれられ教室に戻った。
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