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8.神から与えられたのは、罰と……
見覚えがあった王の表情
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おそらく前世の人生の中で、ノアさんの次には恨んだであろう人物は、実の弟だった。
何らかのきっかけで心の障害を持ったせいで、自分よりも両親に可愛がってもらっていた。
そんな弟への恨みが、実家からの足を遠ざけ、結果死ぬまで両親にも会うことができなかった。
でもこのカサブランカの体に入り、休む暇もなく襲いかかってくる事柄に対処しているうちに、すっかり弟への恨みなど忘れていた……はずだった。
(というより、弟なんかよりもずっと鬼畜野郎がこの世界には多すぎただけなんだが……)
そんな中で、またもや投下された「実の弟」という爆弾。
だがしかし、私はまだ確証はない。
なぜなら、目の前の王は威厳も優しさも滲み出ている、統治者としてちゃんと君臨している。
とても私が知っている弟とは思えない。
ノアさんともつるんでいるようだし、今までの経緯を考えると……。
ラ●ンやメールと言う文字コミュニケーション媒体やツ●ッターといったSNSをも駆使して、ノアさんが私のプライベートを得てしまっているという仮説もある。
(ほんと嫌だな……カサブランカの能力……)
隠したい趣味をネット世界上に持っている私や同志にとって、改めてこの体の持ち主の能力が恐ろしすぎるものであることを体感している。
(せめて、他の同志たちが犠牲になってないことを祈る……)
と考えたところで、私は目の前にいる、自分を姉さんと呼ぶ人間に改めて向き直る。
ノアさんが…………カサブランカが得たかもしれない電子情報を元に、情報提供をしている可能性はある。
だから、理由は全くちっともわからないけれど、私を懐柔しようとしているために、ノアさんが私の弱点要素である弟の情報を提供して、弟のフリをさせているという可能性も十分ある。
普通ならそんなこと、思いもつかない。
だが、この男はそれくらいは容易にやっていける。
何故ならば自分の成果を水増しするためにやらかした悪いことは、1個や2個などではないのだから。
それを知ってるのは、その後処理をさせられた私くらいだろう。
「あの……私、あなたに姉さんって呼ばれる理由が分からないんですけど?」
まずは、牽制。
「私の前世の名前を、ノアさんから聞いたとしても……そこからどうして、私が姉さんと呼ばれないといけないんでしょうか?」
私がそう言い切ったときだった。
王の表情が、またもや変わった。
その表情は覚えがある。
「やめて、その顔で私を見ないで……」
その顔は、私が家を出る日に弟が見せてきた表情。
まるで、自分を置いていくという私を責めるような表情で、私が死ぬまで夢でうなされた、最悪の顔だった。
何らかのきっかけで心の障害を持ったせいで、自分よりも両親に可愛がってもらっていた。
そんな弟への恨みが、実家からの足を遠ざけ、結果死ぬまで両親にも会うことができなかった。
でもこのカサブランカの体に入り、休む暇もなく襲いかかってくる事柄に対処しているうちに、すっかり弟への恨みなど忘れていた……はずだった。
(というより、弟なんかよりもずっと鬼畜野郎がこの世界には多すぎただけなんだが……)
そんな中で、またもや投下された「実の弟」という爆弾。
だがしかし、私はまだ確証はない。
なぜなら、目の前の王は威厳も優しさも滲み出ている、統治者としてちゃんと君臨している。
とても私が知っている弟とは思えない。
ノアさんともつるんでいるようだし、今までの経緯を考えると……。
ラ●ンやメールと言う文字コミュニケーション媒体やツ●ッターといったSNSをも駆使して、ノアさんが私のプライベートを得てしまっているという仮説もある。
(ほんと嫌だな……カサブランカの能力……)
隠したい趣味をネット世界上に持っている私や同志にとって、改めてこの体の持ち主の能力が恐ろしすぎるものであることを体感している。
(せめて、他の同志たちが犠牲になってないことを祈る……)
と考えたところで、私は目の前にいる、自分を姉さんと呼ぶ人間に改めて向き直る。
ノアさんが…………カサブランカが得たかもしれない電子情報を元に、情報提供をしている可能性はある。
だから、理由は全くちっともわからないけれど、私を懐柔しようとしているために、ノアさんが私の弱点要素である弟の情報を提供して、弟のフリをさせているという可能性も十分ある。
普通ならそんなこと、思いもつかない。
だが、この男はそれくらいは容易にやっていける。
何故ならば自分の成果を水増しするためにやらかした悪いことは、1個や2個などではないのだから。
それを知ってるのは、その後処理をさせられた私くらいだろう。
「あの……私、あなたに姉さんって呼ばれる理由が分からないんですけど?」
まずは、牽制。
「私の前世の名前を、ノアさんから聞いたとしても……そこからどうして、私が姉さんと呼ばれないといけないんでしょうか?」
私がそう言い切ったときだった。
王の表情が、またもや変わった。
その表情は覚えがある。
「やめて、その顔で私を見ないで……」
その顔は、私が家を出る日に弟が見せてきた表情。
まるで、自分を置いていくという私を責めるような表情で、私が死ぬまで夢でうなされた、最悪の顔だった。
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