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第三章:好色剣豪と呪いの魔剣
第14話:魔剣の呪いとただの木の棒
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気絶した村人たちを洞窟の入り口近く、外の光が辛うじて届く安全な窪みへと運び終えた時、俺たちの衣服は土と、そして他人の血で汚れていた。村人たちは皆、一様に蒼白な顔で浅い呼吸を繰り返している。屈強な猟師も、働き盛りの農夫も、今はただ無力な肉塊として横たわっていた。その中には、村の入り口で俺たちに助けを求めてきた少年の父親らしき男の姿もあった。リリアがそっと男の額の汗を拭い、セレスが祈るように一人ひとりの脈を確認していく。彼女の掌から放たれる柔らかな治癒の光が、村人たちの消耗した生命力をわずかずつ回復させていた。
「ひどい…。まるで魂だけを抜き取られたみたい…」
リリアが唇を噛みしめ、悲痛な声を漏らす。彼女の青い瞳は、目の前の惨状に対する純粋な怒りと悲しみに濡れていた。
「セレス、彼らは大丈夫そうか?」
俺の問いに、セレスはこくりと頷く。
「はい。命に別状はありません。ですが、精神的な消耗が激しいようです。おそらく、邪悪な気に長時間晒され続けた影響でしょう。肉体の傷よりも、心の傷を癒すのに時間がかかるかもしれません」
「そうか」
俺は短く応じ、洞窟の奥へと視線を向けた。そこは、もう光の届かない完全な闇。まるで巨大な獣の食道のように、不気味な沈黙と共に口を開けていた。
「さて、と。元凶を叩きに行くとしようか」
俺がそう言うと、アリーシアが弓を握り直し、鋭い視線で闇を見据えた。
「ええ。これ以上、犠牲者を出すわけにはいかないわ」
彼女はエルフ族特有の優れた視力で、闇の向こうに潜む何かを探っているようだった。
俺たちは村人たちをセレスの張った簡易的な結界の中に残し、再び洞窟の深部へと足を踏み入れた。ひんやりとした空気が、先ほどまでの戦闘と救助活動で火照った肌に心地よい。しかし、その心地よさはすぐに肌を粟立たせるような悪寒へと変わっていった。一歩進むごとに、空気に含まれる邪悪な気配が指数関数的に濃くなっていくのが分かる。それはまるで、粘性の高い毒の沼に足を踏み入れていくような感覚だった。壁や天井からは、紫色の燐光を放つ奇妙な苔がびっしりと生え、洞窟全体を不気味な光で染め上げている。その光は生命の輝きではなく、死と腐敗を連想させる冷たい光だった。
「…おい、聞こえるか?」
不意に、先頭を歩いていたジンが立ち止まり、低く唸った。
耳を澄ますと、洞窟の奥から微かな音が聞こえてくる。それは、風の音でも、水が滴る音でもない。誰かの苦しげな呻き声のようでもあり、巨大な心臓の鼓動のようでもあった。ドクン…ドクン…という低い響きが、洞窟の壁を伝って俺たちの足元から這い上がってくる。
「不味いな…。この気配、尋常じゃねえ」
ジンが左頬にある十字の古傷を指でなぞる。彼のその傷は、強い邪気に反応して疼くのだという。彼の表情が、普段の不敵な笑みから、獲物を前にした獣のような険しいものへと変わっていた。
俺たちはさらに警戒を強め、息を殺して進んだ。道は徐々に広くなり、やがて視界が大きく開けた。
そして、ついに最深部にたどり着いた。
そこは、天然の洞窟が人の手によって拡張されたかのような、ドーム状の巨大な広間だった。天井は遥か高く、教会の聖堂を思わせるほどの空間が広がっている。壁には意味を読み取れない古代の文様がびっしりと刻まれ、床にはおびただしい数の獣や、おそらくは人間の骨が散乱していた。
そして、その広間の中央。一段高くなった場所に、まるで夜の闇を切り出して固めたかのような、黒曜石の祭壇が鎮座していた。その祭壇に、一本の巨大な両手剣が突き立てられている。
