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第7章 新国テンプルム
第361話 ライバルの正体
ドマさんと知り合ってから1週間、毎日剣作りの手伝いをさせてもらっている。
もちろんこのことは、眷女たちにも正直に伝えてある。隠さないようにしようって決めたからね。
いつものごとく絶対ダメとか言われるかと思ったけど、なんと珍しくあまり反対されなかった。
まあ多少は苦い顔をしてたけど、ほどほどにね、と釘を刺された程度だ。
ただフラウだけは、ドマさんに対してあまり良い感情は無いらしい。ドワーフ女と仲良くするなんてと、完全に嫌がってた。
エルフ族はドワーフと仲が悪いという噂は知ってたけど、本当なんだなあ。
とりあえず、女性と2人きりで作業してるのに監視にも来ないし、僕も信用されてきてるってことかな。
ただ眷女たちが来ない代わりに、ゼルマがよく見に来るけど。
不機嫌そうな顔で僕とドマさんの作業を見たあと、ブーブー文句言って帰っていくんだよね。わざわざやってきて、何がしたいのかよく分からん。
まあ邪魔はありつつも、なんだかんだと順調に作業はできた。
おかげで、武器作りの秘訣も分かってきた。
僕の作る剣はただ性能を追求しただけで、あまり使い手のことは考えてなかった。
それに対し、ドマさんの剣は誰が使っても性能が発揮できるよう、様々な工夫がされていた。
まさに使い手の力を引き出す名剣だ。
その使い手に馴染むような剣作りのポイントを、ドマさんから直接教えてもらったりしたので、今後は使用者に合わせた武器を作れるようになるだろう。
「坊主、お前なかなか才能あるでしゅ。あたいが満足する『相槌』を打てる人間がいるとは思わなかったでしゅ」
『相槌』とは師匠の合図に合わせてハンマーを打つ作業で、こうして通常は2人以上で金属を精錬していくんだけど、天才鍛冶師のドマさんは全て1人でこなしている。
僭越ながら、それを僕が手伝わせてもらったのだ。
鍛冶作業なんてやったことなかったけど、『鍛冶』スキルをレベル10にしてあったので、なんとかドマさんの期待に応えられたようだ。
徹底的に鍛錬したドマさんの『火緋色鋼』は、今や完全に理想の状態となり、そして剣作りの工程もほぼ終えていて、あとは最後の仕上げという段階まで来ている。
僕の目にはすでに完成品に見えるくらいだけど、ドマさん曰く、伝説とまで言われる『魔剣ダーインスレイヴ』にはもう1つ足らないらしい。
ちなみに、剣としての単純な硬さなら、僕の持つ『冥霊剣』よりも上だろう。
とはいえ、『冥霊剣』も打ち合って簡単に負ける剣じゃないけどね。
「坊主、お前には感謝するでしゅ。お前がいなければここまで来れなかったでしゅ。一族の掟で、あたいは男と共同作業をしたことがなかったのでしゅが、お……お前と一緒に仕事ができてあたいは嬉しかったでしゅ」
「こちらこそ、ドマさんのおかげで剣作りの秘訣がよく分かりました」
「坊主、お、お前さえよければ、これからもあたいの手伝いを……」
「え? それは僕を弟子にしてくれるということですか?」
「い、いや、なんでもないでしゅ。あたいとしたことが、こんな子供に……」
なんかドマさんがぶんぶん手足を振り回してる。見掛けが幼いから可愛いな。
しかし、僕のこと子供だなんてひどいな。一応この国の王なのに。
まあ100歳を超えるドマさんからすれば、僕なんてヒヨッコなんだろうけどさ。
ちなみに、僕が国王だということは、まだドマさんには話していない。
その辺りについてはドマさんもあまり興味がないようで、そもそもこのテンプルムの国王がどんな人間なのかも知らないようだった。
しかし、ゼルマやドマさんが僕を子供扱いするってことは、ひょっとしてフラウも僕のこと子供と思ってるのかな?
考えてみたら、フラウってアニスさんやネネどころか、ドマさんよりもずっと年上なんだよなー。
ただフラウの精神が圧倒的に幼すぎて、全然そんな感じはしないけど。
おっとそうだ、ドマさんにはずっと聞きそびれていたことがあったんだ!
「ドマさんは以前ライバルを見つけたと言ってましたけど、それって誰なんですか? 興味があるので、差し支えなければ教えてください」
「……まあ特に秘密にする必要もないので教えてやるでしゅが、このテンプルム国のオークションに剣を出したヤツでしゅ」
ええっ!?
