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第一章:『泥まみれの騎士と、空っぽの祈り』
第一話:夕焼けとスペクトル分析
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風が、死んだ。
ほんの数瞬前まで、それは確かに生きていた。生き物のように気まぐれで、時に優しく、時に奔放に、そして何よりも確かに存在感を持って、この広大な高原を駆け巡っていた。
背丈を越えるほどに伸びた夏草の海原を渡るとき、風は「ざあっ」と波のように草を揺らし、音を奏でた。無数の葉が擦れ合うその合唱は、耳の奥まで届き、草原全体がひとつの巨大な楽器であるかのように思わせた。遠くの森の梢へ駆け込めば、枝葉は「さわさわ」と細やかに震え、まるで大勢の囁きが重なり合ったかのようなざわめきを生み出した。その音は、聞いていると胸の奥に不思議な懐かしさを呼び覚ます。
俺の首筋をかすめていくときは、ひやりとした悪戯っぽい指先のような冷たさを残して過ぎ去っていった。陽光に焼かれて汗ばむ肌を一瞬だけ冷却し、すぐに離れてしまうその感触は、追いかけても捕まえられない、子供の頃に遊んだ影のようだ。
そうした数々の気配をまとって、風は確かに「生きていた」。それが今、嘘のようにぴたりと止み、動きをやめてしまったのだ。
世界全体が一斉に呼吸を止めたかのような、不自然な沈黙。耳に痛みを覚えるほどの張り詰めた静けさ。ついさっきまで耳に満ちていた「ざあ」や「さわさわ」の残響が、逆にその不在を際立たせる。
太陽が、西の山脈にその半身を沈めようとする、ちょうどその瞬間だった。
俺たちのいるこの広大な高原は、一日のうちで最も美しい時間を迎えつつあった。
昼間はすべてを焼き尽くそうとする暴力的な日差しが支配していた。肌を刺すような光線は容赦なく照りつけ、地表の草を乾かし、石を灼き、汗を強制的に流させた。しかし今、その力はゆるやかに衰えつつある。太陽は燃え尽きる前の蝋燭の炎のように、なお赤々と輝きながらも、どこか儚げで物悲しい光を世界に注いでいた。
光の角度が変わったことで、それまで見えていなかった世界の輪郭が次々と浮かび上がる。岩肌のごつごつとした凹凸が、長い影を引いて誇張される。一本一本の草が落とす影は、細い墨線のように地面を埋め尽くし、まるで大地そのものが緻密な絵画のキャンバスに変貌したかのようだった。
そして俺の隣に立つ女――エリス。その色素の薄い髪は夕陽に縁取られ、一本一本の繊細な線が黄金の輪郭を描き出していた。光が彼女を中心に後光のように広がり、非現実的なまでに鮮烈な姿を作り上げている。
昼間の熱気は、今まさに地面から解き放たれて空へと昇り、代わりに夜の冷たさがゆっくりと足元から忍び寄ってくる。肌に触れる空気はわずかに湿り気を帯び、体温を奪う。鼻腔に広がるのは、陽に焼かれて乾いた土の匂い、むせ返るように濃密な青草の息吹、そして――最後に風が運んできた、森の奥の少し湿った腐葉土の匂い。その全てが入り混じり、胸いっぱいに吸い込むと、懐かしさと切なさがないまぜになったような、胸の奥をきゅっと締めつける感覚が走る。
音は消え、匂いだけが際立ち、光はその性質を劇的に変化させていく。昼と夜、その二つの支配者が、互いに無言で支配権を譲り渡す。その儀式の場に、俺たちは立ち会っているのだ。
そして――空。
今日の空は、紛れもなく、この世界が生み出した最高傑作だった。
頭上を仰げば、そこにはまだ昼の名残が残っていた。淡く、透き通るような青。だがその青は、すでに透明度を増し、どこか遠のいていくように感じられる。昼間の力強く主張する青さではなく、後ろ髪を引かれながら退いていくような、弱々しい色合い。
