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初ディズニーランド

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翌日は、歌をスタジオで歌っていた。
その間も、CMのCDは凄い勢いで売上を伸ばしていた。
会社でも、対応に追われていた。  
プレスを再び、開始していた。
3組のグループも、上々の売上をあげていた。
1日弱で歌は終ると、明日コーラスを入れて終了となる予定だった。
麗奈の役目は、ここで終わりなのでみんなにお礼を言い挨拶をするとマンションまで帰った。
コーラスはサビくらいになってたので、簡単に1日で終わった。
4人は次の日、CDのジャケット撮影を都内のスタジオでした。
次の日は、2回目のTV出演だった。 
売り出す新人アイドル系も一緒という約束で、出させてもらっていた。
まぁ、自分達の演奏はいいが。
あっちの演奏は、だいぶ前なので撮影後4人は練習した。
まぁ、今回も録画だというので安心はしていた。
出番は、善人が重ねて貰うことにしていた。
まだ新人扱いなので、楽屋は彼女らと一緒だった。

「えっと、みんなで昨日まで歌合わせとかしてきたのかしら?」

「少し、やってきました。」

「あのさ、まだ新人で下手なんだから。練習しなくていいのかしら?」

麗奈は、4人に厳しい口調で話していた。

「まぁ、録画だからダメ出しするけどね。取り敢えず、共演者に一緒に挨拶に行きましょうね。」

8人は、楽屋を回って挨拶をしていた。
昔一度出会ったグループもいたので、色々とお礼を言っていた。

「あの時は、ありがとうね。俺、遅れちゃってさ。助かったよ。流石だね。演奏も負けそうだよ。今日もよろしくね。」

麗奈達は、1番最後の収録だった。 
善人がそうしていたのだが。
楽屋で話しをしたり、弁当を食べてトイレに行ってくると支度など始めていた。
今日は彼女らのバックバンドもやるので、GibsonとMartinを持ってきていた。
まだ時間はあるので、アコースティックで4人に歌わせていた。

「レコーディングから今まで、なにしてたの?進歩どころか退化してるわよ。」

マネージャーの洋子に言い、まだ歌える状態じゃないと麗奈は言った。
売り込みに来ていた、善人も洋子に呼ばれて楽屋に入ってきていた。

「今、歌わせたんですけど。バラバラですよ。音程もしっかりしてないですし。聞きますか?」

再びギターを弾いて、歌わせていた。

「これじゃ、ダメだな。出演者も決まってるしな。」

「この前のお詫びに、あそこのバンドにもう1曲歌ってもらったらどうですか?」

「そうだな、ちょっと頼んでみるか。」

善人は他の楽屋に行き、頭を下げてお願いしていた。

「あっちは、お前らに2曲歌ってもらえばいいと言ってきたけど。用意できるか?」

「どうしましょうか?CMのと、まだ未発表の曲でいきますか? あの4曲のうちの1曲で。どっちが、先に売られる予定ですか?」

4人は集まって曲を決めると、それで行くと言った。

「お前ら、帰っていいぞ。練習しないで、TVなんて新人が甘い考えするなよな。次、今年中にまたあるけどな。お前らできるのかよ。その前に、小さなイベントでも熟すんだな。商店街とかでな。今の歌じゃ、バックで演奏もしたくなくなるからな。」

4人は着替えて、楽屋を後にしていた。

「あらら、また麗奈が怒ったわね。まぁ、あれじゃ当然だけどね。せっかく作った曲が耳障りだものね。」

「あの娘と似てない? えっと、美穂だっけ?」

「そうそう、似てるわね。麗奈に怒られるところもそっくりだしね。」

善人は、プロデューサーに体調不良の為4人が出れない事を告げて。
その空いてしまった時間を他のバンドにお願いしたが、こっちでなんとかしろと言われたので。
彼女達4人に、2曲歌わせますと言っていた。
CMの曲と今度発売する曲をというと、納得してくれた。

化粧などメイクさんがしてくれて、着替えも終わり準備は整った。
ゴタゴタしてて、弦を張り替えていなかったので急遽張り替えてチューニングした。
最初は新曲だったのでGibsonを持ち、Martinを洋子に持って貰っていた。
1曲は、この頃ほとんど練習していなく。
麗奈は途中で演奏を止めてメンバーに話していた。 
音のバランスや、それぞれの音の調整などを細かく言った。
4回目でやっと、1曲目が終了して。
前回とは違うなと、関係者は思っていた。
CM曲は演奏もしてきたので、一発だった。
特に、麗奈はギターのアルペジオとメロディー・リードを完璧に1本のギターで熟していた。 
見学してたグループも、呆れてため息をついていた。
コーラスも、昔より断然よくなっていた。
4人は、みんなにお辞儀をして挨拶をするとスタジオから楽屋に向かっていた。

