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野花怪異談集全100話
54話「コラボ怪異談『空鬼嫁』」
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※この作話は魔剣者シャンペトルブーケの物語のコラボ怪異談として作られた怪異談です。
「1」
人だかりができるとある商店街。
夕方遅い時間帯に女将が1人切り盛りする居酒屋はそこそこ盛り上がりを見せる。
そこに彼女のファンである1人彼梅田虫男もそんな1人である。
「女将~。もう一本お願いするよ」
「まぁまぁ。虫男さん飲み過ぎですよ」
酒の催促にも関わらず女将は構わず酒を注ぐ。
その注いだ酒をグイと飲み干す虫男は漢気をみせてアピールしたいが女将に全て無視されてる。
「うひゃあ。んまい。もう一杯注いでくれよ」
「ダメですよ。虫男さんたら」
「いいじゃんか~うぃー」
虫男はお酒を注いでくれと頼むが女将は空気を読んで止めた。
そこに鬼の般若の顔をしたこわ~い和服を着た白粉を身につけた少女が立っていたから……。
その後、虫男はその少女にきついお仕置きされたのは言うまでもなかった。
「ごめんね楓ちゃん」
「いえ、お構いなく」
女将はほうじ茶を一杯楓にお出しする。
虫男の帰りに遅く心配した楓がわざわざ出迎えに来てくれた。
高校生の楓は魅力的な女性は出ているが虫男にとっては女性として見ていないのかそれが彼女にとって許さない。
そんな虫男の心境はお通夜の状態で正座させられているのは楓による制裁だった。
「そういえばそろそろよね。怪異談語りも」
「はい。お母様は誰にも負けませんから」
怪異談語りとは、石山県で古く数百年続くモノであり、見事に優勝すれば石山県の全統治権限を委ねられるモノである。今は八木家が全統治権が委ねているが8年ごとに開催され次の統治権限を巡って争われるのである。
次期当主である楓も例外なくお家柄のために怪異談語りをやるのである。
「楓ちゃん。もしよかったら怪異談披露してくれない?」
「はい。私もそのつもりで来ましたから」
と、楓は女将に怪異談を披露するには自分の成長ぶりを見てもらうためである。
そう、女将は楓の師匠でもあったから。
彼女の名はーー。
「2」
土砂降りが降る雨の中、仕事終わりに僕は近く古本屋で雨宿りした。
「あー。思い切り降ってるなー」
僕は当然雨宿りする中、雨傘を所持してなかった。
僕はこのままやり過ごそうと踏んでいたが丁度いいタイミングに彼女がやって来る。
「あなた」
赤い傘を差しながらゆったりと突然現れてきた彼女は僕のワイフだ。
彼女は僕の事情を察して空気を読んで現れてどこでも駆けつけてくれるから助かってるのだ。
「ああ、リサ。助かったよ。やはり君は最高の妻だよ」
「ありがとう」
この日に限っては雨に濡れず早めに帰宅することができた。
休日、僕はトイレにこもっていたが丁度、トイレットペーパーを切らしていた。
困ったな~と思っていたら、トイレの窓から開けられてそこに妻がいた。
「はい。あなた」
「……ああ。たすかるよ」
丁度、妻は空気を読んで切れたトイレットペーパーを渡してくれた。
やはり空気を読んでくれるのは助かるが少し構いすぎないかと不安になった。
次の日も妻は空気を読んでくれる。このままずっと空気を読んでくれると思っていた。でもある日の境に妻は亡くなった。
僕はある日会社を突然辞めて引きこもりになった。
もう全て何もかも嫌になっていた。
「あなた」
そんなときに彼女は空気を読んで現れてくれる。
そんな優しく励ましてくれる彼女は僕の癒しだった。
少し頑張っていこうと思った。
「僕と結婚してください」
「はい!喜んで」
僕は新しい彼女と結婚の申し込みしてようやく結婚することになった。
「あなた。おめでとう」
と、僕の背後に元妻が現れて祝福する。
その後、しばらくすると空気を読んで消えていなくなった。
僕はいなくなったリサの分のためにも幸せになろうと思った。
そして、現在でもリサはごくたまに空気を読んで僕の枕元に立って睨み続けている。
「3」
「じゃあ。師匠私達この辺で」
「はーい。また気軽に立ち寄ってらっしゃいな」
楓達を見送った後、店のノボリを片付ける。
彼女の名前は飛村安雲。
彼女もまた怪異談語りをする家柄。
しかし、彼女は八木家が石山県の全統治権限を取ると家の当主の座を降りて居酒屋を開いた。
彼女自身も怪異談語りを1、2の座を争う八木美月の座を争った女傑でもあった。
現在の彼女は次期当主達の怪異談語りの師範を行っている。
当然、楓の他にもライバルである彼女もいた。
そんな安雲自身も石山県の次期未来当主にほのかな期待を寄せていたかもしれない。
空鬼嫁 完
出演登場人物
八木楓
梅田虫男
永木桜
野花手鞠
星田星夏
夢見亜華葉
黒木あかね