その一方で、西の地平線に近い空は、まるで誰かが熟れすぎた果実を巨大な手で握り潰し、その果汁を塗り広げたかのように、鮮烈なオレンジと燃えるような赤がどろりと混ざり合っていた。揺らめくその赤は、見ているだけで体温を上げられるような熱を帯び、息を呑むほどの存在感で広がっていく。
赤は山脈の稜線に近づくにつれてさらに濃さを増し、やがて燃え尽きた炭の燃えさしのような、深く暗い緋色へと変貌していく。その色は重たく、沈んだ情念のようでありながら、同時に光を放つ不思議さを纏っていた。
オレンジと青の境界線は、どちらの領分でもない紫色に染まり、混沌とした美のグラデーションを作り出していた。その紫は、さらに高みに至るにつれて夜の藍色へと溶け込んでいき、まるで昼と夜が互いに境界を侵し合い、曖昧な時間を演出しているようだった。
たった一枚のキャンバス――空。そこに注がれているのは、数えきれぬほどの絵の具。滴り落ちるように濃淡を変え、瞬き一つの間にも色は移ろう。オレンジの領域は目を離した隙にわずかに縮み、紫の深みは一層濃くなり、そしてついに――藍色の海に、小さな星の一番乗りが白い光をぽつりと刻んだ。
あまりに圧倒的な変化に、俺の胸の奥は抑えきれないほどに熱を帯びていく。心臓が内側から暴れだすように脈打ち、呼吸は自然と荒くなり、言葉にならない衝動が喉の奥からせり上がる。
「うおおぉぉ……」
我慢できずに、声が漏れた。それは感嘆であり、ため息であり、意味を持たないただの音の塊だった。
「エリス! 見ろよ! すげぇ! なんかこう、胸が『ぐわーっ』てなる! エモい! エモすぎる!」
俺は抑えきれぬ勢いのまま、隣に立つ女に伝えようと肩を掴み、ぐっと揺さぶった。心臓の鼓動は耳の奥で太鼓のように響き、全身に熱を行き渡らせる。俺はどうしても、この内側から込み上げてくるものを彼女と共有したかった。
しかし――エリスは、静かに空を見上げたまま、わずかも揺れ動かない。
透き通るように白い肌は夕焼けの赤に染まり、その横顔は彫刻のように整っている。銀糸を束ねたかのような繊細な髪は、夕陽に照らされて光を反射し、後光のような輪郭を作っていた。深い宝石を思わせる瞳は、確かに俺と同じ空を映しているはずなのに――そこには感情という色彩が決定的に欠けていた。
彼女は、温度を一切含まない、平坦な声で口を開く。
「これは、光の散乱現象ですね」
「さんらん?」
俺が首を傾げると、エリスはまるで子供に授業をする教師のように、淡々と説明を続けた。
「ええ。太陽の光には、様々な色の光が混ざっています。私たちのいるこの星の大気には、目に見えない無数の塵や水滴が漂っている。昼の間、太陽が高い位置にあるときは、波長の短い青い光がそれらの塵によくぶつかって、四方八方に散らばる。だから、空全体が青く見えるのです」
彼女の声音は冷ややかに澄み渡り、まるで観測記録を口にしているだけのようだった。
「今、太陽は地平線の向こうに沈みかけている。光が私たちの目に届くまでに通過する大気の層は、昼間よりもずっと厚い。そのため、散乱しやすい青い光は、私たちの目に届く前にほとんど散らばりきってしまう。結果として、散乱されにくい、波長の長い赤い光だけが、こうして私たちの目に直接届いている。ただ、それだけの現象です」
俺はしばし呆然とした。夕焼けの空と、理屈を淡々と並べる彼女の横顔とを交互に見比べる。胸の奥で燃え上がる衝動と、彼女の冷静な声が、あまりにかけ離れていて。
「いや、理屈じゃねぇんだよ! この、こう……なんか、ちょっとだけ泣きたくなるような、懐かしいような、この感じだよ!」
俺は胸を両手で叩き、熱い塊をどうにかして伝えようとする。息は荒く、喉は渇き、しかし言葉は追いつかない。
エリスはわずかに眉をひそめ、俺を観察するような視線を向けた。彼女の瞳は冷たく澄んでいるのに、その奥で何かを測ろうとするような光がちらつく。
やがて、彼女は一歩だけ近づいた。そして――
おもむろに、俺の胸にその小さな耳を近づけようとする。