全長は二メートル近くあるだろうか。幅広の刀身は鈍い黒色で、まるで光そのものを吸い込んでいるかのようだ。剣の中心には、血の溝に沿って不気味なルーン文字が刻まれ、柄頭には苦悶の表情を浮かべた悪魔の顔が彫刻されていた。
その剣そのものが、禍々しい紫色のオーラを脈打つように放っていた。ドクン、ドクン、と先ほどから聞こえていた心音のような響きは、この剣から発せられていたのだ。洞窟全体に満ちていた不気味な光も、すべてこの剣が源だった。見ているだけで精神が削られ、心の奥底に眠る恐怖や憎悪といった負の感情を掻き立てられるような、強烈な邪気。
「あれが…呪いの魔剣『ソウルイーター』…」
.セレスが息を呑み、震える声で呟いた。古文書でしか見たことのない、伝説級の呪物。触れた者の魂を喰らい、無限の力を与える代わりに、その者を理性のない殺戮機械へと変えるという最悪の魔剣。それが今、現実のものとして目の前に存在していた。
そして、その祭壇の前には、一体の巨人が立ちはだかっていた。
身長は3メートルを優に超え、筋骨隆々の肉体は、まるで鋼を編み上げて作られた彫像のようだ。その肌は土気色に変色し、血管が青黒く浮き出ている。種族はオーガだろうか。いや、元は人間だったのかもしれない。その証拠に、膨れ上がった筋肉によって引き裂かれた衣服の残骸が、体の所々に痛々しく張り付いていた。それは、この村の狩人たちが着るような、なめし革で作られた丈夫な服だった。
彼は、この村の犠牲者の一人なのだろう。魔剣の力に魅入られ、あるいは抗いきれずにその手に取り、魂を喰われて成れの果てと化した哀れな存在。
その瞳は赤く血走り、もはや理性のかけらも見られない。焦点の合わない目で虚空を見つめ、口からは絶えず粘ついた涎が垂れている。喉の奥からは、グルルル…という獣のような、それでいて苦しげな唸り声が絶え間なく漏れていた。
「……ようやくお出ましか」
ジンが、左頬の十字傷を指でなぞりながら、静かに呟いた。彼の目は、オーガと化した男ではなく、その後ろにある魔剣に釘付けになっている。
「俺の古傷が、てめえみてえな邪気に反応してうずきやがるぜ…。最高に、気分が悪い」
彼はゆっくりと腰に差した愛刀の柄に手をかける。鞘と鯉口が擦れる、心地よい音が静かな広間に響いた。そして、抜き放たれた刀身は、まるで月光をそのまま固めたかのような、澄み切った銀色の輝きを放っていた。彼はその切っ先を、オーガの心臓へと寸分の狂いもなく向ける。
ジンの殺気に応じるように、オーガが初めてこちらに顔を向けた。その血走った瞳が、ジンを明確な敵として認識する。
グオオオオオオオオオオオッ!
オーガが、洞窟全体を揺るがすほどの凄まじい咆哮を上げた。それは怒りでも威嚇でもなく、ただ終わることのない苦痛と飢餓を訴える、魂の絶叫だった。
咆哮と同時に、オーガは祭壇の魔剣に手を伸ばした。あれほど巨大な剣を、まるで小枝でも引き抜くかのようにやすやすと抜き放つ。そして、その巨体からは想像もつかないほどの俊敏さで、大地を蹴った。
凄まじい勢いでジンに斬りかかってくる!
紫色の邪気を奔流のようにまとった斬撃が、闇そのものを切り裂いて飛んでくる。それはもはや剣技と呼べる代物ではない。ただ純粋な質量と破壊の意思が、暴力の形となって叩きつけられる。
「―――ふっ!」
対するジンは、冷静沈着。迫りくる紫色の絶望を前に、彼はただ一言、短く鋭い呼気を漏らした。
次の瞬間、彼の姿が掻き消えたかと思うと、銀色の閃光が闇の中を奔った。
無月流剣術、奥義―――「刹那」。
それは、神速の踏み込みと抜き打ちを融合させた、ジンの代名詞ともいえる技。
銀色の閃光と紫色の闇が、広間の中央で激突した。
ゴオオオオオオンッ!
