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凱旋ライブ

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夏祭当日も、朝5時から走って6時に帰ってきてシャワーを浴びていた。
リビングでいつもの様に、寛いでからダイニングで5人で朝食を食べていた。

「麗奈。今日は、何時からのライブなの?」

「多分、ライブは2日共。7時からになりますね。ここを何時に出るのかは聞くのを忘れたので、電話してみますけどね。」

「彼氏いない歴22年の麗奈を見にいかなくっちゃね。」

「お姉ちゃん、いつになく意地悪ですよね。出会いの場とかもないですから。」

「あら、TV局とかで知り合わないの?カッコいい人いっぱいいるでしょ?」

「収録なので、全体で撮ってからは。個人でなので、楽屋に挨拶に行くくらいですね。後は、毎回の様に、一緒にライブしてる人とかはいますけどね。」

「じゃ、その人は? どうなの?」

「優しいですよ。音楽とかの事も色々と話し合えますしね。いっぱい教えてもらったりしてますからね。」

「電話番号とか聞いてあるの?」

「ええ 一応、聞かれたので教えましたけどね。」

「現在進行中かな? 麗奈は。」

「えっと、そんなんじゃないですよ。一緒にライブしたり食事してるだけですから。」

「鈍感なのね。食事って、デートよ。ねぇ、幸平言ってあげなさいよ。」

「麗奈姉ちゃん、今まで付き合ったことないからだよ。最初はそうした友達からでいいんじゃないかな。」

麗奈をみんなでからかっていて、時間は過ぎていった。
リビングで談話したり、部屋でギターを弾いてから昼食を済ませるとチャイムが鳴った。
洋子がチケットを持って迎えにきてくれたのだった。
洋子に待ってるから、もう一度シャワーを浴びてくるよに言われシャワーを浴びてから家を出ていった。
麗奈が最初だったので、洋子にグッズを5人分買ってきてくれるように頼んでいた。
お金は、後で出すのでとお願いをしていた。
次々とメンバーの家を訪れて、4人はやっと巡り会えて話しをしていた。
麗奈は、昨日自宅で小ライブをやったことや。
弟の彼女が大ファンで来てて、その前で歌ったことなども話していた。
午後2時過ぎに、メインステージの裏に車をつけていた。
ステージ裏の大きな白いテントで4人は休憩していた。
楽曲の確認とかも行われていた。  
演奏スタイルとかも色々と話し合った。
今回は、スタンドマイクなので動けないよとみんなに笑われていた。

昼食は食べてきたが、みんなで軽くサンドイッチなどをつまんで食べていた。
麗奈達の頃とは別のイベントの様に、メインステージには観客が溢れていた。
それでもステージや会場を広くして、2台の大型モニターがステージの左右にあった。
客席も大幅に増幅されていて、5000は、座れる様になっていた。
招待されたチケットを持った人は、前の方の中央にぽっかりと空席があった。
リハも無しの本番だったが、いつも演奏してきてるのでさほど心配ではなかった。
5時頃から、麗奈は1本ずつギターの弦を張り替えてはチューニングしていた。

麗奈達は、前のアイドル系ユニットの演奏もしなければならなかったが。
2組目が演奏することになった。  
まぁ、バックバンドを勤めてから登場では締まらなかっただろう。
前の4組の前に、殆ど大型器材はセッティングされていた。
ドラムとギターなどをセッティングするだけだった。
あすかは、普通に黒髪のボーイッシュなストレートで少し長めだった。
彩香は、黒髪に青のメッシュを入れていた。
葉月は、元々少し茶色かかった髪の毛でピンクのメッシュを入れていた。
麗奈は、普通??に、栗色の髪の毛で変わらずポニーテールだった。
前の組が終了する前に円陣を組んであすかの掛け声で気合を入れていた。

