詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~

Gaku

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第3章:冒険者、始めました

第21話:冒険者ギルドへようこそ 〜また壊した。俺じゃない、測定器の方が悪い〜

街道を歩き続け、中規模の街「ケルダム」の城壁が見えてきたのは、太陽が西の稜線に触れようとする時刻だった。

ガクは一人、歩みを進めていた。
背後から照りつける夕日が、容赦なく強烈な光を投げかけている。逆光による影の伸びは、ガクの足元から遥か前方へと這うように続き、まるで彼自身の内なる不安をどこまでも引き伸ばしているかのようだった。すれ違った荷馬車が巻き上げた無数の埃が光を反射する様子は、空中に漂う黄金の砂金のように美しく、思わず目を細めると、網膜に焼き付くオレンジ色の残像が視界の端でチカチカと明滅を繰り返した。

街道の脇に広がる平原では、風が通り抜ける時の草の波打ちが、まるで緑色の海面がうねるような滑らかなグラデーションを描き出している。足元で揺れる葉が擦れるカサカサという乾いた音が、耳元で心地よい自然の呼吸を刻んでいた。

ガクの足取りは慎重だった。前世の記憶にある、あの無機質なアスファルトを叩く足音の硬さに似た、石畳の冷たく重い反発を革靴の裏に感じながら、着実に街の門へと近づいていく。風に乗って、遠くの喧騒が微かに、しかし確実に響いてきた。商人たちの野太い声、馬のいななき、鉄が打ち付けられる甲高い響き。それらが混ざり合い、生命力に溢れた一つの巨大な波となってガクの鼓膜を震わせた。

(ついに来た。ここが冒険者ギルドのある街……俺の、絶対に目立たない、超平均的なモブ冒険者生活が始まる場所だ!)

ガクの胸の内には、たった一つの強烈な「こだわり」があった。
学園での一年半は、異常の連続だった。無詠唱で的を焼き切り、訓練場の壁を粉砕し、卒業式では学園長から『本校始まって以来の問題児』として名指しされる始末。もうあんな思いはごめんだ。これからは、絶対に目立たない。平均点のど真ん中を完璧に射抜く。それが彼にとっての至上命題であり、絶対に手放せない理想の未来像だった。

(ギルドの扉を開ける時の第一声はどうする?『チワッス、登録頼むわ』……いや、これじゃあ生意気な新人だ、ベテランに絡まれる。『恐れ入りますが、新規登録の手続きをお願いしたく存じます』……ダメだ、これだと貴族のボロが出る。よし、『あの、すいません。冒険者登録をしたいんですが』だ。これだ。圧倒的な小者感。究極のモブ発言だ!)

理想の「普通」を頭の中でシミュレーションするあまり、ガクの表情はひどく強張っていた。肩には無駄な力が入り、歩き方はまるでぜんまい仕掛けの人形のようになっている。本人は「完璧な一般人」を演じているつもりだが、すれ違う門兵や旅人たちが、その異様に強張った歩き方を見て不審な顔で道を譲っていることには全く気づいていなかった。

ケルダムの中心部。木造の巨大な建物が、彼を待ち受けていた。歴史の染み込んだ分厚いオーク材の扉の前に立つ。
ギィィ……と、軋む音を立てて扉を押し開けた。

途端に、むせ返るような熱気と匂いが暴力的に押し寄せてきた。
こぼれたエール酒の酸い匂い、直火で焼かれた肉の脂の香り、何日も手入れされていない革鎧の獣くささ、そして荒くれ者たちの汗。前世のゲームや小説で散々想像し、憧れすら抱いていた光景が、何の脚色もなくそこにあった。

薄暗いギルド内。高い格子窓から差し込む斜光が、タバコの煙を切り裂くように白い帯を作っている。掲示板の前で依頼書を睨みつける武装した男たち。円卓でジョッキをぶつけ合う笑い声。
ガクは、自分の胸が小躍りするのを抑えきれなかった。

(テンション上がる……! でもダメだ、平静を保て。俺はただの新人冒険者Aだ)