一応国王として出品物はだいたいチェックしてるけど、ドマさん以上の剣なんて見たことないけどなあ。
「新しく国ができたというので、観光ついでにいらなくなった剣をオークションで売ろうと来てみたんでしゅが、そこでとんでもない剣を見たのでしゅ。稲妻に打たれる思いとはこのことでしゅ」
「どんな剣ですか?」
「『蒼魂鋼の剣』でしゅ! あの超硬度の金属『蒼魂鋼』をあれほと精密に加工した技術も見事でしゅが、剣としての完成度も凄かったでしゅ」
えええっ、それってひょっとして……僕の剣!?
ってことは、ドマさんのライバルって僕なの!?
あの『蒼魂鋼の剣』はただ斬れ味を重視しただけで、ドマさんのように使い手の力を引き出すような剣じゃないんだけど?
「僕が見たところ、ドマさんのほうが良い剣を作っているように思いますが……?」
「坊主に何が分かるでしゅ!? どこの誰が作ったか知らないでしゅが、あの『蒼魂鋼の剣』は天下の業物でしゅ」
何が分かると言われても、僕が作者ですから……。
いったいどういうことだ、ドマさんのライバルが僕だなんて、ちょっとこんがらがってきたぞ。
「あの『蒼魂鋼の剣』を作ったヤツこそ、真の天才でしゅ。洗練されたフォルム、無駄のない構造、それは使い手に媚びることなく、ただひたすら斬れ味を追求した究極の完成度。まさに『剣とはこうあれ』と語りかけてきたのが分かったでしゅ」
いえ、全くそんなことは考えずに、ポンとスキルで作っちゃった剣なんです。
うう、なんかもの凄く申し訳ない気持ちになってきちゃった……。
「あたいは使い手との一体感を考えて剣を作ってきたけど、それは剣にとっては不幸だったでしゅ。使いやすさを重視して、剣として最大の力を与えてやれなかったのでしゅから。でもあの『蒼魂鋼の剣』は、剣の持つ力を十全に引き出していたでしゅ。そう、人が剣を選ぶのではなく、剣が使い手を選ぶ至高の剣なのでしゅ。いったいどれほどの年月を掛けてアレを作り上げたのか……」
すみません、一瞬で作っちゃいました。
しかし、ドマさんが僕の剣をそんな風に思っていてくれたなんて感激だ。
「あたいも負けずに、使い手に媚びることなく、ひたすら性能だけを追求した王者の剣を作ろうと思ったでしゅ。そう、コレはあたい用の剣なのでしゅ。ただ、この剣にはまだ魂が入ってないでしゅ。『魔剣ダーインスレイヴ』として覚醒するためには、魂を吹きこむ必要があるのでしゅが……」
「それはどうするんですか?」
「ドワーフ族の秘技で加工したこの『分霊珠』に、聖なる魂を込めるでしゅ」
そう言ってドマさんは、金色に輝く直径3センチほどの宝石を取り出した。
「魂の入ったこの『分霊珠』を剣に取り付けることによって、『魔剣ダーインスレイヴ』に命が吹きこまれるのでしゅ。ただし、魂はなんでもいいというわけではないでしゅ。神聖な存在から、その魂の一部を分けてもらわないとならないのでしゅ。これほどの剣には相応の魂が必要になるでしゅが……あたいにもどこで見つければいいか分からないでしゅ」
神聖な存在……精霊とか聖獣とかってことかな?
熾光魔竜もかなり超越した存在だけど、一応ドラゴン族だしちょっと違うよなあ。
最後の最後で難題が残っちゃったか。
でも、剣に力を与えるのに、こういうやり方もあるんだな。勉強になった。
『魔道具作製』スキルで『分霊珠』は作れるみたいなので、僕も色々応用ができそうだ。
素材が『蒼魂鋼』や『火緋色鋼』だと、自由に効果を付けるのが難しかったけど、これでなんとかなるかも?
そういえば、前に『空間魔法』を付与して人工的な『次元斬』を作ろうとしたけど、失敗したことがあった。
ひょっとしたらそういうのも、『分霊珠』を使えば問題解決かもしれない。
まあ神聖な存在をどう見つけるかも難しいし、色々と模索してみることにしよう。
「なんだ、珍しく難しい顔をしておるな。何か問題でも起こったか?」
僕とドマさんが悩んでいると、工房にゼルマがやってきた。
ゼルマはすでに何度も来てるので、勝手知ったるという感じで図々しく入ってくるのだ。
昼間だというのに動ける吸血鬼を見て、最初こそドマさんも困惑してたけど、今ではもう気にしてない様子。
……そうだ、ゼルマは神聖な存在に心当たりはあるかな?
