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野花怪異談N⑥巻【完結】

70話「鳥河大軌、〇〇やめました」

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「1」

 ーー八木家ーー

 夏休み8月。
 早朝の休日、目を覚ました楓は洗面台で洗顔する。
 乾いたタオルで顔を拭く時にあるモノが目につく。

「……」

 それは年頃の乙女にはかかせない身体の重さを測るモノだった。
 しかし先月から大丈夫だろうとアレコレ飲み食いしてヤギプリンやレア地図ケーキをたくさん食べた。
 楓の考えでは少し増えてるのも計算のうちである。
 そこで楓は興味本意でそれに乗り測ってみた。

「……!?」

 まさかまさかと思いながら何度も測ってみる。
 見間違いではなかった。
 かなり増えていたのだ。
 アレが……。

「おっす。ん?どうかしたか?」

 そこに空気を読めない居候の草虫男がやってきた。
 彼はそこで空気読めない無視発言する。

「おまえ、最近ぽっちゃりしてるな?あはははは……!?」

 楓から凄まじい険しい表情しながら虫男を睨みつけて彼女はある決断をする。
 楓は部屋に戻り、スポーツジャージに着替えて玄関先に向かいシューズを履き、早朝ジョギングしに向かった。
 一方虫男は事態に飲み込めない眠気取りに洗顔をした。

 ーーーーーーー。

 夏蝉が鳴り響く住宅街道。
 そこにランニングする楓は少しでも体重落とそうとやや坂の上に走り込む。
 ちょうど十字路の交差点の左折付近の野花公園にベンチで座る目にかける人物がいた。

 (たーちゃん……?)

 楓の近所の幼なじみ男子生徒鳥河大軌がいた。
 楓はジョギングを中断して大軌のそば近くまで向かった。

「2」

「大軌!」
 楓の呼びかけにベンチに座っていた大軌は気づき手を振って反応した。
「よう。かーちゃん」
 彼は先程走り込みしていたのか少し汗をかいていた。
「こんなところに鉢合わせて珍しいわね」
「ははは。久しぶり楓も走り込む姿いつ以来かな。そういえばおまえぽっちゃりしてきたな。ははは!?」
 と、楓の両眼が一瞬紅く光る。
「……何か言ったかしら?」
「なんでもありません!!」
「……まぁ、いいわ。そう言えばあなた、いくつか習い事を辞めてるて聞いたけど。どうしてなの?」
 すると、大軌は少し深呼吸して口を開いた。
「……俺さぁ。モテるのやめようかなぁと思ってるんだ。なんだかバカらしくてさ」
「……そう」
「ま、一応それだけじゃないんだけどな。アレがあるからな……聞きたいか?」
 すると楓は黙ってうなずき大軌の語る話を聞いた。


 ーー鳥河大軌の部屋ーー

「24……25……26……」

 彼は毎日スクワットや腕立て伏せなどをこなしてムシ肉体鍛えるの欠かさず忘れない。
 これらはすべて女性にモテるためだった。
 しかし、最近いろいろと手広くやっておりマンネリ気味である。
 彼は無視肉体を鍛えるの中断してある決断する。
「やめるか……」
 彼はいくつか〇〇を辞めることに決めた。

「3」

 ーー野花高校ボクシング部ーー

「よし!そこだ!!」
 焼畑コーチのスパークリングに部員は熱が入る。
 そこそこ活気が溢れているボクシングジムだがそこに鳥河大軌がやってくる。

「お?大軌か明日練習試合だから、おまえも参加しろ」
 大軌は複雑そうに否定した。
「すみませんコーチ。俺ボクシングやめます」
 大軌はそのまま退部届けを焼畑コーチに渡してそのまま退室した。
「ま、待ってくれ!?おまえがいないと……」
 焼畑コーチはなんとか部に引き止めようとしたが彼の意思は固かった。
 そして部はそのまま廃部となった。
 廃部となった部室は閉鎖されて誰も入ることはかなわなかった。

「4」

 ーー野花塾センター室ーー

 ここでは受験に対して力を入れてる塾である。
 熱心な講師からのアドバイスにより生徒たちも真面目に取り組む。
 ちょうどそこに大軌が現れた。
「大軌君。よく来てくれたね。明日からテストあるからその復習をしよう」
 そこでまた大軌は複雑そうに断った。
「すみません。俺本日かぎりで塾やめたいです。今月分の月謝代は支払いますので……」
 と、講師に月謝代の封筒渡すとそのまま退室した。
「待ちたまえ!?大軌君!!」
 講師の静止を振り切り、彼はそのままどこかへ去った。
 彼が抜けた塾の建物は取り壊されて空き地となった。

 ーー野花高校3年B組クラスーー

 初夏の暑いジメジメとした季節。
 俺はいくつか習い事や部活を辞めていった。
 その余った時間はただ何もやることはなく、受験やネットゲームに当てた。
 しかし、なぜかぽっかりとした心の穴が開いたような気もしなくなった。
「大軌?呼んでるわよ。後輩の野球部員達が」
 亜華葉からの言伝で俺は野球部の部員達と応対する。
「すみません!!鳥河先輩お願いです。野球部に戻ってきてください!!」
 俺は深いため息吐いた。
「……他を当たれよ。俺は全部投げ出したからな」
 と、野球部員はそれでもめげずに土下座して俺を嘆願する。
「来週、選抜試合なんです。1試合参加するだけでもいいです!!お願いします!!」
 野球部員は深々と頭を下げた。
「……」
「ねぇ?1試合だけでもいいじゃない。あなたも最後くらいけじめつけなさいよ」
「わかったよ」
 亜華葉に言われた俺は観念して承諾した。

 ーー野花高校グランド場ーー

「お願いします!」
 選抜試合の対戦相手は鐘技高校である。
 そして俺は観客席で見守っている。
 そこで観客席に青白い人達を見かけると、

「ムシ」

 消す係である。
 そう俺は無視家であり、この世のなざなるモノ達をムシして消し去るのだ。

「あ、ここもムシ」

 ちなみに俺は万年補欠である。

 ーーーーーー。

「というわけだからさ。俺は無視になりたくてやめたのさ」

「ふふふ。まるで先生になってみたのねたーちゃん」

「……そうかもな。あのさ」

「なに?」

「俺、付き合うことにしたよ。あーちゃんと」

「え?え?えー!?おめでとう!!いつからいつからいつから!?」

「お、おい。先週からさ」

「ふふふ。お二人とも幸せにね」

 しばらく、私たちは談笑した後、私はそのままジョギングを再開して帰宅した。

「5」

「ただいま」
 楓はそのまま帰宅すると、虫男はシャワーを浴びていた。
 そこで虫男の部屋から話声がしたのでこっそりと中に入るが誰もいなかった。
 楓はキノセイかなと立ち去ろうとした時に見慣れない小説があることに目をかける。
「……野花?」
 ふと、手にした小説がたまたま楓の中に突き刺さり、その小説を借りて拝借して読むことにした。
 そして、彼女の周囲には両眼のない人達が溢れるようになった。

 鳥河大軌、〇〇やめました  完
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