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アデルジェスの不幸 2
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「いや……あの、ミゼアス……?」
「何?」
戸惑いながら声をかけると、ミゼアスが不思議そうにアデルジェスを見た。
「その……今日で島を出てから三日目だよね」
「うん、お風呂に入りたい」
「……それはもう少し大きな町に行くまで、我慢してもらえるかな」
この街道沿いの小さな宿屋には浴室などついていない。近くに共同浴場はあるのだが、島を出る直前にお互い痕を盛大につけあったせいで、恥ずかしくて行くことができないのだ。浴室付きの宿屋は、もっと大きな町に行かなければないと言われた。
風呂好きのミゼアスには耐え難い状況のようだった。桶に水を張って身体を拭いてはいるが、それだけでは満足できないらしい。
「うん……僕、頑張るよ……」
頼りなげな声でミゼアスは呟く。思わず抱きしめたくなる愛らしさだった。しかし、そうではないのだ。
「えっと……それで、島を出てからまだ一度もしていないわけだけれど……」
「だって、お風呂に入っていないもの」
当たり前のようにミゼアスは答える。
「いや、お風呂に入らなくてもできるよね」
「できないよ。無理」
きっぱりと言い切られ、アデルジェスは怯んでしまう。ここまで当然のごとく言われてしまうと、世の中はそういうものなのだろうかと思えてくる。
「……たまっているんだったら、口でするよ?」
首を傾げてミゼアスが問いかけてくる。
「い、いや、それはいいよ。俺はミゼアスの中に入りたいんだ。ミゼアスのいやらしい顔が見たい」
「恥ずかしいからだめ」
またも拒絶され、アデルジェスは頭を抱える。島であれほど淫らな姿を見せていたのは、いったい何だったのだろう。
「お風呂に入ってから、いっぱいしようね。じゃあ、おやすみ」
起き上がってアデルジェスの頬に口づけると、ミゼアスはまたころんと横になってしまった。ややあって、穏やかな寝息が聞こえてくる。
「何?」
戸惑いながら声をかけると、ミゼアスが不思議そうにアデルジェスを見た。
「その……今日で島を出てから三日目だよね」
「うん、お風呂に入りたい」
「……それはもう少し大きな町に行くまで、我慢してもらえるかな」
この街道沿いの小さな宿屋には浴室などついていない。近くに共同浴場はあるのだが、島を出る直前にお互い痕を盛大につけあったせいで、恥ずかしくて行くことができないのだ。浴室付きの宿屋は、もっと大きな町に行かなければないと言われた。
風呂好きのミゼアスには耐え難い状況のようだった。桶に水を張って身体を拭いてはいるが、それだけでは満足できないらしい。
「うん……僕、頑張るよ……」
頼りなげな声でミゼアスは呟く。思わず抱きしめたくなる愛らしさだった。しかし、そうではないのだ。
「えっと……それで、島を出てからまだ一度もしていないわけだけれど……」
「だって、お風呂に入っていないもの」
当たり前のようにミゼアスは答える。
「いや、お風呂に入らなくてもできるよね」
「できないよ。無理」
きっぱりと言い切られ、アデルジェスは怯んでしまう。ここまで当然のごとく言われてしまうと、世の中はそういうものなのだろうかと思えてくる。
「……たまっているんだったら、口でするよ?」
首を傾げてミゼアスが問いかけてくる。
「い、いや、それはいいよ。俺はミゼアスの中に入りたいんだ。ミゼアスのいやらしい顔が見たい」
「恥ずかしいからだめ」
またも拒絶され、アデルジェスは頭を抱える。島であれほど淫らな姿を見せていたのは、いったい何だったのだろう。
「お風呂に入ってから、いっぱいしようね。じゃあ、おやすみ」
起き上がってアデルジェスの頬に口づけると、ミゼアスはまたころんと横になってしまった。ややあって、穏やかな寝息が聞こえてくる。
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