小さな町の不思議・怖い話

みつか

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トンネル

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とある場所にトンネルがある。

坂道の頂上にあるトンネル。
平坦な道を山に向かって登り、カーブを曲がってトンネルに入ると出口に向かって下っていく作りのトンネルだった。

出入り口も曲がっているのだがトンネルの中も少しゆるいカーブになったトンネルで入り口から出口が見えない造りだった。

山の中のトンネル歩く人は居ない。それに伴い歩道もない二車線道路の小さなトンネル。

歩道は無いがトンネルの両端には小さな段差があった。

距離はほんの十数メートルなのだが、出口が見えないせいかとても長く感じ電気も少なく暗く不気味な雰囲気のあるトンネルだった。

そんなある日

「女性の幽霊が出る」

と噂が立つようになった。

「昔の戦争で亡くなった血だらけの兵士が出る」

なんて噂も広まっていった。
怖いもの見たさでわざわざ遠回りしてそのトンネルに行く者も出る始末……

だが噂は噂。

そんな噂に飛び付いたのが学生の4人組。
面白がって夜中にそのトンネルを

「車で探索しよう!」

と計画を立てた。女性2人に男性2人。

「トンネルを通って、もし何もなかったらその先の浜で出るって有名な場所まで行こうぜ!」

遊び半分。夜中に落ち合う事に……

夜中に集まった男女。肝試し度胸試しの面白半分車に乗り込む。

目的地のトンネルは集落からだいぶ外れて少し高い山の中。
男女の住む街から約1時間。

目的のトンネル。

カーブを曲がると急に現れる。

壁には苔が生えジメジメとした暗いトンネルで山の中に真っ暗な穴がポッカリ開いた様な入り口。周りは木々に囲まれ街灯も無く、周りも暗い筈なのに山よりもトンネルの中の方が暗い。

トンネル内は数カ所電灯があるにもかかわらずである……

周囲より暗く見える不思議なトンネル。

昼間もだが、夜中となると更に異様な雰囲気を漂わせていた。

トンネルのライトは灯っているが暗く鬱蒼としている。車のライトをつけていても薄暗いのである。
 
「こ、怖いな……」

「ワクワクするよ!何か出るかな?」

「え~!ビビリっ!!」

「よ、よしっ!入るぞ!周りをよく見ててよ!?俺運転に集中するから!」

ゆっくりと車は進む。他の車は通らない真っ暗な道……トンネルに入るとヒンヤリと車内が涼しくなる。

ブーン……

車のエンジン音がトンネル内に響き渡る。
トンネル内の緩いカーブを抜けもう少しで出口……

「何もなかったね!」「良かった~!」
「速く出ようぜ!」

安堵する一行だったが、その時運転手が一気に加速してトンネルを抜ける。

「お、おい!!」

ブォーン!!……


「ど、どうしたんだ?」

後ろに座っていた男が身を乗り出し運転手に尋ねる。

運転手は震え何も答えないし顔面蒼白でカタカタと震えている。

広い場所にとりあえず停車して男が運転手に再度尋ねると

「で……出た……し、白い服を着たお、女の人が真っ暗な中笑ってた……壁際に立ってた!お、俺どうしよう?も、もうあのトンネル通りたくねぇよ!!」

運転席でカタカタと震えているので、他の3人はどうする事も出来ずに顔を見合わすのみだった。

運転手が居ないと困るので、後ろに乗っていた男が帰りは運転する事で同意したのだがそんな話を聴いて運転するなんて恐怖が頭をよぎる。

「よ、よし……こうなったら明るくなってから帰るか?どっかこのまま行こうか?」

運転を代わった男が提案するが空気は重くそんな状態ではなかった。

「行くって言っても……この辺何も無いよ?」

「………カタカタカタ……」

「先の方にある観光地の空き地で休憩する?本当は帰りたいけど……明るくなってからが良いかも……」

2人も怯えている。運転していた男は俯いて助手席で震えている。

運転手を代わった男は少し考えて空き地に行く事にする。

「よ、よしっ!空き地に……!!」

後ろの女性2人に重苦しい雰囲気を変えるため笑いながら振り返り話しかけた瞬間!!
男の顔色はみるみる青くなる。

「出発!!」

明るく振る舞うが急発進、猛スピードで車を走らせる。

「キャーーッ」「えッ!」

女性達の叫び声が車内に広がる。

危険運転の結果。


キキーーッ!!ガシャン!


電柱に車をぶつけ命までは失わなかったものの運転手と助手席の男は大怪我。女性達も怪我を負った。

噂のトンネル近くの大きな事故。
事故の少ない小さな町。噂は瞬く間に広がる。

「呪われた」「遊び半分で通るから……」「やっぱり出るみたいよ?」「あのトンネルで幽霊見たら連れて行かれるかも?……」

そんな噂が立ち込め始め、トンネルを管理している市は新しいトンネルをすぐ隣に造る事を議会で決定する。

数メートル離れた場所に少し緩いカーブのトンネルが直ぐに出来る。
出来上がる前に車の通行を許し

「旧トンネルは、工事用車両専用になります。危険ですので一般の方々は絶対に使用しない様にお願いします!」

古いトンネルを使わない様お触れが出る。

市がそんなお触れを出したので、噂の信憑性が増し肝試しをしようとする人が続出。

新しいトンネルは急ピッチで作られ旧トンネルは夜間通れない様に大型車で出入り口を閉じ込めた。

旧トンネルは工事車両が昼間に通行する為のトンネルになったのだが、一般の車が使わなくなった事で更に異様な雰囲気は増し

「異世界への入り口」「地獄への入り口」

と揶揄(やゆ)され工事車両の運転手からも苦情が出るようになった。
苦情と言うより皆『何か』を見て通りたがらなくなる。

工事車両専用となっていたが、いつの間にか新しいトンネルを工事車両も通る様になる。

「あれ?工事の車がこっち(新)トンネル使ってる……古いトンネル使わないんだ……」

そんな風に思う一般車両。

苦情も無かったので仕方なく旧トンネルは使用禁止。

封鎖する事に……



現在は入り口を柵で閉じて存在している。
真っ暗な口を開けて……


移住者も増え、この『噂』を知っている人も少なくなり古いトンネルの存在を知る人も殆ど居ないだろう……
あのトンネルで見えるのは一体なんだったのか……

戦時中に亡くなった兵士か女性の幽霊か……


今もひっそりと立ち入る事を拒絶する様に存在している。






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