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7.呪われしアルストメリー

この魂の核を持つ者には、ある宿命が刻み込まれている

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「私の人格が……失われなかった理由?」
「正確に申し上げれば、あなたの前世の記憶です。あなたの前の人生のことを、あなたは覚えていらっしゃいますか?」
「いえ……ちっとも……」

そういう記憶を持ったまま生まれたという、子供がいるのは見たことがある。
私も、前世の記憶を持ったまま生まれることができていたら、きっと算数の試験は完璧にできたんだろうな……と考えたことは、1度はある。
残念ながら今、まさに当時の願いを叶えた状態にもかかわらず、100点を取れるテスト受ける機会が1度もなさそうなのだが。

「普通は、前世の経験は魂の核に残り、その核を元に次の人生へと進むことになるため、前世で感じたこと自体は肉体には宿りません。それが、ごく普通の転生なのです」
「な、なるほど?」

(よくわからん)

つまり、前世の記憶を覚えている今の状態が、普通じゃない、ということだけは理解できたかもしれない。
けれど、それが一体何だというのか。

「その話と……あなたと……何が関係あるの?」

そもそも、この話のきっかけになったのは……目の前のカサブランカがカサブランカではないと言い出したことからだ。
ステラと名乗ったところからだ。
ステラは、カサブランカの前世と、言った。
と、いうことは……?

「つまり……あなたは、その……3つの魂の内の1つで……魂の核という……こと?」

私の言葉に、カサブランカは静かに頷いた。

「そうです。今世の肉体と、この魂の核を持つ者には、ある宿命が生まれた瞬間から刻み込まれるのです」
「……え?」
「人間は……体、心、魂を持っています。そしてそれらを繋ぐ、ありとあらゆる間……というのが、存在しているのです」
「間……?」
「人と人の間。1つ1つの細胞……臓器の空間。時の間……私たちは間がなくては、形として存在することすら、できないのです。そして……その間を司っているのが、この魂の核を持って生まれた私たちの、宿命なのです」
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