寄せ集めの英雄と、涙を隠した君の笑顔。この世界の結末は俺たちが決める!

Gaku

文字の大きさ
6 / 85
第一章:わけもわからず、世界は回る

第6話:噂と呪いと引きこもり

しおりを挟む

彩葉という女性との、あまりに衝撃的な出会いから数日が過ぎた。
俺、神田駿と、この世界で最初にできた恩人である千夏は、万事屋組合から斡旋された安宿の一室に腰を落ち着けていた。石造りの簡素な建物だが、窓から差し込む初夏の朝の光は、部屋の中を穏やかな金色で満たしてくれる。光の筋の中を、昨日掃除したばかりのはずの小さな埃が、まるで意思を持っているかのように、きらきらと楽しげに舞っている。

俺は、木製の椅子に腰かけ、窓の外をぼんやりと眺めていた。
目に映っているのは、活気あふれる街の朝の風景だ。荷馬車を引く馬のいななき、威勢のいい商人たちの呼び声、どこかの家から漂う焼きたてのパンのような香ばしい匂い。しかし、俺の意識はそこにはなかった。頭の中では、数日前の出来事が、繰り返し再生され続けていた。

血と土埃の匂いが混じり合う森の中。季節外れの桜の花びらが舞うように現れた、桜色の着物を着た女性。彩葉。
暴れ狂う巨大な猪を一瞥で鎮め、下卑た笑いを浮かべる悪党たちを、一瞬にして、それこそ瞬きをする間に無力化してしまった、あの神業のような体捌き。それは、強いとか、速いとか、そういう陳腐な言葉で表現できるものではなかった。彼女の周りだけ、世界の物理法則が違うのではないかと錯覚するほどの、絶対的な領域。

だが、それ以上に俺の心を捉えて離さないのは、彼女の瞳だった。
常に穏やかに、おっとりと微笑んでいる、その表情とは裏腹に。瞳の奥には、どこまでも深く、そして静かな悲しみの色が、まるで静謐な湖の底に沈んだ古都のように、横たわっていた。あの圧倒的な強さは、きっとあの悲しみの深さから生まれている。そう直感した。
あの人は、一体何者なんだろう。何を見て、何を背負って、あの場所に立っていたのだろう。

「おーい、駿くーん。魂、家出中でーす。そろそろお戻りくださーい」

目の前で、千夏がひらひらと手を振っていた。太陽みたいな笑顔は、今日も絶好調らしい。
「あ、ああ。悪い。ちょっと世界の真理についてだな、思索を巡らせていた」
我ながら苦しい言い訳をすると、千夏はきょとんとした顔で小首を傾げ、それから悪戯っぽく笑った。
「世界の真リィ? ああ、もしかして、桜色の着物を着た、とーっても綺麗な真理さんのことかな?」
「……なんでわかった」
「顔に書いてあるもん。『ぽやー』って」
図星を突かれ、俺はぐうの音も出なかった。気まずくて窓の外に視線を戻すと、千夏はくすくすと喉を鳴らして笑っている。その時だった。

ぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅ………

静かになった部屋に、俺の腹の虫の鳴き声が、やけに長く、そして情けなく響き渡った。世界の真理も、色恋の悩みも、空腹の前では無力らしい。この世界に来て、俺が学んだ数少ない真理の一つだった。
「あはははは! 駿くん、真理よりまずはお腹の真理だね! よーし、組合に行って、今日の日銭を稼ぎに行きますか!」
千夏の大爆笑に、俺は顔から火が出る思いで、ただ頷くことしかできなかった。



生活費を稼ぐため、俺たちは再び「万事屋組合」の巨大な門をくぐった。
吹き抜けの高い天井まで届く喧騒。羊皮紙とインクの匂いに混じって、冒険者たちが纏う汗と土と、微かな血の匂いが、この場所がただの役所ではないことを物語っている。様々な種族、様々な職業の人間が、巨大な掲示板の前で依頼を選んだり、仲間と酒場で打ち合わせをしたり、カウンターで手続きをしたりと、生命力に満ちた混沌が渦巻いていた。

と、組合に足を踏み入れた途端、俺は周囲の空気が僅かに変化したことに気づいた。
「おい、見ろよ。あいつだぜ」
「え、どいつ? ……ああ、あの黒髪の! 噂の!」
「へえ、見た目は普通の兄ちゃんだな。だが、あの歳で空間魔法の使い手とは」
「猪だけじゃねえ、悪徳商人の一団も一人で叩きのめしたって話だぜ」