夜7時、だいぶ夏でも辺りは薄暗くなってきていた。
ステージの照明が消えると、観客は一斉に歓声をあげていた。
今回は、4人揃って手を振ってお辞儀をしながら登場していた。
彩香はベースを肩にかけて、麗奈もFenderを持っていた。 
みんな所定の位置に着くと演奏が始まりだしていた。
いつもは、3000円のチケットをようやく手に入れて見に行くのに今日はタダであるので観客も喜んでいた。PrettyGirlsの野外ライブが初めての人もいた。
軽快なリズムと演奏・そして、綺麗な歌声で魅了していた。
2曲歌い終わると、麗奈はマイクを持っていた。

「こんばわーーーーーーーーーー   帰ってきました PrettyGirlsでーーーーーーーーす
ここで初めて演奏させてもらってから、もう8年の月日が経ちましたーーーーーーー
私達の原点でもあるので、ここは大事な場所でーーーーーーーーーーす
当時も、今も色々な関係者の方々にお世話になっていまーーーーーーす
感謝 感謝ですねーーーーー   そして、集まってくれてるファンのみなさまにも感謝でーーーーーーーーーす   ありがとうーーーーーーーーーーーーーー
では、私達をメジャーの世界に入れてくれた。この曲2曲歌いまーーーーす」

Martinに持ち変えて、ギターのマイクをセットすると弾き始めていた。
多彩なテクニックを屈して、演奏を始めていた。
まるで1本のギターから奏でてる音とは、思えなかった。
4人の演奏はとても心地よく、観客の耳に入っていた。
2曲演奏を終ると、麗奈は中央で飛び上がっていた。

「やっぱり、さいこうでーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーす
屋外っていいですよね? 風も気持ちいいですしね。 日差しもこの時間はなくなって。
それでは、お待ちかねのメンバー紹介でーーーーーーーーーーーーーす
我らがボス 頼れるリーダー ドラム ASUKAーーーーーーーーーーーーーー
この頃、お洒落に夢中です 低音担当 ベース  AYAーーーーーーーーーーーーー
音の魔術師 綺麗なお嬢様 キーボード  HAZUKIーーーーーーーーーーーーーーーー
そして、ボーカル兼ギター担当の私 REIでーーーーーーす  よろしくねーーーーーー
そうそう、私の話しなんですけどね。CMっていいですよねーーーーーー
2社の社長さんにギターもらっちゃいましたーーーーーーー
今日も、そのギターで演奏してますよーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
昔はアルバイトをして自分で買いましたけどね。 そうそう、この前も1本買いました。
今から演奏する曲は、買ったギターでーーーーーーーーーーーーーーす
お金なくなっちゃいましたけどねーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

会場は爆笑していた。 
母は顔を赤くしていた。

「それでは聴いてください。3曲続けて演奏しまーーーーーーーーす」

Gibsonのアコースティックに持ち変えていた。
ピックをマイクスタンドから取った。
今度はギターはストロークだったが、乾いた音を奏でていた。
まぁ、それでも間奏ではリードを弾いていたのだったが。
CDとは違ったアレンジで弾いていた。
3曲を弾き終えると、エレキのGibsonに持ち替えていた。

「そろそろ、花火の時間かしらねーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
恋人と来てる人いますかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そうそう、怒られちゃうけど。私の弟も彼女ときていまーーーーーーーーーす
次は、最初の頃に歌ってた歌でーーーーーーーーーす
【恋人たちのKiss】【打ち上げ花火】【Kiss Kiss Kiss】いくよーーーーー」

もう、麗奈は絶好調だった。
イントロ・間奏では、中々中央に戻ってこなかった。
メンバーは麗奈のアレンジに合わせて演奏をしていた。
【打ち上げ花火】のイントロが始まると、ステージ裏から花火が上がっていた。
花火は、次の曲の時まで続いていた。
歌い終わると、手の汗や首をタオルで拭いて水を飲んでいた。

「みんなーーーーーーーーー  楽しんでますかーーーーーーーーーーーーーーーーー
私達は楽しいですよーーーーーーーーーーーーーーーーー
まだまだ、明日もお祭りありますからねーーーーーーーーーーーーーーー
夏の良い思い出を作ってくださいねーーーーーーーーーーーーーーー」

麗奈のマイクパフォーマンスと18曲でライブは終了した。
今回は2時間ライブなので、終演は9時だったが。

前の組とかの時間が押していて、9時半に終わった。

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