はじめて出来た地味彼氏の戸川くん、実はワケありの元遊び人だった?

わーくほりっく

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最終話 戸川くんとはじめての……(後編)

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 手を繋いで建物の中に入ったは良いが、どうしていいか分からずオロオロしていると戸川くんが優しく私に問いかけてくれる。


「パッと見る限り満室みたいだけど……鈴音さん予約とかしてあるのかな?」


 流石、クリスマスである。ホテルのロビーは部屋が空くのを待っているのであろうか、人で溢れていた。


そう聞かれ、慌てて答える。


「あっ、うん!一応インターネットで予約してあるけど……あの、どうして良いか分からなくて……」


「そかそか。うん、分かった。予約した名前は鈴音さんの名前かな?」


「うん。私の名前で予約してあるよ」


そう戸川くんに告げる。


「そしたらまずはフロントに行こうか。さ、一緒に行こう」


そう言って手を繋いだままフロントまで歩いて行く。


「すみません、予約した鈴音ですがチェックインの時間ってもう大丈夫ですか?」


 全く臆する事無く、フロントに尋ねる戸川くん。ある意味こう言う所は流石だな……と思ってしまう。


「はい。鈴音様ですね。ご予約承っております。確認の為、こちらに電話番号をお願いします」


そう言ってチェックシートを渡される。


「登録したのは鈴音さんの携帯番号で良い?」


「あっ、うん。私の番号」


それを聞いてスラスラっと私の番号を書き込む戸川くん。


わっ、番号暗記してるんだ、と何故かちょっと嬉しくなってしまう。


「じゃ、こちらで」


戸川くんはチェックシートをフロントに渡す。


「はい。確認できました。こちらお部屋のカードキーとなっております。あちらのエレベーターからお部屋までどうぞ」


と奥のエレベーターを案内される。


「それじゃ行こっか」


私の手を繋ぎ、エレベーターの入り口まで歩いて行く。


「戸川くん、慣れてるなぁ。頼りになるよ」


 と、思わず自然に口にしてしまった後、「あっ別に嫌な意味じゃないからね」と慌てて言い訳をする。


くくくっと戸川くんは笑いを噛み殺し


「今はじめて、昔に色々な事をやらかして来て良かったと思えたよ。鈴音さんに頼りにして貰えるからね」


そうおちゃらけた感じで笑った。


「ぶーっ!」


と言って私は戸川くんの脇をつつく。


少しだけ緊張が解けた私と戸川くんはエレベーターの中に入っていった。



戸川くんがお部屋の扉にカードキーを挿し、「カチャッ」と鍵が開いた。


ドアを開け、戸川くんと手を繋いで中に入っていく。


「うわぁ」


つい思わず、私は声を上げてしまう。


 出来るだけお洒落なホテルを一生懸命選んだとは言え、ラブホテルである。何かこう……いわゆる下品なお部屋を少し想像していたけれど、目の前に広がるお部屋はびっくりするくらい綺麗だった。


