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第四章:王都燃ゆ、過去からの咆哮
第36話:怒りを越えて
しおりを挟む崩れ落ちる建物の瓦礫が、熱風に煽られて雨のように降り注ぐ。舞い上がる火の粉が夜空を焦がし、かつて白亜の美しさを誇った王都の一角は、もはや地獄の縮図と化していた。美しい水の女神像が中央に佇む広場も例外ではない。女神像は腕がもげ、慈愛に満ちていたはずのその顔には無数の傷が刻まれ、まるで悲しみに泣いているかのように見えた。とうに水は枯れた噴水の受け皿には、血と油が混じり合った赤黒い液体が淀み、周囲に立ち上る炎の光を鈍く反射している。
その地獄の中心で、二つの影が対峙していた。
一つは、理性を失い、純粋な破壊の権化と化した源。その全身からは、怒りと悲しみが飽和して生まれた赤い闘気が、陽炎のように立ち上っていた。一歩足を踏み出すごとに石畳が砕け、咆哮を上げるたびに周囲の建物の窓ガラスがビリビリと震えて砕け散る。その瞳にはもはや敵も味方も映っていない。ただ、目に入るもの全てを無に帰そうとする、空虚な破壊衝動だけが燃え盛っていた。
そしてもう一つ。その圧倒的な暴力の奔流の前に、傷だらけになりながらも、決して退かずに立ち続ける駿の姿があった。
「ぐっ……!」
源の拳が、駿の頬を掠める。直撃ではない。だというのに、拳が巻き起こした風圧だけで駿の体は数メートルも吹き飛ばされ、背後の石壁に叩きつけられた。受け身を取る間もなく叩きつけられた背中に激痛が走り、肺から空気が強制的に絞り出される。ゴホッ、と咳き込むと、口の中に鉄の味が広がった。
源の拳は止まらない。駿が叩きつけられた石壁ごと、彼を粉砕しようと追撃の拳が迫る。風圧が駿の髪を逆立たせる。
(やべえ、死ぬ!)
駿は咄嗟に、目の前の空間に意識を集中させた。
「『世界法則改竄(ワールド・オルター)』!」
源の拳が駿の顔面に到達する寸前、その間にある空間が、まるで熱せられた飴細工のようにぐにゃりと歪んだ。岩をも砕くはずの拳は、その硬い標的を見失い、ゼリーのような感触の空間にめり込む。破壊のベクトルは明後日の方向へと逸らされ、拳は駿の頭上を通過し、背後の女神像の、残っていた片腕を根元から粉砕した。
「はあ、はあ……危ねえっての、マジで……」
壁からずり落ちながら、駿は荒い息を吐く。源の瞳に恐怖の色はなかった。そこにあるのは、友が自らの悲しみに飲み込まれていくのを目の当たりにする、どうしようもないほどの共感と、それでも決して見捨てないと誓う、確固たる決意の光だけだった。
「いい加減にしろよ、源!」
駿は、瓦礫に足を取られながらも再び立ち上がり、魂の底から叫んだ。その声は、戦場の喧騒にかき消されそうなほど震えていたが、不思議なほどよく通った。
「お前のその拳は、何のためにあるんだよ! 怒りに任せて、また全部壊すのか! 美咲さんの笑顔も、仲間との今も、全部!」
源の耳に、その声は届いていない。彼は再び獣のような咆哮を上げ、今度は足技を繰り出してきた。薙ぎ払うような蹴りが、残っていた女神像の胴体を両断する。駿は再び空間を歪ませてその軌道を逸らすが、逸らされた蹴りは近くで燃えていた荷馬車を天高く打ち上げ、火のついた車輪が夜空を飛んで近くの建物に突き刺さり、新たな爆発を引き起こした。二次被害が半端ない。
「だから! あんたの拳はそんなもんじゃないだろ!」
駿は叫びながら、必死に思考を巡らせる。ただ攻撃を逸らすだけでは、いずれこちらの集中力が切れる。どうすれば、彼の心に届く?
その時、瓦礫の陰から仲間たちが駆けつけてきた。
「源! てめえの悲劇の主人公ごっこは、もう終わりだ!」
鞘に収まったままの木刀を肩に担いだ龍之介が、吐き捨てるように叫ぶ。その隣では、息を整えた桔梗が、苦無を構えながら冷徹な声で告げる。
「その怒りは、敵ではなく、お前自身を滅ぼすぞ。それこそ、敵の思う壺だ」
「源さん! 私たちの声を聞いてください!」
栞が眼鏡を曇らせながら叫び、小夜も鈴の手を固く握りしめ、必死の形相で源を見つめている。彩葉は刀の柄に手をかけ、いつでも割って入れるように身構えながら、静かに、しかし力強く言った。
「源さん。貴方の悲しみは、貴方だけのものにあらず。我らは、仲間です」
仲間たちの声。それは、源の荒れ狂う意識の嵐の中に、小さな灯火のように、次々と灯っていった。
(うるさい……うるさい、うるさい!)