耳をつんざく轟音と共に、凄まじい衝撃波が同心円状に広がった。俺たちの髪やマントが激しく煽られ、天井からは小石や土埃がパラパラと降り注ぐ。
「うわっ!」「きゃっ!」
リリアとセレスが思わず顔を覆う。アリーシアは弓を構えたまま、衝撃に耐えようと足を踏ん張っていた。
衝撃の中心では、激しい剣戟が繰り広げられていた。
ジンの剣技は、間違いなく天才のそれだ。常人ならば目で追うことすら不可能な速度で放たれる斬撃が、流れるような連撃となって次々とオーガに叩き込まれていく。銀の軌跡が幾重にも交差し、美しい光の網を描き出す。
だが、オーガは怯まない。いや、痛みすら感じていないのかもしれない。ジンの鋭い刃がその鋼の肉体に浅い切り傷をいくつも刻むが、傷口からは血の代わりに紫色の邪気が噴き出すだけで、すぐに塞がってしまう。魔剣から絶えず供給される邪気が、その肉体を常識外の力で満たし、超回復能力を与えているのだ。
オーガはただ、剛力に任せて魔剣を振り回す。その一撃一撃は、洗練された技術などという矮小な概念を、純粋なまでの「力」だけでねじ伏せようとしてくる。
ジンの剣がオーガの腕を掠めれば、オーガの魔剣がジンの頬を紙一重で通り過ぎる。一瞬の油断が即、死に繋がるギリギリの攻防。
キィン!と甲高い金属音が響くたびに、ジンの愛刀が悲鳴を上げているのが、離れた場所にいる俺にも分かった。名工が鍛え上げたはずの刀が、魔剣の圧倒的な質量と邪悪な魔力の前に、少しずつ消耗していく。
「くそっ…!なんだこの剣は…!ただの魔力じゃねえな…!受け流すだけで腕が痺れる…!剣が、重い…!」
ジンの表情に、初めて焦りの色が浮かんだ。彼の剣は、相手の力を受け流し、いなし、その隙を突くことを真髄とする。だが、魔剣の一撃はあまりにも重く、そして邪悪な魔力がまとわりつき、受け流そうとする剣の軌道を無理やりこじ開けてくる。まるで、巨大な磁石に吸い寄せられる砂鉄のように、刀が魔剣に引きずられるのだ。
「ジン!無理をしないで!」
リリアの悲痛な叫びが飛ぶ。
「退いて!私が援護する!」
アリーシアも矢をつがえ、オーガの注意を引こうとする。しかし、オーガの血走った瞳は、もはやジンの姿しか映していなかった。
そして、ついにその時が来た。
オーガが天高く魔剣を振り上げ、渾身の力で垂直に振り下ろした。それは、山をも両断しそうな、絶望的なまでの一撃。
ジンは後退する選択肢を捨てた。いや、捨てざるを得なかった。あまりの速さに、回避が間に合わないと判断したのだろう。彼は歯を食いしばり、刀を水平に構え、その一撃を正面から受け止めることを選んだ。
「うおおおおっ!」
ジンの雄叫びと、オーガの振り下ろす魔剣が衝突する、その瞬間。
パキッ!