聞いてみよう。
「ゼルマ、神聖な存在が居る場所って知ってるかな?」
「『神聖な存在』だと? なんだその曖昧な定義は?」
「いや、僕たちもよく分からないんだけど、そういう存在から神聖な力を分けてもらいたくて……」
「ふーむ……ドラゴンや魔族が居る場所なら分からぬでもないが、神聖なヤツとなると、さて………………おお、そういえば、遙か南の森で『赤き天馬』に遭遇したという吸血鬼がおったな」
「『赤き天馬』? それはどういう……?」
「言い伝えでは、『赤き天馬』は元々凶悪な魔獣だったが、のちに神の僕――神獣に昇格したという話だ。そいつと出会った吸血鬼が昔いたのだ」
神の僕になっただって? それは気になるな。
しかし、遙か南の森か……恐らく人跡未踏の場所だろう。
この世界の南方には人が住めるようなところは発見されておらず、完全に未開の地となっている。
当然危険だと思うけど、行ってみる価値はあるかもしれない。
「ドマさん、どうしますか?」
「もちろん、行ってみるでしゅ! このままでは剣は完成しないでしゅからね!」
「そうこなくっちゃ! ゼルマ、その『赤き天馬』が居たという森って分かるかな?」
「おおよその場所は分かるが、何せ数千年前の話だ。ワシも行ったことはないし、現在どうなっておるのかは知らぬぞ。それでよければ案内するが……?」
「よろしく頼むよ! ゼルマが居て良かった!」
「そ、そうか、ワシが居て良かったか。ふふん、やっとワシの価値に気付いたようだな」
ゼルマが得意気な顔になってるけど、その噂がどこまで信用できるのか分からないから、自慢するのはまだ少し早いかも。
まあしかし、ゼルマの喜ぶ顔はなかなかに貴重なので、僕も嬉しくなる。
なんとか良い結果になってくれることを祈りたいところだ。
ということで、僕たちは『赤き天馬』探しの準備をするのだった。
もちろんこのことは、眷女たちにも正直に伝えてある。隠さないようにしようって決めたからね。
いつものごとく絶対ダメとか言われるかと思ったけど、なんと珍しくあまり反対されなかった。
まあ多少は苦い顔をしてたけど、ほどほどにね、と釘を刺された程度だ。
ただフラウだけは、ドマさんに対してあまり良い感情は無いらしい。ドワーフ女と仲良くするなんてと、完全に嫌がってた。
エルフ族はドワーフと仲が悪いという噂は知ってたけど、本当なんだなあ。
とりあえず、女性と2人きりで作業してるのに監視にも来ないし、僕も信用されてきてるってことかな。
ただ眷女たちが来ない代わりに、ゼルマがよく見に来るけど。
不機嫌そうな顔で僕とドマさんの作業を見たあと、ブーブー文句言って帰っていくんだよね。わざわざやってきて、何がしたいのかよく分からん。
まあ邪魔はありつつも、なんだかんだと順調に作業はできた。
おかげで、武器作りの秘訣も分かってきた。
僕の作る剣はただ性能を追求しただけで、あまり使い手のことは考えてなかった。
それに対し、ドマさんの剣は誰が使っても性能が発揮できるよう、様々な工夫がされていた。
まさに使い手の力を引き出す名剣だ。
その使い手に馴染むような剣作りのポイントを、ドマさんから直接教えてもらったりしたので、今後は使用者に合わせた武器を作れるようになるだろう。
「坊主、お前なかなか才能あるでしゅ。あたいが満足する『相槌』を打てる人間がいるとは思わなかったでしゅ」
『相槌』とは師匠の合図に合わせてハンマーを打つ作業で、こうして通常は2人以上で金属を精錬していくんだけど、天才鍛冶師のドマさんは全て1人でこなしている。
僭越ながら、それを僕が手伝わせてもらったのだ。
鍛冶作業なんてやったことなかったけど、『鍛冶』スキルをレベル10にしてあったので、なんとかドマさんの期待に応えられたようだ。
徹底的に鍛錬したドマさんの『火緋色鋼』は、今や完全に理想の状態となり、そして剣作りの工程もほぼ終えていて、あとは最後の仕上げという段階まで来ている。
僕の目にはすでに完成品に見えるくらいだけど、ドマさん曰く、伝説とまで言われる『魔剣ダーインスレイヴ』にはもう1つ足らないらしい。
ちなみに、剣としての単純な硬さなら、僕の持つ『冥霊剣』よりも上だろう。
とはいえ、『冥霊剣』も打ち合って簡単に負ける剣じゃないけどね。
「坊主、お前には感謝するでしゅ。お前がいなければここまで来れなかったでしゅ。一族の掟で、あたいは男と共同作業をしたことがなかったのでしゅが、お……お前と一緒に仕事ができてあたいは嬉しかったでしゅ」
