無限のスキルゲッター! 毎月レアスキルと大量経験値を貰っている僕は、異次元の強さで無双する

まるずし

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第8章 英雄の育成

第383話 ファーブラの街

「それでは失礼いたします」

 ファーブラ国女王セティナス様との拝謁を終えて、僕たちは部屋を退出する。
 昨日の夕方ファーブラに到着したあと、とりあえず旅の疲れを取るためにゆっくり休み、本日身だしなみを整えて正式に訪問したのだった。
 あらかじめ到着日も伝えてあったので、無事滞りなく予定をこなすことができた。

 ちなみに来たメンバーは僕のほか、メジェールとフィーリア、リノ、ソロル、フラウで、メジェールとフィーリアは女王様と面識があった。
 あまり大勢で押しかけるのも申し訳ないと思ったので、ネネやゼルマたちには外で待機してもらっている状態だ。
 魔導国イオの姫サクヤは連れてきてもいいかなと思ったけど、サクヤが少々嫌がったので今回は見合わせることに。

 ああ見えて、サクヤは人見知りなんだよね。ちょっと内弁慶なところがあって、初対面相手だとコミュニケーションが不安らしい。
 普段も僕やベルニカ姉妹がそばにいれば強気だけど、そうじゃなければ借りてきた猫のように大人しくなる。
 病弱で一人でいる時間が多かったから、こうなってしまったんだろう。
 わがままなサクヤが緊張で縮こまってると、結構可愛く思えたりするけどね。
 僕たちと一緒に行動していれば、きっとそのうち克服してくれるはずだ。

「女王様、相変わらず元気で安心したわ」

「わたくしも久々にお会いしましたが、本当に息災で何よりでした」

 セティナス女王様は御歳おんとし60歳になられるけど大変健康で、日々コツコツと公務を勤められている。見た目もとても若いし。
 セティナス様も、久々にメジェールとフィーリアの姿を見て安心していた。
 メジェールたちは、『魔王ユーリ』に洗脳されたと言われてたからね。心配させて申し訳ないことしちゃったな。

「さぁて公務はこれで終わったし、あとは遊ぶだけね!」

 肩の荷が下りたと言わんばかりに、メジェールは両手を上げて伸びをして、大きく息を吐く。
 その姿をセティナス様が見たらちょっと悲しむよ。ま、メジェールらしいけど。

 王城を出たところでほかのみんなとも合流し、僕たちはそのまま街へと繰り出した。


 ◇◇◇


「あった、あのお店だわ!」

「結構並んでるね。私たちも急ごっ!」

 と、メジェールとリノが駆け出し、ほかのみんなも後を追う。
 そのお店は、たっぷりの生クリームをふかふかのカステラで挟んだ甘菓子を売っていた。
 店頭には女の子たちが列をなして並んでいて、買ったそばから甘菓子をほおばり、そのまま歩いていく。
 かくいう僕たちも、つい先ほど同じように店先で買ったクレープを食べながら歩いていたのだが、それを食べ終える前に次のお目当てを見つけて、メジェールたちがすっ飛んでいったところだ。
 せめてクレープを食べ終えてから並ぼうよ……。

 ファーブラ国は規模としては僕の生まれた国エーアストと同じくらいで、文化などもよく似ているけど、最大の特徴は神様への信仰がとてもあついこと。
 街のあちこちに教会が建てられており、そしてもちろん神官も多数存在する。
 多くの国民が、毎日欠かさず神様へ祈りを捧げているのだ。
 街なかの景観にもそれは表れていて、通りをただ散策するだけでもその信仰の深さが窺える。
 どこか神秘的な雰囲気を味わいながらぶらつき、そして評判のお店を見つけ次第、みんなで購入しているような感じだ。

 こんな調子で、基本的には甘い物がメインではあるけど、揚げ物なんかもいくつか食べた。コロッケとかね。
 僕としては特に代わり映えしない物だったけど、何やらここの名物だったようで、みんなとても嬉しそうに食べていた。
 ただどう考えても食べすぎで、もう少し選んで食べたほうがカロリー的にもやさしい気がするんだけど……まあみんなが満足ならそれでいいです。

 もちろん、本来の目的である『ナンバー0』の子供も捜しているけど、正直まったく見つかる気がしない。
 何せ手掛かりが0だ。
 シャルフ王いわく、僕ならひょっとしてという可能性に賭けただけで、完全に運任せだもんなあ……。
 とりあえず、僕は『幸運』がレベル10だ。恐らく、世界最高に運はいいはずなので、それに賭けるしかないな。


 ◇◇◇


 フルーツをふんだんに使ったミックスジュースを飲みながら、少し狭い裏通りを歩いていると、突然目の前に3人の男が道を塞ぐように現れた。
 ひょっとしてと思いながら後ろを振り返ってみると、予想通り3人の男たちが僕らを逃がさないように立ち塞がっている。
 うん、まあ分かりやすいくらいのならず者だ。この手の場所では、旅行客を狙う輩が結構いたりするんだよね。
 問題は、何故か僕はそういう奴らに狙われやすいってことだ。