エリスは、ほんのわずかに首を傾けながら、俺の胸元へと顔を近づけてきた。
その仕草は驚くほど自然で、ためらいも、羞恥の色もなく、ただ観察対象に触れる科学者のような無垢さに貫かれている。
「ひゃっ!?」
俺は思わず声を裏返らせた。彼女の長い銀糸のような髪が、俺の腕にふれてすべり落ち、さらさらとした冷たい絹布のような感触を残していく。その髪が夕陽に照らされ、赤と金の光を反射して、まるで燃えながら流れる滝のように輝いていた。
「胸の筋肉が、不規則に収縮しているように見えました。あるいは、心臓の鼓動に乱れがあるのかもしれません。あなたは物理的な耐久性が異常に高いですが、内部システムの不具合は別問題です。一度、詳細な検査をした方がいいかもしれませんね」
エリスは淡々と述べ、まるで故障した機械の点検結果を読み上げるようだった。
「ちがーう! そうじゃなくて! あー、もう!」
俺は両手で頭を抱え、空を仰いだ。夕焼けの赤が視界いっぱいに広がり、眩しさと切なさが入り混じった光が瞼の裏にまで焼きつく。どう足掻いても、この女には俺の「エモい」が絶望的に届かないのだと悟り、歯噛みした。
エリスはただ静かに俺を観察している。その瞳は澄み切っていて、温度も揺らぎもない。だが――ほんの一瞬、俺の声に反応するかのように瞳の奥がわずかに揺れたように見えた。
俺とエリスの出会いは三ヶ月前に遡る。あの日、森の奥で俺が見たのは、巨大な熊に頭から食われている女だった。それがエリスだった。普通なら即座に救助を試みるところだが、彼女は熊の顎に咥えられたまま、眉ひとつ動かさずに「口腔内の唾液成分を分析中。特筆すべき毒性物質は検出されず」と呟いていた。熊の方が困惑しきった顔をして、「こいつ、まずいし硬ぇし、なんか気まずい」という空気を漂わせていたほどだ。
俺が熊を(物理的に)説得して彼女を解放させたとき、彼女は平然と「あなたは、なぜ私を助けたのですか? 私を助けるという行為に、あなたにとっての論理的な利益は観測できませんでしたが」と問いかけてきた。
俺は、一目惚れだった。
「いやー、だって、すげぇ美人だったから!」
「外見的特徴が、あなたの生存戦略に与える影響は?」
「えーと、なんか、見てるとドキドキするから?」
「心拍数の上昇。それは、身体にとっては一種の負荷です。不利益しかありませんね」
「……」
それ以来、俺は決めたのだ。この女に「好き」という感情を理解させてやる。それがこの旅の目的であり、今に至るまでの成果は――残念ながらゼロ。
「ああ、もういい! とにかく、綺麗なんだよ、今日の夕焼けは!」
俺が叫びながら感動に浸り、一歩後ろへ下がった、その瞬間だった。
「あ」
足元の地面が、なかった。
視界がふっと反転し、重力が俺の体を容赦なく引きずり落とす。胃袋が裏返り、心臓が喉元に押し上げられるような感覚。世界が急速に上へと遠ざかり、眼下には岩だらけの崖下が口を開けて待っていた。
「レン!」
エリスが初めて焦ったような声を上げた。その声は張り詰めて震え、これまで聞いたことのない響きを帯びていた。彼女は崖の縁に身を乗り出し、落下する俺を凝視する。
高さは目測で五十メートル以上。地面は硬い岩盤。風が一瞬だけ俺の衣服をばたつかせ、そのすぐ後には耳鳴りのような沈黙が落下の速度を際立たせる。
エリスの瞳が瞬時に計算を開始する。
「質量、約八十キログラム。落下距離、五十四メートル。空気抵抗を考慮した終端速度、秒速約三十メートル。岩盤の硬度から予測される衝撃エネルギー……生存確率は、限りなくゼロに近い」
淡々と呟かれるその言葉。だが声の奥には、かすかな揺らぎ――彼女自身も気づかぬ変化が含まれていた。
次の瞬間。
轟音。岩盤に巨大な物体が激突する音が、高原全体を震わせた。土煙がもうもうと立ち昇り、視界を覆う。普通の人間なら、肉片すら残らないはずの衝撃。沈黙が世界を支配し、わずかな時間が永遠に感じられる。
エリスは崖の縁に膝をつき、揺れる煙の向こうを凝視した。
