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8.神から与えられたのは、罰と……
私が許せないこと
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エディ王子が、私を無理やりノアさんから引き剥がさなければ、私はどうなっていたのだろうか。
きっと、前世ではならなかった殺人犯にでもなってしまったかもしれない。
と言っても、ノアさんの魔があれば、殺されないように身体を変えることができるだろうから、もしこの世界に罰があるのなら、せいぜい殺人未遂罪くらいか……。
そんなことを、エディ王子にノアさんと物理的に離してもらったことで、考えるだけの余裕ができてしまった。
「どうしたランカ。あれだけこいつに近づくのは危ないって、俺とお前で何度も確認し合っただろう」
だから、ノアさんの両手の自由を、エディ王子が紐で縛ることで奪ってくれたと言うのに……。
「わかってたんだけど……」
私が、エディ王子にどうこの感情の理由を言語化し、説明しようか迷っている間に、更なる爆弾をノアさんが私にぶん投げてきた。
「無理もない。僕はそうなるのが分かっていてわざと、彼を連れてきたんだからね」
ノアさんはそう言いながら、私の弟だと名乗る王の近くに行く。
「彼の魂には、少々早い時間軸で来てもらいまして、あなたを迎える準備をしてたんですよ」
「準備……だと?そもそも、母上の横にいる男は、王ではなかったのか!?話を聞いている限り、ランカの弟と言うではないか……!?」
「ええ。ランカ様の心と魂を、きちんと目的通り使うためには彼の存在は必要不可欠だったのです」
「目的通り……だと?」
「エディ王子、ここからは私が話す」
「だが」
「エディ王子が話すと、多分本当に今知りたいことには辿り着かない。申し訳ないけど、私の話が終わるまでは待ってて
」
エディ王子の話の中には、色々な感情が混じり合ってることが分かった。
自分の母親は、他国で他の男の妃として並んでいるのも、きっと彼にとっては耐え難い苦痛なのではないかと、私は勝手に想像して勝手に同情した。
そう言うことにして、一旦自分の頭の中の情報整理をしておかないと、さらに混乱するような気がしたから。
エディ王子が、渋々頷いたのを見てから、私は弟だと名乗る
王を見た。
努めて、冷静でいられるように、10回も深呼吸した。
「本当に、あなたなのね」
私は尋ねる。
「そうだよ。姉さん」
「証拠は?もっと私をあなただと信じさせて」
私は、自分で自分の首を絞める提案をした。
世の中には、確定にしない方が、あいまいのままの方がずっと上手く行くこともあると知っているはずなのに。
そうして、弟と名乗った王は私と弟しか知らないエピソード……それもできれば墓場まで持って行きたいようなものまでエディ王子とノアさんの前でぶちまけやがった。
弟と認めざるを得ないと同時に、弟の無邪気な無礼に再び直面した私は、頭が痛くなった。
でも、そんな私をさらに絶望させたのは、なぜ弟がここに来たのか。
私のように病死や、よくある転生もののように事故死だったら私はまだ許せたかもしれない。
でも、弟は違った。
自殺していたのだ。
私が病死する、ほんの少し前。
それを私は知らなかった。
教えてすら貰わらないまま、私もまた、死んでいたのだ。
きっと、前世ではならなかった殺人犯にでもなってしまったかもしれない。
と言っても、ノアさんの魔があれば、殺されないように身体を変えることができるだろうから、もしこの世界に罰があるのなら、せいぜい殺人未遂罪くらいか……。
そんなことを、エディ王子にノアさんと物理的に離してもらったことで、考えるだけの余裕ができてしまった。
「どうしたランカ。あれだけこいつに近づくのは危ないって、俺とお前で何度も確認し合っただろう」
だから、ノアさんの両手の自由を、エディ王子が紐で縛ることで奪ってくれたと言うのに……。
「わかってたんだけど……」
私が、エディ王子にどうこの感情の理由を言語化し、説明しようか迷っている間に、更なる爆弾をノアさんが私にぶん投げてきた。
「無理もない。僕はそうなるのが分かっていてわざと、彼を連れてきたんだからね」
ノアさんはそう言いながら、私の弟だと名乗る王の近くに行く。
「彼の魂には、少々早い時間軸で来てもらいまして、あなたを迎える準備をしてたんですよ」
「準備……だと?そもそも、母上の横にいる男は、王ではなかったのか!?話を聞いている限り、ランカの弟と言うではないか……!?」
「ええ。ランカ様の心と魂を、きちんと目的通り使うためには彼の存在は必要不可欠だったのです」
「目的通り……だと?」
「エディ王子、ここからは私が話す」
「だが」
「エディ王子が話すと、多分本当に今知りたいことには辿り着かない。申し訳ないけど、私の話が終わるまでは待ってて
」
エディ王子の話の中には、色々な感情が混じり合ってることが分かった。
自分の母親は、他国で他の男の妃として並んでいるのも、きっと彼にとっては耐え難い苦痛なのではないかと、私は勝手に想像して勝手に同情した。
そう言うことにして、一旦自分の頭の中の情報整理をしておかないと、さらに混乱するような気がしたから。
エディ王子が、渋々頷いたのを見てから、私は弟だと名乗る
王を見た。
努めて、冷静でいられるように、10回も深呼吸した。
「本当に、あなたなのね」
私は尋ねる。
「そうだよ。姉さん」
「証拠は?もっと私をあなただと信じさせて」
私は、自分で自分の首を絞める提案をした。
世の中には、確定にしない方が、あいまいのままの方がずっと上手く行くこともあると知っているはずなのに。
そうして、弟と名乗った王は私と弟しか知らないエピソード……それもできれば墓場まで持って行きたいようなものまでエディ王子とノアさんの前でぶちまけやがった。
弟と認めざるを得ないと同時に、弟の無邪気な無礼に再び直面した私は、頭が痛くなった。
でも、そんな私をさらに絶望させたのは、なぜ弟がここに来たのか。
私のように病死や、よくある転生もののように事故死だったら私はまだ許せたかもしれない。
でも、弟は違った。
自殺していたのだ。
私が病死する、ほんの少し前。
それを私は知らなかった。
教えてすら貰わらないまま、私もまた、死んでいたのだ。
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