「やっぱり急にだと、ちょっと合わないところでてくるわよね。」

「麗奈が、怒って追い返すからよね。」

「だって、あのまま歌ったら。もう、一生売れないわよ。」

「まぁ、そうだね。一旦、悪い印象つけちゃったら。ダメだからね。」

「帰ろうか?」

4人は着替えて、裏口まで挨拶をしながら歩いて行った。
洋子の運転で、マンションに帰ると少しギターを弾いて風呂に入って寝ていた。

今回のCMは、若手の売れてる女優さんが出るそうだった。
まぁ、CM撮影は好きではなかったのでちょうどよかった。
次の日は、会社のご褒美でディズニーランドに1泊2日の旅行だった。
ツインの部屋で、4人は2組に別れることになった。
付添で洋子と香織が付いてきていた。
この日から、洋子は助手席に乗って。
もう1人の若い男性のマネージャーが運転をしていた。
4人は、初めてのディズニーランドで感激していた。
入り口に着くと、しっかり帽子を被りサングラスや麗奈のような伊達メガネをかけていた。
化粧はせずに、日焼け止めだけ塗っていた。
7人は、入場していった。  
見るもの全てが珍しく、目を輝かせていた。
平日なので、割と空いていたがかなりの人だった。
4人は、ミッキーやミニーと一緒に写真を撮ったりしていた。
洋子と香織が疲れてきてると、4人は休憩していた。
4人は並んで、7人分の飲み物とかファーストフードを買ってきた。

「今日は、逆になっちゃったわね。ごめんなさいね。」

「いいですよー いつも、お世話になってますからね。」

「疲れたら言ってくださいね。早めに帰ってもいいのでね。」

「ナイトパレードもあるのよ。そのために泊まったんだから。」

「夜までいたら、退屈しちゃいますよ。」

「ほら、いっぱいアトラクションあるでしょ? そんなので時間を潰すといいわよ。」

「だって、お二人ヘトヘトじゃないの? 見ててわかるわよ。」

「これから、洋子さんは運転はしないの?」

「そうね。大勢での移動とかは、やらなくなるわね。私は、乗用車で色々とやりますから。お買い物とかも、4人いるから。2人いれば十分でしょ?」

「まぁ、買い物は3人は多いけど。麗奈は全くしてないしね。ひたすら弦買うくらいだものね。」

「結構、お金かかるのよ。4本もあるとかかるしね。メンテもバカにならないわよ。」

「しかし、あのなんだっけ?借りたギターの音良かったよね。コーラス入れた時ビックリしたけどね。」

「そうそう、それに頭とか間奏アレンジしたでしょ? 凄かったわよ。」

「ええ 思いついたのでやりましたけど。エンジニアさんが苦労してましたね。あのFenderは綺麗な音してましたよ。Vintageですね。古いけど、良い音でしたからね。」

「欲しくなってんだろ?そんなギターを。」

「ええ ライブでも、Fenderはこの頃持っていくけど。あまり多用してないですからね。やっぱり、あのGibsonには負けちゃうから。」

「ありゃ、特別だよ。気前がいいよな、吾郎さんも。」

「ですね。その頃までの給料全部出して許してもらったのでね。」

「そうそう、お名前聞いてなかったわ。ごめんなさいね。」

「安田純也です。これからお世話させて頂きます。」

「いえいえ、お世話になるのは、私達だしね。仲良くしてくださいね。純也さん? 安田さん? どっちがいいかしらね?」

「こらこら、あんた達より年上なんだからね。でも、みんな下の名前で呼んでるでしょ?純也でいいんじゃないのかしらね?」

「そうですよね。じゃ、純也さん。よろしくね。」

「5階の次男さんの部屋に間借りして住んでるからね。用事があったらまぁ、携帯で連絡すればいいけどもね。」

「5階なんだぁ、洋子さんと一緒に住むかと思ったら。」

「バカね、男性と女性よ。一緒に住めないでしょうが。」

7人は、大笑いしていた。
混んでいないのでよかったが、店に2時間もいて話しをしていた。
夕方までゆっくりと、香織達のペースに合わせて周り。
ナイトパレードを見てから、ホテルに帰った。
ホテルへも、ギターを1人持ち込んで弾いていた。
まぁ、朝も早く起きてホテルの周りを4人は走っていたのだったが。
朝食はビュッフェだったので、メガネだけで行ったらすぐに見つかっていた。
休みで来ているので、そっとしてくれとマネージャは言い部屋番号だけ駆け寄った人に聞いた。
朝食が済むと、28枚の色紙を書かされてマネージャーは配りに行った。
混雑が予想されるので、4人に話しを集まって聞いた。