広間に、乾いた木が折れるような、あるいは薄いガラスが割れるような、甲高く、嫌な音が響き渡った。
時が、一瞬だけ止まったように感じられた。
ジンの愛刀の刀身、その中央にくっきりと、致命的な亀裂が入ったのだ。
ジンの目が見開かれ、信じられないものを見るかのように、自らの刀に視線を落とす。ほんのコンマ数秒の、絶望的な硬直。
その致命的な隙を、獣の本能だけが支配するオーガが見逃すはずもなかった。
魔剣の追撃が、がら空きになったジンの体を容赦なく薙ぎ払う。
紫色の禍々しい軌跡が、ジンの左腕を深々と切り裂いた。
「ぐはっ!」
短い悲鳴と共に、ジンの体がまるで木の葉のように吹き飛ばされた。彼は勢いを殺しきれず、広間の壁に激しく叩きつけられると、そのままズルズルと崩れ落ちた。左腕からはおびただしい量の血が流れ、床に赤い血だまりを広げていく。折れた愛刀が、カラン…と虚しい音を立てて手から滑り落ちた。
「ジン!」「しっかりしろ!」
リリアやアリーシアたちが、悲鳴を上げて彼に駆け寄る。
「ジンさん!」
セレスも、すぐに治癒魔法の詠唱を始めた。彼女の掌から放たれる緑色の光がジンの傷を包み込むが、傷口にまとわりつく紫の邪気がそれを阻害し、回復が遅々として進まない。
「くそっ…!呪いの効果か…!治りが、悪い…!」
セレスの顔に絶望の色が浮かぶ。
グオオオ…と、オーガが勝利の咆哮を上げた。そして、血の匂いに誘われるように、倒れたジンと彼を囲む仲間たちの方へ、ゆっくりと、しかし確実に歩みを進め始めた。
パーティーは絶体絶命。洞窟の中は、仲間たちの悲痛な叫びと、オーガの勝利を確信した不気味な唸り声に満ちている。誰もが、次に来るであろう破滅を予感し、顔を青ざめさせていた。
そんな緊迫した、絶望的な空気の中、俺だけは落ち着き払っていた。
いや、落ち着いているどころか、別のことに集中していた。
「うーん、この枝はちょっと細いな…。さっきの衝撃で折れたのか、節が多い。これじゃあ、すぐにまた折れちまう。ああ、こっちの樫の木の枝の方がいい。硬さも太さもちょうどいいか。乾燥具合も悪くない」
俺は、先ほどの戦闘の衝撃で天井の岩盤ごと落ちてきたらしい木の根や枝を拾い上げ、一本一本、その手触りや重さ、しなり具合を吟味していた。おそらく、この洞窟を穿つ際に断ち切られた、地上に生えていた木の根なのだろう。土の中で長い年月を経て、適度に乾燥し、石のように硬くなっている。
そして、数本の中から一番手頃な、長さ1メートルほどの樫の枝を見つけると、懐から愛用のナイフを取り出した。それは、どんな金属よりも硬いとされるミスリル鋼で作られた特注品だ。
俺は、そのナイフでスルスルと、まるで果物の皮でも剥くかのように、樫の枝を削り始めたのだ。
シュッ、シュッ、シュッ…。
仲間たちの悲鳴とオーガの咆哮をBGMに、俺はただひたすら、マイペースに木を削っていく。洞窟の不気味な紫色の光の中で、俺の手元だけがまるで別の時間が流れているかのようだった。
まず、邪魔な小枝やささくれを綺麗に取り払う。次に、握りやすいように柄となる部分を少し細く削り、手のひらに馴染むように滑らかな曲線を与える。最後に、切っ先となる先端部分を、打撃の威力が集中するように、それでいて相手を無駄に傷つけすぎないように、絶妙な丸みを持たせて整える。
俺の脳裏には、完成形の完璧なイメージがあった。必要なのは、それを寸分の狂いもなく現実の形に落とし込む、精密な作業だけだ。
俺のこの行動は、仲間たちの目には奇異に映ったことだろう。事実、アリーシアが一度、信じられないという顔でこちらを睨み、「あなた、こんな時に何を…!」と叫びかけたが、俺はそれに視線を合わせることすらなかった。俺の意識は、目の前の樫の木とナイフの刃先に、その全てが注がれていた。
