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アデルジェスの不幸 1
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アデルジェスはただひとつのことを除き、幸福だった。
つい最近までアデルジェスは兵士として働いていたが、職を失った。だが、その代わりに最も愛しい存在を手に入れたのだ。職など、他にいくらでも探せる。これは問題ない。
「ジェス」
最も愛しい存在が、無邪気な笑顔を浮かべてアデルジェスを見上げてくる。その笑顔を見ると、アデルジェスの心は満たされた。
この国一番の高級娼館である不夜島にて、白花の第一位として君臨していたミゼアス。ひょんなことからアデルジェスは島に行くことになり、そこで出会って恋に落ちた。
たった数日間の夢かと思い悩んだが、ミゼアスは贅沢な暮らしも高価な品もすべて捨てて、アデルジェスについてきてくれた。今は手を伸ばせばいつでも触れられるところにいる。
しかもミゼアスは、実は幼い頃に結婚の約束までした幼馴染でもあったのだ。二重の意味で愛しい存在を手に入れることができ、アデルジェスはこの世に自分ほど幸福な者はいないと思う。ひとつのことを除いては。
アデルジェスはミゼアスを抱きしめ、唇を重ねた。どちらからもとなく舌を絡め、求め合う。腕の中の存在が愛しくてたまらない。身体の中心に熱が集まるのを感じる。
ややあって唇を離すと、ミゼアスがとろんと潤んだ目でアデルジェスを見上げ、優しげに微笑んだ。
「じゃあ、おやすみ」
そう言って、ミゼアスは寝具にくるまる。
ぽつんと寝台の上に一人取り残されるアデルジェス。すぐ側にはミゼアスがいるはずなのに、孤独感がひどくわきあがってきた。
つい最近までアデルジェスは兵士として働いていたが、職を失った。だが、その代わりに最も愛しい存在を手に入れたのだ。職など、他にいくらでも探せる。これは問題ない。
「ジェス」
最も愛しい存在が、無邪気な笑顔を浮かべてアデルジェスを見上げてくる。その笑顔を見ると、アデルジェスの心は満たされた。
この国一番の高級娼館である不夜島にて、白花の第一位として君臨していたミゼアス。ひょんなことからアデルジェスは島に行くことになり、そこで出会って恋に落ちた。
たった数日間の夢かと思い悩んだが、ミゼアスは贅沢な暮らしも高価な品もすべて捨てて、アデルジェスについてきてくれた。今は手を伸ばせばいつでも触れられるところにいる。
しかもミゼアスは、実は幼い頃に結婚の約束までした幼馴染でもあったのだ。二重の意味で愛しい存在を手に入れることができ、アデルジェスはこの世に自分ほど幸福な者はいないと思う。ひとつのことを除いては。
アデルジェスはミゼアスを抱きしめ、唇を重ねた。どちらからもとなく舌を絡め、求め合う。腕の中の存在が愛しくてたまらない。身体の中心に熱が集まるのを感じる。
ややあって唇を離すと、ミゼアスがとろんと潤んだ目でアデルジェスを見上げ、優しげに微笑んだ。
「じゃあ、おやすみ」
そう言って、ミゼアスは寝具にくるまる。
ぽつんと寝台の上に一人取り残されるアデルジェス。すぐ側にはミゼアスがいるはずなのに、孤独感がひどくわきあがってきた。
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