18 / 105
第4章:雪解けと、騎士の鎧
第18話:直角に歩く男、騎士ゼイク 〜「完璧」とは、「一箇所のヒビで全壊するガラス細工」である〜
しおりを挟む
季節は、秋が冬へと席を譲ろうとする、その曖昧な境界線の上にあった。
王都の北側に広がる広大な演習場には、冷たく乾いた風が吹き抜けていた。
空は高く、薄氷を張ったように透き通った水色をしている。そこから降り注ぐ陽光は、真夏のような暴力的な熱量こそ失っているものの、凛とした透明度を持ち、地上のあらゆる輪郭を鋭く切り取っていた。
風が吹くたびに、演習場の周囲を取り囲む欅(けやき)の並木が、カサカサと乾いた音を立てて身を震わせる。舞い落ちた枯れ葉が、地面の上を転がり、渇いた土の匂いと、微かに錆びた鉄の匂いを巻き上げていく。
そんな、冬の足音が聞こえる静かな午後の道を、瞬(シュン)とメイは並んで歩いていた。
「……ねえ瞬、本当にその人で大丈夫なの?」
メイが、少し不安そうに瞬の袖を引いた。
瞬が見立てた白い革のアイガードを左目に着けている。かつてのようにボロ布で顔を隠すこともなく、背筋を伸ばして歩いているが、その表情には微かな陰りがあった。
リナから聞いた「誰も組みたがらない問題児」という言葉が、ずっと胸につかえているのだ。
「大丈夫だって。リナちゃんが『実力はS級』って言ってたし」
瞬は、メイの手を握り直しながら、あくまで楽観的に答えた。
彼の歩調は軽やかだ。足元の小石を蹴飛ばし、それが綺麗な放物線を描いて飛んでいくのを目で追いながら、彼は続ける。
「それにさ、俺たちに必要なのは『普通の常識人』より、ちょっとくらい変わってる奴のほうが面白いじゃん? 俺だって大概変な奴扱いされてるし、メイだって……あ、いや、メイは可愛いからいいんだけど」
「……もう」
メイは呆れたように頬を膨らませたが、繋がれた手から伝わってくる瞬の体温に、少しだけ肩の力が抜けるのを感じた。
瞬は、いつだってこうだ。
不安なことや難しいことを、単純明快な明るさで笑い飛ばしてくれる。
「問題児」という言葉に身構えていたメイだったが、瞬のその能天気な横顔を見ていると、なんだか大したことではないような気がしてくるから不思議だ。
「お、あそこだ。第四演習場」
瞬が指差した先。
石造りの壁に囲まれた広場から、鋭い金属音と、気合の入った掛け声が聞こえてきた。
***
演習場の中に足を踏み入れた瞬間、場の空気が変わった。
そこには、数百人の兵士たちが訓練を行っていたが、彼らが作り出す熱気とは明らかに異質な、冷たく研ぎ澄まされた空間が、広場の隅に一つだけ存在していた。
まるで、そこだけ空気が凍結しているかのようだった。
その中心に、一人の男がいた。
身長は瞬より頭一つ分高い。全身を、鏡のように磨き上げられた白銀の全身鎧(フルプレートアーマー)で包んでいる。
太陽の光が鎧に反射し、直視できないほどの輝きを放っている。泥一つ、傷一つ、指紋一つさえも見当たらない、異常なまでに完璧な輝きだ。
「……せいッ!!」
男が木刀を振り下ろす。
ヒュンッ、という風切り音と共に、空気が真っ二つに裂けるような鋭さで木刀が走る。
そして、ピタリと止まる。
微動だにしない。
まるで彫像のように静止した後、男は機械仕掛けの人形のような正確さで元の構えに戻り、再び同じ軌道、同じ速度、同じ呼吸で木刀を振り下ろした。
「……せいッ!!」
その動作には、人間特有の「揺らぎ」が一切なかった。
疲労によるズレもなければ、気分のムラによる乱れもない。
ただひたすらに、定規で測ったような正確無比な反復運動。
周囲の兵士たちは、その男から半径十メートル以内には近づこうとせず、遠巻きに、まるで腫れ物に触れるような視線を送っている。
その空間だけが、世界から切り離された「真空」のように見えた。
「うわぁ……」
瞬が、思わず声を漏らした。
それは呆れ半分、感嘆半分といった響きだった。
素人の目にはただの素振りに見えるかもしれない。だが、身体能力が規格外である瞬には分かった。
あの男の剣筋には、一切の無駄がない。重心移動、筋肉の収縮、呼吸のタイミング。すべてが数式のように完璧に計算され尽くしている。
「あいつが、ゼイクか」
瞬はメイに目配せをして、男の方へと歩み寄った。
ジャリ、ジャリと足音が近づいても、男――ゼイクは素振りを止めない。
彼にとっての世界は、今、自分と木刀の軌道の中に完結しているようだった。
「よう! こんにちは!」
瞬が、いつもの調子で明るく声をかけた。
その瞬間。
ピタリ。
ゼイクの動きが止まった。
振り下ろされた木刀が、地面スレスレ、数ミリのところで静止している。
数秒の沈黙。
風が吹き抜け、ゼイクの鎧のマントを揺らしたが、彼自身は岩のように動かない。
やがて、彼はゆっくりと、錆びついた扉が開くような重厚な動作で、首だけをこちらに向けた。
兜のバイザーの奥から、冷徹な青い瞳が覗く。
その視線は、瞬とメイを「人間」として見ているというよりは、「処理すべきエラーデータ」としてスキャンしているような、無機質な冷たさを帯びていた。
「……貴様らか」
声は、低温で響くバリトンだった。感情の起伏がなく、まるで法律の条文を読み上げるような響き。
