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第二章 南へ
49.いいこと
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問い詰めていくうち、とうとう男は不夜島への誘いは嘘であると吐いた。
男は下っ端のため、詳しいことは知らされていないが、目ぼしい男娼を集めていたのだという。そのため、不夜島という嘘を持ち出したのだと語った。
しかしミゼアスには、まだ男が本当のことを言っているようには思えなかった。
「うん、不夜島が嘘だっていうのはわかった。で、目ぼしい男娼を集めていたっていうのは本当? じゃあ、どういう条件で探していたのかな?」
ミゼアスは椅子の上から、床に足を畳んで座る男に問いかける。火かき棒で軽く床を打つと、男がびくっと身をすくませた。
「いや、その……」
落ち着きなく、視線をさまよわせる男。しかし男の周りには、ミゼアス以外にはフィオンとユアンしかいない。三つの椅子の上から見下ろされているのだ。
「……あんたは、命じられて仕方なくやっただけだよね? あんたが悪いんじゃないんだ。わかっているよ」
懐柔するように優しく声をかけ、ミゼアスは微笑みかける。
男はおそるおそるといった様子でミゼアスを見上げ、すがるような目を向けてくる。
「だから、教えてくれないかな? そうだね……教えてくれたら、僕からお礼をしちゃおうかな」
「お礼?」
「うん、とってもいいお礼」
目を細め、淫靡な笑みを口元に浮かべてみせる。男がごくりと喉を鳴らす音が響いた。
「え、えっと……その……」
迷いを見せるが、男はミゼアスから視線をはずせないままだった。
ミゼアスはもう一押しとばかり、顔を傾かせて流し目を送る。すると男の目が見開かれ、最後の迷いも崩れ去ったようだ。
「じ、実は……」
ミゼアスを見つめたまま、男は上擦った声で語り始めた。
男が語った内容によれば、本当に狙っていたのはフィオンではなく、ユアンだったという。
赤味がかった金髪の子を捕まえて来いという命令だったそうだ。しかし、誰が何故そうやって集めているのかまでは知らないという。
それと見た目の良い少年は稼ぎ手になるので、フィオンもついでにどこかの娼館に売り払うつもりだったそうだ。一挙両得を狙ったというわけである。
今度は嘘を言っていないとミゼアスには思えた。男はミゼアスからの『お礼』に期待を寄せているのがありありとうかがえる。
「ユアンを……この野郎!」
話の最中はおとなしくしていたフィオンだったが、とうとう我慢しきれなくなったらしい。激昂して立ち上がり、男に殴りかからんばかりの勢いで叫ぶ。
あわてた様子でユアンがフィオンに駆け寄り、動きを止めようとする。
「落ち着いて。礼をするって言ったんだから、乱暴はだめだよ」
「兄ちゃん、落ち着いて」
ミゼアスが言葉で制すると、フィオンは拳を握り締めて男を睨みつけた。ユアンがフィオンにしがみついて、なだめようとする。
「じゃあ、お礼をしなきゃね。ねえ、縄と袋……なかったら布でもいいや。持ってきてもらえるかな」
怒りを抑えきれない様子のフィオンと、それをなだめるユアンに向け、ミゼアスは頼みごとをする。すると訝しげな視線が向けられた。フィオンも思わず怒りを忘れたように、ミゼアスを眺めている。
「……何をするの?」
「とってもいいこと」
顔をしかめたフィオンの問いかけに、ミゼアスは薄く笑みを浮かべて答えた。
男は下っ端のため、詳しいことは知らされていないが、目ぼしい男娼を集めていたのだという。そのため、不夜島という嘘を持ち出したのだと語った。
しかしミゼアスには、まだ男が本当のことを言っているようには思えなかった。
「うん、不夜島が嘘だっていうのはわかった。で、目ぼしい男娼を集めていたっていうのは本当? じゃあ、どういう条件で探していたのかな?」
ミゼアスは椅子の上から、床に足を畳んで座る男に問いかける。火かき棒で軽く床を打つと、男がびくっと身をすくませた。
「いや、その……」
落ち着きなく、視線をさまよわせる男。しかし男の周りには、ミゼアス以外にはフィオンとユアンしかいない。三つの椅子の上から見下ろされているのだ。
「……あんたは、命じられて仕方なくやっただけだよね? あんたが悪いんじゃないんだ。わかっているよ」
懐柔するように優しく声をかけ、ミゼアスは微笑みかける。
男はおそるおそるといった様子でミゼアスを見上げ、すがるような目を向けてくる。
「だから、教えてくれないかな? そうだね……教えてくれたら、僕からお礼をしちゃおうかな」
「お礼?」
「うん、とってもいいお礼」
目を細め、淫靡な笑みを口元に浮かべてみせる。男がごくりと喉を鳴らす音が響いた。
「え、えっと……その……」
迷いを見せるが、男はミゼアスから視線をはずせないままだった。
ミゼアスはもう一押しとばかり、顔を傾かせて流し目を送る。すると男の目が見開かれ、最後の迷いも崩れ去ったようだ。
「じ、実は……」
ミゼアスを見つめたまま、男は上擦った声で語り始めた。
男が語った内容によれば、本当に狙っていたのはフィオンではなく、ユアンだったという。
赤味がかった金髪の子を捕まえて来いという命令だったそうだ。しかし、誰が何故そうやって集めているのかまでは知らないという。
それと見た目の良い少年は稼ぎ手になるので、フィオンもついでにどこかの娼館に売り払うつもりだったそうだ。一挙両得を狙ったというわけである。
今度は嘘を言っていないとミゼアスには思えた。男はミゼアスからの『お礼』に期待を寄せているのがありありとうかがえる。
「ユアンを……この野郎!」
話の最中はおとなしくしていたフィオンだったが、とうとう我慢しきれなくなったらしい。激昂して立ち上がり、男に殴りかからんばかりの勢いで叫ぶ。
あわてた様子でユアンがフィオンに駆け寄り、動きを止めようとする。
「落ち着いて。礼をするって言ったんだから、乱暴はだめだよ」
「兄ちゃん、落ち着いて」
ミゼアスが言葉で制すると、フィオンは拳を握り締めて男を睨みつけた。ユアンがフィオンにしがみついて、なだめようとする。
「じゃあ、お礼をしなきゃね。ねえ、縄と袋……なかったら布でもいいや。持ってきてもらえるかな」
怒りを抑えきれない様子のフィオンと、それをなだめるユアンに向け、ミゼアスは頼みごとをする。すると訝しげな視線が向けられた。フィオンも思わず怒りを忘れたように、ミゼアスを眺めている。
「……何をするの?」
「とってもいいこと」
顔をしかめたフィオンの問いかけに、ミゼアスは薄く笑みを浮かべて答えた。
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