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第1話 戸川くんとはじめての告白
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「あの、えっと、実はあの、私、戸川くんの事が好きみたいなんです。もしよければ私とお付き合いとか……をしてみたりするのはどうでしょうか?」
人生ではじめての告白。
何日も告白する言葉を考えて、何回も何回も頭の中で練習したのにいざ告白するぞとなった途端、用意していた台詞が全て吹っ飛び自分が何を言ってるのか分からなくなってる。
(何だよ好きみたいなんですって!はっきりと「好きです。私と付き合ってください」と言いたかったのに!私のバカバカ!)
心の中で自分に文句を言いつつ、照れと恐怖と焦りと色々な感情が混じって眼の前がもやもやとぼやけてくる。心臓の音が耳の奥でどくんどくん鳴り響いていて、まともに戸川くんの顔を見る事も出来ない。
告白の言葉を口にしてどれくらい経っただろう、10秒なのか1分なのかもう自分では時間の感覚が全く無く、段々泣きそうになって来た時、戸川くんがちょっと驚いたような口調で、でも明るく軽快に答えてくれた。
「えっ?僕?僕なんかで良いの?」
「えっ、あ、はい。戸川くんの事が好きです。良ければ彼氏になって欲しいです」
下を向いてずっと地面を見つめていた頭を上げ、戸川くんの顔を見上げる。今度ははっきりと好きと伝える事が出来た。はっきりと彼氏になって欲しいと伝える事が出来た。
私より頭ひとつ分程背が高い戸川くん。
私の身長が156cmなので多分170cmくらいかな。黒髪でちょっとぼさっとしてて格好はいつも地味。
周りの女友達はサークルの先輩だったり陽キャな同級生に興味津々な様子だけど、同じ大学の学部と言う以外全く接点が無い、いつも地味で静かに授業を受けている戸川くんの事を私はいつの間にか大好きになってしまった。
「鈴音さん、だよね。余りお話した事ないけど僕なんかでいいの?特に背が高い訳でも格好が良い訳でもないけれど」
「はい。宜しければ私とお付き合いしてください」
そう言って再び頭を下げる。
戸川くんはうーんと顎に手を当てて少し考えた後
「一つだけ確認したいんだけど、鈴音さんは僕のどこが良くて好きになってくれたの?」
と優しく、そして真っ直ぐな目で私に問いかけて来た。
「戸川くんは覚えていないかもしれないけど、私何回か助けて貰ってるんですよ。それで凄く優しい人だなぁって」
「えっ?僕、鈴音さんを助けた事なんてあったっけ?それも何回も?
「はい。最初は大学に入ってすぐの学部懇親会、半年くらい前かな?ちょっと派手目の男の子に絡まれれた時に間に入って助けてくれて」
「ん~……あ、神谷君の事か。あったねそんな事。彼、きっと大学入って最初の集まりでテンション上がっちゃったんだろうね。今は落ち着いてそんなでもないけれど。でも特に助けたつもりはないなぁ」
「あと私が腹痛で苦しんでいた時、お薬くれたり」
「あー、はいはい。授業中、鈴音さんが青い顔してお腹おさえて唸ってるのがたまたま目に入ったので休み時間に持っていた痛み止めを分けただけだよ」
「その時、『あっ懇親会の時に助けてくれた人だ』と思ってお礼したかったんだけどお腹痛くてそこまで気が回らなくて。お薬も『月のお客様?大変だよね重い人は。良かったら使って』と言ってくれて。女の子って基本男の子に生理関連の話をされるのは嫌なんだけど戸川くんに言われても何故か全然嫌じゃなくて」
「あ、そかそかごめんデリカシー無かったかな。でもどう見ても生理痛っぽかったし特に何も考えずにお薬渡しちゃったよ」
「ううん全然。何か凄い自然で全く嫌な感じも無くお薬もらえたよ。あの日の午後にどうしても外せない必修授業があったから本当に助かったよ」
外見地味で余り女性関係に明るくなさそうな戸川くんが何故あんなにも自然に振る舞えるのか不思議でそこから戸川くんの事を目で追いかけるようになった。
そして戸川くんを見てると実は誰に対しても些細な事まで気を使う人だって事が分かった。私はいつの間にか戸川くんの事が大好きになってしまっていた。
「戸川くんは自分の外見の事を言うけど、私は戸川くんの外見も含めて好き。気になって戸川くんの事をずっと見ていたけどどんな人にも優しく接してるところも好き」