「こちらこそ、ドマさんのおかげで剣作りの秘訣がよく分かりました」
「坊主、お、お前さえよければ、これからもあたいの手伝いを……」
「え? それは僕を弟子にしてくれるということですか?」
「い、いや、なんでもないでしゅ。あたいとしたことが、こんな子供に……」
なんかドマさんがぶんぶん手足を振り回してる。見掛けが幼いから可愛いな。
しかし、僕のこと子供だなんてひどいな。一応この国の王なのに。
まあ100歳を超えるドマさんからすれば、僕なんてヒヨッコなんだろうけどさ。
ちなみに、僕が国王だということは、まだドマさんには話していない。
その辺りについてはドマさんもあまり興味がないようで、そもそもこのテンプルムの国王がどんな人間なのかも知らないようだった。
しかし、ゼルマやドマさんが僕を子供扱いするってことは、ひょっとしてフラウも僕のこと子供と思ってるのかな?
考えてみたら、フラウってアニスさんやネネどころか、ドマさんよりもずっと年上なんだよなー。
ただフラウの精神が圧倒的に幼すぎて、全然そんな感じはしないけど。
おっとそうだ、ドマさんにはずっと聞きそびれていたことがあったんだ!
「ドマさんは以前ライバルを見つけたと言ってましたけど、それって誰なんですか? 興味があるので、差し支えなければ教えてください」
「……まあ特に秘密にする必要もないので教えてやるでしゅが、このテンプルム国のオークションに剣を出したヤツでしゅ」
ええっ!?
一応国王として出品物はだいたいチェックしてるけど、ドマさん以上の剣なんて見たことないけどなあ。
「新しく国ができたというので、観光ついでにいらなくなった剣をオークションで売ろうと来てみたんでしゅが、そこでとんでもない剣を見たのでしゅ。稲妻に打たれる思いとはこのことでしゅ」
「どんな剣ですか?」
「『蒼魂鋼の剣』でしゅ! あの超硬度の金属『蒼魂鋼』をあれほと精密に加工した技術も見事でしゅが、剣としての完成度も凄かったでしゅ」
えええっ、それってひょっとして……僕の剣!?
ってことは、ドマさんのライバルって僕なの!?
あの『蒼魂鋼の剣』はただ斬れ味を重視しただけで、ドマさんのように使い手の力を引き出すような剣じゃないんだけど?
「僕が見たところ、ドマさんのほうが良い剣を作っているように思いますが……?」
「坊主に何が分かるでしゅ!? どこの誰が作ったか知らないでしゅが、あの『蒼魂鋼の剣』は天下の業物でしゅ」
何が分かると言われても、僕が作者ですから……。
いったいどういうことだ、ドマさんのライバルが僕だなんて、ちょっとこんがらがってきたぞ。
「あの『蒼魂鋼の剣』を作ったヤツこそ、真の天才でしゅ。洗練されたフォルム、無駄のない構造、それは使い手に媚びることなく、ただひたすら斬れ味を追求した究極の完成度。まさに『剣とはこうあれ』と語りかけてきたのが分かったでしゅ」
いえ、全くそんなことは考えずに、ポンとスキルで作っちゃった剣なんです。
うう、なんかもの凄く申し訳ない気持ちになってきちゃった……。
「あたいは使い手との一体感を考えて剣を作ってきたけど、それは剣にとっては不幸だったでしゅ。使いやすさを重視して、剣として最大の力を与えてやれなかったのでしゅから。でもあの『蒼魂鋼の剣』は、剣の持つ力を十全に引き出していたでしゅ。そう、人が剣を選ぶのではなく、剣が使い手を選ぶ至高の剣なのでしゅ。いったいどれほどの年月を掛けてアレを作り上げたのか……」
すみません、一瞬で作っちゃいました。
しかし、ドマさんが僕の剣をそんな風に思っていてくれたなんて感激だ。
「あたいも負けずに、使い手に媚びることなく、ひたすら性能だけを追求した王者の剣を作ろうと思ったでしゅ。そう、コレはあたい用の剣なのでしゅ。ただ、この剣にはまだ魂が入ってないでしゅ。『魔剣ダーインスレイヴ』として覚醒するためには、魂を吹きこむ必要があるのでしゅが……」
「それはどうするんですか?」
「ドワーフ族の秘技で加工したこの『分霊珠』に、聖なる魂を込めるでしゅ」
そう言ってドマさんは、金色に輝く直径3センチほどの宝石を取り出した。
「魂の入ったこの『分霊珠』を剣に取り付けることによって、『魔剣ダーインスレイヴ』に命が吹きこまれるのでしゅ。ただし、魂はなんでもいいというわけではないでしゅ。神聖な存在から、その魂の一部を分けてもらわないとならないのでしゅ。これほどの剣には相応の魂が必要になるでしゅが……あたいにもどこで見つければいいか分からないでしゅ」
神聖な存在……精霊とか聖獣とかってことかな?