「ギルドから連絡のあった、無礼極まりない英雄というのは」
「無礼!? 会って三秒でいきなり失礼だな!」
瞬がツッコミを入れるが、ゼイクは無視して、懐から真っ白なハンカチを取り出した。
そして、自分の鎧の肩口を、サッ、サッと拭った。まるで、瞬の言葉が飛沫となって汚したかのように。
「リナ嬢から聞いている。デタラメな力だけで成り上がった『英雄』と、その連れの『魔女』だとな」
ゼイクの視線が、メイのアイガードに向けられる。
一瞬、メイの体が強張る。
だが、ゼイクはすぐに興味を失ったように視線を外し、再び瞬を見た。
「帰れ。私は貴様のような、規律(ルール)を持たぬ者とは組まない」
取りつく島もない拒絶。
瞬は眉をひそめ、腰に手を当てた。
「おいおい、まだ何も話してないだろ? なんで俺がルール持ってないって決めつけるんだよ」
「見ればわかる」
ゼイクは木刀を置き、瞬の方へと向き直った。
そして、驚くべき行動に出た。
彼は瞬の足元から頭のてっぺんまでを、指で四角いフレームを作るようにして確認し始めたのだ。
「まず、立ち方だ。重心が右足に寄りすぎている。傾き角度、約三度。美しくない」
「は?」
「次に装備だ。剣の柄に巻かれた革紐が、二ミリほど解れている。整備不良だ。論外」
「細かっ!」
「そして何より……」
ゼイクは、瞬の顔の前で人差し指を立てた。
「貴様のその、ヘラヘラとした表情だ。戦場において、笑顔など不要。必要なのは、冷静な判断と、完璧な手順(メソッド)のみ」
ゼイクは言い放つと、カシャン、と音を立てて踵を返した。
その動きは、直角だった。
文字通り、九十度に体を回転させ、一歩目を踏み出し、また九十度に曲がって元の位置に戻る。
彼の歩く軌跡は、完璧な正方形を描いていた。
「……なんだあの動き。ロボット掃除機かよ」
瞬は呆れて口を開けたまま、隣のメイを見た。
メイもまた、目を丸くしている。
だが、瞬の予想とは裏腹に、メイの瞳には呆れの色はなく、どこか悲しげな色が浮かんでいた。
「……瞬」
「ん? どうした? あんな堅物、ほっといて帰るか?」
「ううん。……あの人、怖がってる」
「怖がってる? あいつが?」
瞬は再びゼイクを見た。
完璧な鎧に身を包み、完璧な動作で素振りを再開したその姿は、自信の塊にしか見えない。隙など微塵もなく、他者を寄せ付けない威圧感を放っている。
「……私には、わかる気がする」
メイは、自分の胸元をぎゅっと握りしめた。
かつて、自分がボロ布で顔を隠し、誰とも目を合わせずに生きていた頃の感覚。
世界は危険に満ちていて、少しでも気を抜けば傷つけられる。だから、自分だけの殻に閉じこもり、分厚い壁を作って身を守るしかなかった。
あの騎士の「完璧な鎧」も、「厳格なルール」も。
それは、彼の身を守るための、悲しいほどに強固な「殻」なのではないか。
「……話してみる」
メイは意を決して、一歩前に踏み出した。
「おい、メイ?」
瞬の制止を聞かず、メイはゼイクの背中に近づいていった。
素振りの音が止まる。
ゼイクは振り返らない。背中越しに、冷たい殺気のようなものを放っている。
「邪魔だと言ったはずだ。去れ」
「……鎧、重くないですか?」
メイの声は震えていたが、澄んでいた。
ゼイクの肩が、ピクリと動く。
「……何の話だ」
「その鎧。傷一つなくて、ピカピカで……とても綺麗です。でも、それを維持するのは、すごく大変なんじゃないですか?」
ゼイクがゆっくりと振り返る。
バイザーの奥の瞳が、初めて感情の色――動揺と苛立ち――を帯びてメイを睨んだ。
「貴様に私の何がわかる。騎士たるもの、身だしなみは魂の鏡だ。常に完璧であってこそ、民を守る剣となれる」
「でも」
メイは、まっすぐにゼイクの目を見つめた。
紫の瞳が、揺らぐことなく彼を射抜く。
「そんなにガチガチに固めていたら……転んだ時、痛いですよ」
沈黙が落ちた。
演習場の喧騒が遠のき、風の音だけが響く。
ゼイクの目が、わずかに見開かれた。
図星だったのか、あるいは予想外の言葉に虚を突かれたのか。
彼の完璧な「型」が、一瞬だけ揺らいだように見えた。
彼が最も恐れていること。それは「失敗」だ。
手順通りに動くこと。ルールを守ること。正しくあること。
それに固執するのは、そうしていれば安全だからだ。「正解」を選び続けていれば、誰も自分を責めないし、予期せぬ不幸に見舞われることもない。
そう信じているからこそ、彼は「混沌」や「デタラメ」を象徴する瞬のような存在を、生理的に拒絶するのだ。
「……ふん」
ゼイクは鼻を鳴らし、わざとらしく視線を逸らした。
彼は木刀を腰に差すと、まるで汚いものでも見るかのように、手袋をパンパンと払った。
「転ぶ? 私がか? ……笑わせるな」
ゼイクは冷笑を浮かべ、瞬の方へと歩み寄った。
カシャン、カシャン、と正確なリズムを刻む足音。
彼は瞬の目の前、正確に一メートルの距離で立ち止まった。
「いいだろう。そこまで言うなら、貴様らが私の『隣』に立つ資格があるか、試してやる」
彼は懐から、一枚の羊皮紙を取り出した。
