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ツアー行くよ

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ライブが終わると、マンション前にワンボックスが停められていた。
各自カラフルな、キャリーケースを渡された。
それぞれ色を選ぶと、部屋で着替えなどを入れて2時間後に下に集合と言われた。
下着と服・靴下・部屋着・ピックや弦もあるだけ詰め込み、マニュキュアと口紅をポーチに入れて収納した。
歯ブラシも持ち、新品のシャンプー・リンス・ボディーソープ・洗顔石鹸なども入れた。
古いステージ衣装と、新しいのも入れていた。
ステージで履く、靴も収納してかなり荷物は多くなった。
自宅練習用のキッドも入れて、PCや譜面も入れていた。
準備が終わり、少し休憩を部屋でしていた。
もう入らないので、ランニングシューズは袋に入れて持っていくことにした。

夜中の0時に、マンション下で5人は集まった。
ギターを背負って、キャリーケースとバッグと靴の袋を持っていた。
荷物はワンボックスの荷物入れに入れられて、5人は麗奈以外手ぶらで乗っていた。
麗奈は練習用のギターを、背負って乗り込んでいた。
ワンボックスの中は豪華だった。 
真ん中にテーブルがあり、シャンデリアも付いていた。
乗り込んで椅子を倒すと、テーブルを囲んで椅子は円形になって取り囲んだ。
冷蔵庫も完備されていて、すごかった。
今回は洋子は助手席で座っていて。男性が運転していた。

そのままスタジオに向かうと、器材用運搬トラックがあった。
器材は固定されて運ばれるようであり、吾郎達の手によって積み込まれていた。
5人は降りてスタジオに入り、積み忘れがないか確認していた。
麗奈のギター3本も積み込まれ、スタンドも3本積まれていた。
トラックに、ちゃんと固定されて乗っていた。
ドラムは、バラされてケースに入っていた。
葉月のキーボード3個も、積み込まれていた。
吾郎は、乗用車に乗るようだった。  
他1台マイクロバスが、停まっていた。
スタジオで全員トイレを済ませると、吾郎を中心に集まった。

「これから全国ツアーだからな。付いていけるのは、俺と香織だけだから。後は残って事務処理とかがあるからな。練習の成果とお前らの実力を全国に見せつけてこうよぜ。あすか。いつものお前らの掛け声で出発だからな。」

全員で円陣を組み、あすかの掛け声で気合を入れて夜空に人差し指を突き上げていた。

香織は、PCから。【PrettyGirls 全国ツアーに発進】 と流していた。

チケットは、ほぼ完売されていた。  
最初のライブまでは、長い道のりだった。
器材を運んでいるので、ゆっくりしたスピードで車は走っていた。
1時間程で高速に入り、夜の道を走り続けていた。
麗奈達5人は寝ていたが、途中休憩をしたりドライバー交代をしていた。
朝はサービスエリアで、朝食を済ませた。
長時間移動なので、2時間の休憩だった。
麗奈は食べ終わると靴を履き替えて、車に邪魔にならないように走っていた。
1時間走ると荷物を出してもらい、シャワー室でシャワーを浴びて着替えていた。
みんなは呆然として見ていたが、こんな努力があるからだと吾郎は思った。

車に乗り込むと、少し飲み物を飲んでみんなゆっくりしていた。
麗奈はギターを取り出して、ヘッドホンをして最後尾の座席で練習していた。
トイレ休憩だと言われて外にでて、トイレを済ませていた。
到着するまで、延々とこれが繰り広げられていた。
夜は多分走れないだろうからと、昼食の時間に走ってシャワーを浴びていた。
昼食は時間が無くなったので、麗奈はサンドイッチを買って車に乗り込んでいた。

