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座る
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私の祖父は体育座りが大嫌いだった。
理由は少し大きくなるまで分からなかった……
じいちゃんはお茶目な人で子供好きだった。
『孫びいき』と言っていい程の溺愛ぶりだった。
戦争体験者で左の太ももには銃創跡がある。
夏になると半ズボン姿にえぐれた傷が目立つ。
「痛くないの?」
幼心に聞くと
「痛くないよ……」
と答える。そっと傷跡に触れようとすると
「アガァッッ!!」(痛ぁッの意味)
と、急に大声で驚かす。
驚かせた後は驚いた孫を横目に豪快に笑う。
「ハーッハッハッハッハッハッ!!」
毎回ビクッとなる絶妙な『間』に毎回驚かされ『笑いあう』までが一括りの変な遊び?をする。
(驚かされる方は毎回悪い事したかと思うのだが……本人は気にしていない)
部屋の角から急に飛び出して驚かしたり……驚かし系が多かったが基本お茶目な人で、豪快な笑い方は外まで響く。歌舞伎の様な笑い声明るい人だった。
そんなじいちゃんは戦争の事を多くは語らない人だった。どんなに聞いてもうまい具合にのらりくらりとはぐらかすのである。
「じいちゃんも、人を撃ったの?」
孫達の真剣なその疑問に生涯答える事はなかった。
「さぁ~?……どうだったかいやぁ~」
いつも『どうだったかな?』と忘れたフリをする。するとばあちゃんがやって来て
「じいちゃんは戦争には行ったけど、すぐ病気したから殆ど戦争には参加してないのよ。恥ずかしいから知らないふりしてるのよ~ふふふっ」
助け舟でいつも真相は分からずじまい……
「なぁ~んだ」
と毎回その話は終了となる。
皆でお茶を飲もうと畳の部屋で座る時、体育座りをする孫を見ると優しいじいちゃんが優しく怒る。
「はぎ(足)立てて座るのは良くない!行儀のわ~さッ。(悪い)正座するか、足伸ばして座れ~」
優しく諭す。
片足立てて座ってもいつも同じ様に
「行儀のわ~さッ!」(行儀の悪いッ!)
と、嫌がるのである。
幼い頃は大人の言う事は絶対だった時代。
じいちゃんに嫌われない様に畳の部屋では体育座りをしない様にしていた。
じいちゃんは大概あぐらを組んで座る。
新聞を読む時は畳に新聞を広げて隅から隅まで読む。が、人にはするなと言う片足を立てた状態で前に屈む姿勢で読んでいた。
じいちゃんに指摘した事はないが、その格好はなんだかモデルさんの様でサマになってカッコ良かった。哀愁漂う雑誌モデルにでもなりそうな雰囲気。
昔の人の割に他の人より身長が高く、手足も長い。少し日本人離れした顔立ちでイケメンだったじいちゃん。
(誰も似なくて残念。)
陽気な人だったが何故か雨の日は縁側の窓辺に立ち、山を見ながら音に鳴らない口笛を「シーシーッ」と鳴らしながら淋しげに揺れていた。
不思議な雰囲気を醸すじいちゃんだった……
あぐらはOK。あぐらから片足立ててもまぁ許そう。(食事の時はNG)体育座りはするな!そんなスタンスだった。
そんなじいちゃん、なぜ体育座りはNGだったかというと中学生に上がる頃にその事実を知った。
昔、塩炊きなどをする時に「ケンムン」が塩釜の近くで体育座りで火に当たりに(暖を取りに)集まって来ていたからだった。
孫達の体育座りは、塩炊き時代に出会ったケンムンを彷彿とさせ不快な気分になるからと静かに語るじいちゃんの目は寂しそうだった。
よほど酷い目に遭ったのだろうと、察する事が出来るのだが……今となって思うのはじいちゃんは実は『人』ではなかったのでは?と思う。
今や「体育座り」は健康に良くないとされ廃止されている学校が増えている。
孫達の健康を守るために、禁止していたのではないかと思う。
大正時代の人にしては手足が長くイケメン。もしかして未来から来た『未来人』だったのかも……その一方で片足を立てて座る姿のじいちゃんはもしかしたら人の姿を借りた『ケンムン』だったのかもしれない……
理由は少し大きくなるまで分からなかった……
じいちゃんはお茶目な人で子供好きだった。
『孫びいき』と言っていい程の溺愛ぶりだった。
戦争体験者で左の太ももには銃創跡がある。
夏になると半ズボン姿にえぐれた傷が目立つ。
「痛くないの?」
幼心に聞くと
「痛くないよ……」
と答える。そっと傷跡に触れようとすると
「アガァッッ!!」(痛ぁッの意味)
と、急に大声で驚かす。
驚かせた後は驚いた孫を横目に豪快に笑う。
「ハーッハッハッハッハッハッ!!」
毎回ビクッとなる絶妙な『間』に毎回驚かされ『笑いあう』までが一括りの変な遊び?をする。
(驚かされる方は毎回悪い事したかと思うのだが……本人は気にしていない)
部屋の角から急に飛び出して驚かしたり……驚かし系が多かったが基本お茶目な人で、豪快な笑い方は外まで響く。歌舞伎の様な笑い声明るい人だった。
そんなじいちゃんは戦争の事を多くは語らない人だった。どんなに聞いてもうまい具合にのらりくらりとはぐらかすのである。
「じいちゃんも、人を撃ったの?」
孫達の真剣なその疑問に生涯答える事はなかった。
「さぁ~?……どうだったかいやぁ~」
いつも『どうだったかな?』と忘れたフリをする。するとばあちゃんがやって来て
「じいちゃんは戦争には行ったけど、すぐ病気したから殆ど戦争には参加してないのよ。恥ずかしいから知らないふりしてるのよ~ふふふっ」
助け舟でいつも真相は分からずじまい……
「なぁ~んだ」
と毎回その話は終了となる。
皆でお茶を飲もうと畳の部屋で座る時、体育座りをする孫を見ると優しいじいちゃんが優しく怒る。
「はぎ(足)立てて座るのは良くない!行儀のわ~さッ。(悪い)正座するか、足伸ばして座れ~」
優しく諭す。
片足立てて座ってもいつも同じ様に
「行儀のわ~さッ!」(行儀の悪いッ!)
と、嫌がるのである。
幼い頃は大人の言う事は絶対だった時代。
じいちゃんに嫌われない様に畳の部屋では体育座りをしない様にしていた。
じいちゃんは大概あぐらを組んで座る。
新聞を読む時は畳に新聞を広げて隅から隅まで読む。が、人にはするなと言う片足を立てた状態で前に屈む姿勢で読んでいた。
じいちゃんに指摘した事はないが、その格好はなんだかモデルさんの様でサマになってカッコ良かった。哀愁漂う雑誌モデルにでもなりそうな雰囲気。
昔の人の割に他の人より身長が高く、手足も長い。少し日本人離れした顔立ちでイケメンだったじいちゃん。
(誰も似なくて残念。)
陽気な人だったが何故か雨の日は縁側の窓辺に立ち、山を見ながら音に鳴らない口笛を「シーシーッ」と鳴らしながら淋しげに揺れていた。
不思議な雰囲気を醸すじいちゃんだった……
あぐらはOK。あぐらから片足立ててもまぁ許そう。(食事の時はNG)体育座りはするな!そんなスタンスだった。
そんなじいちゃん、なぜ体育座りはNGだったかというと中学生に上がる頃にその事実を知った。
昔、塩炊きなどをする時に「ケンムン」が塩釜の近くで体育座りで火に当たりに(暖を取りに)集まって来ていたからだった。
孫達の体育座りは、塩炊き時代に出会ったケンムンを彷彿とさせ不快な気分になるからと静かに語るじいちゃんの目は寂しそうだった。
よほど酷い目に遭ったのだろうと、察する事が出来るのだが……今となって思うのはじいちゃんは実は『人』ではなかったのでは?と思う。
今や「体育座り」は健康に良くないとされ廃止されている学校が増えている。
孫達の健康を守るために、禁止していたのではないかと思う。
大正時代の人にしては手足が長くイケメン。もしかして未来から来た『未来人』だったのかも……その一方で片足を立てて座る姿のじいちゃんはもしかしたら人の姿を借りた『ケンムン』だったのかもしれない……
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