そこには、ギルドの正式な依頼書とは違う、彼自身が書いたと思われる幾何学的な図面と、びっしりと細かい文字で書かれた指示書があった。
「これは私が考案した、特別演習任務だ。北の森に現れた『暴走ゴーレム』の討伐。ただし」
ゼイクは羊皮紙を瞬の胸に押し付けた。
「私の指示(メソッド)に従うこと。一歩の遅れも、一手の無駄も許さない。私の完璧な作戦通りに動けるなら、組んでやらんでもない」
上から目線の、傲慢極まりない条件。
普段の瞬なら、「めんどくせぇ!」と断っていただろう。
だが、瞬はチラリとメイを見た。
メイは、心配そうに、けれどどこか期待を込めた目でゼイクを見ている。
彼女が「この人は自分と同じだ」と感じたなら、それはきっと放っておけない理由があるのだろう。
それに、瞬自身も少しだけ興味が湧いていた。この堅苦しい鎧の中身が、一皮剥けばどうなっているのか。
「……へえ、面白そうじゃん」
瞬は羊皮紙を受け取り、ニカっと笑った。
それは、ゼイクの冷徹な空気を一瞬で暖めるような、太陽のような笑顔だった。
「やってやるよ。その代わり、俺たちが勝ったら、そのピカピカの鎧にサイン書いてやるからな」
「……貴様、私の神聖な甲冑に落書きする気か!?」
「サインだよ、サイン! 英雄シュンの直筆だぞ、プレミアつくぜ?」
瞬の軽口に、ゼイクのこめかみがピキピキと引きつるのが見えた。
だが、メイは安堵したように、小さく微笑んだ。
「行こう、瞬。ゼイクさん」
こうして、世界で一番噛み合わない三人の、奇妙な共同戦線が幕を開けた。
直角に歩く騎士と、規格外の英雄と、彼らを見守る魔女。
冬の冷たい風が、三人の背中を押すように吹き抜けていった。
***
北の森は、王都の演習場とは違い、鬱蒼とした原生林が広がっていた。
木々は葉を落とし、黒々とした枝を空に向かって伸ばしている。地面は湿った腐葉土と、半分凍りかけた泥に覆われ、歩くたびにグチャリと不快な音を立てた。
日差しは森の奥まで届かず、薄暗い霧が立ち込めている。
その悪路を、ゼイクは信じられないことに、一定のリズムと歩幅で進んでいた。
泥を避けるためにジグザグに進むのではなく、あえて泥の中を直進し、汚れるたびに「チッ」と舌打ちをしては、布で鎧を拭う。
その徹底ぶりは、もはや執念と呼ぶにふさわしかった。
「A地点到着。予定時刻より十二秒の遅れだ。貴様らの歩行速度が不安定なせいだぞ」
ゼイクが懐中時計を確認し、神経質に指摘する。
瞬はあくびを噛み殺しながら、頭の後ろで手を組んだ。
「いいじゃん、十二秒くらい。誤差だよ誤差」
「誤差だと!? その誤差が戦場では命取りになるのだ! 歯車の一つが狂えば、機械は動かなくなる。組織も同じだ!」
「はいはい。で、ゴーレムはどこにいんの?」
ゼイクは地図を広げ、指でルートをなぞった。
「事前調査によれば、この先の開けた場所(クリアリング)に潜伏しているはずだ。作戦通りに行くぞ。私が正面から注意を引きつけ(囮)、その隙に貴様が右側面から回り込み、関節部を攻撃して体勢を崩す。そしてトドメは……」
ゼイクが綿密なプランを説明し始めた、その時だった。
ズズズズズ……。
地面の底から、腹に響くような重低音が鳴り響いた。
鳥たちが一斉に飛び立ち、空気がビリビリと震える。
「……なんだ?」
ゼイクが言葉を切る。
次の瞬間。
彼らの足元の地面が、爆発したように盛り上がった。
「うおっ!?」
「きゃあ!」
瞬がとっさにメイを抱きかかえ、横っ飛びに回避する。
ゼイクもまた、教科書通りのバックステップで距離を取った。
土煙の中から現れたのは、彼らの想定を遥かに超える代物だった。
ゴーレム。確かに素材は岩と土だ。
だが、その形状は「人型」ではなかった。
無数の岩が不規則に結合し、まるで巨大な芋虫か、あるいは不定形の粘土細工のようにうねうねと動いている。
しかも、その大きさは「事前調査」にあった三メートル程度ではなく、優に十メートルを超えていた。
「な、なんだこれは……!?」
ゼイクの声が裏返った。
彼は慌てて地図と羊皮紙を見比べる。
「話が違う! 報告書には『人型、全高三メートル、動作は緩慢』と書いてあった! これは……形状分類不能! サイズ超過! 予測パターンに該当しない!」
ゼイクの瞳孔が開く。
彼の脳内コンピューターが、エラーメッセージを吐き出し続けているのが目に見えるようだった。
「想定外」。
それが、彼にとって最も恐ろしい事態だった。
ルールが通じない。手順が役に立たない。
彼の作り上げた完璧な世界に、混沌という名の亀裂が入る。
「おいゼイク! 作戦どうすんだ!」
瞬が叫ぶ。
「ま、待て! 再計算する! 敵の重心位置を特定し、弱点属性を分析し、新たなフォーメーションを……!」
ゼイクがブツブツと独り言を呟きながら後ずさる。
しかし、現実は彼の計算を待ってはくれなかった。
巨大な泥の塊が、鞭のようにしなり、ゼイクめがけて振り下ろされたのだ。
「危ない!」
メイの悲鳴が響く。
ゼイクが顔を上げた時には、もう回避不可能な距離まで土塊が迫っていた。
(終わっ……)
ゼイクの思考が真っ白に染まる。
正しく動けなかった。手順を間違えた。だから死ぬ。
それが彼の信じる因果律だった。
だが。
ドォォォォン!!
