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後日談
きみに会えた5
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翌朝、ヴァレンがエアイールからの手紙を持ってきた。
少し煽っておいたので、素晴らしい夜を過ごせたことかと思うと書いてあって、つい破り捨てたくなってしまった。
しかし後半には監視対象者への接触を試みようとしている者についての話があり、真剣に読んだ。フェリスがアデルジェスを狙っているというのだ。そのことについて直接話したいとあった。
アデルジェスを連れて指定された場所に向かうと、エアイールがいた。アデルジェスには聞かせられない話だったので、彼には先に広場に向かってもらう。
「……きみ、ちょっと煽りすぎだよ。僕は強姦されかかったんだ」
「おや、あの方にそれほどの行動力がありましたか」
「ふざけないでくれ。とにかく、フェリスについて聞かせてもらうよ」
「あなたも結構せっかちですねぇ。まあ、お望みどおりお話ししますよ……」
くすり、と笑ってエアイールは話し始める。
この子も小さい頃は可愛げがあったのに、いつの間にか捻じ曲がってしまったものだと、ミゼアスはこっそりため息を漏らした。
信じられない。
アデルジェスはのこのことフェリスに付いていき、密室で二人きりになっていたのだ。フェリスが飲ませようとしていた薬は取り上げたが、アデルジェスはミゼアスのことがよくわかっていない様子だった。
側についていたかったが、そうもいかない。エアイールにも促され、ミゼアスは仕方なくフェリスの件についての処理に向かった。
急いで片付けて部屋に戻ると、アデルジェスは普段と同じ様子になっていた。ミゼアスは胸を撫で下ろす。
それから、アデルジェスは『フェイ』に対する懺悔をした。目の前に本人がいるというのに、まったく気付いていない。
これほどアデルジェスも気にかけていてくれたことが、嬉しかった。しかも、初恋の相手だとまで言ったのだ。歓喜でおかしくなりそうだった。
一緒に逃げようと言い出すアデルジェスに、泣きたくなった。だが、今度はミゼアスが断る番だった。五花として、逃げるわけにはいかない。
すでに借金を返し終わった身ではあるのだが、ミゼアスは島に拘束され続けている。今まで身請けの話も数多くあった。ミゼアス自身そのような話を受ける気はなかったが、中にはしつこい相手もいた。そういった相手は島側からもきっぱりと断られたようだった。
ミゼアスを島から出さないようにしているのだろう。理由はわからないが、そうとしか考えられなかった。
これまでは島でアデルジェスを待つつもりだったので、それでも構わなかった。しかし、当の相手が現れたのだ。アデルジェスが島に残れないというのなら、自分が付いていきたい。
おそるおそる尋ねてみると、アデルジェスはミゼアスのことをもらってくれると約束してくれた。涙が出そうなくらい、嬉しかった。
もう、迷いはない。どれほどの困難を伴うことになろうと、島を出て行く。
――きみを追っていく。今度こそ、約束は破らない。
少し煽っておいたので、素晴らしい夜を過ごせたことかと思うと書いてあって、つい破り捨てたくなってしまった。
しかし後半には監視対象者への接触を試みようとしている者についての話があり、真剣に読んだ。フェリスがアデルジェスを狙っているというのだ。そのことについて直接話したいとあった。
アデルジェスを連れて指定された場所に向かうと、エアイールがいた。アデルジェスには聞かせられない話だったので、彼には先に広場に向かってもらう。
「……きみ、ちょっと煽りすぎだよ。僕は強姦されかかったんだ」
「おや、あの方にそれほどの行動力がありましたか」
「ふざけないでくれ。とにかく、フェリスについて聞かせてもらうよ」
「あなたも結構せっかちですねぇ。まあ、お望みどおりお話ししますよ……」
くすり、と笑ってエアイールは話し始める。
この子も小さい頃は可愛げがあったのに、いつの間にか捻じ曲がってしまったものだと、ミゼアスはこっそりため息を漏らした。
信じられない。
アデルジェスはのこのことフェリスに付いていき、密室で二人きりになっていたのだ。フェリスが飲ませようとしていた薬は取り上げたが、アデルジェスはミゼアスのことがよくわかっていない様子だった。
側についていたかったが、そうもいかない。エアイールにも促され、ミゼアスは仕方なくフェリスの件についての処理に向かった。
急いで片付けて部屋に戻ると、アデルジェスは普段と同じ様子になっていた。ミゼアスは胸を撫で下ろす。
それから、アデルジェスは『フェイ』に対する懺悔をした。目の前に本人がいるというのに、まったく気付いていない。
これほどアデルジェスも気にかけていてくれたことが、嬉しかった。しかも、初恋の相手だとまで言ったのだ。歓喜でおかしくなりそうだった。
一緒に逃げようと言い出すアデルジェスに、泣きたくなった。だが、今度はミゼアスが断る番だった。五花として、逃げるわけにはいかない。
すでに借金を返し終わった身ではあるのだが、ミゼアスは島に拘束され続けている。今まで身請けの話も数多くあった。ミゼアス自身そのような話を受ける気はなかったが、中にはしつこい相手もいた。そういった相手は島側からもきっぱりと断られたようだった。
ミゼアスを島から出さないようにしているのだろう。理由はわからないが、そうとしか考えられなかった。
これまでは島でアデルジェスを待つつもりだったので、それでも構わなかった。しかし、当の相手が現れたのだ。アデルジェスが島に残れないというのなら、自分が付いていきたい。
おそるおそる尋ねてみると、アデルジェスはミゼアスのことをもらってくれると約束してくれた。涙が出そうなくらい、嬉しかった。
もう、迷いはない。どれほどの困難を伴うことになろうと、島を出て行く。
――きみを追っていく。今度こそ、約束は破らない。
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