源の脳裏に、過去の悪夢が鮮やかに蘇る。血に染まった道場。仲間たちの悲鳴。そして、自分の腕の中で冷たくなっていく、愛した女(ひと)の姿。
『ごめんね、源』
彼女の最後の笑顔。守れなかった。俺の力が足りなかったから。俺が、弱かったから。
(そうだ、俺は弱い。だから、強くならなければならなかった。誰にも負けないほど。何も失わないほど。なのに、なのに!)
目の前の強化兵士たちの姿が、暴走した美咲の泣き笑いの顔と重なる。仲間たちの声が、遠のいていく師範の悲痛な叫びに聞こえる。怒りが、悲しみが、後悔が、彼の意識を塗りつぶしていく。
「美咲さんが守りたかったのは、あんたのそんな顔かよ!」
駿の叫びが、ひときわ大きく響き渡った。
「あんたが本当に守りたかったものは何だ! 思い出せよ! 怒りで過去は変えられない! でも、今の拳で、未来は守れるだろ!」
その言葉が、雷のように、源の心の最も深い場所に突き刺さった。
(未来を……守る?)
そうだ。美咲が守りたかったもの。それは、仲間たちがいて、他愛もない話をして笑い合える、あの「流水館」という名の日常だった。俺が本当に守りたかったのも、彼女のいる、その未来だった。
なのに、俺は。
俺は、彼女を失った悲しみから目を背けるために、怒りという麻薬に溺れていただけじゃないか。過去の幻影と戦い続け、今、目の前にいる仲間たちを、未来を、自らの手で壊そうとしている。
源の脳裏に、美咲の最後の笑顔が、今度は鮮明に、そして温かく蘇った。
『ごめんね、じゃねえよ、馬鹿野郎』
心の中で、彼は初めて彼女に返事をした。
『俺の方こそ、ごめんな。お前の悲しみに、ずっと気づいてやれなくて』
ふっ、と。源の全身を覆っていた、燃え盛るような赤い闘気が、まるで陽炎のように霧散した。嵐が過ぎ去り、静かな湖面が広がるように。その代わりに、彼の体からは、静かで、しかしどこまでも力強い、深い青色を帯びた流水のような闘気が、穏やかに立ち上り始めた。
「俺は……もう、間違えねぇ」
源は、ゆっくりと顔を上げた。その瞳は、もはや赤く充血してはいない。そこには、深い悲しみを乗り越え、全てを受け入れた者の、澄み切った覚悟が宿っていた。
彼は、目の前で呆然とする強化兵士に向き直った。その構えは、かつて「流水館」で、美咲と共に来る日も来る日も稽古した、最も基本の型。しかし、その一挙手一投足は、これまでのどんな達人とも違う、極限まで洗練された気を纏っていた。
強化兵士が、奇声を発して襲いかかってくる。その爪が、源の喉元を抉らんと迫る。以前の源なら、それをさらに強大な力で打ち砕いただろう。
だが、今の彼は違った。
源は、最小限の動きで半身を引き、相手の攻撃を受け流す。その動きは、まるで激流の中を滑るように泳ぐ魚のようだ。強化兵士の体は、勢い余って前につんのめる。そこに、源の掌底が、まるで赤子の頭を撫でるかのように、そっと添えられた。
触れたのは、強化兵士の脇腹。しかし、その瞬間、青い闘気が螺旋を描いて相手の体内に浸透し、その体中の関節を内側から破壊した。
ゴキッ、ゴキゴキッ、と鈍い音が連続して響き、強化兵士は奇妙な形のまま崩れ落ち、二度と動かなくなった。破壊ではない。「制圧」。その技は、もはや武術というより、芸術の域に達していた。
仲間たちは、息を呑んでその光景を見つめていた。一人の男が、自らの過去という名の鬼を殺し、真の武人として生まれ変わった瞬間を。
---
その頃。
王城の中心部、玉座の間は、静寂に包まれていた。本来なら王の威光を示す豪奢な玉座は、天井から崩れ落ちてきた瓦礫に埋もれ、壁に掛けられた歴代の王の肖像画は、炎に舐められて黒く炭化している。舞い落ちる火の粉が、まるで赤い雪のように、静かに床の血だまりに消えていった。
その、墓場のような静寂の中に、三人の男女がいた。
「素晴らしい……。ああ、なんと素晴らしい刀だ……」