ヒソヒソと交わされる囁き声。畏怖と、好奇心と、少しばかりの嫉妬が入り混じったような視線が、チクチクと俺に突き刺さる。なんだ? 俺、何かしたか?
首を傾げている俺の腕を、千夏が「あっちあっち!」と引っ張っていく。彼女が指差すのは、組合のホールの一角に設けられた、噂話や情報交換のための掲示板だった。そこに張り出された一枚の羊皮紙を見て、俺は全ての事情を理解した。

『【号外】新人冒険者に超新星(スーパールーキー)現る! その名も“黒髪のシュン”!』

でかでかと、そんな見出しが躍っている。その下には、今回の事件の概要が、劇的な脚色をふんだんに盛り込んで書き連ねられていた。

『――森の静寂を破り、突如現れた巨大猪(フォレストボア)! その牙は大地を割り、その突進は岩をも砕く! 絶体絶命の危機に陥った善良な商人たち(嘘つけ、悪徳商人だ)の前に、颯爽と現れた一人の若者、シュン!』
『彼は、詠唱すら必要としない高等な空間魔法を駆使し、猪の突進を指先一つで虚空へと受け流す! だが、彼の本当の敵は、猪を操っていた悪徳商人団だったのだ!』
『「卑劣な真似を!」正義に燃えるシュンは、商人団が放つ呪いの弾丸を、空間を捻じ曲げることで全て防ぎきると、最後は巨大な空間の渦で、商人団を一網打尽にしたという! まさに英雄の誕生である!――』

「……」

俺は、あまりの与太話に言葉を失った。どこをどう切り取ったら、こんな話になるんだ。俺がやったことと言えば、鳩を武士の兜にホールインワンさせたことと、チンピラをドミノ倒しにしたことと、巨大猪の前で何もできずに腰を抜かしそうになったことくらいだ。九割九分、彩葉さんの手柄じゃないか。
いや、待て。善良な商人たち? 猪を操っていた? 呪いの弾丸? 事実が一つもねえじゃねえか!
これはもう、噂に尾ひれがついたとか、そういうレベルではない。原形を留めていないどころか、全く別の生物に魔改造されている。

「ぷっ……くくく……あは、あはははははは!」
隣で、千夏が腹を抱えて笑い転げていた。涙目になりながら、俺の背中をバンバン叩いている。
「ひ、英雄! 英雄だって、駿くん! すごいじゃない、空間の渦!」
「笑いごとじゃねえよ! 俺はただ空間をぐにゃぐにゃさせることしかできねえんだぞ! どうすんだよ、こんなハードル上げられて!」
内心で絶叫する。もう「薬草採取」みたいな簡単な依頼は受けられないじゃないか。組合中の期待を背負って、「ゴブリン退治」とかに行かされて、返り討ちに遭う未来しか見えない。
一つの出来事が、人々の口伝えという相互作用を経て、全く別の、そして俺にとっては非常に厄介な現実を生み出してしまう。この世界も、元の世界と同じで、どうしようもなく「ままならない」ことばかりらしい。

居心地の悪い視線から逃れるように、俺たちは早々に組合を後にした。
「どうしようかな、これからのこと」
「うーん、でも、有名になるのは悪いことばかりじゃないと思うけどな。難しい依頼を受けられるようになれば、お金もたくさんもらえるし!」
「その依頼を達成できる実力がねえんだよ」
ぶらぶらと街を歩きながら、そんな会話を交わす。街は、昼時を迎え、さらに活気を増していた。様々な種族の売り子と客でごった返し、焼いた肉のジューシーな匂い、新鮮な果物の甘酸っぱい香り、そして俺の知らない異国のスパイスが混じり合った、生命力そのもののような空気が満ちている。この匂いを嗅ぐと、腹は減るが、不思議と「ここで生きていかねば」という気持ちにさせられた。

情報を制する者は、世界を制す。これは、ラノベ世界の鉄則だ。
俺たちは、ひとまず情報収集をすることにした。向かった先は、市場の一角にある、昼間だというのに薄暗い酒場。オークやドワーフといった、いかにも屈強な冒険者たちが、ジョッキを片手に唸り声を上げているような場所だ。こういう所に、腕利きの情報屋がいるものと相場は決まっている。
酒と煙草と、男たちの汗が混じったむわっとした空気に満ちた店内で、俺たちはカウンターの隅に座る、痩せた猫背の男に声をかけた。いかにもな雰囲気を持つその男は、案の定、この辺り一帯の情報を仕切る情報屋だった。
俺は、なけなしの銅貨を数枚弾み、何か割のいい仕事はないかと尋ねた。男は、銅貨を素早く懐にしまうと、爬虫類のような目で俺をじろりと見て、口の端を歪めた。
「あんた、噂の“黒髪のシュン”だろ。空間魔法の使い手だって話じゃねえか。そんなあんたに、普通の依頼なんざ似合わねえ。とっておきのがあるぜ」
そう言って、男が語り始めたのは、実に俺のラノベ脳をくすぐる、魅力的な依頼だった。