そして――
「うおーい! エリスー! 下から見る夕焼けも、なかなか乙なもんだぞー!」
呑気な声が響き渡った。土煙の中から、元気に手を振る俺の姿が現れる。服はぼろぼろで裂けていたが、体には傷ひとつない。
俺はそのまま、切り立った崖の壁を、まるで水平な地面を歩くかのように駆け上がっていった。足裏は岩に確実に吸いつき、重力を無視するような軽やかさで跳ね上がる。
エリスの隣に戻った俺は、息を弾ませながらも笑顔で叫んだ。
「いやー、びっくりした。しかし、あの落ちながら空の色が変わっていくのが、またエモかったな!」
エリスは無言のまま俺の全身をくまなく観察し始めた。指先で肩や胸、腕を押し、骨格や筋肉を確かめるようにぺたぺたと触れる。彼女の冷たい指先が衣服越しに当たるたび、妙にくすぐったさがこみ上げてくる。
「骨格、筋肉、内臓、いずれにも損傷の痕跡は認められず。物理法則への、完全な不適合個体。……何度観測しても、あなたは興味深い」
彼女は小さく呟き、表情はいつもの無機質な仮面に戻っていた。だがその声色は、ほんのわずかに温度を帯びていたように思えた。
夜が降りてきた。
太陽が完全に沈み、空を覆う群青の天蓋には、いくつもの星が瞬き始めている。高原の空気は一気に冷え、吐く息が白く曇るほどだ。昼間は容赦なく照りつけた陽光に焼かれた大地も、今は急速にその熱を失い、ひんやりとした冷気を足元から放っていた。
俺とエリスは、崖の近くに薪を集め、小さな焚き火を起こしていた。火は「ぱちぱち」と乾いた音を立て、赤々と燃え上がる。炎は夜風に揺られながら、不規則に形を変え、時折大きく弾けて火の粉を散らす。そのたびに、橙色の光がエリスの頬を一瞬だけ照らし出し、彼女の白い肌を仄かに染めた。
彼女は火の前に座り、炎のゆらめきを真っ直ぐに見つめている。瞳はいつもと変わらず無機質に澄み切っているが、その奥には確かに、言葉にしがたい小さな揺らぎが潜んでいるように思えた。
「……」
俺は黙って火をつつきながら、横目で彼女を観察する。エリスの横顔は、硬質な美しさを湛えていた。風に揺れる長い髪が光を受け、一本一本が金色に透ける。唇は薄く閉ざされ、その呼吸は静かで規則正しい。だが、炎を映すその瞳の奥に、微かに揺らぐ影を俺は見逃さなかった。
――この女にも、心があるのか。
出会ってから三ヶ月、彼女は常に合理と観測の言葉だけで世界を語ってきた。喜びも、怒りも、悲しみも、笑いも――一切を排除した冷徹な視点。だが、今の彼女の横顔には、それらに似た何かが、淡く、しかし確かに浮かんでいた。
俺は薪を火にくべながら、思わず問いかけた。
「なあ、エリス。……お前、本当に何も感じてないのか?」
彼女は視線を炎から逸らさず、静かに答えた。
「感じる、という言葉の定義次第です。私は視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚を通して膨大な情報を収集し、それを処理しています。もしそれを『感じる』と呼ぶのであれば、私は常に感じています」
「いや、そうじゃなくてさ」
俺は焚き火に手をかざし、火の熱で手のひらがじんわりと温まるのを確かめながら言った。
「今みたいに、火を見てて、なんか落ち着くとかさ。今日の夕焼け見て、きれいだなって思うとか。そういうの」
しばしの沈黙。炎が「ぼっ」と小さく弾け、その音が二人の間の静けさを破った。
やがて、エリスは小さく瞬きをして呟いた。
「……理論上、私の中には『きれいだと感じる可能性』が存在します。しかし、それを自覚するプロセスが欠落しているのかもしれません」
その声には、ほんの僅かに揺らぎがあった。自分でも気づかないうちに、彼女の中で何かが変わり始めている――そんな予感を俺は覚えた。
焚き火の炎は、二人の間に温かな揺らめきを投げかけていた。夜空では、無数の星々がまるでこちらを見守るかのように瞬き続けている。
