192 / 455
7.呪われしアルストメリー
2m
しおりを挟む
(この国の……真実?)
「私は、口頭で先代の聖女様から伝えられたものと、この教会にある資料から拾える歴史なら、存じ上げておりますわ」
「先代は、お主と同じ魔人だったのか?」
「さあ、どうでしょう……」
「本当に、食えないおなごだな」
「お褒めいただき光栄ですわ」
(絶対それ、褒めてないよ!?)
もはや、プル……なんていう親しみを込めた愛称でなんか呼べない。
恐れ多すぎる。
もはや聖女様というよりも、姉さんと、呼ばせていただきたい。
めっちゃ年下だけど。
というか……。
「ふふふふ」
「うふふふふ」
……怖ぇえええ。
プルメリアと、中身イケオジのアザレアが、互いを見つめ合いながら微笑んでいる。
でもその微笑みは、ちっとも、微笑ましくない。
目が……笑っていない。
お互い、相手の目を見ながら互いの腹の中を探っている……という状況だろう。
そんな時だった。
「失礼ながら、私からも宜しいでしょうか」
ノアが、ものすっごい満面の笑みを浮かべて、2人の間に割り込んだ。
(この人、こんな笑い方するんだな)
子供のようなノアの笑顔に、一瞬ドキッとなってしまった。
だけど
「近づくな」
「近づかないでくださいまし」
プルメリアと中身イケオジのアザレアが、ささっと後退りした。
「ひどいですね」
ノアは笑顔のままそう言うと
「お前のような魔人に近寄られると、ろくな事がないと知っておるからな」
「あなたのような人に近寄られると、よろしくない事が起きますのよ」
これまた同時に、同じようなことを言う。
「ひどい言われようですね……カサブランカ様」
「えっ!?」
(い、いきなり話振られた!?)
「私は、そんなにひどい事をしておりませんよね?」
「えーと……?」
カサブランカとして、ノアとの関わりは……人によってはひどい事をされている。
私として、ノアとの関わりについては、ほとんど会話しかしていないので……ひどいひどくないの判定がイマイチ難しい。
そんな事を考えていると
「カサブランカ様に近づかないでくださいまし」
と、プルメリアが私とノアの間に入ってくる。
「カサブランカ様も」
「へ?」
「ノアとの距離を、極力2m以上は絶対死守してくださいね」
「え?」
「約束ですわよ」
「は、はぁ……」
あまりにも、真剣な目つきでプルメリアが言うので、後で理由を聞いてみようと思った。
「2mについては……ぜひ反論したいところですが……」
ノアが両手を上げながら、再び話出す。
「アルフィー殿」
「……何だ……」
すっごい機嫌が悪そうに答える、中身イケオジのアザレア。
どうしよう、このままアザレアの眉間に皺が寄ったままだと……。
別の意味でやっぱり心配になる。
「話をものすごーく前に戻しますけど、歴史への認識についてです」
「…………だから、何だと言うのだ…………」
「私も、聖女様もカサブランカ様も、歴史教育はそれなりに受けてはきています。でも……」
ノアは、ちらりと私の方を見ながら
「もしかすると、全員が同じ認識ではないかもしれませんね」
と言った。
(あ、なるほど。もしかして……?)
「どうです、ここは1度、アルフィー様のお力をお借りして、皆ですり合わせしません?持っている情報を」
ノアのこの言い回しで、完全に気づくことができた。
ノアはカサブランカではない、私のために動いてくれたのだろう。
カサブランカとしても、決して違和感がない方法で、正確な情報を私が知るために。
「私は、口頭で先代の聖女様から伝えられたものと、この教会にある資料から拾える歴史なら、存じ上げておりますわ」
「先代は、お主と同じ魔人だったのか?」
「さあ、どうでしょう……」
「本当に、食えないおなごだな」
「お褒めいただき光栄ですわ」
(絶対それ、褒めてないよ!?)