ガクは、ガチガチに緊張した足取りで受付カウンターへと向かった。
カウンターの奥にいたのは、そばかすのある赤毛の受付嬢だった。

「あ、あの、すいません。冒険者登録を、したいんですが」
声が裏返った。見事なまでの不審者っぷりだったが、受付嬢はプロの営業スマイルを貼り付けた。
「はい、新規登録ですね。ようこそケルダム支部へ! こちらの用紙に必要事項をご記入ください」

渡された羊皮紙に、名前、年齢、出身地を書き込む。そこまでは完璧だった。文字の綺麗さもわざと少し崩し、「村で少しだけ字を習った青年」という絶妙なラインをアピールする念の入れようだ。

「ありがとうございます。それでは最後に、魔力の登録を行います」
受付嬢がカウンターの下から取り出したのは、ソフトボールほどの大きさの透明な水晶球だった。
「こちらの水晶球に手をかざしてください。魔力量を測定し、初期ランクの適性を確認します。リラックスして、少しだけ魔力を流してくださいね」

ガクの脳内で、最大級の緊急アラームが鳴り響いた。

(来た! 魔力測定! 学園の推薦審査で水晶球にヒビを入れた、あの忌まわしきイベント! ここは絶対に、絶対に魔力を抑え込まなければならない。ほんの少し、スライムをつつく程度の、そよ風のような魔力を流すんだ……!)

ガクは、水晶球の上にそっと右手をかざした。
そして、全身の毛穴という毛穴を強引に閉じるようなイメージで、自身の規格外の魔力を内側の奥底へと力任せに押さえ込んだ。外に出るのは、本当に針の穴を通すような、極細の一糸のみ。

(よし、完璧な制御だ。これで魔力測定値は『下の中』。平和なEランク確定……!)

しかし、ガクは根本的な勘違いをしていた。
彼が学園生活と独自の修行で培ってきた魔力制御は、「魔法の威力を上げるための超高密度圧縮」に特化していたのだ。極限まで圧縮し、極細に絞り込まれたガクの魔力は、逆に恐ろしいほどの密度と物理的な貫通力を持って、真っ直ぐに水晶球の中心へと注ぎ込まれてしまった。
例えるなら、巨大なダムの全水量を、注射針の先から超高圧のレーザーとして噴射するようなものである。

ピキッ。

小さな、しかし致命的な音が鳴った。
透明な水晶球の中心に、一条の亀裂が走る。

(え? 待って、違う、俺はただ普通に——)

パキンッッ!!

次の瞬間、水晶球は内側からの圧力に全く耐えきれず、爆発的な音を立てて粉々に弾け飛んだ。
キラキラと輝くガラスの破片が、スローモーションのようにカウンターの上に降り注ぎ、パラパラと虚しい音を立てて転がった。

静寂。
それは、どれだけの言葉を費やしても表現しきれない、絶対的で暴力的な静寂だった。

酒場エリアで乱痴気騒ぎをしていた荒くれ者たち、依頼書を吟味していたベテランたち、そして目の前の受付嬢。ギルド内の数十人の視線が、一斉にガクと、彼の手元にある「かつて水晶球だった美しい粉」に突き刺さった。

誰も息をしていないのではないかと思うほどの真空状態。時間が完全に停止したかのような錯覚。
その、凍りついた空間の奥深くから。
厨房の奥にある洗い場からだろうか。蛇口から垂れた一滴の水が、シンクの水だまりに落ちる音が響いた。

『ピチャン……』

水の雫が落ちる「ピチャン」という音の響きが、静まり返ったギルド内に恐ろしいほどの透明感を持って反響した。

ガクの背筋を、一筋の冷たい汗がゆっくりと流れ落ちていく。
首筋から背骨に沿って、氷の虫が這い下りるような、生々しくリアルな悪寒。額からはジワリと脂汗が滲み、毛穴が開く感覚がわかる。自分の心臓の音だけが、耳の奥で狂ったように早鐘を打っていた。喉が異様に渇き、唾を飲み込む音すら爆音に感じられた。