轟音と共に、迫り来る土塊が粉々に砕け散った。
ゼイクの目の前に、一人の男が割り込んでいた。
瞬だ。
彼は剣を抜くことさえせず、ただの「裏拳」で、巨大な岩の腕を粉砕していた。
「計算とかいいから! 来たもんを迎撃すりゃいいんだよ!」
瞬はニカっと笑い、砕けた岩の破片をパラパラと浴びながら、ゼイクの前に立ちはだかった。
その背中は、泥だらけで、隙だらけで。
けれど、ゼイクのどんな完璧な構えよりも、遥かに頼もしく見えた。
「……貴様……!」
ゼイクは呆然と呟く。
自分の信じる「正しさ」が、音を立てて崩れていく音が聞こえた気がした。
ゴーレムは、腕を失っても怯まなかった。
それどころか、失った部分から新たな泥を吹き出し、さらに形を変えていく。今度は空中に浮かび上がり、無数の泥弾を発射する構えを見せた。
「空を飛ぶだと!? 岩石系モンスターに飛行能力など、生態学的にありえない!」
ゼイクが叫ぶ。
「ありえないことなんてないんだよ! 世界はいつだって、お前の教科書より自由なんだからな!」
瞬はメイを庇いながら、空中の敵を見据えた。
その瞳には、恐怖も混乱もない。
あるのは、「面白くなってきた」という、不敵な光だけだった。
「さあゼイク、どうする? お前のその綺麗な剣で、あの空飛ぶ粘土細工をどう料理する?」
問われているのは、戦術ではない。
彼の生き方そのものだった。
型を守って死ぬか。型を捨てて生きるか。
ゼイクは震える手で剣の柄を握りしめた。
冷たい汗が、鎧の内側を伝い落ちる。
冬の森の冷気が、彼の決断を急かしていた。
王都の北側に広がる広大な演習場には、冷たく乾いた風が吹き抜けていた。
空は高く、薄氷を張ったように透き通った水色をしている。そこから降り注ぐ陽光は、真夏のような暴力的な熱量こそ失っているものの、凛とした透明度を持ち、地上のあらゆる輪郭を鋭く切り取っていた。
風が吹くたびに、演習場の周囲を取り囲む欅(けやき)の並木が、カサカサと乾いた音を立てて身を震わせる。舞い落ちた枯れ葉が、地面の上を転がり、渇いた土の匂いと、微かに錆びた鉄の匂いを巻き上げていく。
そんな、冬の足音が聞こえる静かな午後の道を、瞬(シュン)とメイは並んで歩いていた。
「……ねえ瞬、本当にその人で大丈夫なの?」
メイが、少し不安そうに瞬の袖を引いた。
瞬が見立てた白い革のアイガードを左目に着けている。かつてのようにボロ布で顔を隠すこともなく、背筋を伸ばして歩いているが、その表情には微かな陰りがあった。
リナから聞いた「誰も組みたがらない問題児」という言葉が、ずっと胸につかえているのだ。
「大丈夫だって。リナちゃんが『実力はS級』って言ってたし」
瞬は、メイの手を握り直しながら、あくまで楽観的に答えた。
彼の歩調は軽やかだ。足元の小石を蹴飛ばし、それが綺麗な放物線を描いて飛んでいくのを目で追いながら、彼は続ける。
「それにさ、俺たちに必要なのは『普通の常識人』より、ちょっとくらい変わってる奴のほうが面白いじゃん? 俺だって大概変な奴扱いされてるし、メイだって……あ、いや、メイは可愛いからいいんだけど」
「……もう」
メイは呆れたように頬を膨らませたが、繋がれた手から伝わってくる瞬の体温に、少しだけ肩の力が抜けるのを感じた。
瞬は、いつだってこうだ。
不安なことや難しいことを、単純明快な明るさで笑い飛ばしてくれる。
「問題児」という言葉に身構えていたメイだったが、瞬のその能天気な横顔を見ていると、なんだか大したことではないような気がしてくるから不思議だ。
「お、あそこだ。第四演習場」
瞬が指差した先。
石造りの壁に囲まれた広場から、鋭い金属音と、気合の入った掛け声が聞こえてきた。
***
演習場の中に足を踏み入れた瞬間、場の空気が変わった。
そこには、数百人の兵士たちが訓練を行っていたが、彼らが作り出す熱気とは明らかに異質な、冷たく研ぎ澄まされた空間が、広場の隅に一つだけ存在していた。
まるで、そこだけ空気が凍結しているかのようだった。
その中心に、一人の男がいた。
身長は瞬より頭一つ分高い。全身を、鏡のように磨き上げられた白銀の全身鎧(フルプレートアーマー)で包んでいる。
太陽の光が鎧に反射し、直視できないほどの輝きを放っている。泥一つ、傷一つ、指紋一つさえも見当たらない、異常なまでに完璧な輝きだ。
「……せいッ!!」
男が木刀を振り下ろす。
ヒュンッ、という風切り音と共に、空気が真っ二つに裂けるような鋭さで木刀が走る。
そして、ピタリと止まる。
微動だにしない。
まるで彫像のように静止した後、男は機械仕掛けの人形のような正確さで元の構えに戻り、再び同じ軌道、同じ速度、同じ呼吸で木刀を振り下ろした。
「……せいッ!!」
その動作には、人間特有の「揺らぎ」が一切なかった。
疲労によるズレもなければ、気分のムラによる乱れもない。
ただひたすらに、定規で測ったような正確無比な反復運動。
