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46.穏やかな日常
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怒涛のごとく押し寄せてきた波は、徐々に引いて行き、穏やかな日常が戻り始めてきた。
ガルトは例の客とお互いに想い合っていたことがわかり、とんとん拍子に身請け話が進んでいった。
例の客は貴族だが家督を継ぐ立場にはないのだとか何とかで、とにかく身請けすることに問題はないらしい。囲い者としてではなく、共に生きていくそうだ。
二人そろって、改めてミゼアスのところに謝罪にも来た。
本当に花月琴の音が好きなだけなのだが、そのせいでガルトには不安な思いをさせてしまい、ミゼアスにも迷惑をかけたと客は謝った。
それに対し、ガルトが悪いのは自分だと言えば、客はそうではなく自分のせいだと言い始める。
はっきり言って、のろけにしか聞こえない。迷惑だ。さっさと追い出した。
ネヴィルはまだぎこちないところもあるが、自分を変えようと頑張っているようだ。ガルトが島を去った後はミゼアスが再び自分付きとして迎え入れようかとも思ったのだが、手が足りないという白花が他にいて、そちら付きになることになった。
ヴァレンを巡ってエアイールと対立しているという噂もあったが、実際には突拍子もない行動をするヴァレンの歯止め役として協力しあってもいるらしい。
この三角関係は、それなりにうまくやっているようだ。
マリオンは静かに島を去った。別れを告げた日から、結局一度も会うことはなかった。
ヴァレンに砂糖菓子を渡した客は出入り禁止を言い渡され、本人もすんなりと受け入れた。あの事件は公にはならず、ひっそりと処理されたことになる。
最後にほんのわずか、贈り物をしておいたのだが届いただろうか。知る術はないが、マリオンには新しい幸せを見つけてほしいとミゼアスは願う。
ヴァレンの奇行は相変わらず、止まらない。
いつの間にか、ミゼアスは十五歳の誕生日を迎えていた。
ガルトもマリオンも島を去った今、名実共にミゼアスがこの館の頂点に立ったことになる。もう、ミゼアスに逆らう者もいない。
「ミゼアス、誕生日おめでとう」
誕生日には、ミゼアスにとって一番の馴染み客であるウインシェルド侯爵がやってきた。毎年、誕生日はウインシェルド侯爵がやってきて、祝ってくれるのだ。
「ここのところ来られなかったが、元気そうで安心したよ。ヴァレン、きみも元気そうで何よりだ。お土産をあげよう」
ウインシェルド侯爵はヴァレンに焼き菓子の入った袋を渡す。
「うわー、ありがとうございます!」
満面の笑みでヴァレンは礼を言う。袋の重みに満足げだ。
ガルトは例の客とお互いに想い合っていたことがわかり、とんとん拍子に身請け話が進んでいった。
例の客は貴族だが家督を継ぐ立場にはないのだとか何とかで、とにかく身請けすることに問題はないらしい。囲い者としてではなく、共に生きていくそうだ。
二人そろって、改めてミゼアスのところに謝罪にも来た。
本当に花月琴の音が好きなだけなのだが、そのせいでガルトには不安な思いをさせてしまい、ミゼアスにも迷惑をかけたと客は謝った。
それに対し、ガルトが悪いのは自分だと言えば、客はそうではなく自分のせいだと言い始める。
はっきり言って、のろけにしか聞こえない。迷惑だ。さっさと追い出した。
ネヴィルはまだぎこちないところもあるが、自分を変えようと頑張っているようだ。ガルトが島を去った後はミゼアスが再び自分付きとして迎え入れようかとも思ったのだが、手が足りないという白花が他にいて、そちら付きになることになった。
ヴァレンを巡ってエアイールと対立しているという噂もあったが、実際には突拍子もない行動をするヴァレンの歯止め役として協力しあってもいるらしい。
この三角関係は、それなりにうまくやっているようだ。
マリオンは静かに島を去った。別れを告げた日から、結局一度も会うことはなかった。
ヴァレンに砂糖菓子を渡した客は出入り禁止を言い渡され、本人もすんなりと受け入れた。あの事件は公にはならず、ひっそりと処理されたことになる。
最後にほんのわずか、贈り物をしておいたのだが届いただろうか。知る術はないが、マリオンには新しい幸せを見つけてほしいとミゼアスは願う。
ヴァレンの奇行は相変わらず、止まらない。
いつの間にか、ミゼアスは十五歳の誕生日を迎えていた。
ガルトもマリオンも島を去った今、名実共にミゼアスがこの館の頂点に立ったことになる。もう、ミゼアスに逆らう者もいない。
「ミゼアス、誕生日おめでとう」
誕生日には、ミゼアスにとって一番の馴染み客であるウインシェルド侯爵がやってきた。毎年、誕生日はウインシェルド侯爵がやってきて、祝ってくれるのだ。
「ここのところ来られなかったが、元気そうで安心したよ。ヴァレン、きみも元気そうで何よりだ。お土産をあげよう」
ウインシェルド侯爵はヴァレンに焼き菓子の入った袋を渡す。
「うわー、ありがとうございます!」
満面の笑みでヴァレンは礼を言う。袋の重みに満足げだ。
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