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後日談
きみに会えた1
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ミゼアスは夢を見ているような気分だった。
幼い頃に想いを寄せ、売られてきてからずっと心の支えにしてきた幼馴染が今、同じ島にいるのだ。
六年前に大病を患ったとき、死の淵で幼馴染に会えたと思った。
いつか会えるから待っていてくれと言われたような気がして、ずっとそれを信じて待ってきた。
待って、待って、ひたすら待ち続けた。あれはただの夢で、自分の思い込みに過ぎないのではと何度思ったことだろう。
それが、とうとう夢が現実となったのだ。
今日の昼間、名前だけ聞かされていた『アデルジェス』が島にやってくるという船を見に行った。
一目でわかった。
幼い頃の面影が残っていたのだ。成長したらこうなっているのではと心の慰めに考えていた姿そのものだった。
だが表向きはウインシェルド侯爵を出迎えにいったことにしていたので、すぐにその場でどうこうはできなかった。いったん戻ってからウインシェルド侯爵に頼み込み、彼の見張り役を代わってもらえることになったのだ。
もう嬉しくて仕方がない。見張り交代の知らせのため、ミゼアスは直接ネリーのところに向かおうとしていた。
赤花の区画に行くので、目立たないように女装もしている。
髪を結い上げて女物の長衣を纏い、薄化粧までしていた。
手の甲にはこの島でも二人しか持ち得ない、五つの花と蝶の模様が刻まれているので、レースの手袋で隠す。
そっと外に出ようとすると、ヴァレンに会った。
ヴァレンは一瞬、驚いたように目を見開いたが、すぐにミゼアスだとわかったらしく、にっこりと笑う。
「お出かけですか? おめかししちゃって。中身がミゼアス兄さんなのがもったいないくらい、綺麗ですね」
「……どういう意味だい、それ」
やや憮然とミゼアスは返す。
「まあまあ、それよりも監視対象がやってきたようですね」
しかしヴァレンはさらりとかわし、別の話題を持ち出した。
「……そうだね」
「俺は明日、明後日と忙しいんですよ。明後日なんて昼から客が入っちゃって。夜にも予約が入っているから、二人続けてですよ」
「昼からなんて珍しいね。二人続けてなんて、大変じゃないのかい」
ヴァレンは四花だ。一日に複数の客を取る必要などない。他の日に変更してもらうよう要求する権利だってあるのだ。
幼い頃に想いを寄せ、売られてきてからずっと心の支えにしてきた幼馴染が今、同じ島にいるのだ。
六年前に大病を患ったとき、死の淵で幼馴染に会えたと思った。
いつか会えるから待っていてくれと言われたような気がして、ずっとそれを信じて待ってきた。
待って、待って、ひたすら待ち続けた。あれはただの夢で、自分の思い込みに過ぎないのではと何度思ったことだろう。
それが、とうとう夢が現実となったのだ。
今日の昼間、名前だけ聞かされていた『アデルジェス』が島にやってくるという船を見に行った。
一目でわかった。
幼い頃の面影が残っていたのだ。成長したらこうなっているのではと心の慰めに考えていた姿そのものだった。
だが表向きはウインシェルド侯爵を出迎えにいったことにしていたので、すぐにその場でどうこうはできなかった。いったん戻ってからウインシェルド侯爵に頼み込み、彼の見張り役を代わってもらえることになったのだ。
もう嬉しくて仕方がない。見張り交代の知らせのため、ミゼアスは直接ネリーのところに向かおうとしていた。
赤花の区画に行くので、目立たないように女装もしている。
髪を結い上げて女物の長衣を纏い、薄化粧までしていた。
手の甲にはこの島でも二人しか持ち得ない、五つの花と蝶の模様が刻まれているので、レースの手袋で隠す。
そっと外に出ようとすると、ヴァレンに会った。
ヴァレンは一瞬、驚いたように目を見開いたが、すぐにミゼアスだとわかったらしく、にっこりと笑う。
「お出かけですか? おめかししちゃって。中身がミゼアス兄さんなのがもったいないくらい、綺麗ですね」
「……どういう意味だい、それ」
やや憮然とミゼアスは返す。
「まあまあ、それよりも監視対象がやってきたようですね」
しかしヴァレンはさらりとかわし、別の話題を持ち出した。
「……そうだね」
「俺は明日、明後日と忙しいんですよ。明後日なんて昼から客が入っちゃって。夜にも予約が入っているから、二人続けてですよ」
「昼からなんて珍しいね。二人続けてなんて、大変じゃないのかい」
ヴァレンは四花だ。一日に複数の客を取る必要などない。他の日に変更してもらうよう要求する権利だってあるのだ。
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