◯と△

私は私の財布を盗みたい（横読み推奨）

一人の男が森に迷い込んだ。
男は長時間歩いた疲れと空腹で、木にもたれて座り込んだ。
男は思った。
（このまま私は、孤独と恐怖の中で死んでしまうのか…）
そして男はそのま意識を失った。

初めに男の存在に気付いたのは、この森に住んでいる犬だった。鋭い嗅覚で、この森にいつもと違う匂いを感知したのだ。
犬が恐る恐る近づき、顔のあたりの匂いを嗅ごうとした時、男が意識を取り戻し薄眼を開けた。犬は恐怖を感じ、咄嗟に距離を空けると「ガルルルル…」と、臨戦態勢に入った。
男は弱々しく「助けてくれ…」と言った。どうやらこの男が死にそうであることに気付くと、犬は臨戦態勢をやめ、逆になんとか助けてやらねばという気になった。そこで友達である猿とキジにこのことを相談した。

三匹が相談した結果、手分けして食べ物を取って来て、この男に与えようという話になった。
犬は自慢の嗅覚でキノコやタケノコや野草をたくさん取って来た。
猿は木に登り、木の実や果物をたくさん取って来た。
キジは空から獲物を探したが、この日に限っては何も見つからなかった。
何も食べ物を取ってこなかったキジに対して、他の二匹は非難した。自分たちが一生懸命働いている最中、キジだけ怠けていたんじゃないかと疑いまでかけた。
仕方なく、またキジは食べ物を探しに出かけた。しかし、やはり今日は食べ物を見つけることができない。諦めかけたそのとき、キジは名案を思いついた。

「うっはw漏れ天才www」

そうしてキジは枯れた枝や葉っぱをたくさん集めて、人間の前に積み上げた。キジは得意げに言った。

「これにwww火wWをwwつけてみwwwwww」

男が火をつけると、キジは火に飛び込んだ。
キジは、人間が鳥の肉を食べることを知っていたので、自ら火に飛び込んだのだ。
キジは火の中でもがき苦しみながら思った。
（え？！何これ！？？？熱いんだけど！！！？？何？！何って火じゃん？！火ってヤバいじゃん？！wwwあっつ！！マジ熱い！ヤベェwこれ死ぬんじゃね？www俺アホスwwwwww）
キジはかなりの天然だった。
この惨劇に全員が目を丸くして驚いた。
ハッとした人間が急いで土をかけて消火したが、時すでに遅し、キジは美味しそうな焼き鳥になってしまっていた。

犬と猿は思った
（自分達が非難し過ぎて、キジを追い込んだ結果だ…）
人間は思った
（このキジは神の使いに違いない…）