そして俺は、心の奥底で固く誓った。
必ず、この女に「好き」という感情を教えてやる、と。
ほんの数瞬前まで、それは確かに生きていた。生き物のように気まぐれで、時に優しく、時に奔放に、そして何よりも確かに存在感を持って、この広大な高原を駆け巡っていた。
背丈を越えるほどに伸びた夏草の海原を渡るとき、風は「ざあっ」と波のように草を揺らし、音を奏でた。無数の葉が擦れ合うその合唱は、耳の奥まで届き、草原全体がひとつの巨大な楽器であるかのように思わせた。遠くの森の梢へ駆け込めば、枝葉は「さわさわ」と細やかに震え、まるで大勢の囁きが重なり合ったかのようなざわめきを生み出した。その音は、聞いていると胸の奥に不思議な懐かしさを呼び覚ます。
俺の首筋をかすめていくときは、ひやりとした悪戯っぽい指先のような冷たさを残して過ぎ去っていった。陽光に焼かれて汗ばむ肌を一瞬だけ冷却し、すぐに離れてしまうその感触は、追いかけても捕まえられない、子供の頃に遊んだ影のようだ。
そうした数々の気配をまとって、風は確かに「生きていた」。それが今、嘘のようにぴたりと止み、動きをやめてしまったのだ。
世界全体が一斉に呼吸を止めたかのような、不自然な沈黙。耳に痛みを覚えるほどの張り詰めた静けさ。ついさっきまで耳に満ちていた「ざあ」や「さわさわ」の残響が、逆にその不在を際立たせる。
太陽が、西の山脈にその半身を沈めようとする、ちょうどその瞬間だった。
俺たちのいるこの広大な高原は、一日のうちで最も美しい時間を迎えつつあった。
昼間はすべてを焼き尽くそうとする暴力的な日差しが支配していた。肌を刺すような光線は容赦なく照りつけ、地表の草を乾かし、石を灼き、汗を強制的に流させた。しかし今、その力はゆるやかに衰えつつある。太陽は燃え尽きる前の蝋燭の炎のように、なお赤々と輝きながらも、どこか儚げで物悲しい光を世界に注いでいた。
光の角度が変わったことで、それまで見えていなかった世界の輪郭が次々と浮かび上がる。岩肌のごつごつとした凹凸が、長い影を引いて誇張される。一本一本の草が落とす影は、細い墨線のように地面を埋め尽くし、まるで大地そのものが緻密な絵画のキャンバスに変貌したかのようだった。
そして俺の隣に立つ女――エリス。その色素の薄い髪は夕陽に縁取られ、一本一本の繊細な線が黄金の輪郭を描き出していた。光が彼女を中心に後光のように広がり、非現実的なまでに鮮烈な姿を作り上げている。
昼間の熱気は、今まさに地面から解き放たれて空へと昇り、代わりに夜の冷たさがゆっくりと足元から忍び寄ってくる。肌に触れる空気はわずかに湿り気を帯び、体温を奪う。鼻腔に広がるのは、陽に焼かれて乾いた土の匂い、むせ返るように濃密な青草の息吹、そして――最後に風が運んできた、森の奥の少し湿った腐葉土の匂い。その全てが入り混じり、胸いっぱいに吸い込むと、懐かしさと切なさがないまぜになったような、胸の奥をきゅっと締めつける感覚が走る。
音は消え、匂いだけが際立ち、光はその性質を劇的に変化させていく。昼と夜、その二つの支配者が、互いに無言で支配権を譲り渡す。その儀式の場に、俺たちは立ち会っているのだ。
そして――空。
今日の空は、紛れもなく、この世界が生み出した最高傑作だった。
頭上を仰げば、そこにはまだ昼の名残が残っていた。淡く、透き通るような青。だがその青は、すでに透明度を増し、どこか遠のいていくように感じられる。昼間の力強く主張する青さではなく、後ろ髪を引かれながら退いていくような、弱々しい色合い。
その一方で、西の地平線に近い空は、まるで誰かが熟れすぎた果実を巨大な手で握り潰し、その果汁を塗り広げたかのように、鮮烈なオレンジと燃えるような赤がどろりと混ざり合っていた。揺らめくその赤は、見ているだけで体温を上げられるような熱を帯び、息を呑むほどの存在感で広がっていく。