周囲の兵士たちは、その男から半径十メートル以内には近づこうとせず、遠巻きに、まるで腫れ物に触れるような視線を送っている。
その空間だけが、世界から切り離された「真空」のように見えた。
「うわぁ……」
瞬が、思わず声を漏らした。
それは呆れ半分、感嘆半分といった響きだった。
素人の目にはただの素振りに見えるかもしれない。だが、身体能力が規格外である瞬には分かった。
あの男の剣筋には、一切の無駄がない。重心移動、筋肉の収縮、呼吸のタイミング。すべてが数式のように完璧に計算され尽くしている。
「あいつが、ゼイクか」
瞬はメイに目配せをして、男の方へと歩み寄った。
ジャリ、ジャリと足音が近づいても、男――ゼイクは素振りを止めない。
彼にとっての世界は、今、自分と木刀の軌道の中に完結しているようだった。
「よう! こんにちは!」
瞬が、いつもの調子で明るく声をかけた。
その瞬間。
ピタリ。
ゼイクの動きが止まった。
振り下ろされた木刀が、地面スレスレ、数ミリのところで静止している。
数秒の沈黙。
風が吹き抜け、ゼイクの鎧のマントを揺らしたが、彼自身は岩のように動かない。
やがて、彼はゆっくりと、錆びついた扉が開くような重厚な動作で、首だけをこちらに向けた。
兜のバイザーの奥から、冷徹な青い瞳が覗く。
その視線は、瞬とメイを「人間」として見ているというよりは、「処理すべきエラーデータ」としてスキャンしているような、無機質な冷たさを帯びていた。
「……貴様らか」
声は、低温で響くバリトンだった。感情の起伏がなく、まるで法律の条文を読み上げるような響き。
「ギルドから連絡のあった、無礼極まりない英雄というのは」
「無礼!? 会って三秒でいきなり失礼だな!」
瞬がツッコミを入れるが、ゼイクは無視して、懐から真っ白なハンカチを取り出した。
そして、自分の鎧の肩口を、サッ、サッと拭った。まるで、瞬の言葉が飛沫となって汚したかのように。
「リナ嬢から聞いている。デタラメな力だけで成り上がった『英雄』と、その連れの『魔女』だとな」
ゼイクの視線が、メイのアイガードに向けられる。
一瞬、メイの体が強張る。
だが、ゼイクはすぐに興味を失ったように視線を外し、再び瞬を見た。
「帰れ。私は貴様のような、規律(ルール)を持たぬ者とは組まない」
取りつく島もない拒絶。
瞬は眉をひそめ、腰に手を当てた。
「おいおい、まだ何も話してないだろ? なんで俺がルール持ってないって決めつけるんだよ」
「見ればわかる」
ゼイクは木刀を置き、瞬の方へと向き直った。
そして、驚くべき行動に出た。
彼は瞬の足元から頭のてっぺんまでを、指で四角いフレームを作るようにして確認し始めたのだ。
「まず、立ち方だ。重心が右足に寄りすぎている。傾き角度、約三度。美しくない」
「は?」
「次に装備だ。剣の柄に巻かれた革紐が、二ミリほど解れている。整備不良だ。論外」
「細かっ!」
「そして何より……」
ゼイクは、瞬の顔の前で人差し指を立てた。
「貴様のその、ヘラヘラとした表情だ。戦場において、笑顔など不要。必要なのは、冷静な判断と、完璧な手順(メソッド)のみ」
ゼイクは言い放つと、カシャン、と音を立てて踵を返した。
その動きは、直角だった。
文字通り、九十度に体を回転させ、一歩目を踏み出し、また九十度に曲がって元の位置に戻る。
彼の歩く軌跡は、完璧な正方形を描いていた。
「……なんだあの動き。ロボット掃除機かよ」
瞬は呆れて口を開けたまま、隣のメイを見た。
メイもまた、目を丸くしている。
だが、瞬の予想とは裏腹に、メイの瞳には呆れの色はなく、どこか悲しげな色が浮かんでいた。
「……瞬」
「ん? どうした? あんな堅物、ほっといて帰るか?」
「ううん。……あの人、怖がってる」
「怖がってる? あいつが?」
瞬は再びゼイクを見た。
完璧な鎧に身を包み、完璧な動作で素振りを再開したその姿は、自信の塊にしか見えない。隙など微塵もなく、他者を寄せ付けない威圧感を放っている。
「……私には、わかる気がする」
メイは、自分の胸元をぎゅっと握りしめた。
かつて、自分がボロ布で顔を隠し、誰とも目を合わせずに生きていた頃の感覚。
世界は危険に満ちていて、少しでも気を抜けば傷つけられる。だから、自分だけの殻に閉じこもり、分厚い壁を作って身を守るしかなかった。
あの騎士の「完璧な鎧」も、「厳格なルール」も。
それは、彼の身を守るための、悲しいほどに強固な「殻」なのではないか。
「……話してみる」
メイは意を決して、一歩前に踏み出した。
「おい、メイ?」
瞬の制止を聞かず、メイはゼイクの背中に近づいていった。
素振りの音が止まる。
ゼイクは振り返らない。背中越しに、冷たい殺気のようなものを放っている。
「邪魔だと言ったはずだ。去れ」
「……鎧、重くないですか?」
メイの声は震えていたが、澄んでいた。