「麗奈。本当におこちゃまだよな。ハンバーグとサンドイッチ大好きだものな。」

「まぁ、手が汚れないですぐ食べれるから好きですよ。」

「しかし、麗奈の練習好きにも困ったもんだよ。こっちが移動中サボってるみたいだからね。」

「気にしないでください。毎日やらないと気がすまないだけなので。」

「だってさ。美穂、お前もこうならないといけないよな。だいぶ、まともにはなってきてるけどさ。麗奈に追いつかないよ。」

「それは、あすかさん。無理ですよ。いくら練習しても、麗奈さんそれ以上練習してるから。追いつけないです。」

「っていうかさ、私達が最初のアマチュア時代に出した曲聞いてるだろ?あの頃の麗奈に追いつけよ。確か、あれって高3の時のだよな。忘れたけどさ。」

「まぁまぁ、あすか。そんなに美穂に急に求めても仕方ないですよ。これから頑張ればいいからね。」

「麗奈は、甘いんだよな。あん時だけだものな、美穂にキツく言ったのは。」

「そうだけど、あれから随分進歩してますよ。これからこれから。」

みんなで話しをしていると、またトイレ休憩に立ち寄っていた。
まぁトイレは行っとかないといけないので、5人は車から出ていった。

吾郎と香織は、乗用車の後部座席で話しをしていた。

「こんな移動中も練習してるのは麗奈だけだな。あいつ、ギター持って乗り込んでたしな。」

「なんで、あんなに夢中になれるのかしらね?なんか目標があるのかしら?」

「多分、好きなだけだろ?あいつのステージ見ると感じたんだよな、最初っから。他にも候補いたんだけどな、あいつら下手だったけど。熱意が伝わってきたんだよな。」

「吾郎が、見つけるのが早くてよかったわね。あの娘らも。」

「まぁ、努力だけじゃないけどな。麗奈だけは、才能も飛び抜けてるからな。今度デビューする3組も下手だったら、レコーディングはあいつらに任せるつもりだけどな。簡単に弾いちまうだろうけどな。」

「そんなに凄くなったのね。吾郎負けてんじゃないの?」

「バーカ ここからは、本人の努力次第さ。どんだけ弾き込むかだな。もう、全ては叩き込んだからな。なんでもそうだけどよぉ、自分で納得しちゃって満足しちゃったら。そこで止まっちまうからな。」

「まぁ吾郎から話しを持ちかけられた時は、ビックリしたけどね。せっかく、教師になったんだから。でも教えがいがある生徒なんて、あまりいないわよ。」

「そりゃ、そうだろうよ。普通高校で音大目指してるやつなんてあまりいないからな。」

「どれだけツアーで、稼げるのかしらね。全都道府県でしょ?」

「ああ 人口に合わせて最低2箇所だけどな。愛知・京都・大阪・福岡なんかは多いよな。移動日と休日を入れてあるけどな。2日ライブして2日休みって感じかな。こっちの従業員は、かなり楽だけどな。現地でのスタッフは日払いだからいいけどな。」

「ええ 現地スタッフの確保も出来てますし。チケットもほぼ完売。あの善人のCMが効いてるわね。麗奈大活躍ね。」

「まさか、演技じゃなくてそのままギター持って歌わせるとはな。」

「それが良かったんじゃないのかしらね?演技なんて、女優がすればいいのよ。ミュージシャンに、そんなこと求めても無理よ。」

「しかし、麗奈も体力ついたよな。昔は、ちょっとした時間あったら寝てたのにな。」

「高校から、毎日ライブの夜以外は走ってますからね。あの娘だけでしょ?まだ、走ってるのって。1番体力いるものね。ボーカルとギターで。」

「アマチュアじゃ、1時間のライブかもしれないけどな。プロになってくると、そうも行かないしな。出会った頃は、小学生の低学年並の体力だったけどな。」

「細いけど、引き締まってるからステージでも映えるのね。脚も異常に長いしね。まぁ、バンドから麗奈が抜けたら解散になっちゃうけどね。あの娘の性格なら抜けることはないだろうしね。でも、分配はどうなってるの?」

「一応、平等だよ。作詞・作曲なんかの金はこっちにプールしてあるからな。あいつには渡してないし。こんなに働いても月10万しか振り込んでないけどな。」

「あら、吾郎。ボッタクリじゃないの。みんな取っちゃってるの?」

「そんなことはしないよ。ツアー終われば、あいつらもビックリするはずだぜ。優が手はずしてるから、問題ないはずだけどな。」

車は、夕方北海道に入っていた。 
相変わらず、休憩以外はギターを弾いたり休憩したりしていた麗奈だった。
函館に着くと、ビジネスホテルに車は停まっていた。
各自荷物を持って、フロントに行くと鍵を渡された。
いつもの部屋の仲間との同室で、2人で1部屋のツインだった。
麗奈と洋子は部屋に入ると、シャワーを浴びて洗濯物を下着以外洗濯を頼んだ。
下着は風呂場で手洗いして、部屋で干していた。
洋子に言い、夜景が見たいと麗奈は言った。
希望者を聞いたが、みんな疲れてて寝たいと言うので。
吾郎の車の運転手に無理を言って、函館山まで行ってもらった。
綺麗な景色が見れて洋子と喜んでいた。

お礼に帰りに食事をして帰った。 

勿論、麗奈が払っていた。
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