赤は山脈の稜線に近づくにつれてさらに濃さを増し、やがて燃え尽きた炭の燃えさしのような、深く暗い緋色へと変貌していく。その色は重たく、沈んだ情念のようでありながら、同時に光を放つ不思議さを纏っていた。
オレンジと青の境界線は、どちらの領分でもない紫色に染まり、混沌とした美のグラデーションを作り出していた。その紫は、さらに高みに至るにつれて夜の藍色へと溶け込んでいき、まるで昼と夜が互いに境界を侵し合い、曖昧な時間を演出しているようだった。
たった一枚のキャンバス――空。そこに注がれているのは、数えきれぬほどの絵の具。滴り落ちるように濃淡を変え、瞬き一つの間にも色は移ろう。オレンジの領域は目を離した隙にわずかに縮み、紫の深みは一層濃くなり、そしてついに――藍色の海に、小さな星の一番乗りが白い光をぽつりと刻んだ。
あまりに圧倒的な変化に、俺の胸の奥は抑えきれないほどに熱を帯びていく。心臓が内側から暴れだすように脈打ち、呼吸は自然と荒くなり、言葉にならない衝動が喉の奥からせり上がる。
「うおおぉぉ……」
我慢できずに、声が漏れた。それは感嘆であり、ため息であり、意味を持たないただの音の塊だった。
「エリス! 見ろよ! すげぇ! なんかこう、胸が『ぐわーっ』てなる! エモい! エモすぎる!」
俺は抑えきれぬ勢いのまま、隣に立つ女に伝えようと肩を掴み、ぐっと揺さぶった。心臓の鼓動は耳の奥で太鼓のように響き、全身に熱を行き渡らせる。俺はどうしても、この内側から込み上げてくるものを彼女と共有したかった。
しかし――エリスは、静かに空を見上げたまま、わずかも揺れ動かない。
透き通るように白い肌は夕焼けの赤に染まり、その横顔は彫刻のように整っている。銀糸を束ねたかのような繊細な髪は、夕陽に照らされて光を反射し、後光のような輪郭を作っていた。深い宝石を思わせる瞳は、確かに俺と同じ空を映しているはずなのに――そこには感情という色彩が決定的に欠けていた。
彼女は、温度を一切含まない、平坦な声で口を開く。
「これは、光の散乱現象ですね」
「さんらん?」
俺が首を傾げると、エリスはまるで子供に授業をする教師のように、淡々と説明を続けた。
「ええ。太陽の光には、様々な色の光が混ざっています。私たちのいるこの星の大気には、目に見えない無数の塵や水滴が漂っている。昼の間、太陽が高い位置にあるときは、波長の短い青い光がそれらの塵によくぶつかって、四方八方に散らばる。だから、空全体が青く見えるのです」
彼女の声音は冷ややかに澄み渡り、まるで観測記録を口にしているだけのようだった。
「今、太陽は地平線の向こうに沈みかけている。光が私たちの目に届くまでに通過する大気の層は、昼間よりもずっと厚い。そのため、散乱しやすい青い光は、私たちの目に届く前にほとんど散らばりきってしまう。結果として、散乱されにくい、波長の長い赤い光だけが、こうして私たちの目に直接届いている。ただ、それだけの現象です」
俺はしばし呆然とした。夕焼けの空と、理屈を淡々と並べる彼女の横顔とを交互に見比べる。胸の奥で燃え上がる衝動と、彼女の冷静な声が、あまりにかけ離れていて。
「いや、理屈じゃねぇんだよ! この、こう……なんか、ちょっとだけ泣きたくなるような、懐かしいような、この感じだよ!」
俺は胸を両手で叩き、熱い塊をどうにかして伝えようとする。息は荒く、喉は渇き、しかし言葉は追いつかない。
エリスはわずかに眉をひそめ、俺を観察するような視線を向けた。彼女の瞳は冷たく澄んでいるのに、その奥で何かを測ろうとするような光がちらつく。
やがて、彼女は一歩だけ近づいた。そして――
おもむろに、俺の胸にその小さな耳を近づけようとする。
エリスは、ほんのわずかに首を傾けながら、俺の胸元へと顔を近づけてきた。
その仕草は驚くほど自然で、ためらいも、羞恥の色もなく、ただ観察対象に触れる科学者のような無垢さに貫かれている。
「ひゃっ!?」
