331 / 455
8.神から与えられたのは、罰と……
たとえステラを苦しませたとしても
しおりを挟む
「それは……」
アルフィーは何かを言おうと口を開いてみたが、何から話せばいいのか分からず、口を開けたまま固まってしまった。
ステラの中にトラヴィスを入れると言う文字列が、あまりにも想像しづらい内容だったので、複数のパターンでアルフィーは考えた。
まず、ステラのお腹を切り開き、トラヴィスが中に入るパターン。
これは速攻アウトだろう。
普通にステラは死ぬ。
次に、トラヴィスの体の一部を切り取ったものを、切り開いたステラのお腹に入れる。
これも……犠牲になるものが多すぎる。
などなど……アルフィーは……彼が過去見聞きしてきたものが影響しているのだが……グロテスクな想像しか思いつかなかった。
「ルカ、念の為に聞くが」
「うん」
「トラヴィスの体をステラの中に入れるって言うのは……その……」
自分が思いついた中で、最も身体的にはまだマシだろうと言う方法であってほしいと、アルフィーが本気で願いながらルカの回答を待つ。
「うん。トラヴィスとステラが交尾することだって」
やはり、そっちで正解だったか、とアルフィーはステラには聞こえないよう、小さく小さく安心のため息をついた。
……交尾という言い方は、獣同士が行う生殖行為を意味するので、それはアルフィーの中ではしこりとして残ったが。
何故神が、人間同士の性交を交尾と言うのか。
でも、今そのことを考えても展開には関係ないので、アルフィーはしこりをなかったことにしてから
「それを、今ステラに伝えたのか」
「だからメルキオールには言いたくなかったんだよ。きっと怒り狂ってトラヴィスを殺しちゃうかもしれないって神様が言うから」
…………否定をしようと思ったけど、否定できるだけの材料をアルフィーは持っていなかった。
「ど、どうすんだよ」
アルフィーはちらとステラを見る。
もう、どう慰めていいか分からないほど、ステラはただ泣きじゃくっていた。
「嫌です……メルキオール様以外の人とあんなはしたないこと……」
「おい、ステラ、どう言うことだよ?なあ」
ステラは、内容を言わずとも戸惑いと苦しみを口に出していた。
それが余計メルキオールを動揺させた。
「あのさ、ルカ」
「うん」
「その方法じゃないと、いけないのか?」
「んーとねぇ……ちょっと待ってね」
ルカはうーんっと少し考えてから
「トラヴィスの魔の力で、ステラの体の構造を変えてから、もう1回メルキオールと交尾すれば、メルキオールの魔がステラの中にちょっと戻るんだって」
「な、なるほど?」
つまり、ステラの中が今溢れるだけのコップだと例えると、そこにメルキオールの漏れ出した魔を受け入れる構造に作り替えてしまい、余分な魔をそこに受け入れられるようにすればいい……と言うわけらしい。
「ちなみに、それをしなかった場合はどうなる?」
「神様が言うには、メルキオールもステラも、魔の爆発に巻き込まれるって」
「いつ」
「…………多分……明日」
早すぎる。
考えている時間も、本当にそれが正しいか検証する時間もない。
やらないでこのまま2人の命を目の前で失くすくらいなら……。
「ルカ。…………やるしか、ないのか?」
「って、神様は言ってる」
「ルカは?お前はどう思う」
「え?」
「お前は、やったほうがいいと思うか?」
アルフィーは分かっていた。
自分の質問がルカにとって少々意地悪であることを。
ルカは自分の意志で質問に答えたことはなかったから。
きっと今まで、神の言葉を聞き、それを伝えるだけで良い人生だったからなのだろう。
でもアルフィーはあえて聞いてみたかった。
ステラを精神的に追い詰める方法しかないとして、それを実行して2人を助けるべきか否か。
ちなみにアルフィーの心は、決まっていた。
「私は……2人ともっと一緒にいたい」
ルカは、おそらく彼女に今できる最大限の意思表示をしたのだろう。
その言葉を聞いて、アルフィーはニヤと笑った。
「俺も、その気持ちだ」
ステラとトラヴィスを性交させて、メルキオールもステラも助ける。
たとえステラを苦しませたとしても。
命以上に大事なものはきっとない。
これが、アルフィーにとってベストな選択肢だと、本気で信じていた。
アルフィーは何かを言おうと口を開いてみたが、何から話せばいいのか分からず、口を開けたまま固まってしまった。
ステラの中にトラヴィスを入れると言う文字列が、あまりにも想像しづらい内容だったので、複数のパターンでアルフィーは考えた。
まず、ステラのお腹を切り開き、トラヴィスが中に入るパターン。
これは速攻アウトだろう。
普通にステラは死ぬ。
次に、トラヴィスの体の一部を切り取ったものを、切り開いたステラのお腹に入れる。
これも……犠牲になるものが多すぎる。
などなど……アルフィーは……彼が過去見聞きしてきたものが影響しているのだが……グロテスクな想像しか思いつかなかった。
「ルカ、念の為に聞くが」
「うん」
