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4.王子の葛藤
伽から逃げたいと、初めて思った
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「これは禁忌事項の1つです。お分かりですね」
(白々しい。お前が仕組んだことじゃないのか!)
ノアの言葉遣いや態度が、いつものように俺を煽るものじゃないのが引っかかった。
「わかってる!!!」
「であれば、時間までカシー様から離れてください」
今のノアは、あくまで淡々と話す。
義務を忠実にこなすかのように。
いつもの、腐ったような笑みはない。
そのノアの態度が、余計に俺を苛立たせる。
「カシーには聞かなくてはならぬことがあるのだ!!!」
そう。聞かなくてはいけない。
何故、外にいたのかと。
誰が、お前をそうしたのか、と……。
「王子。伽の時間に」
ノアの口調が強まった。
「ちっ」
俺は、ノアに向けて、わかりやすく舌打ちをした。
こんなことが、ノアを動じさせることはないと、分かっている。
けれど、せずにはいられなかった。
俺は、カシーを連れて部屋に戻ろうと思った。
しかし、手を差し伸べようとカシーを見て、俺は躊躇った。
久々に見た。
見たくなかった、カシーの顔。
それは、俺に対する拒絶。
あの、最初のキスの時と、同じ顔をしていた。
俺は、噴水の助けもあり、どんどん頭が冷えていった。
俺は……なんて事をカシーにしようとしたんだ……。
謝ろうと……するべきだった……。
でも今は、目の前にこいつが……ノアがいる……。
この状態すら、ノアが仕掛けた罠かもしれない。
どうすれば正解なのか分からない。
ただ、それでも伽の時間はやってくる。
やってくるのだから……。
「カシー……話は……後だ……」
俺は、そう言って、カシーから逃げてしまった。
何故この時、カシーを自分が連れていかなかったのか……。
部屋に戻ってから後で気づいて後悔した。
俺は、伽の時間……どんな顔をして……どんな態度でカシーに会えばいいのか、分からない。
これは一体、どんな感情なのだろう。
公務のための椅子に座りながら、俺は公務のことなどそっちのけにそのことばかり気になってしまった。
俺は初めて、伽から逃げたいと、思った。
(白々しい。お前が仕組んだことじゃないのか!)
ノアの言葉遣いや態度が、いつものように俺を煽るものじゃないのが引っかかった。
「わかってる!!!」
「であれば、時間までカシー様から離れてください」
今のノアは、あくまで淡々と話す。
義務を忠実にこなすかのように。
いつもの、腐ったような笑みはない。
そのノアの態度が、余計に俺を苛立たせる。
「カシーには聞かなくてはならぬことがあるのだ!!!」
そう。聞かなくてはいけない。
何故、外にいたのかと。
誰が、お前をそうしたのか、と……。
「王子。伽の時間に」
ノアの口調が強まった。
「ちっ」
俺は、ノアに向けて、わかりやすく舌打ちをした。
こんなことが、ノアを動じさせることはないと、分かっている。
けれど、せずにはいられなかった。
俺は、カシーを連れて部屋に戻ろうと思った。
しかし、手を差し伸べようとカシーを見て、俺は躊躇った。
久々に見た。
見たくなかった、カシーの顔。
それは、俺に対する拒絶。
あの、最初のキスの時と、同じ顔をしていた。
俺は、噴水の助けもあり、どんどん頭が冷えていった。
俺は……なんて事をカシーにしようとしたんだ……。
謝ろうと……するべきだった……。
でも今は、目の前にこいつが……ノアがいる……。
この状態すら、ノアが仕掛けた罠かもしれない。
どうすれば正解なのか分からない。
ただ、それでも伽の時間はやってくる。
やってくるのだから……。
「カシー……話は……後だ……」
俺は、そう言って、カシーから逃げてしまった。
何故この時、カシーを自分が連れていかなかったのか……。
部屋に戻ってから後で気づいて後悔した。
俺は、伽の時間……どんな顔をして……どんな態度でカシーに会えばいいのか、分からない。
これは一体、どんな感情なのだろう。
公務のための椅子に座りながら、俺は公務のことなどそっちのけにそのことばかり気になってしまった。
俺は初めて、伽から逃げたいと、思った。
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