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全国ツアー

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6月上旬には、東北地方を抜けて関東エリアまで来ていた。
みんな体力もついてきたので、移動日だけ休日になっていた。
まぁ東北を抜けたらそうすると、最初から決めてあったのだが。
それでも、1週間に1日は休日が与えられていた。
関東から北陸地方に行く時は時間もかかるので、スタッフも大忙しだった。
関東エリアの東京を除く県の公演が終わると、会場からそのまま車で移動していた。
夕飯は、車で弁当を食べていた。  
運転手は、先に食べて仮眠を取っていた。
CDのプレスが遅れていたが、関東エリアくらいで出来上がり輸送されていた。
麗奈達のワゴンのテーブルは、取り外さていた。
そこには、ドラムやキーボードが固定されていた。 
ドラムは、電子ドラムだったが。
移動中も4人は、色々と今日の反省点などを自分で分析して演奏していた。
暇な時は葉月とあすかは、ワゴンで練習してからホテルに戻っていた。

11月中旬には、大阪まで辿り着いていた。
大阪では、3箇所での公演があった。 
移動日無しの6日で終了していた。
CDの売上も、段々伸びてきていて凄い勢いだった。
会場内で売られるグッズも、飛ぶように売れていた。
やはりCM効果か、半数は麗奈のものだった。
会社の方も順調に売上を伸ばして、成長していた。
オーディションで獲得したバンド3組は、まだプロレベルではなかった。
美穂は一つのバンドに所属して、ライブハウスを回っていた。
自分でチケットを売らなければ、赤字で自己負担だった。
親からの仕送りもなく、美穂は初めてバイトをしながら演奏していた。

山陰・山陽と回ると、12月も終わり1月下旬だった。
いつもながら、正月など関係なかったのだが。
2月は四国地方で、暮らしていた。 
忙しくて、郷土料理など食べてる暇もなかった。
3月・4月で九州と沖縄まで回った。 
最後は、那覇市だった。
終わるとフェリーで鹿児島まで戻り、丸3日かけてゆっくりと帰っていった。
来た時とは違い、サービスエリアで朝・夕走ってシャワーを浴びてる4人だった。
楽しく車の中で話してる時もあるが、色々と各自弾いていたりした。
1番大変なのは、ドライバーだった。  
サービスエリア毎に、マイクロバスから人が降りてきて運転を交代していた。
2時間に1回の休憩を取りながら、移動していたのだった。
沖縄から、1週間後に都内にもどればそれでよかった。
100箇所のライブの締めくくりは、都内3箇所で開催される予定だった。

車は都内に入り、マンションではなくスタジオに付いていた。
この1年で、スタジオの横に8階建てくらいのマンションが建てられていた。
器材をスタジオに運び込み、4人はマンションに帰ろうとしていた。

「おい、マンションはもう解約したからそっちじゃねえぞ。スタジオの横に建ってるマンションだからな。

1階はエントランスと防音設備のレッスンのスタジオだった。防音ガラスだった。
2階は4部屋で、あすかと彩香と葉月の部屋があった。
3階は、麗奈の部屋だけだった。 
4階は、洋子と凛と香織の部屋だった。
5階は次男と博和の部屋であった。
6階は正生と善人だった。
7階は会議室で、9階が新垣夫妻の部屋だった。
あすか達の部屋は、2LDKの部屋で広かった。 
こっちに来て、初めて個人の部屋だった。
2部屋あっても1部屋は、完全防音の練習部屋であった。
麗奈の部屋は、完全防音の練習部屋が広く。
作曲活動の部屋もあった。
後は寝室とCDの倉庫部屋・防音室の隣には、弦の貯蔵庫や器材の収納部屋もあった。
4部屋ほど、空き部屋もあったが今は用がなかった。
これから増えるであろう、ギターの収納部屋もあり。ここは湿度と気温が一定に保たれる様になっていた。
今まで使っていたコップなども揃えられていて、今は不自由なかった。
リビングは今まで通り、色々とあった。
マンション自体各部屋防音となっていて、上の振動や音なども聞こえなかった。
荷物を整理して、洗濯機を回してからベランダに乾かしていた。
3人が押しかけてきて、麗奈の部屋を色々と見て回っていた。

「ああ なるほどね。CDとか聞きに来ていいでしょ?」

「いつでも、来てくれていいですよ。今まで共同生活だったから、1人でこんな広いと少し落ち着かないから。」

「って、麗奈夢中になると、チャイム鳴らしても気が付かないからな。今度はいつも携帯持っててね。着信のバイブセットしてある?」

「わからないです。やってあるかな?」

「どう、貸してみて。」

あすかは、麗奈の携帯のメール・電話をセットしていた。

「ちゃんと、いつも持っててくれよな。麗奈相変わらず、携帯だけは使ってないんだよな。PCもネット接続してもらったらいいよ。色々と情報見れるからな。」

「こんなに個別になっちゃうと、集まる機会が減っちゃいますよね?」

「そうだな。でも、朝と夕方は毎日会えるだろ?走る時にね。これから夕飯とかどうすりゃいいのかな?香織さんが作ってくれるのかな?」

「どうなんだろうね。明日にでも、スタジオで聞いてみようかしらね。」

4人は、起きたら電話をして下で待つようにした。

今まではヘッドホンでの練習だったが、ちゃんとアンプで小音量だが音をだしてギターが弾けて嬉しかった。
その日は風呂に入り、0時に寝ていた。 
今度は、脱衣所も完備してあった。
次の日、4人は走ってからシャワーをして着替えるとファミレスで朝食を取っていた。
まぁそのままスタジオに行きたいので、ギターは持っていた。
4人はスタジオに入ると、休憩室でゆっくりとしていた。
吾郎が1人で来て、4人の顔を見て言った。