「ああ 十分堪能しましたのでいいですよ。こんなホテルにも泊まれたし、最高ですからね。」

「そうそう、もう帰ってもいいですよ。人混みとかあまり好きではないですからね。」

「ですよね。ディズニーランドまで来て、サイン会は嫌ですものね。」

「じゃ、4人はオーケーなのね。ちょっと、寄り道して帰りましょうかね?美味しい貝とか食べたいでしょ?」

「やったぁー そっちがいいわね。」

7人は、ホテルを出て車に乗り込んでいた。
車は海岸沿いを走り、海沿いの古びた店の前に停まった。
全員降りて、自分で貝を選んで焼くようだった。
炭火の上に貝を置いて、みんな焼き始めていた。
ハマグリ・サザエ・ホタテ・牡蠣もあり食べていた。
4人はのんびりと食べながら、海を見ていた。
おなかいっぱい食べると、海岸まで走っていったので純也に追わせていた。
1時間ほどすると、5人で帰ってきて車に乗り込んでいた。
午後4時頃、マンションに着いてお礼を言って部屋に戻っていた。
CMの曲も発売されて1ヶ月で、TVで歌った歌も発売され始めていた。
時々、CM会社からそれぞれに合った化粧品が会社に送られてきていた。

1ヶ月後、CMが流れ出し反響はすごかった。
飲料水の売上も、普段の3倍以上になり競争相手の会社を凌ぐ勢いだった。
TVでも、CMはたくさん流れていた。    
CMの2日後から、CDも発売されていった。
そんなある日、善人によばれて事務所まで1人で訪れていた。

「えっと、なにか御用でしょうか?社長。」

「良い知らせと。ちょっと、悪い知らせがあるけどね。どっちから聞きたいかな?」

「じゃ、良いのは後にしますね。最後に落ち込むのは嫌ですから。」

「じゃ、1個目。悪い方な。3ヶ月くらいで、全国ツアーをしてもらうことになったから。よろしくな。今度は、昼と夜の2回のライブで1県で1箇所にするから。移動日だけ休日かな。無い時もあるからね。キツイと思うよ。」

「キツイですね。まぁ、この頃ライブはしてないので。悪いっていうより良い知らせですけどね。」

「悪い知らせが、良いとはな。じゃ、2個目はビックリするぞ。お前がレコーディングに使ったFenderをくれるそうだ。売上がよかったから、ご褒美だってさ。メンテしてるから、待っててくれと言われて今はここには無いけどな。ツアーには間に合うはずだからな。」

「あれって、高いんじゃないんですか? わからないですけど。」

「かなり高いよ。Vintageで50年代ので、しかもあれだけ状態が良ければ。今は市場にでてないからね。出れば1000万するかもしれないし。検討はつかないけどな。」

「そんなの貰っちゃっていいんですかねね?」

「相当演奏とか曲が気に入ったみたいだからな。いいんじゃないかな?」

「社長から、お礼を言っといてください。お願いします。大事に使わせて貰いますと言ってください。」

「ああ わかったよ。しかし不思議だよな。お前って、貰い物多いよな?」

「そうですね。本当に自分で買ったのは、最初の2本だけなので。嬉しいです。」

「まぁ、CMの曲は3曲入れるとして。後は、みんなと相談してこっちに提出してくれよな。新曲も入れるといいな。売上上がるからな。」

「そうですね。じゃ、7曲と後、9曲くらいですかね?」

「まぁ、そんなものだろうな。今回は、もう移動中は練習は禁止な。車も変わるから。今までの車は他のグループに使わせてるから。器材は全て、トラックに入れることだな。まぁ、練習する体力なくなるだろうけどな。」

「わかりました。みんなに知らせてきますね。ありがとうございます。ところで、いつからなんですか?」

「クリスマス・イヴに、東京でライブして。関東エリアを終えたら、1月の3日から北海道だからな。まだ、1ヶ月あるだろ?」

「そうですね。取り敢えず、みんなに報告してきますね。」

麗奈は、みんなを部屋に呼んだ。
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