玉座の前に立つ、異様な出で立ちの男が、恍惚の吐息を漏らした。その体には、まるで装飾品のように何振りもの名刀が巻き付けられている。「紅い刃」の幹部、「刀匠」ジャク。彼は、目の前に立つ一人の女性が持つ刀から、目を離すことができなかった。
「その反り、その刃文、その澄んだ鋼の輝き……。間違いなく、失われたはずの『桜花』の一振り。斬るためだけに在るのではなく、ただそこに在るだけで世界を言祝ぐ、至高の芸術品だ。ああ、私のコレクションにこそ、相応しい!」
ジャクの視線の先にいたのは、彩葉だった。彼女は鞘に収めたままの刀を静かに構え、その狂気の言葉を、凪いだ湖面のような表情で受け流していた。
その背後には、片目に眼帯をした龍之介が、血の気の多い笑みを浮かべて木刀を肩に担いでいる。
「おいおい、人の許嫁の刀を口説いてんじゃねえよ、変態野郎」
「許嫁? 違うな。この刀は、お前のような獣にではなく、この私にこそ相応しいと言っているのだ。聞こえんか? 刀の魂の叫びが!」
ジャクは、体に巻き付けた刀の中から、ひときわ禍々しい気を放つ黒い刀を抜き放った。その刀身は、光を吸い込むかのように漆黒で、見ているだけで正気を失いそうになる。
「さあ、その美しい魂を、私に寄越せ!」
ジャクの体が、霞のように消えた。次の瞬間、彼は彩葉の背後に回り込み、黒い刃を振り下ろしていた。
キンッ!
甲高い金属音。彩葉は振り返りもせず、鞘に収まったままの刀で、その一撃を完璧に受け止めていた。しかし、その時、ジャクの体が独楽のように回転し、体に巻き付けた別の刀が、予測不能な角度から彩葉の脇腹を狙う。
「させっかよ!」
その変幻自在の攻撃の軌道を、龍之介の木刀が寸前で叩き落とす。言葉はない。視線すら交わしていない。しかし、彩葉と龍之介は、互いの呼吸、次の動き、思考の全てが手に取るようにわかっていた。彩葉が前衛でジャクの剣戟を受け流せば、龍之介がその死角からカウンターの突きを繰り出す。龍之介が派手に斬り込み、ジャクの体勢を崩せば、彩葉がその隙を縫うように踏み込み、鞘の先端でジャクの急所を的確に打つ。
かつて桜の里で、飽きるほど打ち合った剣。憎み、離れていた時間すらも、二人の剣をより深く、より強く結びつけていた。それは、もはや単なる連携ではない。二心同体と呼ぶべき、阿吽の呼吸の剣舞だった。
「素晴らしい! 素晴らしいぞ! その剣技、ますますこの刀が欲しくなったわ!」
ジャクは狂喜の笑みを浮かべ、さらに激しく斬りかかってくる。龍之介が、渾身の力でジャクの黒い刀を受け流した、その時。
(ん……?)
刀身と鍔が接する部分。そこに、奇妙な紋様が刻まれているのが、龍之介の目に一瞬だけ映った。それは、渦を巻くような、どこか生命的な、不気味な模様だった。
(この模様……どこかで……)
鈴の一族が守っていた祠。鉄心の寺にあった古文書。そして、北の海で戦ったリヴァイアサンの額。脳裏に焼き付いた記憶が、警鐘を鳴らす。
「てめぇ、その刀は……!」
龍之介の動揺は、一瞬だった。しかし、ジャクのような手練れが、その隙を見逃すはずもなかった。
「隙あり!」
黒い刀が、龍之介の木刀を弾き飛ばし、がら空きになった彼の胸元へと、吸い込まれるように突き込まれていく。
その頃、玉座の間の入り口近くの物陰で、一人の少女が固唾を飲んで戦況を見守っていた。アリア姫だった。彼女は、駿たちの常識外れの戦い方――特に、規律や命令ではなく、互いへの深い信頼関係だけで成り立っているその連携に、これまでの王族としての教育では決して得られなかった、新しい世界の可能性を感じ取り、その青い瞳を、憧れと興奮で輝かせていた。
(すごい……。これが、あの人たちの……)
その視線の先で、黒い刃が龍之介に迫るのを、彼女はスローモーションのように見ていた。
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