「おい小僧、こんなに女ばかり連れやがって、ずいぶん景気よさそうじゃねーか。オレたちにも少し分けてくれよ」

「ヒヒヒ、お嬢ちゃんたち、俺たちがもっと楽しいこと教えてやるぜ」

「なんだこのバカ者共は? 殺されたいのか?」

 男たちの挑発に、ゼルマが真っ先に反応する。

「ユー……じゃなかったヒロって、何故か昔から絡まれやすいよね。私と一緒にいたときも何度か絡まれてたし」

「そういえば、学校でもしょっちゅう絡まれてたわね」

 リノとメジェールの言う通りだ。こういう人たちを引き付ける何かが僕にはあるんだろうか?
 ちなみに、『テンプルム国王ユーリ』ということがバレないように、みんなには僕のことを『ヒロ』と呼ぶようにお願いしてある。
 道中では失敗したからね。
 とりあえず、ゼルマが暴れる前にこの場を収めないと。

「あの……皆さん、こんなところで暴れたら、すぐに衛兵が来て捕まりますよ?」

「ああん? オレたちを脅してるつもりか? 安心しろ、ちゃんと見張りもいるから、そんなドジは踏まねえよ」

「大人しく金と女をおいて立ち去れば、お前は許してやってもいいぜ。ま、迂闊にこんなところに来た勉強代と思うんだな」

 男たちは不敵な笑みを浮かべながら、懐からナイフを取り出してチラつかせる。
 こりゃダメだな。忠告して考え直すようなら見逃してもいいかと思ったけど、きっちり捕まえて反省してもらうか。

「ダーリン、こんなヤツらネネに任せれば、余計なゴミを出さずに始末してやるぞ」

 怖いこと言わないでくださいナンバーズのエースさん。

「久々に『首折りチョップネッククラッシュ』の出番ね。腕が鳴るわ!」

 メジェールたちが手首を回して準備運動を始める。なんか楽しそうに見えるけど?
 あまり騒ぎを大きくしたくないし、みんなが暴れる前にさっさと僕が片付けちゃおう。

「皆さん、強盗は犯罪です。素直に自首するなら何もしませんが、そうでないなら少々痛い目に遭わせますよ」

「…………………………はああっ!?」

 僕の言葉を男たちはすぐには理解できなかったようで、しばらく固まったあと、怒りの表情で大声をあげた。
 あれ、言い方がちょっとまずかったかな?
 別に挑発したりするつもりはないんだけど、上手な警告の仕方がイマイチ分からなくて……。
 どう言えば素直に従ってくれるんだろ?

「こ、このガキ、ぶっ殺してやる!」

「あ、ちょっとまっ……」

「待つかこのボケーッ!」

 僕が慌てて制止するのを無視して、男たちはナイフを振り上げて突進してきた。
 なんて短気な人たちだ、それを見てメジェールたち本気で怒ってるぞ。楽しい気分を邪魔されたんで、許しがたいものがあるんだろう。
 特にゼルマがヤバい、本当に殺しかねない殺気だ。

 まずいな、いくら強盗相手とはいえ、万が一取り返しの付かない状態になったら、さすがに問題になるだろう。
 もちろん正当防衛だけど、それを証明するのが色々面倒だ。
 僕たちの正体も隠してるし。

 仕方ない、犠牲が出る前に時間を止めちゃおう。えいっ!
 時間停止魔法『万物完全静止ワールドブレイク』を発動して、その間に男たちを軽くボコって縛り上げた。

「う゛ぉべらっ、いててて……な、なんだ!? あちこち痛いうえに、いつの間にか縛られちまってるぞ!?」

「こ、こりゃあいったいどういうことだ!?」

 時間が元に戻ったあと、いきなり自分たちが縛られていることに気付いて男たちは狼狽する。

「忠告を聞かなかった罰ですよ。あなたたちは衛兵に引き渡すので、牢の中で反省してくださいね」

「相変わらず甘いわねユー……じゃなくてヒロ。アタシたちに任せてくれれば、首をへし折ってやったのに」

 うん、やっぱり時間を止めて正解だった。

 さて、衛兵を呼んでこようと思ったところで、突然近くの物陰から人が飛び出してきた。
 前にツバのある帽子を被った、水色の髪をした少年だ。14、5歳くらいだろうか。
 その子は僕の前まで走ってきたかと思うと、いきなりしゃがみ込み、両手を地面に着けて叫んだ。

「お願いです、どうかボクの師匠になってください!」

 ええええっ!?

 ***********************************

 近況ボードにも書いたんですが、『無限のスキルゲッター』がコミカライズされることになりました!
 作画担当は海産物先生で、8/24から連載開始となります。
 原作者が言うのもなんですが、小説版よりも圧倒的に面白いです!
 やはり漫画は偉大だなと……。コミカルな動きやキャラの表情などで、サクサクと気持ちよく頭に入ってきます。
 是非『無限のスキルゲッター』の世界を漫画で楽しんでください☆
感想 679

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