下を向いてそっか、とぼそっと呟いた戸川くんは私の目を真っ直ぐ見て
「告白してくれてありがとう。真っ直ぐな気持ち、とても嬉しいよ。でも鈴音さんは『本当の僕』を知らない。もしかしたら鈴音さんを失望させてしまうかもしれない。それでも僕と付き合いたいと思ってくれる?」
「はい。私は戸川くんの彼女になりたいです。そしてもっと戸川くんの事を知りたいです」
私は心の底からそう思った。男の人と付き合った経験なんて無いから正直恋愛がどう言った物なのか全くわからない。
でも何があっても戸川くんの事を好きでいられると思っている。
じっと私を見つめていた戸川くんはニコッと笑って
「ありがとう。好きになってくれて。僕も鈴音さんの事をもっと知りたいと思ったよ。よろしくね」
そう言って優しく抱きしめられた。
とても自然に。当たり前のように。そして大切な物を扱うように優しく頬にキスをされた。左手は腰に、右手は優しく後頭部を撫でてくれている。
余りの心地良さに私は自然と涙が出てきた。この世にこんな幸せな感情があるとは思っても見なかった。充足感、幸福感、言葉では言い表わす事が出来ない暖かい気持ち。そんな気持ちで私は満たされていった。
私は戸川くんが初めての彼氏。
大学に入るまでの18年間、今までまともな恋愛もして来なかった。
だから気が付きもしなかった。
普通の男の子は、女の子が絡まれているのをスマートに解決する事なんて出来ない。
普通の男の子は、生理痛で苦しんでる女の子に何の不快な感情を抱かせず薬をあげる事なんて出来ない。そもそも生理の事なんて知らない。
普通の男の子は、告白して来た女の子に何の恐怖感も与えずに腰を抱き頭を撫で頬にキスをする事なんて出来ない。
戸川くんは普通ではなかった。
戸川くんは地味ではなかった。
戸川くんは物凄く女性にモテていた過去を持つワケありの元遊び人だった。
この物語は、そんな元遊び人の戸川くんに泣かされる可哀想な恋愛初心者の女の子のお話
ではなく
そんな元遊び人の戸川くんに翻弄されつつも溺愛されて幸せになる恋愛初心者の女の子のお話
人生ではじめての告白。
何日も告白する言葉を考えて、何回も何回も頭の中で練習したのにいざ告白するぞとなった途端、用意していた台詞が全て吹っ飛び自分が何を言ってるのか分からなくなってる。
(何だよ好きみたいなんですって!はっきりと「好きです。私と付き合ってください」と言いたかったのに!私のバカバカ!)
心の中で自分に文句を言いつつ、照れと恐怖と焦りと色々な感情が混じって眼の前がもやもやとぼやけてくる。心臓の音が耳の奥でどくんどくん鳴り響いていて、まともに戸川くんの顔を見る事も出来ない。
告白の言葉を口にしてどれくらい経っただろう、10秒なのか1分なのかもう自分では時間の感覚が全く無く、段々泣きそうになって来た時、戸川くんがちょっと驚いたような口調で、でも明るく軽快に答えてくれた。
「えっ?僕?僕なんかで良いの?」
「えっ、あ、はい。戸川くんの事が好きです。良ければ彼氏になって欲しいです」
下を向いてずっと地面を見つめていた頭を上げ、戸川くんの顔を見上げる。今度ははっきりと好きと伝える事が出来た。はっきりと彼氏になって欲しいと伝える事が出来た。
私より頭ひとつ分程背が高い戸川くん。
私の身長が156cmなので多分170cmくらいかな。黒髪でちょっとぼさっとしてて格好はいつも地味。
周りの女友達はサークルの先輩だったり陽キャな同級生に興味津々な様子だけど、同じ大学の学部と言う以外全く接点が無い、いつも地味で静かに授業を受けている戸川くんの事を私はいつの間にか大好きになってしまった。
「鈴音さん、だよね。余りお話した事ないけど僕なんかでいいの?特に背が高い訳でも格好が良い訳でもないけれど」
「はい。宜しければ私とお付き合いしてください」
そう言って再び頭を下げる。
戸川くんはうーんと顎に手を当てて少し考えた後
「一つだけ確認したいんだけど、鈴音さんは僕のどこが良くて好きになってくれたの?」
と優しく、そして真っ直ぐな目で私に問いかけて来た。
「戸川くんは覚えていないかもしれないけど、私何回か助けて貰ってるんですよ。それで凄く優しい人だなぁって」
「えっ?僕、鈴音さんを助けた事なんてあったっけ?それも何回も?
