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美浦脱落

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明日は休養日だったが、取り敢えずギターを弾いて0時に寝ていた。
ホテルでも5時に起きて、靴を履いて部屋から出ていった。
大通りを1時間走って、ホテルまで汗だくで帰ってきていた。
部屋が空いて無いので、チャイムを鳴らして開けてもらった。
シャワーを浴びて、着替えて顔を洗ってから近くのファミレスを検索した。
食事などついてないビジネスホテルだったので、食べに行くしか無かった。
携帯でみんなに連絡したが、休みだからもう少しゆっくりすると言っていた。

洋子と2人で15分歩いてファミレスに入り、和食のモーニングセットを頼んだ。
洋子と話しながらゆっくりと朝食を済ませると、今日は洋子は用事があるようだった。
函館見学を、5人で行った。  
昼食は、みんな海鮮丼をたのんで食べた。
麗奈は、こんな豪勢などんぶりなど初めてだった。
3時頃4人と別れて、ホテルに帰り部屋でギターを弾いていた。
色々な体験で、詩も浮かんできていた。 
夕方まで練習をして、1時間走っていた。
シャワーを浴びて着替えてからみんなに連絡したが、まだ街で遊んでるようで。
食事は食べて帰ると言われた。 
仕方なく、1人で朝のファミレスで夕飯を済ませた。
帰ってから、ずっとギターを弾いたり曲作りをしていた。
洋子の鳴らしたチャイムもヘッドホンで聞こえず、ホテルの従業員に開けてもらって洋子は部屋に入ってきた。  呆れた顔で洋子は、ギターを弾いてる麗奈を見ていた。
0時までいつも通り練習をしてから、就寝していた。

翌朝も走ってから部屋に戻り、シャワーとかして着替えた。
4人はだらけているのか起きなく、結局その日も洋子と朝食に行った。
まぁ後1日宿泊するので荷物はそのままにしようとしたが、洋子に言われて荷物はまとめた。
11時集合まで、ギターを弾いて過ごしていた。
キャリーケースに衣装も入ってたので、荷物は全部持って部屋を出た。
ホテル前の車に乗り込んで、会場まで車で向かっていた。
トラックとマイクロバスが12時半に会場に到着して、1時から器材はスタッフによって運ばれ始めていた。
セッティングも終わり、楽屋でチューニングなどをしてリハが行われた。
みんなこの3日楽器を触ってないので、演奏もバラバラでダメ出しが出された。

「お前ら、練習したのかよ。下手くそが、毎日触ってなかったらこうなるんだからな。おい、美穂。今日は出るのやめるのか?お前1番ダメだぜ。」

開演ギリギリまで、リハは行われた。  
楽屋では、麗奈は発声練習をしていた。
平日なので、7時から9時のライブだった。
昼サンドイッチを食べたが、洋子に買ってきてもらいサンドイッチを半分食べていた。
その後は3本のギターの弦を張り替えて、チューニングしてステージに2本置いてきた。

「ねえ、美穂。ライブの前に弦くらい張り替えなさいよ。そんなの常識でしょ?」

「弦買って無くて、すいません。」

「昨日、街に行ったんだから。買う時間あったわよね?ツアー中の弦、それでも20セットづつ持ってきてるわよ。自分で本番前になんとかしてね。」

「麗奈、貸してやればいいだろ?そこまでしなくたって。」

「だって、自分の楽器でしょ?管理とか当たり前ですものね。ツアー前に、全部メンテも出したし。楽器屋なら、歩いて10分であるわよ。」

吾郎は、見ていたがなにも口に出さなかった。
悪いのは美穂だったから、言われても仕方ないのであった。
多分4人は遊んでいて、洋子の報告だとダラダラとしてたみたいだった。
2日間、朝食も取らずに寝てるとかプロ意識が欠けていた。
一応ツアー中なので、体調管理も必要だった。
まぁ美穂がステージに立ちたければ。弦を張り替えてくるだろう。
いなくても、4人でも問題はなかったのだった。
初日のステージから、美穂の姿は消えていた。
5人になってから、バンドのまとまりも欠けてきたので吾郎は美穂を首にしていた。
CDジャケットなども、急遽変更されていた。
美穂はスタッフの1人と飛行機で戻り、優と話し合っていた。

「美穂、貴女が1番練習しなきゃいけないのに。サボってるなんてどうかしてたわね。前も注意されたはずよ。麗奈にキツく言われたでしょ?真面目にやってたと思ったら、ツアーに出た途端サボりだして。」