鳥河大軌
八木瑠奈
紙野だいご
その他、多数
彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせる
作:野花まり♂
「1」
人だかりができるとある商店街。
夕方遅い時間帯に女将が1人切り盛りする居酒屋はそこそこ盛り上がりを見せる。
そこに彼女のファンである1人彼梅田虫男もそんな1人である。
「女将~。もう一本お願いするよ」
「まぁまぁ。虫男さん飲み過ぎですよ」
酒の催促にも関わらず女将は構わず酒を注ぐ。
その注いだ酒をグイと飲み干す虫男は漢気をみせてアピールしたいが女将に全て無視されてる。
「うひゃあ。んまい。もう一杯注いでくれよ」
「ダメですよ。虫男さんたら」
「いいじゃんか~うぃー」
虫男はお酒を注いでくれと頼むが女将は空気を読んで止めた。
そこに鬼の般若の顔をしたこわ~い和服を着た白粉を身につけた少女が立っていたから……。
その後、虫男はその少女にきついお仕置きされたのは言うまでもなかった。
「ごめんね楓ちゃん」
「いえ、お構いなく」
女将はほうじ茶を一杯楓にお出しする。
虫男の帰りに遅く心配した楓がわざわざ出迎えに来てくれた。
高校生の楓は魅力的な女性は出ているが虫男にとっては女性として見ていないのかそれが彼女にとって許さない。
そんな虫男の心境はお通夜の状態で正座させられているのは楓による制裁だった。
「そういえばそろそろよね。怪異談語りも」
「はい。お母様は誰にも負けませんから」
怪異談語りとは、石山県で古く数百年続くモノであり、見事に優勝すれば石山県の全統治権限を委ねられるモノである。今は八木家が全統治権が委ねているが8年ごとに開催され次の統治権限を巡って争われるのである。
次期当主である楓も例外なくお家柄のために怪異談語りをやるのである。
「楓ちゃん。もしよかったら怪異談披露してくれない?」
「はい。私もそのつもりで来ましたから」
と、楓は女将に怪異談を披露するには自分の成長ぶりを見てもらうためである。
そう、女将は楓の師匠でもあったから。
彼女の名はーー。
「2」
土砂降りが降る雨の中、仕事終わりに僕は近く古本屋で雨宿りした。
「あー。思い切り降ってるなー」
僕は当然雨宿りする中、雨傘を所持してなかった。
僕はこのままやり過ごそうと踏んでいたが丁度いいタイミングに彼女がやって来る。
「あなた」
赤い傘を差しながらゆったりと突然現れてきた彼女は僕のワイフだ。
彼女は僕の事情を察して空気を読んで現れてどこでも駆けつけてくれるから助かってるのだ。
「ああ、リサ。助かったよ。やはり君は最高の妻だよ」
「ありがとう」
この日に限っては雨に濡れず早めに帰宅することができた。
休日、僕はトイレにこもっていたが丁度、トイレットペーパーを切らしていた。
困ったな~と思っていたら、トイレの窓から開けられてそこに妻がいた。
「はい。あなた」
「……ああ。たすかるよ」
丁度、妻は空気を読んで切れたトイレットペーパーを渡してくれた。
やはり空気を読んでくれるのは助かるが少し構いすぎないかと不安になった。
次の日も妻は空気を読んでくれる。このままずっと空気を読んでくれると思っていた。でもある日の境に妻は亡くなった。
僕はある日会社を突然辞めて引きこもりになった。
もう全て何もかも嫌になっていた。
「あなた」
そんなときに彼女は空気を読んで現れてくれる。
そんな優しく励ましてくれる彼女は僕の癒しだった。
少し頑張っていこうと思った。
「僕と結婚してください」
「はい!喜んで」
僕は新しい彼女と結婚の申し込みしてようやく結婚することになった。
「あなた。おめでとう」
と、僕の背後に元妻が現れて祝福する。
その後、しばらくすると空気を読んで消えていなくなった。
僕はいなくなったリサの分のためにも幸せになろうと思った。
そして、現在でもリサはごくたまに空気を読んで僕の枕元に立って睨み続けている。
「3」
「じゃあ。師匠私達この辺で」
「はーい。また気軽に立ち寄ってらっしゃいな」
楓達を見送った後、店のノボリを片付ける。
彼女の名前は飛村安雲。
彼女もまた怪異談語りをする家柄。
しかし、彼女は八木家が石山県の全統治権限を取ると家の当主の座を降りて居酒屋を開いた。
彼女自身も怪異談語りを1、2の座を争う八木美月の座を争った女傑でもあった。
現在の彼女は次期当主達の怪異談語りの師範を行っている。
当然、楓の他にもライバルである彼女もいた。
そんな安雲自身も石山県の次期未来当主にほのかな期待を寄せていたかもしれない。
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出演登場人物
八木楓
梅田虫男
永木桜
野花手鞠
星田星夏
夢見亜華葉
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