「お前ら、レッスンは無いし。各自自室で練習できるだろうが。ここはレコーディング以外立ち入り禁止な。器材は、マンションの1階に運んでおいたからな。そうそう、あそこセキュリティーは完璧だけど、1階のスタジオは鍵がかかってるから、各自渡しておくな。」

麗奈達は、マンションのスタジオの鍵を渡された。

「特に、麗奈。保健かけてるけど、心配ならあれは自宅に運んで置いとけよ。それなりの部屋あるだろ?それと、麗奈。後で会議室まで来てくれ。9時にな。」

4人はスタジオから出て、隣のマンションに帰った。
麗奈はマンションのスタジオからギターを2本抱えて、エレベーターで3階まで上がっていた。
ギターを保管庫に置いて、ケースは壁に設置された場所に収納していた。
9時前に、7階の会議室まで行った。
大会議室と小会議室があり、小会議室に入っていった。
吾郎と善人が2人いて、麗奈に座るように言った。

「ちょっと、麗奈には頼みがあったから来てもらったんだけどな。」

「ええと、なんでしょうか?」

「もう、1年弱放置してるバンドが3組あるんだけどな。1組は5人・4人・2人なんだけどな。どうも、あいつらのオリジナルが出来が悪くてな。かと言って、お前らの曲は声が出なくて歌えないから。お前に相談なんだけどな。2オクターブ半から3オクターブ以内の曲を6曲作って欲しいだよ。できるだけ早くなんだけどな。まぁ、おまえらの曲作りの合間でいいからな。」

「そうなんですね。イメージとか聞かせてもらえると、参考になりますけど。それと自分達の曲は、ツアー中に10曲程ほとんど出来てますから。後は編曲やアレンジするだけですね。何日くらい頂けますか?」

「デュオと4人の方はポップス系でいいかな。後は、適当にロック系でもいいしな。そこは、任せるよ。麗奈にな。期限としては、6曲で1ヶ月くらいなら最高だけどな。」

「わかりました。まぁ、毎日作っていけばなんとかなる範囲ですよね。閃くと早いんですけどね。バンドの写真とか、後からもらえたらイメージもわきますけど。」

「ああ 写真とか、本人の希望も聞いてあとから持っていくからな。」

「はい、ありがとうございます。 あ 聞き忘れてましたけど、今後、私達は食事って自分で作って食べるんですよね?」

「お前、料理なんてしたことないだろうが。あすかと彩香は香織に作って貰うよ。麗奈と葉月は洋子に作らせるから、心配しないでくれよな。」

「そうですか。昨日、みんなで心配してたので知らせますね。ありがとうございます。写真とか希望がわかってから、曲は作って行きますね。それでは失礼します。」

麗奈は、みんなにメールをして。食事の事は報告をしていた。
自分の部屋に行くついでに、洋子の部屋に寄りこれからお世話になると頭を下げていた。
洋子はほとんどつきっきりなので、暇な時は昼食もできると言ってくれた。
勿論、昼食はあすかや彩香の分もであった。 
出来ない時は、連絡すると言っていた。
みんなに昼食の事も知らせて、自室に戻っていた。
ツアー中に作った、楽曲の仕上げに入っていた。
色々な音のパターンなどを、入力したりして試していた。
まぁ麗奈達の活動は、3日後の都内のライブからスタートだった。
まだ、収容人数2000人くらいの場所を目安にしていた。
空席があると吾郎は嫌だったので、2日に分けて4000としていた。
話し合って午前は自主練・午後は下のスタジオで、通し演奏をすることにしていた。
昼食を洋子の部屋で済ませてから、4人は、下に降りていた。

休憩は、エントランスのソファーで取っていた。
マンションの直ぐ側に自販機があるので、各自買って飲んでいた。
マイペースな感じで、練習をしていた。
午後練が終わると、一度部屋に戻り着替えて4人で走っていた。
後は各自部屋に戻りシャワーを浴びてから、着替えて夕飯に向かっていた。
練習でうまくいかなかったところを練習し、曲作りもしていた。
まぁライブ2日前には、曲作りは止めていたが。
ライブ当日も朝走ってから朝食を食べて楽器とか衣装を持って1階のスタジオに集合して、時間まで音合わせをしていた。
楽器はトラックに運び込まれ、ツアー用のワゴンに乗り込んでいた。
4人は話しをしながら、飲み物を飲んだりしてゆっくりしていた。

取り外されたテーブルも、付けられていた。


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