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お墓で…… (実話)
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私の住む集落では、旧暦の1日と15日には墓参りをする風習がある。
前日の昼~夕方、当日の朝に墓参りを行う。
朝早くが苦手な私は前日の昼間にお墓参りに行く事が多い。
(集落のお年寄り達に絡まれたくない(失礼)というのも理由)
当日は年配の方々が朝早くからお墓参りする。出会った人々はそのままお墓で井戸端会議みたいな……貴重な情報交換の場でもある。
話を戻そう。
人見知りというのもあるし、出来ればご先祖様をゆっくり拝みたいので人を避けたい(面倒くさいから←やっぱり失礼)という事もあり、前日の昼間か夕方に墓参りに行く。
昼間に行くと同じ理由か?たま~に1人2人居るくらい。まぁ、会釈したり挨拶したりで済むので楽なのだ。
今月も同じ様にお墓参りに行ったのだが
(やったー!今日は誰も居ない~!貸し切り~)
そんな気分で、ルンルンになる。
細い道がお墓に沿って縦横無尽にあちこちに連なっている。
少し太い道が本道の様に東西南北に通っておいる。そこから細い道があちらこちらに広がってそれぞれのお墓の入り口に辿り着ける様な形。
太い道をまっすぐ東へ歩き、十字路を北へ細道を西へ曲がるとご先祖様のお墓がある。
ご先祖様のお墓の向かって右は空き地。左は通路で隣は斎場。
その隣にお墓が5~6基程並んでそれぞれブロック塀に囲まれ建っている。
ご先祖様のお墓の入り口(南)通路の前には1基立派なお墓があり、太い道が南側の生活道路につながっている。
生活道路側から入ればすぐの位置にあるのだが、道が狭いので車を停めると怒られるのでいつも遠回りする。
いつもの様にお墓の掃除や、花瓶の花を入れ替え、お水を替えたコップを置いて、お酒をお猪口に入れ、お線香立てて拝んだら終わりって所で南側の通路側から
「……こんにちは……」
聴こえるか聴こえない声で、挨拶する声がするのである。
砂利道なので人が歩けば分かるはずなのに、音も無くただ挨拶をする声だけが聴こえる。
一瞬振り返るべきか迷ったが
(挨拶してくれてるのだから返さないと)
と、にっこり振り返るとそこには誰も居ないのである。
集落の人の声でもなく、聴いたことのない女性の微かな声……
(気の所為だったんだろうな~。気の所為って事にしよう!)
気にせずお線香に火を点けようとお墓側に振り返り、ライターの火を点けるとまた
「こんにちは……こんにちは…………」
小さな声で呼ぶ声がある。
背筋がゾワリとする。振り返ってはいけない気もするが、挨拶を返さないのも失礼かと……ギシギシっと体を強張らせながらゆっくりと通路へ振り返る。
……誰も居ない……
(違う場所から呼んだ?)
辺りを見渡すも、やはり誰も居ないのである。
(……何なんだ?!おちょくられてる?)
見えない相手にイラッとしながら気にしない事にしてお線香に火を付ける。
お墓に向かっていると微かに聴こえる挨拶をする声……
(ムゥーーーー!!)
頭にきたので、見えない相手に会釈する。
やっちゃいけない行為の様だが……
不思議と会釈すると声はしなくなる。
お線香をお墓に立て、ご先祖様を拝むと気にはしない様にする。
お参り終わりに通路に出てあちこち見回す。
(さっきから挙動不審である。人が見たらきっとおかしい様子だろうなと……思いつつ)
誰も居ない……
思い当たる節もある。
それはご先祖様のお墓通路を挟んで斜め向かいのおばあさん。
施設で働いていた時にお世話をした事がある集落のおばあさん……亡くなって数年。小さな墓石に数本の造花。
(寂しかったのか……羨ましかったのか……?)
亡くなった方まで背負う余裕は無いので考えるのを止めて振り返らずにサッサとその日は帰る。
6月2回目のお墓参り。
夕方4時頃にお墓参りに。
数人早々と済ませ帰る人とすれ違う。
今回も貸し切り状態。お線香の香りがふわりと所々から匂う。
お墓参りの終わり頃。
女性が数人話す声。
(近隣住民か?お墓参りに来る人か?……暑いし帰ろ……)
お墓の敷地の境い目の道路と空き地と学校が見える。その場所か、お墓の敷地で話さないと声は聴こえないはず……もしくは、近くの商店で大声で会話するか。
お墓をキョロキョロ見渡しても、1人でお墓参りしている集落の人しか居ない。誰とも話していない……じゃあ誰が話してる?
(うむっ。どっかでだれかが話しているんだろう!よしっ!帰るっ!!)
微かに聴こえる楽しそうに会話する声。
振り向かずにスタスタお墓の敷地から出る。
お墓の境い目の道路に出ると、ピタリと声は止まり聴こえなくなる。
(……声の主は学生が話してたのか?)
部活に汗を流している数人の学生。2~3人しか居ない。練習中で話している様子もなく、先生の指導の声が少し聴こえ「ハイッ」と学生が答えるのみ。
(会話していない……なんなんだ……?)
