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序章
光の輪
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東海道、それはかの神君家康公が、幕府を開くより早く整備され、江戸から京の都までを往来する為の街道で、道々には宿場町が点在し、各所に絶景の名所が点在する街道でもあった。
江戸で名門の北辰一刀流、その皆伝を持つ千葉さな子は、坂本龍馬と引き分け、1人先に向かった龍馬の手紙を懐に納めると、直ぐに身支度を済ませ家を出ようとしたが、父、重太郎と兄定吉に止められ、説得するのに幾日かの時間を浪費してしまった。
幸い、龍馬の行き先は、兵庫にある船の操練所だと分かっていた為、千葉さな子は再び坂本に再開する事が出来ると期待し、足早く街道を進み、現在の静岡県にある東海道でも随一と名高い「薩埵峠」に到着していた、そこは道の片方が断崖絶壁、その反対側が広い海、そして山に沿って曲がり続ける街道を進むと海の向こうに富士の山がその姿を現すという名称に差し掛かっていた。
当時、東海道を往来する人たちは平均で14-15日で江戸から京都の距離を歩いたという、そして薩埵峠は京までの道のりの約三分の一の距離を越えた所にあるが、さな子はこの名所に着くのに4日を超える前に到着していた。
「はぁぁぁ、、凄い綺麗な景色ねぇ、、、坂本さまもきっとこの景色をみたんでしょうね、、急がないとっ」
飛脚もヒクような健脚で、駆け始めようとする、さな子だったが、、断崖絶壁が終わり、緑が茂み始めた山の森の中で、怪しい集団が潜んでいる事に気が付いた。
「、、何かしら?、余り関わり合いにならない方が良いかも知れないですね、、」
白い小袖に水色のグラデーションが彩る着物を着ていた千葉さな子は、身長5尺五寸、現代で言うところの約165センチくらい、当時の平均身長を軽く超えていたその姿は、山に潜む者たちから見ても随分と目立っていた。
「おかしらぁ、、珍しい女がいますぜ?拐いませんか?」
薄暗い木々に潜み、街道を進む弱い者を見つけては金銭に変える輩、いわゆる野盗の1人が、好色な目で、お頭と呼ばれる男に声をかけていた
「ありゃお前にゃ無理だ隙がなさすぎる、色ボケする前にもっと金になりそうな奴を探せや!」
へーいっ、と、ヘソを曲げる子分達だがお頭の命令には、絶対逆らわない、それが人の道を外れた世界で生きる者達の唯一の決まり事だった。
「お頭!あれ!あれあれ!!」
「うるせえよ!この馬鹿たれ!!でかい声だすんじゃねぇ!獲物に気付かれちまうだろが!!」
先ほど、さな子に目をつけた子分が、山の奥を指さしながら、後ずさりしていた
「なにがアレだ、、こ、、の、、、、なんだぁありゃ」
お頭が、子分を指さす方を見ると、野盗達が見たのは奇妙な光景だった、、
薄暗い森の奥に、光る小さな輪が浮いていて、その向こう側には見たことも無い景色が広がっている、やがてその輪が大きくなっていき、人が通れそうな程の大きさにまで広がると、
「おお、、遂に成功したか?!」
「しっ師匠!危ないから近寄っちゃダメですって!」
光の輪の向こうから人の声がし、片方は若い声で、片方は年老いた男の声だった。
「馬鹿もんが!お前には探究心、好奇心が全く足りんっどれ、、、ん?おおっ人がいるぞ?!おおーーい!」
「しっ師匠!あんた一体何考えてるんですか?!」
光の向こう側から好々爺な爺さんがヒョイと顔を出すと、光の輪を通ってこちら側に通り抜け、もう1人が光の輪から覗き込むようにジジイを呼ぶ
「ほれ、なぉにしておるっお前もこんかいっ」
「なにいってんですかぁ!2人ともそっち行ってなんかあったら、アンタどうやって戻るつもりですか?!!」
「そん時はそん時じゃろ~」
「お、おいジジイ!お前どっからきた!」
野盗のお頭が、光の輪から突然現れた怪しげなジジイに怒鳴る
「なにぃ、、、お主、、ワシの事知らんのか?、、まぁ随分世界の果てに来てしまったみたいじゃしのう、、まぁ良い、おい小僧、ここはなんて国じゃ?」
問われたジジイが心底おどろく
「寝ぼけてんのかジジイ?日本に決まってんだろ?!それにしてもみすぼらしいクソジジイだなぁ?」
「ニホン?なんじゃそれは、、世界の隅々まで知ってるワシが聞いたことがない国、、面白いのう!」
「うるせぇジジィだ、邪魔しないんならほっといてやるから消え失せやがれっおい!お前ら獲物はどうしたぁ!」
ほっといても直ぐ死にそうなジジイを殺しても、なんの特にもならんとお頭が子分達を連れて、街道に戻っていくが、ジジイはカラカラと笑いながら野盗達の後ろをついていった
「お頭、アレなんてどうですかね?」
「ほほう、、中々手頃そうじゃねえか、、関所まで、、まだまだあるな、、よし、おめえらいくぞ!狙いは街道の一番後ろを歩いてる女二人組だ!」
「ちょっ師匠!早く戻ってきて下さいよー」
「もうちょっと我慢せいっ、こやつらの武器も初めてみるし、変わった服きとる、こんな面白いもん見ないでどうするっ」