ゼイクの肩が、ピクリと動く。
「……何の話だ」
「その鎧。傷一つなくて、ピカピカで……とても綺麗です。でも、それを維持するのは、すごく大変なんじゃないですか?」
ゼイクがゆっくりと振り返る。
バイザーの奥の瞳が、初めて感情の色――動揺と苛立ち――を帯びてメイを睨んだ。
「貴様に私の何がわかる。騎士たるもの、身だしなみは魂の鏡だ。常に完璧であってこそ、民を守る剣となれる」
「でも」
メイは、まっすぐにゼイクの目を見つめた。
紫の瞳が、揺らぐことなく彼を射抜く。
「そんなにガチガチに固めていたら……転んだ時、痛いですよ」
沈黙が落ちた。
演習場の喧騒が遠のき、風の音だけが響く。
ゼイクの目が、わずかに見開かれた。
図星だったのか、あるいは予想外の言葉に虚を突かれたのか。
彼の完璧な「型」が、一瞬だけ揺らいだように見えた。
彼が最も恐れていること。それは「失敗」だ。
手順通りに動くこと。ルールを守ること。正しくあること。
それに固執するのは、そうしていれば安全だからだ。「正解」を選び続けていれば、誰も自分を責めないし、予期せぬ不幸に見舞われることもない。
そう信じているからこそ、彼は「混沌」や「デタラメ」を象徴する瞬のような存在を、生理的に拒絶するのだ。
「……ふん」
ゼイクは鼻を鳴らし、わざとらしく視線を逸らした。
彼は木刀を腰に差すと、まるで汚いものでも見るかのように、手袋をパンパンと払った。
「転ぶ? 私がか? ……笑わせるな」
ゼイクは冷笑を浮かべ、瞬の方へと歩み寄った。
カシャン、カシャン、と正確なリズムを刻む足音。
彼は瞬の目の前、正確に一メートルの距離で立ち止まった。
「いいだろう。そこまで言うなら、貴様らが私の『隣』に立つ資格があるか、試してやる」
彼は懐から、一枚の羊皮紙を取り出した。
そこには、ギルドの正式な依頼書とは違う、彼自身が書いたと思われる幾何学的な図面と、びっしりと細かい文字で書かれた指示書があった。
「これは私が考案した、特別演習任務だ。北の森に現れた『暴走ゴーレム』の討伐。ただし」
ゼイクは羊皮紙を瞬の胸に押し付けた。
「私の指示(メソッド)に従うこと。一歩の遅れも、一手の無駄も許さない。私の完璧な作戦通りに動けるなら、組んでやらんでもない」
上から目線の、傲慢極まりない条件。
普段の瞬なら、「めんどくせぇ!」と断っていただろう。
だが、瞬はチラリとメイを見た。
メイは、心配そうに、けれどどこか期待を込めた目でゼイクを見ている。
彼女が「この人は自分と同じだ」と感じたなら、それはきっと放っておけない理由があるのだろう。
それに、瞬自身も少しだけ興味が湧いていた。この堅苦しい鎧の中身が、一皮剥けばどうなっているのか。
「……へえ、面白そうじゃん」
瞬は羊皮紙を受け取り、ニカっと笑った。
それは、ゼイクの冷徹な空気を一瞬で暖めるような、太陽のような笑顔だった。
「やってやるよ。その代わり、俺たちが勝ったら、そのピカピカの鎧にサイン書いてやるからな」
「……貴様、私の神聖な甲冑に落書きする気か!?」
「サインだよ、サイン! 英雄シュンの直筆だぞ、プレミアつくぜ?」
瞬の軽口に、ゼイクのこめかみがピキピキと引きつるのが見えた。
だが、メイは安堵したように、小さく微笑んだ。
「行こう、瞬。ゼイクさん」
こうして、世界で一番噛み合わない三人の、奇妙な共同戦線が幕を開けた。
直角に歩く騎士と、規格外の英雄と、彼らを見守る魔女。
冬の冷たい風が、三人の背中を押すように吹き抜けていった。
***
北の森は、王都の演習場とは違い、鬱蒼とした原生林が広がっていた。
木々は葉を落とし、黒々とした枝を空に向かって伸ばしている。地面は湿った腐葉土と、半分凍りかけた泥に覆われ、歩くたびにグチャリと不快な音を立てた。
日差しは森の奥まで届かず、薄暗い霧が立ち込めている。
その悪路を、ゼイクは信じられないことに、一定のリズムと歩幅で進んでいた。
泥を避けるためにジグザグに進むのではなく、あえて泥の中を直進し、汚れるたびに「チッ」と舌打ちをしては、布で鎧を拭う。
その徹底ぶりは、もはや執念と呼ぶにふさわしかった。
「A地点到着。予定時刻より十二秒の遅れだ。貴様らの歩行速度が不安定なせいだぞ」
ゼイクが懐中時計を確認し、神経質に指摘する。
瞬はあくびを噛み殺しながら、頭の後ろで手を組んだ。
「いいじゃん、十二秒くらい。誤差だよ誤差」
「誤差だと!? その誤差が戦場では命取りになるのだ! 歯車の一つが狂えば、機械は動かなくなる。組織も同じだ!」
「はいはい。で、ゴーレムはどこにいんの?」
ゼイクは地図を広げ、指でルートをなぞった。
「事前調査によれば、この先の開けた場所(クリアリング)に潜伏しているはずだ。作戦通りに行くぞ。私が正面から注意を引きつけ(囮)、その隙に貴様が右側面から回り込み、関節部を攻撃して体勢を崩す。そしてトドメは……」