やがて、何の変哲もない、ただの即席の木刀(というか、丁寧に削られたただの木の棒)が完成した。しかし、それは不思議なほどの均整が取れており、まるで最初からその形であるべきだったかのような、奇妙な存在感を放っていた。
俺は満足げに一つ頷くと、その木刀の重心を確かめるように軽く手の中で回し、そして、血を流して壁にもたれかかっているジンに向かって、それをぽい、と無造作に放り投げた。
木の棒は、綺麗な放物線を描いて飛び、ことん、と彼のすぐ横の地面に落ちた。乾いた、しかし心地よい音が、洞窟内に響いた。
ジンが、苦痛と失血による眩暈で歪んだ顔を、ゆっくりと上げた。治癒魔法を受けてはいるが、まだ激しい痛みに苛まれているのだろう。彼は、足元に転がった奇妙な木の棒と、それを投げた俺の顔を、戸惑うように交互に見た。その瞳には、「一体、何を考えているんだ」という非難と、「この状況で、冗談のつもりか」という怒りが浮かんでいた。
俺は、そんな彼に向かって、肩をすくめ、やる気なさげに言い放った。
「折れたんだろ、それ。代わりにこれ使えよ」
「ひどい…。まるで魂だけを抜き取られたみたい…」
リリアが唇を噛みしめ、悲痛な声を漏らす。彼女の青い瞳は、目の前の惨状に対する純粋な怒りと悲しみに濡れていた。
「セレス、彼らは大丈夫そうか?」
俺の問いに、セレスはこくりと頷く。
「はい。命に別状はありません。ですが、精神的な消耗が激しいようです。おそらく、邪悪な気に長時間晒され続けた影響でしょう。肉体の傷よりも、心の傷を癒すのに時間がかかるかもしれません」
「そうか」
俺は短く応じ、洞窟の奥へと視線を向けた。そこは、もう光の届かない完全な闇。まるで巨大な獣の食道のように、不気味な沈黙と共に口を開けていた。
「さて、と。元凶を叩きに行くとしようか」
俺がそう言うと、アリーシアが弓を握り直し、鋭い視線で闇を見据えた。
「ええ。これ以上、犠牲者を出すわけにはいかないわ」
彼女はエルフ族特有の優れた視力で、闇の向こうに潜む何かを探っているようだった。
俺たちは村人たちをセレスの張った簡易的な結界の中に残し、再び洞窟の深部へと足を踏み入れた。ひんやりとした空気が、先ほどまでの戦闘と救助活動で火照った肌に心地よい。しかし、その心地よさはすぐに肌を粟立たせるような悪寒へと変わっていった。一歩進むごとに、空気に含まれる邪悪な気配が指数関数的に濃くなっていくのが分かる。それはまるで、粘性の高い毒の沼に足を踏み入れていくような感覚だった。壁や天井からは、紫色の燐光を放つ奇妙な苔がびっしりと生え、洞窟全体を不気味な光で染め上げている。その光は生命の輝きではなく、死と腐敗を連想させる冷たい光だった。
「…おい、聞こえるか?」
不意に、先頭を歩いていたジンが立ち止まり、低く唸った。
耳を澄ますと、洞窟の奥から微かな音が聞こえてくる。それは、風の音でも、水が滴る音でもない。誰かの苦しげな呻き声のようでもあり、巨大な心臓の鼓動のようでもあった。ドクン…ドクン…という低い響きが、洞窟の壁を伝って俺たちの足元から這い上がってくる。
「不味いな…。この気配、尋常じゃねえ」
ジンが左頬にある十字の古傷を指でなぞる。彼のその傷は、強い邪気に反応して疼くのだという。彼の表情が、普段の不敵な笑みから、獲物を前にした獣のような険しいものへと変わっていた。
俺たちはさらに警戒を強め、息を殺して進んだ。道は徐々に広くなり、やがて視界が大きく開けた。
そして、ついに最深部にたどり着いた。
そこは、天然の洞窟が人の手によって拡張されたかのような、ドーム状の巨大な広間だった。天井は遥か高く、教会の聖堂を思わせるほどの空間が広がっている。壁には意味を読み取れない古代の文様がびっしりと刻まれ、床にはおびただしい数の獣や、おそらくは人間の骨が散乱していた。