「私、あの……こう言う所に来るのはじめてだけど、思った以上にと言うか……結構お洒落なんだね」


独り言の様につぶやいてしまう。


「いや、うん。凄いお洒落なところだね。フロントに着いた時点で思ったけど、鈴音さんここ予約するの、結構高かったでしょう?」


戸川くんは苦笑しながら私に話しかけた。


「いやいや!……あの……戸川くんを誘うんだから……こう言う場所でもちゃんした所を予約しないと、と思って……頑張りました!」


と、答えになっていない様な返答をしてしまう。


「あはは。鈴音さんが頑張ってくれたんだから、お泊りする時は僕も頑張るよ」


そう言って軽くウインクして笑う。


そんな戸川くんの仕草を見てドキッとしてしまう。


 いざ部屋の中に入ってみたものの、これからどうすれば良いか全く分からず固まっている私に戸川くんがゆっくり話しかけた。


「さて、それではひとまずシャワーでも……と言うのがまぁ定石だけれども」


軽く微笑んだ後、少し真面目な表情になる。


「鈴音さん、失礼な話をしてしまうけど……鈴音さんはまだ未経験、はじめてだよね」


それを聞いて私はコクリとうなずく。


「僕は鈴音さんを大切にしている。だから、野暮な事かも知れないけどちゃんと言っておきたいし、その答えをしっかりと聞いておきたい」


「僕がはじめての相手で良いの?」


優しいけれど今までに無いくらい真剣な口調で戸川くんが私に問いかけた。


 そう聞かれ、しばらく下を向いていた私は意を決し顔を上げ、戸川くんの目を真っ直ぐに見る。


「はい。私は……私のはじめては戸川くんが良いです」


 戸川くんは私のその言葉を聞くと、こちらに歩み寄り軽くハグをしてくれる。そして耳元で静かに囁いた。


「ありがとう、鈴音さん。僕の最初は君に上げられないけど……代わりに僕の最後を君にあげるね。君は僕の最後の彼女だよ」


そう言って私に大人のキスをする。


「んっ」


体がビクッとなってしまうが全てを戸川くんに任せる。


どれくらいそうしていただろう、戸川くんがスッと離れる。


「さて!それではお風呂に行かないとね!僕、ちょっと緊張して汗かいちゃったから。汗臭い状態で鈴音さんのはじめてを貰うの悪いからね!」


少しおちゃらけた調子で私の頭をポンポンと叩く。


「どうする一緒に入る?」


いたずらっ子の様な顔をして聞いてくる。


「えー!恥ずかしくて一緒になんか入れないよ!……じゃ、私が先に入る!」


そんな調子の戸川くんにつられてか、私の口調も軽くなる。


「はいはい、いってらっしゃい」


笑いながら戸川くんが手を振る。


「うん。じゃあ行ってくるね!」


 手を振り返してお風呂場に歩いて行く最中、私はふいっと後ろを向き戸川くんに向かって


「覗かないでね!」


と冗談っぽく言う。


戸川くんは暫くキョトンとした後


「あーっはっは!」


と大きな声で笑った。


「はー、笑い過ぎて涙が出ちゃった。覗きたいけど覗きません。安心して入ってきてね!」


そう言ってベットに腰掛けて再び手を振る。


「うん。行ってくるね!」


再びそう言って、私はお風呂場に向かった。







「さて、部屋の照明を暗くしまーす」


 戸川くんが枕元にある照明ボタンを操作して部屋の明かりを落とす。完全に暗くはせず、お互いが分かる程度に部屋が暗くなった。


2人ともシャワーを浴び、今は備え付けのガウンを着てる。


「戸川くんありがとうね」


「ん?何が?」


「多分、私が緊張しているから……少しおちゃらけた雰囲気で場をほぐしてくれてるのかなって」


「あー、うん。それもあるけど、実は僕、元々結構こんな感じだよ。今までは猫被ってたけどね」


そう言ってまたいたずらっ子の様な顔をして笑う。


その顔が私の独占欲を刺激する。


 以前は、その独占欲が嫌で仕方なかった。こんな気持を持つなんて悪い事だ、持つべきでは無い、と。
 しかし今は違う。その独占欲を認める。そして身を任せる。
私は戸川くんの彼女だ。そして戸川くんは私の彼氏だ。


この人は誰にも渡さない》


だからこそ、身も心もこの人に捧げたい。


ベッドに横になって戸川くんにギュッと抱きつき、小さな声で伝えた。


「怜くん、大好きだよ」


戸川くんはいつもの様に私の腰を優しく抱き、頭を優しく撫でながら


「オレも大好きだよ、凛」


そう言って私に優しくキスをした。











朝、目が覚めると既に戸川くんは起きていてじっと私の顔を見ていた。


「おはよ、鈴音さん」


そう言ってニコッと笑う戸川くん。


「わわわわわわわ、おはよう戸川くん!って言うか、いつから私の寝顔見ていたの!?」


「んー、1時間くらい前?」


そう言ってニヤニヤ笑う戸川くん。


「もー!戸川くん、何か性格悪くなってる!」


ぷくっと膨れる私


「あはは、ごめんごめん。本当はついさっきだよ」


そう言って笑いながらチュっと唇にキスをする。


「むぅ。キスで誤魔化そうとしてる」


プリプリしつつも嬉しくなってしまう。


「体の方は大丈夫?辛い所はない?」


優しい口調で私に問いかける。


「うん。お陰様で、と言うか……痛い所も別に無く……」


そう言って昨夜の事を思い出し、赤くなってしまう。


「そ。良かった!」


戸川くんはニコッと笑う。


「戸川くん……上手過ぎるよ……いや私、戸川くん以外の人を知らないけどさ」


チラッと戸川くんの方を見る。


「そう言う風に言ってもらえて……元遊び人だった甲斐ってもんがあります。今は鈴音さんだけ、だけどね!」


そう言って私の頰を指でむにむにする。


「むー!……何か悔しいから……私も色々勉強して頑張って戸川くんを虜にする!」


そう高らかに宣言する。


 あはははは、と戸川くんは笑った後、いつもの静かで、そして優しい声で私に囁いた。


「僕はもう、とっくに君の虜だよ」


そして私に優しくキスをする。



「あ、そうだ」


 戸川くんはベッドから立ち上がり、部屋のソファの上に置いてある自分の鞄から綺麗にラッピングされた小さい箱を取り出し、私にくれる。


「これ、ソーセージ屋さんで渡しそびれたから。はい、クリスマスプレゼント!渡そうと声をかけようとしたら鈴音さんに制されてちゃって。行きたい所がある!って。ラブホだったけど」