「街外れの丘の上に、古い屋敷がある。昔は貴族の持ち物だったらしいが、今は誰も住んでいない。……いや、一人の例外を除いてな」
情報屋は、声を潜めた。
「そこにゃ、引きこもりの天才陰陽師が住んでるって噂だ。なんでも、月詠(つくよみ)っていう、この国でも指折りの名門の出らしいが、何かやらかして勘当されたとかなんとか。その屋敷は呪われていて、近づく者は皆、原因不明の熱を出したり、悪夢にうなされたりするらしい。これまで何人もの腕利きが挑んだが、誰一人として、その呪いを解けた者はいねえ」
陰陽師。式神。呪われた屋敷。
その単語の一つ一つが、俺の心を鷲掴みにする。面白そうだ。めちゃくちゃ面白そうじゃないか。
「報酬は金貨十枚。成功すれば、あんたの名声はさらに上がるぜ。どうだ? やるかい?」
「やる!」
俺は、隣で千夏が「ええっ!? 呪いなんて絶対やばいよ!」と悲鳴を上げるのを無視して、即答していた。
正直に言えば、半ば現実逃避だったのかもしれない。組合で英雄扱いされる気まずさ。そして何より、頭の片隅に常にチラつく、あの桜色の着物姿と、その瞳に宿る悲しみの影。彩葉さんのことを考えていると、胸の奥がざわざわして、どうにも落ち着かない。
何か別の、とんでもなく厄介で、刺激的なことに没頭すれば、この気持ちを少しは忘れられるんじゃないか。そんな打算があったことは、否定できない。

情報屋に礼を言い、俺たちは酒場を出た。外の喧騒が、嘘のように遠くに感じる。
その時だった。
酒場のすぐ脇の、薄暗い路地裏。壁に背をもたれて遊んでいた子供たちが、奇妙な歌を歌っているのが、ふと耳に入った。それは、この辺りの子供たちの間で流行っている、ただの童歌なのだろう。だが、その歌詞は、妙に俺の心に引っかかった。

『月夜の屋敷で カラスが嗤う』
『賢いお嬢は 塔の上』
『独りぼっちで 待っている』
『誰か来ないと 門開かぬ』

不吉な、それでいてどこか物悲しいメロディ。子供たちの無邪気な歌声が、やけに耳に残る。千夏は「何だか、嫌な歌だね」と、不安そうに自分の腕をさすった。
俺は、気のせいだと首を振り、先を歩き始めた。しかし、その歌が、これから俺たちが体験する出来事を、不気味なほど正確に予言しているとは、この時の俺は知る由もなかった。



夕暮れ時。世界がオレンジと紫のグラデーションに染まる頃、俺たちは街外れの丘の上に立つ、その屋敷の前に到着した。
情報屋の話に違わず、それは見るからに不気味な建物だった。赤みを帯びた西日をその背に浴び、巨大な墓石のような黒いシルエットを、丘の上に浮かび上がらせている。かつては美しかったであろう庭は、今は見る影もなく荒れ果て、枯れた蔦が洋館の壁を覆い、ねじくれた木々がまるで亡霊のように枝を伸ばしていた。
屋根の上には、おびただしい数のカラスが、まるで置物のように、一羽も鳴かず、微動だにせず、じっとこちらを見下ろしている。その静寂さが、かえって不気味だった。
初夏の生暖かい風が、丘を吹き抜ける。その風が、錆びついて半分外れた鉄門を揺らすたびに、「キィィィ……」と、まるで誰かの悲鳴のような、長く尾を引く音が辺りに響いた。
隣で、千夏がごくりと唾を飲み込む音が聞こえる。
「駿くん、やっぱり、やめとこうよ。絶対何かいるって、ここ」
「……まあ、何かはいるんだろうな。陰陽師が」
強がりを言ってみたものの、俺の背中にも、じっとりと嫌な汗が滲んでいた。
童歌の歌詞が、脳裏に蘇る。

――独りぼっちで 待っている。

俺は、意を決して、悲鳴を上げる鉄門に、そっと手をかけた。
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』

まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。 朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。 「ご主人様の笑顔が見たいんです」 その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。 全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!? 甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~

エース皇命
ファンタジー
 学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は仕事でダンジョンに潜っている、最近話題のAランク冒険者だった。  そんな黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。 「才斗くん、これからよろしくお願いしますねっ」  なんと白桃は黒瀬の直属の部下として派遣された冒険者であり、以後、同じ家で生活を共にし、ダンジョンでの仕事も一緒にすることになるという。  これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。 ※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。

処理中です...