「トラヴィスの体をステラの中に入れるって言うのは……その……」
自分が思いついた中で、最も身体的にはまだマシだろうと言う方法であってほしいと、アルフィーが本気で願いながらルカの回答を待つ。
「うん。トラヴィスとステラが交尾することだって」
やはり、そっちで正解だったか、とアルフィーはステラには聞こえないよう、小さく小さく安心のため息をついた。
……交尾という言い方は、獣同士が行う生殖行為を意味するので、それはアルフィーの中ではしこりとして残ったが。
何故神が、人間同士の性交を交尾と言うのか。
でも、今そのことを考えても展開には関係ないので、アルフィーはしこりをなかったことにしてから
「それを、今ステラに伝えたのか」
「だからメルキオールには言いたくなかったんだよ。きっと怒り狂ってトラヴィスを殺しちゃうかもしれないって神様が言うから」
…………否定をしようと思ったけど、否定できるだけの材料をアルフィーは持っていなかった。
「ど、どうすんだよ」
アルフィーはちらとステラを見る。
もう、どう慰めていいか分からないほど、ステラはただ泣きじゃくっていた。
「嫌です……メルキオール様以外の人とあんなはしたないこと……」
「おい、ステラ、どう言うことだよ?なあ」
ステラは、内容を言わずとも戸惑いと苦しみを口に出していた。
それが余計メルキオールを動揺させた。
「あのさ、ルカ」
「うん」
「その方法じゃないと、いけないのか?」
「んーとねぇ……ちょっと待ってね」
ルカはうーんっと少し考えてから
「トラヴィスの魔の力で、ステラの体の構造を変えてから、もう1回メルキオールと交尾すれば、メルキオールの魔がステラの中にちょっと戻るんだって」
「な、なるほど?」
つまり、ステラの中が今溢れるだけのコップだと例えると、そこにメルキオールの漏れ出した魔を受け入れる構造に作り替えてしまい、余分な魔をそこに受け入れられるようにすればいい……と言うわけらしい。
「ちなみに、それをしなかった場合はどうなる?」
「神様が言うには、メルキオールもステラも、魔の爆発に巻き込まれるって」
「いつ」
「…………多分……明日」
早すぎる。
考えている時間も、本当にそれが正しいか検証する時間もない。
やらないでこのまま2人の命を目の前で失くすくらいなら……。
「ルカ。…………やるしか、ないのか?」
「って、神様は言ってる」
「ルカは?お前はどう思う」
「え?」
「お前は、やったほうがいいと思うか?」
アルフィーは分かっていた。
自分の質問がルカにとって少々意地悪であることを。
ルカは自分の意志で質問に答えたことはなかったから。
きっと今まで、神の言葉を聞き、それを伝えるだけで良い人生だったからなのだろう。
でもアルフィーはあえて聞いてみたかった。
ステラを精神的に追い詰める方法しかないとして、それを実行して2人を助けるべきか否か。
ちなみにアルフィーの心は、決まっていた。
「私は……2人ともっと一緒にいたい」
ルカは、おそらく彼女に今できる最大限の意思表示をしたのだろう。
その言葉を聞いて、アルフィーはニヤと笑った。
「俺も、その気持ちだ」
ステラとトラヴィスを性交させて、メルキオールもステラも助ける。
たとえステラを苦しませたとしても。
命以上に大事なものはきっとない。
これが、アルフィーにとってベストな選択肢だと、本気で信じていた。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
Re:Monster(リモンスター)――怪物転生鬼――
金斬 児狐
ファンタジー
ある日、優秀だけど肝心な所が抜けている主人公は同僚と飲みに行った。酔っぱらった同僚を仕方無く家に運び、自分は飲みたらない酒を買い求めに行ったその帰り道、街灯の下に静かに佇む妹的存在兼ストーカーな少女と出逢い、そして、満月の夜に主人公は殺される事となった。どうしようもないバッド・エンドだ。
しかしこの話はそこから始まりを告げる。殺された主人公がなんと、ゴブリンに転生してしまったのだ。普通ならパニックになる所だろうがしかし切り替えが非常に早い主人公はそれでも生きていく事を決意。そして何故か持ち越してしまった能力と知識を駆使し、弱肉強食な世界で力強く生きていくのであった。
しかし彼はまだ知らない。全てはとある存在によって監視されているという事を……。
◆ ◆ ◆
今回は召喚から転生モノに挑戦。普通とはちょっと違った物語を目指します。主人公の能力は基本チート性能ですが、前作程では無いと思われます。
あと日記帳風? で気楽に書かせてもらうので、説明不足な所も多々あるでしょうが納得して下さい。
不定期更新、更新遅進です。
話数は少ないですが、その割には文量が多いので暇なら読んでやって下さい。
※ダイジェ禁止に伴いなろうでは本編を削除し、外伝を掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる