僕はおよめさん!

四葉 翠花

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第三章 巡り会い

119.ヴァレン登場

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「ジェスさん、お久しぶりですー!」

 沈み込んだこの家の空気にふさわしからぬ、明るい声が響く。
 アデルジェスはまだ夢の続きを見ているのだろうかと立ち尽くしながら、手を振る人物の姿を呆然と見つめた。
 そこにいたのは、不夜島にいるはずのヴァレンだ。つい先ほど、鳩に手紙を託して送った相手でもある。

 不夜島の花は島を出ることは許されないはずなのに、何故ここにいるのだろうか。
 やはりこれは夢なのだろうかと、アデルジェスは頬をつねってみる。
 痛かった。

「ヴァレン……本物? どうしてここに……?」

 もしかしたら、ミゼアスのように島を出たのだろうか。
 アデルジェスはヴァレンの手の甲に目を向けてみるが、そこには四花の証である四つの花が刻まれていた。
 島を出ようとすると、巨大亀に食い殺されるのではなかっただろうか。状況がさっぱり理解できず、アデルジェスはただヴァレンを見つめることしかできなかった。

「まあまあ、俺のことは後回しにして。まずは、ミゼアス兄さんのことです」

「そ……そうだ。何か方法が!?」

 ヴァレンの言葉でアデルジェスははっと我に返り、ヴァレンに詰め寄る。
 今はミゼアスのことが一番大切なのだ。ヴァレンに関する疑問は置いておくことにして、アデルジェスはヴァレンにすがるような眼差しを向ける。

「まずはミゼアス兄さんを見せてもらえますか?」

 ヴァレンの言葉にマリオンが頷き、三人でミゼアスの眠る寝室へと向かった。
 寝台の上で眠り続けるミゼアスはそのままで、目を覚ます気配はない。
 ヴァレンは寝台に近づくと、ミゼアスの顔色を確かめて何かを呟いていた。そっとミゼアスの頬を撫でて顔を上げると、ヴァレンはアデルジェスとマリオンに向き直る。

「原因と対処法を不夜島の領主様から聞いてきました。ミゼアス兄さんを助ける方法があります。それはジェスさんにしかできません」

「ど、どうすればいい!?」

 ミゼアスを助ける方法がある。何よりの知らせに胸を高鳴らせながら、アデルジェスはヴァレンの言葉の続きを待つ。
 次の言葉はないままヴァレンは小瓶を取り出し、アデルジェスに差し出した。アデルジェスは受け取るが、中にはさらさらとした液体が入っているだけだ。

「これが薬?」

「そうですね。これをミゼアス兄さんに使ってください」

「飲ませればいい? それとも塗るの?」

「塗るほうですね」

「どこに塗ればいい? 額? 心臓のあたり? それとも……」

 外傷はなかったはずだが、どこに塗ればよいのだろうか。アデルジェスは思いつく部位を次々とあげていくが、ヴァレンは首を横に振った。

「ミゼアス兄さんのいやらしい穴に、たっぷりと」
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