「すいませんでした。もう一度チャンスをください。お願いします。」

「今、会社は貴女のせいで多大な損害がでてるのよ。今回のCDも見送りになってるし、ホテルのキャンセル・グッズの処分とかね。ギターは、まだ何回も払ってないからこちらで処分しておきますね。ストラトの方はね。貴女の契約書に書いてあると思うけど、途中で損害が出た場合は支払いに応じると書いてありますから。その賠償金を支払ってから、相談に乗りますよ。実家に帰って、親と相談してきてください。お金ができたら、連絡くださいね。」

麗奈達は、4人で北海道の函館から旭川・札幌とツアーを終了していた。
初日に麗奈がもめて美穂が首になったことで、麗奈をみんな責めていた。
吾郎は、初日のライブが終わると4人に話していた。

「お前ら当然だろ?プロが自覚してなかったら、アマチュアだぜ。ツアー出る前に、準備するのも当然だしな。当たり前の事を当たり前にやらないとな。それができなきゃ、お前らだってプロ失格だぜ。あすか。お前リーダーだろうが。本当は、お前が言わなきゃいけないことを麗奈が言っただけだぜ。古い弦で弾くなんてプロじゃないしな。お前らだって、中学からライブの前には張り替えてたろ。常識なんだよ。まぁ、普通には聞き取れなかったかもしれないけどな。麗奈は耳いいから、わかったんだな。」

「吾郎さんのいうことも、わかりますけど。少し可愛そうだと思ったので。」

「お前らさぁ、美穂1人のために自分達が売れなくていいのか?期待して、入れたけどな。入ってから進歩がないんだよな。お荷物なんだよ。お前ら、みんなであいつをこれから食わせてやっていくのか?自分の収入減るけどな。それでもあすかは、構わないのか?」

「まぁ、ずっとは困りますけど。」

「レベルが違うんだよ。あいつは、それなりのバンドに入れるから心配するな。帰ったら優が話しをするはずだけどな。ただ、その前にあいつの損失をあいつ自身が親にでも頼んで埋めないといけないけどな。今回からCDには5人の写真も貼ったし、ジャケットも5人のだからな。今、急遽写真を加工してプレスするとこだからな。」

「かなりの額じゃないんですか?」

「まぁ、ざっと5000万くらいかかるな。CD8枚分とグッズなどだからな。それと、今まであいつにかかった費用も払わせるからな。」

「葉月はよくても、うちはそんなお金無いしな。悪かったな、麗奈。お前、真面目だものな。私達、朝食もいつも1人で行かせたり。走るのもしてなかったものな。練習もだしな。ちょっと恥ずかしい気がしてきたよ。それで麗奈に怒ったりしててさ。ごめんね。」

「あ 別にいいですよ。あすか達に怒ったわけじゃないので、演奏が下手でもそれはなんとかしようとしたんですけどね。管理もしてない音色だったら、ボリューム0でもいいかなって思っちゃったから。私も悪いとこ直すから、もっとみんなで話し合って行きましょうよ。」

「ああ そうだよね。この頃、私達サボり組4人と麗奈に別れちゃってたからね。本当は、麗奈が正しいのにさ。まだ、1年しかたってない半端者だものね。」

「1日目はギクシャクしちゃってたけど、明日の函館での2日目はキッチリやりましょうね。」

北海道公演は無事終了していた。 
2日目からはいつも通り、それ以上の演奏をしていた。
普通の県とかなら2箇所で開催されて、1週間で1県の公演だった。
あすか達も麗奈と一緒に走ったり、朝食を食べたり休日も夕方前には帰ってきて練習をしていた。
麗奈は、葉月と同室となっていた。
4人の関係も、昔よりも一層親密になってきてたのは事実だった。
ホームページでは、美穂脱退の知らせも発信されていた。

美穂は九州の実家に帰り、包み隠さず親に話しをしていた。
親には、かなり怒られていた。  
美穂の結婚資金のお金を、美穂に持たせて上京させた。
優に連絡をして、美穂は小切手を優に渡して頭を下げていた。

「それで、これから美穂はどうするのかしら?」

「まだ、決めてないですけど。演奏はしたいですね。」

「ちょっと、待ってなさいね。相談するから。」

優は部屋から出ていき、しばらくすると戻ってきた。

「まぁ、仕事が無いわけではないわよ。でも、一旦マンションからは出てもらいますからね。彼女達みたいに、アマチュア時代から有名ではなかったけど。ここのオーディションで合格したグループが、二組いるのよね。そこでなら弾けると思うわよ。一つだけ問題があるんだけどね。美穂がそれでもいいというならだけどね。」

「問題って、なんでしょうか?」

「二組とも、男性ばかりなのよね。女性はいないから。バンド内で、とにかく揉め事を起こさない様に、恋愛だけは禁止ね。」

「それは、全く構いませんので、よろしくおねがいします。」

「わかったわ、二組に連絡しておくから。明日、スタジオの方に来なさい。」

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