ゼイクが綿密なプランを説明し始めた、その時だった。
ズズズズズ……。
地面の底から、腹に響くような重低音が鳴り響いた。
鳥たちが一斉に飛び立ち、空気がビリビリと震える。
「……なんだ?」
ゼイクが言葉を切る。
次の瞬間。
彼らの足元の地面が、爆発したように盛り上がった。
「うおっ!?」
「きゃあ!」
瞬がとっさにメイを抱きかかえ、横っ飛びに回避する。
ゼイクもまた、教科書通りのバックステップで距離を取った。
土煙の中から現れたのは、彼らの想定を遥かに超える代物だった。
ゴーレム。確かに素材は岩と土だ。
だが、その形状は「人型」ではなかった。
無数の岩が不規則に結合し、まるで巨大な芋虫か、あるいは不定形の粘土細工のようにうねうねと動いている。
しかも、その大きさは「事前調査」にあった三メートル程度ではなく、優に十メートルを超えていた。
「な、なんだこれは……!?」
ゼイクの声が裏返った。
彼は慌てて地図と羊皮紙を見比べる。
「話が違う! 報告書には『人型、全高三メートル、動作は緩慢』と書いてあった! これは……形状分類不能! サイズ超過! 予測パターンに該当しない!」
ゼイクの瞳孔が開く。
彼の脳内コンピューターが、エラーメッセージを吐き出し続けているのが目に見えるようだった。
「想定外」。
それが、彼にとって最も恐ろしい事態だった。
ルールが通じない。手順が役に立たない。
彼の作り上げた完璧な世界に、混沌という名の亀裂が入る。
「おいゼイク! 作戦どうすんだ!」
瞬が叫ぶ。
「ま、待て! 再計算する! 敵の重心位置を特定し、弱点属性を分析し、新たなフォーメーションを……!」
ゼイクがブツブツと独り言を呟きながら後ずさる。
しかし、現実は彼の計算を待ってはくれなかった。
巨大な泥の塊が、鞭のようにしなり、ゼイクめがけて振り下ろされたのだ。
「危ない!」
メイの悲鳴が響く。
ゼイクが顔を上げた時には、もう回避不可能な距離まで土塊が迫っていた。
(終わっ……)
ゼイクの思考が真っ白に染まる。
正しく動けなかった。手順を間違えた。だから死ぬ。
それが彼の信じる因果律だった。
だが。
ドォォォォン!!
轟音と共に、迫り来る土塊が粉々に砕け散った。
ゼイクの目の前に、一人の男が割り込んでいた。
瞬だ。
彼は剣を抜くことさえせず、ただの「裏拳」で、巨大な岩の腕を粉砕していた。
「計算とかいいから! 来たもんを迎撃すりゃいいんだよ!」
瞬はニカっと笑い、砕けた岩の破片をパラパラと浴びながら、ゼイクの前に立ちはだかった。
その背中は、泥だらけで、隙だらけで。
けれど、ゼイクのどんな完璧な構えよりも、遥かに頼もしく見えた。
「……貴様……!」
ゼイクは呆然と呟く。
自分の信じる「正しさ」が、音を立てて崩れていく音が聞こえた気がした。
ゴーレムは、腕を失っても怯まなかった。
それどころか、失った部分から新たな泥を吹き出し、さらに形を変えていく。今度は空中に浮かび上がり、無数の泥弾を発射する構えを見せた。
「空を飛ぶだと!? 岩石系モンスターに飛行能力など、生態学的にありえない!」
ゼイクが叫ぶ。
「ありえないことなんてないんだよ! 世界はいつだって、お前の教科書より自由なんだからな!」
瞬はメイを庇いながら、空中の敵を見据えた。
その瞳には、恐怖も混乱もない。
あるのは、「面白くなってきた」という、不敵な光だけだった。
「さあゼイク、どうする? お前のその綺麗な剣で、あの空飛ぶ粘土細工をどう料理する?」
問われているのは、戦術ではない。
彼の生き方そのものだった。
型を守って死ぬか。型を捨てて生きるか。
ゼイクは震える手で剣の柄を握りしめた。
冷たい汗が、鎧の内側を伝い落ちる。
冬の森の冷気が、彼の決断を急かしていた。
10
あなたにおすすめの小説
『ゴミ掃除』が役立たずと追放されたが、実は『存在抹消』級のチートだった。勇者一行がゴミで溺れているが、俺は辺境で美少女と温泉宿を経営中なので
eringi
ファンタジー
「悪いが、お前のスキル『ゴミ掃除』は魔王討伐の役には立たない。クビだ」
勇者パーティの雑用係だったアレクは、戦闘の役に立たないという理由で、ダンジョンの最深部手前で追放されてしまう。
しかし、勇者たちは気づいていなかった。
彼らの装備が常に新品同様だったのも、野営地が快適だったのも、襲い来る高レベルモンスターの死体が跡形もなく消えていたのも、すべてアレクが『掃除』していたからだということに。
アレクのスキルは単なる掃除ではない。対象を空間ごと削り取る『存在抹消』レベルの規格外チートだったのだ。
一人になったアレクは、気ままに生こうと辺境の廃村にたどり着く。
そこでボロボロになっていた伝説のフェンリル(美少女化)を『洗浄』して懐かれたり、呪われたエルフの姫君を『シミ抜き』して救ったりしているうちに、いつの間にかそこは世界最高峰の温泉宿になっていて……?
