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嘘~ミゼアスと見習い三人衆+不審者~
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「ねえ、何か嘘をついてみて?」
唐突なミゼアスの言葉に、アルン、ブラム、コリンの三人は首を傾げて顔を見合わせる。
不思議そうな顔ではあったが、何か問い返すこともせずに考えているようだった。
「……この間食べた、蜜蜂亭のお菓子は好みじゃありませんでした。もう食べたくありません」
ややって、一番年長のアルンが口を開く。
「僕は、焼き菓子が好きじゃありません」
間をおかず、ブラムが続いた。
「じゃあ、僕は砂糖菓子が好きじゃありません」
最後にコリン。
三人とも、じっとミゼアスを見つめている。彼らの眼差しには、明らかな期待があった。ミゼアスは口元に苦笑が浮かび上がってくるのを感じる。
「……買い物に行こうか。きみたちは本当に食いしん坊だねぇ」
乾いた笑いと共に吐き出したミゼアスの言葉に、三人が歓声をあげた。
「俺は、ミゼアス兄さんがお仕置きをあきらめないことを願っています」
三人の歓声がおさまった頃、やけにきっぱりとした声が響く。
「……どこから現れたんだい、ヴァレン」
「普通に奥の戸棚から」
「……それは普通じゃないだろう。何をしていたんだい」
「ミゼアス兄さんを待っていたら眠たくなったので、驚かせないようにと思って、隠れてみました」
「……戸棚で寝ていたほうが驚くよ。長椅子にでも寝ていればよかっただろう」
ミゼアスは本格的なため息を漏らす。相変わらず、ヴァレンはおかしい。見れば、見習いたちも呆然としているようだ。
「ああ、お仕置きをあきらめないことを願っているんだったね。よし、わかった。任せなよ。戸棚に潜んでいたことへのお仕置きをしてあげよう」
「ちょっ……嘘をつけって言っていたじゃないですか。そのとおりにしただけなのに」
「きみに向けては言っていないよ。……ああ、きみたち。きみたちはいい子だから大丈夫だろうけれど、こんなことをしてはいけないからね」
笑顔をはりつけてミゼアスが見習いたちに声をかけると、三人そろって『はーい』と返事をする。何とも素直で愛らしく、心が洗われるようだ。
ミゼアスはそっと逃げようとしているヴァレンの腕をつかみ、見習いたちの返事に頷いた。
唐突なミゼアスの言葉に、アルン、ブラム、コリンの三人は首を傾げて顔を見合わせる。
不思議そうな顔ではあったが、何か問い返すこともせずに考えているようだった。
「……この間食べた、蜜蜂亭のお菓子は好みじゃありませんでした。もう食べたくありません」
ややって、一番年長のアルンが口を開く。
「僕は、焼き菓子が好きじゃありません」
間をおかず、ブラムが続いた。
「じゃあ、僕は砂糖菓子が好きじゃありません」
最後にコリン。
三人とも、じっとミゼアスを見つめている。彼らの眼差しには、明らかな期待があった。ミゼアスは口元に苦笑が浮かび上がってくるのを感じる。
「……買い物に行こうか。きみたちは本当に食いしん坊だねぇ」
乾いた笑いと共に吐き出したミゼアスの言葉に、三人が歓声をあげた。
「俺は、ミゼアス兄さんがお仕置きをあきらめないことを願っています」
三人の歓声がおさまった頃、やけにきっぱりとした声が響く。
「……どこから現れたんだい、ヴァレン」
「普通に奥の戸棚から」
「……それは普通じゃないだろう。何をしていたんだい」
「ミゼアス兄さんを待っていたら眠たくなったので、驚かせないようにと思って、隠れてみました」
「……戸棚で寝ていたほうが驚くよ。長椅子にでも寝ていればよかっただろう」
ミゼアスは本格的なため息を漏らす。相変わらず、ヴァレンはおかしい。見れば、見習いたちも呆然としているようだ。
「ああ、お仕置きをあきらめないことを願っているんだったね。よし、わかった。任せなよ。戸棚に潜んでいたことへのお仕置きをしてあげよう」
「ちょっ……嘘をつけって言っていたじゃないですか。そのとおりにしただけなのに」
「きみに向けては言っていないよ。……ああ、きみたち。きみたちはいい子だから大丈夫だろうけれど、こんなことをしてはいけないからね」
笑顔をはりつけてミゼアスが見習いたちに声をかけると、三人そろって『はーい』と返事をする。何とも素直で愛らしく、心が洗われるようだ。
ミゼアスはそっと逃げようとしているヴァレンの腕をつかみ、見習いたちの返事に頷いた。
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