そう言って意地悪そうな顔をして笑う。


「もー!やっぱり意地悪になってる!」


戸川くんをえいえいと叩きつつ、ありがたくプレゼントをいただく。


「開けて良い?」


「勿論!」


ラッピングを大切に剥がして箱の中身を開ける。


「わぁ可愛い」


中には黒猫のネックレスが入っており、目には赤い石が入ってる。


「指輪とかだと中々つけるタイミングが難しいでしょ?でもネックレスだったらいつでも付けてくれるかなって。気に入ってくれた?」


「うん。凄い可愛い。今つけていいかな?」


「どうぞどうぞ。あ、それじゃ後ろを向いて。僕が付けてあげるよ」


そう言って戸川くんが後ろからネックレスを付けてくれる。


「似合ってるよ」


戸川くんが微笑む。


「えへへ」


私は戸川くんにギュッと抱きつき、今度は私の方から戸川くんにキスをする。


「あのっ、早速ですが……今後の為に……その……色々練習したいんですがっ」


顔を真赤にしながら戸川くんの顔を見る。


戸川くんはキョトンとした顔をした後、優しく微笑み


「うん。こちらこそ、よろしくね」


と言って私を優しく、静かに倒した。

















 季節は流れすっかり春めいた気候の中、私は大学の校舎の中に入る。
4月になって私は大学2年生に上がり、新入生も入ってきた。
 今日は2年生になって一番最初の登校日で、2年の学部生全員が教室に集まる日でもある。
 教室に入ると目ざとく私を見つけた咲が大きな声で私を呼ぶ。


「おーい!凛!ここー!」


 そう言って私の為に確保してくれていたであろう隣の席を指さし、ここに来いと言うジェスチャーをする。


「おはよー咲!」


そう言って席に着く。


「流石に学年全員が集まると結構な人になるね」


私はぐるっと教室を見渡す。


 普段は名前の50音順で授業が区切られていたり自分で選択した授業で別れていたりして、一堂に会する事は余りない。


 軽く見渡して、いつも戸川くんがいるグループを見つける。
まだ戸川くんは来ていないようである。


「あっらー?ダーリン探してるの?まだ来てないみたいだよ戸川くん」


相変わらず戸川くんの話をする時の咲はニヤニヤ顔である。


「あ、そうだね。朝、駅までお母さんを車で送って行くのでちょっと遅くなるかもとは昨日の電話で言ってたなぁ」


 私がそう言うと、「あらー、変わらず仲睦まじいみたいでよろしゅーございますねぇ」と茶化してくる。


「はいはい。仲良いですよー」


 そう言ってさらっと流す。
咲の茶化しにも大分慣れたもんだ。


「うへぇ、ご馳走様です」


お腹いっぱい、の様な顔をして咲は目を教室全体に移す。


と、その時


「あれ?あれって」


と咲はびっくりした声をだす。


ふと顔をあげると教室全体が若干ザワついている事に気がつく。


「え?あれ誰?」とか「あんな人いたっけ?」


そう言った声が聞こえる。


咲が見る先、そして教室がザワつく原因となっている人を見る。



その人――教室に入ってきた男の子――は真っ直ぐこちらへ歩いて来る。


 ふわっとしてクリクリと柔らかいウェーブが掛かった髪、スラッとした体型に少し緩めの服装を合わせ可愛くも格好良い、そしてクリっとした目は真っ直ぐに私を見ている。
 その男の子は私と咲の前に来て、明るく挨拶をしてくれる。


「おはよう鈴音さん!」


「あ、鈴木さんおはよう!」


「あ!おはよう戸川くん……今日はの戸川くんで来たんだ!」


「うん。新学期だし良いキッカケかなと思って」


ニコッと笑う戸川くん。


「おい、隠れイケメンからイケメンに昇格かよ。どう言った心境の変化だい。それと……『も』って言うなと言っただろ!」


そう言って噛みつく咲。


「あははごめんごめん鈴木さん。次は『も』を外すね」


そう言っていたずらっ子の様に笑う戸川くん。


「んがっ」っと言って若干顔を赤くしてそっぽを向く咲。


(分かる、分かるよ咲。戸川くんのあのいたずらっ子顔で微笑まれるとそうなっちゃうよね)

私は心の中でそうつぶやく。


そんな咲に戸川くんは話しかける。


「ほら僕の彼女、自分が思っている以上に実はモテるからさ。悪い虫が付かないようにちゃんと周りに僕と言う存在をアピールしないとね」


そう言って私を見てニコッと笑う。


「へーへー、ご馳走様。もうお腹いっぱいになり過ぎて、何か出てきそうだわい。さっさと友達の所に行きな」


そう言ってそっぽを向いたまま、手でシッシとする。


「あはは。それじゃあね鈴木さん」


そして私の方を向く。


「それじゃ鈴音さん、また授業後に」


いつもの最高の笑顔を私に向ける。


「うん、またね!」


そう言ってお友達の方へ歩いて行く戸川くんの後ろ姿を見送る。


 ふと、周りに目をやると、戸川くんの姿を何人かの女の子がキャッキャ言いながら見ている。
 男の子は「おっ何だよ大学デビューか?」と茶化している。


 そんな周りの反応を全く気にする事無く、お友達の元へ着いた戸川くんは照れくさそうに話をしている。


 その姿を見ながら、私は鞄の中に大切にしまってある物をそっと取り出す。
 以前、戸川くんと一緒に縁結び神社に行った時、2人で買った対のお守りだ。




これから多分、私は戸川くんからたくさんのはじめてを貰うだろう。


だから私もたくさんのはじめてを、戸川くんに上げたい。


「これからもよろしくね、戸川くん」




 私はそう小さくつぶやいてお守りをキュッと軽く握り、そしてまた鞄の中にそっとしまった。









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