俺は思わず声を裏返らせた。彼女の長い銀糸のような髪が、俺の腕にふれてすべり落ち、さらさらとした冷たい絹布のような感触を残していく。その髪が夕陽に照らされ、赤と金の光を反射して、まるで燃えながら流れる滝のように輝いていた。
「胸の筋肉が、不規則に収縮しているように見えました。あるいは、心臓の鼓動に乱れがあるのかもしれません。あなたは物理的な耐久性が異常に高いですが、内部システムの不具合は別問題です。一度、詳細な検査をした方がいいかもしれませんね」
エリスは淡々と述べ、まるで故障した機械の点検結果を読み上げるようだった。
「ちがーう! そうじゃなくて! あー、もう!」
俺は両手で頭を抱え、空を仰いだ。夕焼けの赤が視界いっぱいに広がり、眩しさと切なさが入り混じった光が瞼の裏にまで焼きつく。どう足掻いても、この女には俺の「エモい」が絶望的に届かないのだと悟り、歯噛みした。
エリスはただ静かに俺を観察している。その瞳は澄み切っていて、温度も揺らぎもない。だが――ほんの一瞬、俺の声に反応するかのように瞳の奥がわずかに揺れたように見えた。
俺とエリスの出会いは三ヶ月前に遡る。あの日、森の奥で俺が見たのは、巨大な熊に頭から食われている女だった。それがエリスだった。普通なら即座に救助を試みるところだが、彼女は熊の顎に咥えられたまま、眉ひとつ動かさずに「口腔内の唾液成分を分析中。特筆すべき毒性物質は検出されず」と呟いていた。熊の方が困惑しきった顔をして、「こいつ、まずいし硬ぇし、なんか気まずい」という空気を漂わせていたほどだ。
俺が熊を(物理的に)説得して彼女を解放させたとき、彼女は平然と「あなたは、なぜ私を助けたのですか? 私を助けるという行為に、あなたにとっての論理的な利益は観測できませんでしたが」と問いかけてきた。
俺は、一目惚れだった。
「いやー、だって、すげぇ美人だったから!」
「外見的特徴が、あなたの生存戦略に与える影響は?」
「えーと、なんか、見てるとドキドキするから?」
「心拍数の上昇。それは、身体にとっては一種の負荷です。不利益しかありませんね」
「……」
それ以来、俺は決めたのだ。この女に「好き」という感情を理解させてやる。それがこの旅の目的であり、今に至るまでの成果は――残念ながらゼロ。
「ああ、もういい! とにかく、綺麗なんだよ、今日の夕焼けは!」
俺が叫びながら感動に浸り、一歩後ろへ下がった、その瞬間だった。
「あ」
足元の地面が、なかった。
視界がふっと反転し、重力が俺の体を容赦なく引きずり落とす。胃袋が裏返り、心臓が喉元に押し上げられるような感覚。世界が急速に上へと遠ざかり、眼下には岩だらけの崖下が口を開けて待っていた。
「レン!」
エリスが初めて焦ったような声を上げた。その声は張り詰めて震え、これまで聞いたことのない響きを帯びていた。彼女は崖の縁に身を乗り出し、落下する俺を凝視する。
高さは目測で五十メートル以上。地面は硬い岩盤。風が一瞬だけ俺の衣服をばたつかせ、そのすぐ後には耳鳴りのような沈黙が落下の速度を際立たせる。
エリスの瞳が瞬時に計算を開始する。
「質量、約八十キログラム。落下距離、五十四メートル。空気抵抗を考慮した終端速度、秒速約三十メートル。岩盤の硬度から予測される衝撃エネルギー……生存確率は、限りなくゼロに近い」
淡々と呟かれるその言葉。だが声の奥には、かすかな揺らぎ――彼女自身も気づかぬ変化が含まれていた。
次の瞬間。
轟音。岩盤に巨大な物体が激突する音が、高原全体を震わせた。土煙がもうもうと立ち昇り、視界を覆う。普通の人間なら、肉片すら残らないはずの衝撃。沈黙が世界を支配し、わずかな時間が永遠に感じられる。
エリスは崖の縁に膝をつき、揺れる煙の向こうを凝視した。
そして――
「うおーい! エリスー! 下から見る夕焼けも、なかなか乙なもんだぞー!」
呑気な声が響き渡った。土煙の中から、元気に手を振る俺の姿が現れる。服はぼろぼろで裂けていたが、体には傷ひとつない。