熾光魔竜もかなり超越した存在だけど、一応ドラゴン族だしちょっと違うよなあ。
最後の最後で難題が残っちゃったか。
でも、剣に力を与えるのに、こういうやり方もあるんだな。勉強になった。
『魔道具作製』スキルで『分霊珠』は作れるみたいなので、僕も色々応用ができそうだ。
素材が『蒼魂鋼』や『火緋色鋼』だと、自由に効果を付けるのが難しかったけど、これでなんとかなるかも?
そういえば、前に『空間魔法』を付与して人工的な『次元斬』を作ろうとしたけど、失敗したことがあった。
ひょっとしたらそういうのも、『分霊珠』を使えば問題解決かもしれない。
まあ神聖な存在をどう見つけるかも難しいし、色々と模索してみることにしよう。
「なんだ、珍しく難しい顔をしておるな。何か問題でも起こったか?」
僕とドマさんが悩んでいると、工房にゼルマがやってきた。
ゼルマはすでに何度も来てるので、勝手知ったるという感じで図々しく入ってくるのだ。
昼間だというのに動ける吸血鬼を見て、最初こそドマさんも困惑してたけど、今ではもう気にしてない様子。
……そうだ、ゼルマは神聖な存在に心当たりはあるかな?
聞いてみよう。
「ゼルマ、神聖な存在が居る場所って知ってるかな?」
「『神聖な存在』だと? なんだその曖昧な定義は?」
「いや、僕たちもよく分からないんだけど、そういう存在から神聖な力を分けてもらいたくて……」
「ふーむ……ドラゴンや魔族が居る場所なら分からぬでもないが、神聖なヤツとなると、さて………………おお、そういえば、遙か南の森で『赤き天馬』に遭遇したという吸血鬼がおったな」
「『赤き天馬』? それはどういう……?」
「言い伝えでは、『赤き天馬』は元々凶悪な魔獣だったが、のちに神の僕――神獣に昇格したという話だ。そいつと出会った吸血鬼が昔いたのだ」
神の僕になっただって? それは気になるな。
しかし、遙か南の森か……恐らく人跡未踏の場所だろう。
この世界の南方には人が住めるようなところは発見されておらず、完全に未開の地となっている。
当然危険だと思うけど、行ってみる価値はあるかもしれない。
「ドマさん、どうしますか?」
「もちろん、行ってみるでしゅ! このままでは剣は完成しないでしゅからね!」
「そうこなくっちゃ! ゼルマ、その『赤き天馬』が居たという森って分かるかな?」
「おおよその場所は分かるが、何せ数千年前の話だ。ワシも行ったことはないし、現在どうなっておるのかは知らぬぞ。それでよければ案内するが……?」
「よろしく頼むよ! ゼルマが居て良かった!」
「そ、そうか、ワシが居て良かったか。ふふん、やっとワシの価値に気付いたようだな」
ゼルマが得意気な顔になってるけど、その噂がどこまで信用できるのか分からないから、自慢するのはまだ少し早いかも。
まあしかし、ゼルマの喜ぶ顔はなかなかに貴重なので、僕も嬉しくなる。
なんとか良い結果になってくれることを祈りたいところだ。
ということで、僕たちは『赤き天馬』探しの準備をするのだった。
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