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第十二話 殺し合い

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第十二話  殺し合い
AIGUSの結成は明らかにICAを意識しているものだが、安全保障への干渉と捉えられ、批判されることを恐れた結果、ICAは慎重姿勢でコメントをしない方針をとった。

グルリ諸島第四次侵攻の標的に選ばれたのはバビミアだがバビミアはアマゾンが8割以上を占めていて、ゲリラ戦になる可能性は必須だ。

俺は強襲揚陸艦の中で静かに目を閉じながら戦闘の様子をイメージしていた。
(ドローン攻撃で制圧できない状態で海賊対処活動しか実戦経験がない俺らが勝てるわけがない。ICAも無茶言いやがる。数の暴力ってやつか、、、笑えるな、、、俺達は捨て駒か?)

「まぁここまで来て言えるセリフじゃないけどな。」
すると  ガコンッ
8隻の強襲揚陸艦は海岸に到着し、ハッチが開く。今回はいつもと違って昼間での作戦行動だ。
俺はディップと味方と共にジャングルの中へと足を踏み入れる。一応サーマルスキャナーは持ってきてはいるが、、、
「夜中に行われた無人偵察機のサーモセンサーにはアマゾンで何も引っ掛からなかったみたいだからな。」
「じゃあ、アマゾンには誰も潜んでねぇってことか。」
「いやそうじゃないだろう、、、、」と俺は訂正しようとするが
「伏せろおおおおおお」
大きな声が前方の味方から告げられる。
すると前列の味方のうち数人が吹き飛び、その兵の腕が降ってくる。
するといきなり鉛弾が飛んでくる。
ダダダダダ ダダ ダダダ
「どこからの攻撃だ!」
「9時の方向です!」
俺達はその方向に向けて射撃を開始する。が
「隊長!8時の方向にも敵!!」
その瞬間それを告げた兵が銃弾を顔に受け、倒れる。
「チッ、挟まれたか。ディップ!俺とお前で8時の奴らを片付けるぞ。」
「アイよ!」
銃を手に転がりながら移動し、木の陰まで移動する。
木に弾が当たり、木屑が跳ねる。
そして銃撃がやんだ隙にこちらも応戦する。
「ディップ!見えたぞ。あそこの右の一番でかい木の根本にいる!!」
俺は隣の木にいるディップに伝える。
「あぁ見えたぜ!」
「いけるか?」
「あたぼうよ。」
ディップはグレネード(20ミリ炸裂弾)を装填し、照準を合わせる。
「喰らえぇえ」
勢いよく発射されたグレネードは見事に大木の敵の近くに着弾し、敵を薙ぎ払う。
「やったな。ライム!」
「まだ喜ぶのは早い、、、、最初の敵が残ってる。」
俺達は振り返って仲間の応援に駆け寄る。
後ろではグレネードの衝撃で木に亀裂が入った大木が、ミシミシとゆっくり音を立てながら、
倒れていった。



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