「……申し訳ありません、弁償します」
引き攣った顔で、ガクは必死に声を絞り出した。
「い、いえ、こちらこそこんなことは初めてで……」
受付嬢の声がガタガタと震えている。彼女の目には、明らかに「人間の皮を被った得体の知れないバケモノ」を見る恐怖が浮かんでいた。

その時だった。
「騒々しいな。何事だ」
ギルドの奥にある重厚な扉が開き、一人の男が姿を現した。
身長は二メートル近く。丸太のようながっしりとした体格に、歴戦の猛者であることを示す無数の傷跡。顔の半分を覆うような立派な顎鬚を蓄えたその男は、一歩足を踏み出すたびに、床の板をギシリと泣かせていた。
ギルドマスターのゴドウだった。

ゴドウはカウンターの惨状と、冷や汗まみれのガクを交互に見比べた。そして、顎鬚をゆっくりと撫でながら、獲物を定める鷹のような鋭い視線でガクを頭の先からつま先までじっくりと観察した。

ガクは、自分の内側で必死に握りしめていた「一般人になりたい」というこだわりが、音を立てて崩れ去っていくのを感じていた。
(普通になりたかった。目立ちたくなかった。ただ平和に、誰にも注目されずに、ギルドの隅っこで薬草でも摘んで生きていきたかったのに……!)

己の理想に固執するあまり、不自然な魔力操作を行い、結果としてかつてないほどの大惨事を引き起こしてしまった。自分の「普通への過剰なこだわり」こそが、この悲劇の全ての元凶だったのだ。

ゴドウが、低くドスの効いた声で言った。
「お前さんのEランク登録は、まあ形式上認めてやる。だがな」
ゴドウはニヤリと、凶悪な笑みを浮かべた。
「依頼は、この俺が直接選んで割り振る。勝手に掲示板から選べると思うなよ。いいな」
「……なぜですか」
「決まってるだろう。お前みたいな底知れない新人が野放しだと、この街の何かが壊れる気がするからだ」

ぐうの音も出なかった。
完全に、論理的に、真っ当な理由でロックオンされていた。

その瞬間、ガクの中で限界まで張り詰めていた何かの糸が、プツンと切れた。
(ああ、そうか。無理なんだ)

自分は普通じゃない。どう足掻いても、モブにはなれない。
その事実を心底受け入れた時、不思議なことに、ガクの胸の内にあった重苦しい塊がスッと消え去っていくのを感じた。「一般人でいたい」という過剰な思い込みを手放した途端、今の自分の置かれた状況が、ひどく滑稽で、どうしようもなくおかしく思えてきたのだ。

(俺、何やってんだろうな。前世の知識までフル稼働させて、必死に平凡を演じて、挙句の果てにギルドの測定器を粉砕して、初日からマスターに『直接管理の要注意人物』に認定されるなんて)

ガクの口から、フッと小さな笑みがこぼれた。
冷や汗はすでに引いていた。代わりに、背筋を通り抜けるような妙な清々しさが全身を包み込んでいる。

「……わかりました。俺じゃない、測定器の方が悪い気もしますが、マスターの指示に従います」
ガクが憑き物が落ちたようなスッキリとした顔で答えると、ゴドウは少し驚いたように眉を上げ、それから豪快に笑い飛ばした。

「ハッ! いい面構えになったじゃねえか。減らず口を叩く余裕もある。よし、明日の朝一番でここに来い。お前みたいな規格外にぴったりの、最高に手のかかる連中を紹介してやる」

こうしてガクは、「Eランクの一般冒険者」という当初の目的から初日で光の速さで逸脱し、「ギルドマスター直接管理の要注意新人」という前代未聞の肩書きを背負って、冒険者としての生活をスタートさせたのである。

(明日はどんな最悪で最高な連中が待っているんだろうな)
ギルドを出て、夜の帳が下り始めた街を歩きながら、ガクはふと空を見上げた。
あれほど重かった足取りは、今は嘘のように軽い。
次に何が起こるのか。明日の予測不可能な出会いに向けた期待感が、彼の胸を確かに弾ませていた。
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