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8.神から与えられたのは、罰と……
その名前を聞いた途端、部屋の空気が変わった
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本来であれば、正直こんな不毛な時間を過ごしたくないと、普段アルフィーは思っている。
だが、ステラとトラヴィスを2人きりにすることに、アルフィーは不安を覚えていた。
そしてその不安は、ステラ以外の魔人全員感じていた。
それくらいトラヴィスの態度や行動は問題が多すぎたのだ。
唯一ステラだけが、そんなトラヴィスの側面を1度も見たことがなく、本気でトラヴィスをいい人だと信じている。
それ故に、アルフィーは危惧していた。
ステラとトラヴィスを2人きりにしたら、現時点で予想もつかない出来事が起きるのではないか、と。
そのため、アルフィーは気づいた時には、2人の様子を見守ることにしていた。
1度だけ、あからさまに妨害したことはあった。
その時は、ステラがいる間はおとなしくしていたのに、後でトラヴィスにひどく八つ当たりをされた。
そんなわけで、アルフィーはそっと気づかれないように物陰から監視をすることに決めたのだ。
「そう言えば、トラくん」
「な、なに?」
おー嬉しそうな表情をしちゃって……。
あんな可愛い顔もできるんだな、とアルフィーは感動すらしていた。
「トラくんの刺繍、気に入ってくれましたか?」
「もちろん!!特に、死んだ魚の目のような模様は……す……す……」
好き、とでも言いたいんだろうか?と、アルフィーは頭が少々痛くなった。
「魚の目ではありませんわ」
「え?」
「満月をイメージしましたの」
「え!?」
満月を死んだ魚の目と捉えるトラヴィスの美的センスの問題なのか。
それともそういう風に捉えられてしまう刺繍を施したステラの美的センスの問題なのか。
それはこの際どうでもいい。
「いや……あの……その……」
トラヴィスは、どうにか必死に自分の失言の挽回をしようと、頭をフル回転させていた。
「僕は……その……いつも月を死んだ魚の目に似てるなと思って……」
嘘つけ、それは苦しいぞ、とアルフィーは思った。
ステラはぽかんと口を開けたまま、トラヴィスの言い訳を聞いていたが
「ふふふ。トラくんって、面白いですわね」
と微笑んだので、まあ流れとしては悪くないのかもしれない、とアルフィーが安堵した……その次のことだった。
「メルキオール様も、月について面白いことをおっしゃっていたんですのよ」
メルキオールという名前を聞いた途端、部屋の空気が変わったに、アルフィーは気づいた。
「メルキ……オール……?」
「ええ。メルキオール様。月を見ると、パンケーキが食べたくなるんですって」
トラヴィスが、メルキオールの名前にイライラするのは、アルフィーにとっての想定内でも、この次の展開は想定外だった。
「メルキオール様って、本当に……面白くて素敵な方、ですわね」
うっとりと、恋する乙女であると、誰もが見て分かるような表情を、ステラは浮かべていたのだ。
だが、ステラとトラヴィスを2人きりにすることに、アルフィーは不安を覚えていた。
そしてその不安は、ステラ以外の魔人全員感じていた。
それくらいトラヴィスの態度や行動は問題が多すぎたのだ。
唯一ステラだけが、そんなトラヴィスの側面を1度も見たことがなく、本気でトラヴィスをいい人だと信じている。
それ故に、アルフィーは危惧していた。
ステラとトラヴィスを2人きりにしたら、現時点で予想もつかない出来事が起きるのではないか、と。
そのため、アルフィーは気づいた時には、2人の様子を見守ることにしていた。
1度だけ、あからさまに妨害したことはあった。
その時は、ステラがいる間はおとなしくしていたのに、後でトラヴィスにひどく八つ当たりをされた。
そんなわけで、アルフィーはそっと気づかれないように物陰から監視をすることに決めたのだ。
「そう言えば、トラくん」
「な、なに?」
おー嬉しそうな表情をしちゃって……。
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「トラくんの刺繍、気に入ってくれましたか?」
「もちろん!!特に、死んだ魚の目のような模様は……す……す……」
好き、とでも言いたいんだろうか?と、アルフィーは頭が少々痛くなった。
「魚の目ではありませんわ」
「え?」
「満月をイメージしましたの」
「え!?」
満月を死んだ魚の目と捉えるトラヴィスの美的センスの問題なのか。
それともそういう風に捉えられてしまう刺繍を施したステラの美的センスの問題なのか。
それはこの際どうでもいい。
「いや……あの……その……」
トラヴィスは、どうにか必死に自分の失言の挽回をしようと、頭をフル回転させていた。
「僕は……その……いつも月を死んだ魚の目に似てるなと思って……」
嘘つけ、それは苦しいぞ、とアルフィーは思った。
ステラはぽかんと口を開けたまま、トラヴィスの言い訳を聞いていたが
「ふふふ。トラくんって、面白いですわね」
と微笑んだので、まあ流れとしては悪くないのかもしれない、とアルフィーが安堵した……その次のことだった。
「メルキオール様も、月について面白いことをおっしゃっていたんですのよ」
メルキオールという名前を聞いた途端、部屋の空気が変わったに、アルフィーは気づいた。
「メルキ……オール……?」
「ええ。メルキオール様。月を見ると、パンケーキが食べたくなるんですって」
トラヴィスが、メルキオールの名前にイライラするのは、アルフィーにとっての想定内でも、この次の展開は想定外だった。
「メルキオール様って、本当に……面白くて素敵な方、ですわね」
うっとりと、恋する乙女であると、誰もが見て分かるような表情を、ステラは浮かべていたのだ。
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