俺はそのまま、切り立った崖の壁を、まるで水平な地面を歩くかのように駆け上がっていった。足裏は岩に確実に吸いつき、重力を無視するような軽やかさで跳ね上がる。
エリスの隣に戻った俺は、息を弾ませながらも笑顔で叫んだ。
「いやー、びっくりした。しかし、あの落ちながら空の色が変わっていくのが、またエモかったな!」
エリスは無言のまま俺の全身をくまなく観察し始めた。指先で肩や胸、腕を押し、骨格や筋肉を確かめるようにぺたぺたと触れる。彼女の冷たい指先が衣服越しに当たるたび、妙にくすぐったさがこみ上げてくる。
「骨格、筋肉、内臓、いずれにも損傷の痕跡は認められず。物理法則への、完全な不適合個体。……何度観測しても、あなたは興味深い」
彼女は小さく呟き、表情はいつもの無機質な仮面に戻っていた。だがその声色は、ほんのわずかに温度を帯びていたように思えた。
夜が降りてきた。
太陽が完全に沈み、空を覆う群青の天蓋には、いくつもの星が瞬き始めている。高原の空気は一気に冷え、吐く息が白く曇るほどだ。昼間は容赦なく照りつけた陽光に焼かれた大地も、今は急速にその熱を失い、ひんやりとした冷気を足元から放っていた。
俺とエリスは、崖の近くに薪を集め、小さな焚き火を起こしていた。火は「ぱちぱち」と乾いた音を立て、赤々と燃え上がる。炎は夜風に揺られながら、不規則に形を変え、時折大きく弾けて火の粉を散らす。そのたびに、橙色の光がエリスの頬を一瞬だけ照らし出し、彼女の白い肌を仄かに染めた。
彼女は火の前に座り、炎のゆらめきを真っ直ぐに見つめている。瞳はいつもと変わらず無機質に澄み切っているが、その奥には確かに、言葉にしがたい小さな揺らぎが潜んでいるように思えた。
「……」
俺は黙って火をつつきながら、横目で彼女を観察する。エリスの横顔は、硬質な美しさを湛えていた。風に揺れる長い髪が光を受け、一本一本が金色に透ける。唇は薄く閉ざされ、その呼吸は静かで規則正しい。だが、炎を映すその瞳の奥に、微かに揺らぐ影を俺は見逃さなかった。
――この女にも、心があるのか。
出会ってから三ヶ月、彼女は常に合理と観測の言葉だけで世界を語ってきた。喜びも、怒りも、悲しみも、笑いも――一切を排除した冷徹な視点。だが、今の彼女の横顔には、それらに似た何かが、淡く、しかし確かに浮かんでいた。
俺は薪を火にくべながら、思わず問いかけた。
「なあ、エリス。……お前、本当に何も感じてないのか?」
彼女は視線を炎から逸らさず、静かに答えた。
「感じる、という言葉の定義次第です。私は視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚を通して膨大な情報を収集し、それを処理しています。もしそれを『感じる』と呼ぶのであれば、私は常に感じています」
「いや、そうじゃなくてさ」
俺は焚き火に手をかざし、火の熱で手のひらがじんわりと温まるのを確かめながら言った。
「今みたいに、火を見てて、なんか落ち着くとかさ。今日の夕焼け見て、きれいだなって思うとか。そういうの」
しばしの沈黙。炎が「ぼっ」と小さく弾け、その音が二人の間の静けさを破った。
やがて、エリスは小さく瞬きをして呟いた。
「……理論上、私の中には『きれいだと感じる可能性』が存在します。しかし、それを自覚するプロセスが欠落しているのかもしれません」
その声には、ほんの僅かに揺らぎがあった。自分でも気づかないうちに、彼女の中で何かが変わり始めている――そんな予感を俺は覚えた。
焚き火の炎は、二人の間に温かな揺らめきを投げかけていた。夜空では、無数の星々がまるでこちらを見守るかのように瞬き続けている。
そして俺は、心の奥底で固く誓った。
必ず、この女に「好き」という感情を教えてやる、と。
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