と、思いつつ深く探らずに帰宅する。
(きっと関わるとろくなことにならないだろう)
来月のお墓参りは何があるのか……
たま~に起こる変な出来事……何をお知らせしたいのか未だに謎である。
が、死者の願いを聴き入れるほど余裕は無いので勘弁して欲しいものである。
お盆も近いので皆様もご先祖様を大切に……
前日の昼~夕方、当日の朝に墓参りを行う。
朝早くが苦手な私は前日の昼間にお墓参りに行く事が多い。
(集落のお年寄り達に絡まれたくない(失礼)というのも理由)
当日は年配の方々が朝早くからお墓参りする。出会った人々はそのままお墓で井戸端会議みたいな……貴重な情報交換の場でもある。
話を戻そう。
人見知りというのもあるし、出来ればご先祖様をゆっくり拝みたいので人を避けたい(面倒くさいから←やっぱり失礼)という事もあり、前日の昼間か夕方に墓参りに行く。
昼間に行くと同じ理由か?たま~に1人2人居るくらい。まぁ、会釈したり挨拶したりで済むので楽なのだ。
今月も同じ様にお墓参りに行ったのだが
(やったー!今日は誰も居ない~!貸し切り~)
そんな気分で、ルンルンになる。
細い道がお墓に沿って縦横無尽にあちこちに連なっている。
少し太い道が本道の様に東西南北に通っておいる。そこから細い道があちらこちらに広がってそれぞれのお墓の入り口に辿り着ける様な形。
太い道をまっすぐ東へ歩き、十字路を北へ細道を西へ曲がるとご先祖様のお墓がある。
ご先祖様のお墓の向かって右は空き地。左は通路で隣は斎場。
その隣にお墓が5~6基程並んでそれぞれブロック塀に囲まれ建っている。
ご先祖様のお墓の入り口(南)通路の前には1基立派なお墓があり、太い道が南側の生活道路につながっている。
生活道路側から入ればすぐの位置にあるのだが、道が狭いので車を停めると怒られるのでいつも遠回りする。
いつもの様にお墓の掃除や、花瓶の花を入れ替え、お水を替えたコップを置いて、お酒をお猪口に入れ、お線香立てて拝んだら終わりって所で南側の通路側から
「……こんにちは……」
聴こえるか聴こえない声で、挨拶する声がするのである。
砂利道なので人が歩けば分かるはずなのに、音も無くただ挨拶をする声だけが聴こえる。
一瞬振り返るべきか迷ったが
(挨拶してくれてるのだから返さないと)
と、にっこり振り返るとそこには誰も居ないのである。
集落の人の声でもなく、聴いたことのない女性の微かな声……
(気の所為だったんだろうな~。気の所為って事にしよう!)
気にせずお線香に火を点けようとお墓側に振り返り、ライターの火を点けるとまた
「こんにちは……こんにちは…………」
小さな声で呼ぶ声がある。
背筋がゾワリとする。振り返ってはいけない気もするが、挨拶を返さないのも失礼かと……ギシギシっと体を強張らせながらゆっくりと通路へ振り返る。
……誰も居ない……
(違う場所から呼んだ?)
辺りを見渡すも、やはり誰も居ないのである。
(……何なんだ?!おちょくられてる?)
見えない相手にイラッとしながら気にしない事にしてお線香に火を付ける。
お墓に向かっていると微かに聴こえる挨拶をする声……
(ムゥーーーー!!)
頭にきたので、見えない相手に会釈する。
やっちゃいけない行為の様だが……
不思議と会釈すると声はしなくなる。
お線香をお墓に立て、ご先祖様を拝むと気にはしない様にする。
お参り終わりに通路に出てあちこち見回す。
(さっきから挙動不審である。人が見たらきっとおかしい様子だろうなと……思いつつ)
誰も居ない……
思い当たる節もある。
それはご先祖様のお墓通路を挟んで斜め向かいのおばあさん。
施設で働いていた時にお世話をした事がある集落のおばあさん……亡くなって数年。小さな墓石に数本の造花。
(寂しかったのか……羨ましかったのか……?)
亡くなった方まで背負う余裕は無いので考えるのを止めて振り返らずにサッサとその日は帰る。
6月2回目のお墓参り。
夕方4時頃にお墓参りに。
数人早々と済ませ帰る人とすれ違う。
今回も貸し切り状態。お線香の香りがふわりと所々から匂う。
お墓参りの終わり頃。
女性が数人話す声。
(近隣住民か?お墓参りに来る人か?……暑いし帰ろ……)
お墓の敷地の境い目の道路と空き地と学校が見える。その場所か、お墓の敷地で話さないと声は聴こえないはず……もしくは、近くの商店で大声で会話するか。
お墓をキョロキョロ見渡しても、1人でお墓参りしている集落の人しか居ない。誰とも話していない……じゃあ誰が話してる?
(うむっ。どっかでだれかが話しているんだろう!よしっ!帰るっ!!)
微かに聴こえる楽しそうに会話する声。
振り向かずにスタスタお墓の敷地から出る。
お墓の境い目の道路に出ると、ピタリと声は止まり聴こえなくなる。
(……声の主は学生が話してたのか?)
部活に汗を流している数人の学生。2~3人しか居ない。練習中で話している様子もなく、先生の指導の声が少し聴こえ「ハイッ」と学生が答えるのみ。
(会話していない……なんなんだ……?)
と、思いつつ深く探らずに帰宅する。
(きっと関わるとろくなことにならないだろう)
来月のお墓参りは何があるのか……
たま~に起こる変な出来事……何をお知らせしたいのか未だに謎である。
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