光の輪に背を向け、野盗達の後をついて行こうするジジイは、見た目と違ってヒョイヒョイとついていった。
江戸で名門の北辰一刀流、その皆伝を持つ千葉さな子は、坂本龍馬と引き分け、1人先に向かった龍馬の手紙を懐に納めると、直ぐに身支度を済ませ家を出ようとしたが、父、重太郎と兄定吉に止められ、説得するのに幾日かの時間を浪費してしまった。
幸い、龍馬の行き先は、兵庫にある船の操練所だと分かっていた為、千葉さな子は再び坂本に再開する事が出来ると期待し、足早く街道を進み、現在の静岡県にある東海道でも随一と名高い「薩埵峠」に到着していた、そこは道の片方が断崖絶壁、その反対側が広い海、そして山に沿って曲がり続ける街道を進むと海の向こうに富士の山がその姿を現すという名称に差し掛かっていた。
当時、東海道を往来する人たちは平均で14-15日で江戸から京都の距離を歩いたという、そして薩埵峠は京までの道のりの約三分の一の距離を越えた所にあるが、さな子はこの名所に着くのに4日を超える前に到着していた。
「はぁぁぁ、、凄い綺麗な景色ねぇ、、、坂本さまもきっとこの景色をみたんでしょうね、、急がないとっ」
飛脚もヒクような健脚で、駆け始めようとする、さな子だったが、、断崖絶壁が終わり、緑が茂み始めた山の森の中で、怪しい集団が潜んでいる事に気が付いた。
「、、何かしら?、余り関わり合いにならない方が良いかも知れないですね、、」
白い小袖に水色のグラデーションが彩る着物を着ていた千葉さな子は、身長5尺五寸、現代で言うところの約165センチくらい、当時の平均身長を軽く超えていたその姿は、山に潜む者たちから見ても随分と目立っていた。
「おかしらぁ、、珍しい女がいますぜ?拐いませんか?」
薄暗い木々に潜み、街道を進む弱い者を見つけては金銭に変える輩、いわゆる野盗の1人が、好色な目で、お頭と呼ばれる男に声をかけていた
「ありゃお前にゃ無理だ隙がなさすぎる、色ボケする前にもっと金になりそうな奴を探せや!」
へーいっ、と、ヘソを曲げる子分達だがお頭の命令には、絶対逆らわない、それが人の道を外れた世界で生きる者達の唯一の決まり事だった。
「お頭!あれ!あれあれ!!」
「うるせえよ!この馬鹿たれ!!でかい声だすんじゃねぇ!獲物に気付かれちまうだろが!!」
先ほど、さな子に目をつけた子分が、山の奥を指さしながら、後ずさりしていた
「なにがアレだ、、こ、、の、、、、なんだぁありゃ」
お頭が、子分を指さす方を見ると、野盗達が見たのは奇妙な光景だった、、
薄暗い森の奥に、光る小さな輪が浮いていて、その向こう側には見たことも無い景色が広がっている、やがてその輪が大きくなっていき、人が通れそうな程の大きさにまで広がると、
「おお、、遂に成功したか?!」
「しっ師匠!危ないから近寄っちゃダメですって!」
光の輪の向こうから人の声がし、片方は若い声で、片方は年老いた男の声だった。
「馬鹿もんが!お前には探究心、好奇心が全く足りんっどれ、、、ん?おおっ人がいるぞ?!おおーーい!」
「しっ師匠!あんた一体何考えてるんですか?!」
光の向こう側から好々爺な爺さんがヒョイと顔を出すと、光の輪を通ってこちら側に通り抜け、もう1人が光の輪から覗き込むようにジジイを呼ぶ
「ほれ、なぉにしておるっお前もこんかいっ」
「なにいってんですかぁ!2人ともそっち行ってなんかあったら、アンタどうやって戻るつもりですか?!!」
「そん時はそん時じゃろ~」
「お、おいジジイ!お前どっからきた!」
野盗のお頭が、光の輪から突然現れた怪しげなジジイに怒鳴る
「なにぃ、、、お主、、ワシの事知らんのか?、、まぁ随分世界の果てに来てしまったみたいじゃしのう、、まぁ良い、おい小僧、ここはなんて国じゃ?」
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「寝ぼけてんのかジジイ?日本に決まってんだろ?!それにしてもみすぼらしいクソジジイだなぁ?」
「ニホン?なんじゃそれは、、世界の隅々まで知ってるワシが聞いたことがない国、、面白いのう!」
「うるせぇジジィだ、邪魔しないんならほっといてやるから消え失せやがれっおい!お前ら獲物はどうしたぁ!」
ほっといても直ぐ死にそうなジジイを殺しても、なんの特にもならんとお頭が子分達を連れて、街道に戻っていくが、ジジイはカラカラと笑いながら野盗達の後ろをついていった
「お頭、アレなんてどうですかね?」
「ほほう、、中々手頃そうじゃねえか、、関所まで、、まだまだあるな、、よし、おめえらいくぞ!狙いは街道の一番後ろを歩いてる女二人組だ!」
「ちょっ師匠!早く戻ってきて下さいよー」
「もうちょっと我慢せいっ、こやつらの武器も初めてみるし、変わった服きとる、こんな面白いもん見ないでどうするっ」
光の輪に背を向け、野盗達の後をついて行こうするジジイは、見た目と違ってヒョイヒョイとついていった。
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