一方、アレクを失った勇者パーティは、武器は錆びつき、悪臭にまみれ、雑魚モンスターの処理すら追いつかず破滅の一途をたどっていた。
「今さら戻ってきてくれと言われても、俺はお客さん(美少女)の背中を流すのに忙しいんで」
これは、掃除屋の少年が無自覚に最強の座に君臨し、幸せなスローライフを送る物語。
最強すぎて無職になりましたが、隣国の姫が勝手に嫁入りしてきました
eringi
ファンタジー
平凡なサラリーマン・佐藤亮は、満員電車で謎の光に包まれ異世界へ転移する。神様から「世界最強の力」を授かったはずが、本人はただの無職ニートとしか思っていない。冒険者ギルドで雑用を請け負う日々。そんな亮の周囲に、冷徹な騎士姫、天才魔導士、元盗賊の少女、竜人族の戦士など個性豊かな美少女たちが自然と集まってくる。一方、彼を「ただの運のいい凡人」と侮る貴族や悪徳商人たちは次々と痛快なざまぁ展開に。亮は「俺なんて大したことないのに」と呟きながら、気づけば国を揺るがす陰謀を解決し、世界を救うことに――。無自覚最強主人公による、爽快ハーレムファンタジー開幕!
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
追放された地味探索者、実は隠された伝説級スキルの持ち主でした~気付いたら無自覚に最強ハーレムを築いていた件~
fuwamofu
ファンタジー
地味で目立たない探索者アレンは、仲間に「足手まとい」と罵られパーティを追放された。だが実は彼のスキル【探索眼】は、古代英雄の力を見抜く唯一の能力だった!
鉱山の奥で偶然出会った少女を救ったことから、運命が動き出す。
魔王軍、古代遺跡、神々の争い——すべての鍵を握るのは「ただの探索者」だった男。彼は気付かぬうちに、世界を救い、そして多くの少女たちの心をつかんでいく。
地味だけど最強、無自覚だけどモテまくり。これは世界を変えた謙虚な英雄の物語である。
散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。
アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。
それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。
するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。
それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき…
遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。
……とまぁ、ここまでは良くある話。
僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき…
遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。
「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」
それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。
なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…?
2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。
皆様お陰です、有り難う御座います。
無自覚に世界最強だった俺、追放後にチートがバレて全員ざまぁされる件
fuwamofu
ファンタジー
冒険者団から「役立たず」と追放された青年リオ。
実は彼のスキル《創造》は、世界の理を作り替える最強の能力だった。
追放後、孤独な旅に出るリオは、自身の無自覚な力で人々を救い、国を救い、やがて世界の中心に立つ。
そんな彼の元には、かつて彼を見下していた美少女たちが次々と跪いていく──。
これは、無自覚に世界を変えてしまう青年の、ざまぁと覇道の物語。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
ゲームの悪役貴族に転生した俺、断罪されて処刑される未来を回避するため死ぬ気で努力したら、いつの間にか“救国の聖人”と呼ばれてたんだが
夏見ナイ
ファンタジー
過労死した俺が転生したのは、大好きな乙女ゲームの悪役貴族アレン。待つのはヒロインたちからの断罪と処刑エンド!?冗談じゃない!
絶対に生き延びて平穏な老後を送るため、俺はゲーム知識を総動員して破滅フラグ回避に奔走する。領地を改革し、民を救い、来るべき災厄に備えて血の滲むような努力を重ねた。
ただ死にたくない一心だったのに、その行動はなぜか周囲に「深謀遠慮の聖人」と勘違いされ、評価はうなぎ登り。
おまけに、俺を断罪するはずの聖女や王女、天才魔導師といったヒロインたちが「運命の人だわ!」「結婚してください!」と次々に迫ってきて……!?
これは、破滅を回避したいだけの悪役貴族が、いつの間にか国を救う英雄に祭り上げられ、ヒロインたちに溺愛される勘違い救国ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる