小さな町の不思議・怖い話

みつか

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夢で……

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とある場所ではやってはいけない話。

ある日の墓参り。

先祖の墓場の隣の墓に空き地の墓がある。
ブロック塀で囲われ草だらけの墓場。
空き地の墓場なので、墓石はまだない状態。

その日は、たまたま隣の空き地の墓場に花が咲いていた。
草だらけの空き地、緑と茶色の枯れ草の中に目立つ紫色の花。

草の中に綺麗な紫色の野花が数本。今まで咲いた事無かったのに……。

それを見た母は

「庭に植えたら墓参り用の花になるわ!」

と、何も思わず数本掘り起こして持ち帰り家族に内緒で庭に植えた。

その日の夜。
娘が夢をみた。悪夢だった。

夢の内容はこうだ。

自宅の外に娘は居て、今まさに家の中へ入ろうとしている瞬間。
家の廊下と居間の間で騒ぐ声があり外からそっと覗き見る。

そこには知らない小太りのおじさんが白いタンクトップを着け、薄茶色のズボンを履き大きな包丁を右手に持って廊下から居間に居る母へ包丁を向け何かを言っているところだった。

尋常じゃない状況に、すぐに家に入ろうとするが何故か入るのを止めて冷静に窓の外から眺めている。

耳を澄ますと

「他に家族が居るだろう!!あと3人居るだろ!早く出せ!!隠してるんだろ!」

そう言うと包丁を母へ突き出す。

「私しか居ないが!」

と、廊下へ向かって居間の真ん中から入り口近くへ歩き立ちふさがる。

「嘘ば言うなよ!!知ってるんだからな!早く出せ!!」

凄い剣幕で怒っている。
緊迫した状況の中、娘は道路へ振り返りたまたま遊びに来ていた姉と甥っ子と姪っ子へ

「ここに来るな。早く帰れ!変なおじさん居て危ないから見つからんうちに帰れ。」

と小声で話し、手を振ってシッシッと合図する。

「私の他は居ない!!」

母が怒鳴る。

「いーや!他にも3人居る!!早く出せ!!はやーっく!!」

知らないおじさんも怒鳴り、包丁を小刻みに上下に動かして母を脅している。
このままでは母が刺されてしまう!

そんな風に思いつつ、姉と甥、姪が離れたのを確認し、姉達の安全を確保すると戸を開け家に入る。

そこで目が覚める。
なんとも夢見の悪い事。

朝起きて、母にその夢の内容を話す。

「気持ちのいい夢じゃなかったね~。」

そんな風に話しながら、気になる事が1つ。
なぜ3人だったのか。
夢の中では、母を除くと

【娘】【姉】【甥】【姪】

4人のはず。
この家に住んでいるのは母と父と娘と娘。
どう考えても人数が合わないのである。

『嫌な夢』だった。

娘は普通に「嫌な夢」だったと気にしない事にした。

だが、その日を境に数日間同じ夢を見るようになった。

毎回同じ。

毎回同じ小太りのおじさん、怒る母、外に居る娘と姉と甥と姪。
姉と甥と姪を逃がした後に家に飛び込む。

そこまでをワンセットで夢見て飛び起きるのだが、日に日に母とおじさんの距離が近づいている気がする。

『何かがおかしい』

そう感じた娘は母を問いただす。

「何か持って来てないよね?何処かから!」

『バナナの木』事件?と同じ状態であった。
娘の感は当たっており、母はコソッと自白する。

「あんまり綺麗だったから……庭の端っこに植えたのよ~。ゴメンね。責任もって処分してくる~。」

何とも呑気なものだ。悪気を感じていないのだから……。

庭から花を引き抜きユタ神様から貰った清めの塩をまき

「ごめんなさいね。勝手に取ってしまって。もう、娘の夢に出て来ないでね。」

そう話し、丁寧に処分する。

その日を境に娘の夢に出てくることはなくなった。

とある場所でやってはいけないことそれは祖母からの言い伝え。

『墓場からモノを持ち帰らない事』

それは、墓に「あるもの」を持ち帰ってはいけない。と言うこと。

墓場は死者の眠る場所。
植えてある物、お供えで使っていた備品。
例えお供えで持って行った花が余ったとしても持ち帰るのは『あまりよろしくない』とされていた。
余らない用に持っていくか、全部無理やりでも挿して帰る事が慣例であった。

壊れた備品類は、お墓からそのまま近くのゴミ箱に捨てなさい。

ナニかが付いてくるから。不吉な物を持ち帰る行為。 

「墓から物を持ち帰るのは気持ち悪いから」

と云われていた。

それを知りながら母は禁忌を犯した結果、その墓地の土地に住まう『おじさん』を連れてきてしまっていた。


娘が異変に気づかずにそのまま庭に花を植え続け、夢を見続けていたらその後はどうなっていたのだろうか……

言い伝えを守らないと恐ろしい結末が待っている……という警告だったのかもしれない。

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