「はい。最初は大学に入ってすぐの学部懇親会、半年くらい前かな?ちょっと派手目の男の子に絡まれれた時に間に入って助けてくれて」
「ん~……あ、神谷君の事か。あったねそんな事。彼、きっと大学入って最初の集まりでテンション上がっちゃったんだろうね。今は落ち着いてそんなでもないけれど。でも特に助けたつもりはないなぁ」
「あと私が腹痛で苦しんでいた時、お薬くれたり」
「あー、はいはい。授業中、鈴音さんが青い顔してお腹おさえて唸ってるのがたまたま目に入ったので休み時間に持っていた痛み止めを分けただけだよ」
「その時、『あっ懇親会の時に助けてくれた人だ』と思ってお礼したかったんだけどお腹痛くてそこまで気が回らなくて。お薬も『月のお客様?大変だよね重い人は。良かったら使って』と言ってくれて。女の子って基本男の子に生理関連の話をされるのは嫌なんだけど戸川くんに言われても何故か全然嫌じゃなくて」
「あ、そかそかごめんデリカシー無かったかな。でもどう見ても生理痛っぽかったし特に何も考えずにお薬渡しちゃったよ」
「ううん全然。何か凄い自然で全く嫌な感じも無くお薬もらえたよ。あの日の午後にどうしても外せない必修授業があったから本当に助かったよ」
外見地味で余り女性関係に明るくなさそうな戸川くんが何故あんなにも自然に振る舞えるのか不思議でそこから戸川くんの事を目で追いかけるようになった。
そして戸川くんを見てると実は誰に対しても些細な事まで気を使う人だって事が分かった。私はいつの間にか戸川くんの事が大好きになってしまっていた。
「戸川くんは自分の外見の事を言うけど、私は戸川くんの外見も含めて好き。気になって戸川くんの事をずっと見ていたけどどんな人にも優しく接してるところも好き」
下を向いてそっか、とぼそっと呟いた戸川くんは私の目を真っ直ぐ見て
「告白してくれてありがとう。真っ直ぐな気持ち、とても嬉しいよ。でも鈴音さんは『本当の僕』を知らない。もしかしたら鈴音さんを失望させてしまうかもしれない。それでも僕と付き合いたいと思ってくれる?」
「はい。私は戸川くんの彼女になりたいです。そしてもっと戸川くんの事を知りたいです」
私は心の底からそう思った。男の人と付き合った経験なんて無いから正直恋愛がどう言った物なのか全くわからない。
でも何があっても戸川くんの事を好きでいられると思っている。
じっと私を見つめていた戸川くんはニコッと笑って
「ありがとう。好きになってくれて。僕も鈴音さんの事をもっと知りたいと思ったよ。よろしくね」
そう言って優しく抱きしめられた。
とても自然に。当たり前のように。そして大切な物を扱うように優しく頬にキスをされた。左手は腰に、右手は優しく後頭部を撫でてくれている。
余りの心地良さに私は自然と涙が出てきた。この世にこんな幸せな感情があるとは思っても見なかった。充足感、幸福感、言葉では言い表わす事が出来ない暖かい気持ち。そんな気持ちで私は満たされていった。
私は戸川くんが初めての彼氏。
大学に入るまでの18年間、今までまともな恋愛もして来なかった。
だから気が付きもしなかった。
普通の男の子は、女の子が絡まれているのをスマートに解決する事なんて出来ない。
普通の男の子は、生理痛で苦しんでる女の子に何の不快な感情を抱かせず薬をあげる事なんて出来ない。そもそも生理の事なんて知らない。
普通の男の子は、告白して来た女の子に何の恐怖感も与えずに腰を抱き頭を撫で頬にキスをする事なんて出来ない。
戸川くんは普通ではなかった。
戸川くんは地味ではなかった。
戸川くんは物凄く女性にモテていた過去を持つワケありの元遊び人だった。
この物語は、そんな元遊び人の戸川くんに泣かされる可哀想な恋愛初心者の女の子のお話
ではなく
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