そして、その広間の中央。一段高くなった場所に、まるで夜の闇を切り出して固めたかのような、黒曜石の祭壇が鎮座していた。その祭壇に、一本の巨大な両手剣が突き立てられている。
全長は二メートル近くあるだろうか。幅広の刀身は鈍い黒色で、まるで光そのものを吸い込んでいるかのようだ。剣の中心には、血の溝に沿って不気味なルーン文字が刻まれ、柄頭には苦悶の表情を浮かべた悪魔の顔が彫刻されていた。
その剣そのものが、禍々しい紫色のオーラを脈打つように放っていた。ドクン、ドクン、と先ほどから聞こえていた心音のような響きは、この剣から発せられていたのだ。洞窟全体に満ちていた不気味な光も、すべてこの剣が源だった。見ているだけで精神が削られ、心の奥底に眠る恐怖や憎悪といった負の感情を掻き立てられるような、強烈な邪気。
「あれが…呪いの魔剣『ソウルイーター』…」
.セレスが息を呑み、震える声で呟いた。古文書でしか見たことのない、伝説級の呪物。触れた者の魂を喰らい、無限の力を与える代わりに、その者を理性のない殺戮機械へと変えるという最悪の魔剣。それが今、現実のものとして目の前に存在していた。
そして、その祭壇の前には、一体の巨人が立ちはだかっていた。
身長は3メートルを優に超え、筋骨隆々の肉体は、まるで鋼を編み上げて作られた彫像のようだ。その肌は土気色に変色し、血管が青黒く浮き出ている。種族はオーガだろうか。いや、元は人間だったのかもしれない。その証拠に、膨れ上がった筋肉によって引き裂かれた衣服の残骸が、体の所々に痛々しく張り付いていた。それは、この村の狩人たちが着るような、なめし革で作られた丈夫な服だった。
彼は、この村の犠牲者の一人なのだろう。魔剣の力に魅入られ、あるいは抗いきれずにその手に取り、魂を喰われて成れの果てと化した哀れな存在。
その瞳は赤く血走り、もはや理性のかけらも見られない。焦点の合わない目で虚空を見つめ、口からは絶えず粘ついた涎が垂れている。喉の奥からは、グルルル…という獣のような、それでいて苦しげな唸り声が絶え間なく漏れていた。
「……ようやくお出ましか」
ジンが、左頬の十字傷を指でなぞりながら、静かに呟いた。彼の目は、オーガと化した男ではなく、その後ろにある魔剣に釘付けになっている。
「俺の古傷が、てめえみてえな邪気に反応してうずきやがるぜ…。最高に、気分が悪い」
彼はゆっくりと腰に差した愛刀の柄に手をかける。鞘と鯉口が擦れる、心地よい音が静かな広間に響いた。そして、抜き放たれた刀身は、まるで月光をそのまま固めたかのような、澄み切った銀色の輝きを放っていた。彼はその切っ先を、オーガの心臓へと寸分の狂いもなく向ける。
ジンの殺気に応じるように、オーガが初めてこちらに顔を向けた。その血走った瞳が、ジンを明確な敵として認識する。
グオオオオオオオオオオオッ!
オーガが、洞窟全体を揺るがすほどの凄まじい咆哮を上げた。それは怒りでも威嚇でもなく、ただ終わることのない苦痛と飢餓を訴える、魂の絶叫だった。
咆哮と同時に、オーガは祭壇の魔剣に手を伸ばした。あれほど巨大な剣を、まるで小枝でも引き抜くかのようにやすやすと抜き放つ。そして、その巨体からは想像もつかないほどの俊敏さで、大地を蹴った。
凄まじい勢いでジンに斬りかかってくる!
紫色の邪気を奔流のようにまとった斬撃が、闇そのものを切り裂いて飛んでくる。それはもはや剣技と呼べる代物ではない。ただ純粋な質量と破壊の意思が、暴力の形となって叩きつけられる。
「―――ふっ!」
対するジンは、冷静沈着。迫りくる紫色の絶望を前に、彼はただ一言、短く鋭い呼気を漏らした。
次の瞬間、彼の姿が掻き消えたかと思うと、銀色の閃光が闇の中を奔った。
無月流剣術、奥義―――「刹那」。
それは、神速の踏み込みと抜き打ちを融合させた、ジンの代名詞ともいえる技。
銀色の閃光と紫色の闇が、広間の中央で激突した。
ゴオオオオオオンッ!