もはや、プル……なんていう親しみを込めた愛称でなんか呼べない。
恐れ多すぎる。
もはや聖女様というよりも、姉さんと、呼ばせていただきたい。
めっちゃ年下だけど。
というか……。
「ふふふふ」
「うふふふふ」
……怖ぇえええ。
プルメリアと、中身イケオジのアザレアが、互いを見つめ合いながら微笑んでいる。
でもその微笑みは、ちっとも、微笑ましくない。
目が……笑っていない。
お互い、相手の目を見ながら互いの腹の中を探っている……という状況だろう。
そんな時だった。
「失礼ながら、私からも宜しいでしょうか」
ノアが、ものすっごい満面の笑みを浮かべて、2人の間に割り込んだ。
(この人、こんな笑い方するんだな)
子供のようなノアの笑顔に、一瞬ドキッとなってしまった。
だけど
「近づくな」
「近づかないでくださいまし」
プルメリアと中身イケオジのアザレアが、ささっと後退りした。
「ひどいですね」
ノアは笑顔のままそう言うと
「お前のような魔人に近寄られると、ろくな事がないと知っておるからな」
「あなたのような人に近寄られると、よろしくない事が起きますのよ」
これまた同時に、同じようなことを言う。
「ひどい言われようですね……カサブランカ様」
「えっ!?」
(い、いきなり話振られた!?)
「私は、そんなにひどい事をしておりませんよね?」
「えーと……?」
カサブランカとして、ノアとの関わりは……人によってはひどい事をされている。
私として、ノアとの関わりについては、ほとんど会話しかしていないので……ひどいひどくないの判定がイマイチ難しい。
そんな事を考えていると
「カサブランカ様に近づかないでくださいまし」
と、プルメリアが私とノアの間に入ってくる。
「カサブランカ様も」
「へ?」
「ノアとの距離を、極力2m以上は絶対死守してくださいね」
「え?」
「約束ですわよ」
「は、はぁ……」
あまりにも、真剣な目つきでプルメリアが言うので、後で理由を聞いてみようと思った。
「2mについては……ぜひ反論したいところですが……」
ノアが両手を上げながら、再び話出す。
「アルフィー殿」
「……何だ……」
すっごい機嫌が悪そうに答える、中身イケオジのアザレア。
どうしよう、このままアザレアの眉間に皺が寄ったままだと……。
別の意味でやっぱり心配になる。
「話をものすごーく前に戻しますけど、歴史への認識についてです」
「…………だから、何だと言うのだ…………」
「私も、聖女様もカサブランカ様も、歴史教育はそれなりに受けてはきています。でも……」
ノアは、ちらりと私の方を見ながら
「もしかすると、全員が同じ認識ではないかもしれませんね」
と言った。
(あ、なるほど。もしかして……?)
「どうです、ここは1度、アルフィー様のお力をお借りして、皆ですり合わせしません?持っている情報を」
ノアのこの言い回しで、完全に気づくことができた。
ノアはカサブランカではない、私のために動いてくれたのだろう。
カサブランカとしても、決して違和感がない方法で、正確な情報を私が知るために。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
Re:Monster(リモンスター)――怪物転生鬼――
金斬 児狐
ファンタジー
ある日、優秀だけど肝心な所が抜けている主人公は同僚と飲みに行った。酔っぱらった同僚を仕方無く家に運び、自分は飲みたらない酒を買い求めに行ったその帰り道、街灯の下に静かに佇む妹的存在兼ストーカーな少女と出逢い、そして、満月の夜に主人公は殺される事となった。どうしようもないバッド・エンドだ。
しかしこの話はそこから始まりを告げる。殺された主人公がなんと、ゴブリンに転生してしまったのだ。普通ならパニックになる所だろうがしかし切り替えが非常に早い主人公はそれでも生きていく事を決意。そして何故か持ち越してしまった能力と知識を駆使し、弱肉強食な世界で力強く生きていくのであった。
しかし彼はまだ知らない。全てはとある存在によって監視されているという事を……。
◆ ◆ ◆
今回は召喚から転生モノに挑戦。普通とはちょっと違った物語を目指します。主人公の能力は基本チート性能ですが、前作程では無いと思われます。
あと日記帳風? で気楽に書かせてもらうので、説明不足な所も多々あるでしょうが納得して下さい。
不定期更新、更新遅進です。
話数は少ないですが、その割には文量が多いので暇なら読んでやって下さい。
※ダイジェ禁止に伴いなろうでは本編を削除し、外伝を掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる