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吾郎の計画
しおりを挟む10月中旬の夜、5人は居酒屋で飲んでいた。
香織も、後から合流していた。
「吾郎、ところで計画の方は順調なのか?」
「見切り発進だけどな。もうすぐ、都内の郊外にスタジオも完成するしな。ちょっと、小綺麗なビルの5階を4月から、借りる予定にしてるぜ。そして、スタジオ近くに2DKのマンションを7部屋借りる予定になってるしな。会社登録も済ませてあるぜ。後は、従業員集めだけだけどな。」
「吾郎、そんな事で行ったり来たりしてたのか?」
「してねえよ。スタジオの建設には行ったけどな。後は、あいつに任せたからな。」
「お嬢ちゃん達は知ってるのか? この事を。」
「知らないさ。言ってないからな。まさか、このど田舎から出るとも思ってないだろうしな。」
「しかし、簡単に売れるものなのかよ?そんな大規模にしちゃってよ。普通は売り出すのに、大手プロダクションとかレコード会社でやるんだろ?」
「ああ、だから業界の奴も今アポ取って、引き抜きもしてるんだけどな。多分、3月までに。あいつらが稼いだ金で、お釣りが来ると思うぜ。まぁ、ライブとCDでかなり売り上げているからな。会社名は【Pretty】だけどな。ここはあいつらの原点だからな。お前らの意見も取り入れたしな。」
「吾郎、7部屋って。お前と優・俺達5人・あいつら一部屋か。」
「売れるかわからないやつは、貧乏生活で十分だぜ。今も月2万の小遣いしか渡してねえからな。スタジオには録音ブースと練習の小さい部屋が5個完備してあるから問題ないさ。周りは広い公園だしな。部屋はただ、寝るためのスペースがあればいいのさ。」
「吾郎のところに居候させてる、麗奈はもっと大きな部屋なんだろ?」
「あいつの部屋なんて、曲作る机とベッドと小さなタンスとギターしかない3畳の物置だぜ。俺の家にそんな余裕あるわけないだろ?」
「もう、売上億超えてんのに。3畳1間かよ。可愛そうになあ。」
「根本的にギターさえあれば満足してっからな。このごろじゃ、色々なジャズとかポップスも聞いているしな。作曲にも幅が出てきてるよな。クラッシクは以前から聞いてたみたいだからな。」
「しかし、吾郎が目をつけてから。ここまで成長するとは思わなかったけどな。」
「おい、香織。話しは変わるけど、もう1人の奴はどんな具合なんだよ。みんなに説明してくれよな。」
「そうね。今のレベルだと、3人が高校に入った当時くらいにまではなったと思うけど、あれから、かなり練習してますからね。吾郎も聞いてるでしょ?」
「あんな下手くそだったか? もっと、上手かったぞ。」
「そりゃ、吾郎が聞いたのは2年の夏でしょ? 練習量が違うしね。学生で週50時間はあり得ないし。それに、4人は伸びるのが早いのよね。」
「そんじゃ、正生お前3時間教えて、香織が3時間教えりゃいいか。」
「そしたら、勉強なんでやる暇ないでしょ?」
「香織、甘いんだよ。寝る暇ないくらいやってくれないとな。メンバーに入れないから、ここがあいつの勝負の時なんだぜ。本人にも聞けよな?勉強か音楽かどっち取るかをな。あいつ、たしか九州からきてるお嬢様だろ? 根性見せるだろうぜ。麗奈なんて、やるときゃ、1日に16時間弾いてるからな。ボイトレ2時間・ランニング2時間で4時間しか今でも睡眠取らない時あるんだぜ。それに比べりゃ半分だしな。」
「帰って聞いてみるわね。こればかりは、本人の意思を尊重しないとね。」
「早めに返事頼むぜ。できなきゃ、他のメンバー探すか4人編成のままにするからな。」
「吾郎の言う通りだな、1人ヘボいると。台無しになっちまうからな。バンドって難しいよな。まぁ、デビューの頃は仕事も少ないから4人でのレコーディングになるけどな。」
「レベルが追いつくまで、レコーディングは4人に決まってんだろ。まぁ、麗奈の負担は大きいけどな。リズム・バッキング・リード・ボーカルを被せてるからな。」
「まぁ、4人が仲がいいから揉め事なくてこっちは助かってるわよね。あの娘ら、本当に仲がいいんだものね。美穂ちゃんとは、どうなのかしら?」
「ええ 学校にいる時は部活で、麗奈と美穂がよく話しをしたりして笑ってたりしてましたね。麗奈が、教えたりもしてたので。」
「あいつ、いつから人に教えられる様になったんだ。笑っちゃうけどな。まだ、下手っぴいなのになあ。」
「吾郎、お前だけだぜ。麗奈を、下手っぴいって言ってるのはよ。俺らは、もう認めちゃってるけどな。」
「まぁ、レコーディングも参加しないとなると。給料も減るけどいいのかな?美穂って娘は。」
「まぁ、やりたいことやれればいいんじゃないのかしらね。美穂は、4人を尊敬してますしね。小遣い程度貰えて生活できれば、いいんじゃないのかしらね。たとえ入れても、何年かは4人には到底追いつかないですからね。レコーディングのレベルでも、ないですしね。」
「話しは、変わるが。プロダクションの方の責任者ていうか、社長は善人にしようと思ってるんだな。顔が効くからな。レコード会社の方は優、お前がやってくれないか?まぁ、みんな重役なんだがな。ただ、レッスンとかもあるだろ?」
「ああ そうだな。適任かもしれないよな。俺達には、向いてないしな。」
「まぁ、普通はCD売上の最高で3%なんだけどな。メンバーの人数ってのはどうだ?1人1%ってことで。レコード会社に普通は50%だけどな。まぁ、維持していければいいから、数字の事は香織に任せるし。取り敢えず、役員、社長を含めての給料はCD売上の2%でスタートしようと思ってるけどな。後は、少ない社員で最初はスタートしようかと思ってるよ。」
「まぁ、最初はあいつらの頑張りにかかってるってことだな。まぁ、2年くらいの生活費はあるから大丈夫だけどな。」
「ああ 家賃とか、光熱費は全て会社負担だからそこは安心してくれよな。食費とかは別だから、そこだけ頼むけどな。それはメンバーも一緒だからいいけど、あいつら自炊できるのか?今まで音楽ばかりしてたしな。下手に指怪我されても困るからな。」
「ああ それなら、今も美穂と住んでいるから、私が世話するわよ。まぁ、美穂はいなくなるかもしれないけどね。後半年で成長したらいいけどね。」
香織も、今年度での辞職届けを学校に提出していた。
店長の早瀬博和も、3月中旬での退職願いを提出してあった。
都内在住の進藤善人は、根回しの為極秘に動き回っていた。
まぁ、都内で小さなスタジオを建設するからと言っても土地代とか高かった。
しかし、スタジオの周りの500坪以上の土地は吾郎の家の所有地だった。
吾郎の数多くのギター200本も、気温と湿度を保って管理されていた。
12月に入ると、動きは慌ただしくなり始めていた。
吾郎は、店長の博和の経由で新しい機材を買い込んでいた。
普通のプロが使用する、スタジオ器具一式が買い込まれ都内のスタジオに運び込まれていた。
暇な時に、善人が器材をセットしていた。
スタジオは、トイレ・休憩室・小さな練習用個室5部屋・そして20畳くらいのスタジオだった。
善人は、専属の腕利きエンジニアもスカウトしていて彼にもスタジオを見せていた。
エンジニアのアドバイスやスタジオ関連の人達に聞いて、いる器材などを吾郎に報告していた。
12月に吾郎は再び、美穂の演奏を聞いていた。
2人に指導されて、かなり上達はしていたがまだ中2の麗奈達のレベルではなかった。
注意点や練習方法を指示して、吾郎は後2ヶ月半で出来なければ諦めろと言った。
まぁ、美穂が上達しても。
それ以上の練習をしている麗奈達には追いつかなかったのはわかっていたが、やる気をもっと見せろと。
吾郎は、言っているようだった。
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