耳をつんざく轟音と共に、凄まじい衝撃波が同心円状に広がった。俺たちの髪やマントが激しく煽られ、天井からは小石や土埃がパラパラと降り注ぐ。
「うわっ!」「きゃっ!」
リリアとセレスが思わず顔を覆う。アリーシアは弓を構えたまま、衝撃に耐えようと足を踏ん張っていた。
衝撃の中心では、激しい剣戟が繰り広げられていた。
ジンの剣技は、間違いなく天才のそれだ。常人ならば目で追うことすら不可能な速度で放たれる斬撃が、流れるような連撃となって次々とオーガに叩き込まれていく。銀の軌跡が幾重にも交差し、美しい光の網を描き出す。
だが、オーガは怯まない。いや、痛みすら感じていないのかもしれない。ジンの鋭い刃がその鋼の肉体に浅い切り傷をいくつも刻むが、傷口からは血の代わりに紫色の邪気が噴き出すだけで、すぐに塞がってしまう。魔剣から絶えず供給される邪気が、その肉体を常識外の力で満たし、超回復能力を与えているのだ。
オーガはただ、剛力に任せて魔剣を振り回す。その一撃一撃は、洗練された技術などという矮小な概念を、純粋なまでの「力」だけでねじ伏せようとしてくる。
ジンの剣がオーガの腕を掠めれば、オーガの魔剣がジンの頬を紙一重で通り過ぎる。一瞬の油断が即、死に繋がるギリギリの攻防。
キィン!と甲高い金属音が響くたびに、ジンの愛刀が悲鳴を上げているのが、離れた場所にいる俺にも分かった。名工が鍛え上げたはずの刀が、魔剣の圧倒的な質量と邪悪な魔力の前に、少しずつ消耗していく。
「くそっ…!なんだこの剣は…!ただの魔力じゃねえな…!受け流すだけで腕が痺れる…!剣が、重い…!」
ジンの表情に、初めて焦りの色が浮かんだ。彼の剣は、相手の力を受け流し、いなし、その隙を突くことを真髄とする。だが、魔剣の一撃はあまりにも重く、そして邪悪な魔力がまとわりつき、受け流そうとする剣の軌道を無理やりこじ開けてくる。まるで、巨大な磁石に吸い寄せられる砂鉄のように、刀が魔剣に引きずられるのだ。
「ジン!無理をしないで!」
リリアの悲痛な叫びが飛ぶ。
「退いて!私が援護する!」
アリーシアも矢をつがえ、オーガの注意を引こうとする。しかし、オーガの血走った瞳は、もはやジンの姿しか映していなかった。
そして、ついにその時が来た。
オーガが天高く魔剣を振り上げ、渾身の力で垂直に振り下ろした。それは、山をも両断しそうな、絶望的なまでの一撃。
ジンは後退する選択肢を捨てた。いや、捨てざるを得なかった。あまりの速さに、回避が間に合わないと判断したのだろう。彼は歯を食いしばり、刀を水平に構え、その一撃を正面から受け止めることを選んだ。
「うおおおおっ!」
ジンの雄叫びと、オーガの振り下ろす魔剣が衝突する、その瞬間。
パキッ!
広間に、乾いた木が折れるような、あるいは薄いガラスが割れるような、甲高く、嫌な音が響き渡った。
時が、一瞬だけ止まったように感じられた。
ジンの愛刀の刀身、その中央にくっきりと、致命的な亀裂が入ったのだ。
ジンの目が見開かれ、信じられないものを見るかのように、自らの刀に視線を落とす。ほんのコンマ数秒の、絶望的な硬直。
その致命的な隙を、獣の本能だけが支配するオーガが見逃すはずもなかった。
魔剣の追撃が、がら空きになったジンの体を容赦なく薙ぎ払う。
紫色の禍々しい軌跡が、ジンの左腕を深々と切り裂いた。
「ぐはっ!」
短い悲鳴と共に、ジンの体がまるで木の葉のように吹き飛ばされた。彼は勢いを殺しきれず、広間の壁に激しく叩きつけられると、そのままズルズルと崩れ落ちた。左腕からはおびただしい量の血が流れ、床に赤い血だまりを広げていく。折れた愛刀が、カラン…と虚しい音を立てて手から滑り落ちた。
「ジン!」「しっかりしろ!」
リリアやアリーシアたちが、悲鳴を上げて彼に駆け寄る。
「ジンさん!」
セレスも、すぐに治癒魔法の詠唱を始めた。彼女の掌から放たれる緑色の光がジンの傷を包み込むが、傷口にまとわりつく紫の邪気がそれを阻害し、回復が遅々として進まない。
「くそっ…!呪いの効果か…!治りが、悪い…!」
セレスの顔に絶望の色が浮かぶ。
グオオオ…と、オーガが勝利の咆哮を上げた。そして、血の匂いに誘われるように、倒れたジンと彼を囲む仲間たちの方へ、ゆっくりと、しかし確実に歩みを進め始めた。
パーティーは絶体絶命。洞窟の中は、仲間たちの悲痛な叫びと、オーガの勝利を確信した不気味な唸り声に満ちている。誰もが、次に来るであろう破滅を予感し、顔を青ざめさせていた。
そんな緊迫した、絶望的な空気の中、俺だけは落ち着き払っていた。
いや、落ち着いているどころか、別のことに集中していた。
「うーん、この枝はちょっと細いな…。さっきの衝撃で折れたのか、節が多い。これじゃあ、すぐにまた折れちまう。ああ、こっちの樫の木の枝の方がいい。硬さも太さもちょうどいいか。乾燥具合も悪くない」
俺は、先ほどの戦闘の衝撃で天井の岩盤ごと落ちてきたらしい木の根や枝を拾い上げ、一本一本、その手触りや重さ、しなり具合を吟味していた。おそらく、この洞窟を穿つ際に断ち切られた、地上に生えていた木の根なのだろう。土の中で長い年月を経て、適度に乾燥し、石のように硬くなっている。
そして、数本の中から一番手頃な、長さ1メートルほどの樫の枝を見つけると、懐から愛用のナイフを取り出した。それは、どんな金属よりも硬いとされるミスリル鋼で作られた特注品だ。
俺は、そのナイフでスルスルと、まるで果物の皮でも剥くかのように、樫の枝を削り始めたのだ。
シュッ、シュッ、シュッ…。
仲間たちの悲鳴とオーガの咆哮をBGMに、俺はただひたすら、マイペースに木を削っていく。洞窟の不気味な紫色の光の中で、俺の手元だけがまるで別の時間が流れているかのようだった。
まず、邪魔な小枝やささくれを綺麗に取り払う。次に、握りやすいように柄となる部分を少し細く削り、手のひらに馴染むように滑らかな曲線を与える。最後に、切っ先となる先端部分を、打撃の威力が集中するように、それでいて相手を無駄に傷つけすぎないように、絶妙な丸みを持たせて整える。
俺の脳裏には、完成形の完璧なイメージがあった。必要なのは、それを寸分の狂いもなく現実の形に落とし込む、精密な作業だけだ。
俺のこの行動は、仲間たちの目には奇異に映ったことだろう。事実、アリーシアが一度、信じられないという顔でこちらを睨み、「あなた、こんな時に何を…!」と叫びかけたが、俺はそれに視線を合わせることすらなかった。俺の意識は、目の前の樫の木とナイフの刃先に、その全てが注がれていた。
やがて、何の変哲もない、ただの即席の木刀(というか、丁寧に削られたただの木の棒)が完成した。しかし、それは不思議なほどの均整が取れており、まるで最初からその形であるべきだったかのような、奇妙な存在感を放っていた。
俺は満足げに一つ頷くと、その木刀の重心を確かめるように軽く手の中で回し、そして、血を流して壁にもたれかかっているジンに向かって、それをぽい、と無造作に放り投げた。
木の棒は、綺麗な放物線を描いて飛び、ことん、と彼のすぐ横の地面に落ちた。乾いた、しかし心地よい音が、洞窟内に響いた。
ジンが、苦痛と失血による眩暈で歪んだ顔を、ゆっくりと上げた。治癒魔法を受けてはいるが、まだ激しい痛みに苛まれているのだろう。彼は、足元に転がった奇妙な木の棒と、それを投げた俺の顔を、戸惑うように交互に見た。その瞳には、「一体、何を考えているんだ」という非難と、「この状況で、冗談のつもりか」という怒りが浮かんでいた。
俺は、そんな彼に向かって、肩をすくめ、やる気なさげに言い放った。
「折れたんだろ、それ。代わりにこれ使えよ」
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